オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第54話

 

パチパチと音を立てる焚き火を中心に、皆はアルフが森から切出した木を輪切りにした即席の椅子に座っている。

アルフは丈の長いローブを纏い、フードを目深にかぶって耳と尻尾を隠し、小さくしたゲオルギウスを膝に乗せて牛型のモンスターから切出した肉をスライスしてあげている。

 

「アルフィリア、本当にいいの?こんないいものもらって」

 

ラキュースが膝に置いている袋を指す。

 

「ええ、まだまだありますから。それと、重量は500kgまでしか入らないのでその辺り注意してもらえれば」

 

ラキュースが指差しているのは無限の背負い袋だ。夕方に倒したモンスターの部位を切り取ったは良いが、量が多く嵩張ると困っていたのであげたものだ。

 

「わかった。だけどこんなアイテムをポンと出せる貴女って何者なの? このアイテムを上手く捌けば領地くらい買えそうだけど、もしかしてどこかの王族だったりするの?」

 

「前にも言われたことがありますが、ちょっと特殊なタレントを持っているただの魔法詠唱者(マジック・キャスター)ですよ」

 

「そう言えばそのタレントの事だけど、確か物に魔法の力を付与できるってものよね、どう言ったものなのか教えてもらっていい?」

 

「いいですよ」

 

アルフはそう言いながら、あらかじめ腰から下げていた無限の背負い袋から短剣とデータクリスタルを取り出す。

 

「私のタレントは少し不安定で付与できる能力がランダムなんです、そこで一度クリスタルに付与して能力を確定させてから武具に付与すると言うものです」

 

この説明はペテル達にしたのと同じものだ、前回もこれで誤魔化せたし今回も大丈夫と思ったが、イビルアイが真剣な視線をクリスタル向けながら、言葉を口にする。

 

「それはもしかして、でーたクリスタルか?」

 

「知ってるの?」

 

「ああ、かつての仲間がそれと似た物を使って武器を強化しているのを見たことがある」

 

「じゃあタレント持ちって言うのは・・・・・・」

 

「断定は出来ないがな。だが、クリスタルを使っていた者、リーダーは自らの事をぷれいやーと言っていた」

 

イビルアイの言葉に全員の視線がアルフに向く。

 

 

 

「・・・・・・はぁ、意外な所からメッキが剥がれたなぁ」

 

「と言うことは、貴女はぷれいやーなの?」

 

「ええ、私はプレイヤーです」

 

「じゃああの十三英雄の仲間か?」

 

ガガーランの言葉にラキュースとティアがアルフとイビルアイを交互に見る。

 

「いや、アルフィリアと言う名の者は居なかった」

 

イビルアイは小さな声で言ってはいるが、アルフの人狼としての聴覚はそれを聞き逃さなかった。

 

「私は最近こちらの世界に来たばかりなので違います、ちなみに私の他にプレイヤーは三人来てます」

 

「随分素直に教えてくれるじゃねぇか、まさか事情を知ったものを皆殺しにするってんで冥土の土産に説明してるのか?」

 

そう言いながらガガーランは自分の武器に手をかける。

 

「やめなさい。ゲオルギウスの力を見たでしょ、おそらく彼女はそれと同等かそれ以上よ」

 

「そんなデメリットしかないことしないですよ、この職業やっているのもデータクリスタルを知っているプレイヤーの関係者を探すためです」

 

それを聞いたガガーランは武器から手を離し、体勢をもとに戻した。

 

「こう素直に話しているのも貴女達を信用しての事、亜人種のために体をはって村を守ったり、異形種を仲間にしていたり。イビルアイさん、貴女はアンデッド、たぶん吸血鬼ですよね」

 

「・・・・・・何故そう思う?」

 

「中身はアレですが知合に吸血鬼が居て、その子とどこか同じ匂いがしたもので。ですが確信したのはついさっき、貴女が言った『アルフィリアと言う名の者は居なかった』と言う台詞は実際に仲間だった者にしか言えません。そうすると貴女は十三英雄のいた時代、二百年前から居ることになります」

 

「聞こえていたのか・・・・・・私は確かにアンデッドだ、かつては国堕しと呼ばれていた」

 

「ばらしていいの?」

 

「かまわないさ。アルフィリアもアンデッドに知り合いがいるみたいだし、話してしまった方が今後のためだ」

 

ラキュースの言葉に諭すように答えるイビルアイ。

こちらとしてはありがたいが、それだけの情報を貰ったからにはこちらも種族を明かした方が楽か、と考える。

 

「じゃあ私も今後のために、正体を明かすよ」

 

そう言いながら、アルフはフードを取り、獣の耳と尻尾をローブから出した。

 

「・・・・・・貴女、人狼だったのね」

 

「はい。分かっているとは思いますが、タレントの事と種族の事は他言無用でお願いします」

 

「その点は安心して、こちらも貴女ほどの戦力を失うのは惜しい」

 

「ひぅっ!!」

 

そんなことを突然尻尾をわさわさとなで回される感触に襲われた。

尻尾の方を見ると、ティアがわさわさとなで回したり頬擦りをしていた・・・・・・。

 

「もふもふ、気持ちいい。お嫁さん兼抱き枕になって」

 

「ティア。ごめんなさいね、変な子で」

 

「いえ、似たような行動をとる人を知ってますので気にしてないです」

 

そんなこんなで夜は更けていく。

自分の正体を明かすことになってしまったが今回の収穫は大きい、何より蒼の薔薇といる時は本来の姿でいいと言うのは気が楽だ。




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