翌朝
アルフは朝日の光と尻尾の違和感で目を覚ました。
尻尾を見るとティアが枕にしており、ラキュースとイビルアイは毛並みを楽しむようにわさわさと撫でている。
ちなみにガガーランは離れたところで仰向けでイビキをかいて寝ている。
「・・・・・・三人とも何してるの?」
「ティアが気持ちいいと言うのでつい」
「サラサラふわふわしてるから枕にちょうどいいかと」
「私は止めたのだが、二人が離れなくてな」
ラキュース、ティア、イビルアイの順に言葉を発する。
「で、イビルアイさんもつられて撫で始めたら止められなくなったと」
「・・・・・・」
イビルアイは顔をそむけあらぬ方向を見るが、尻尾を撫でる手は離れない。
「・・・・・・はぁ、とりあえず朝御飯にしましょう」
そう言いながら変化して尻尾と耳を消し起き上がるが、尻尾を消すと同時に「あぁ・・・・・・」と名残惜しそうな声が三つ聞こえた。
それからガガーランを起こし、朝食にする。
朝食の内容は具材の多いスープで蒼の薔薇が用意した物だ。具材は見た感じジャガイモ、人参、キャベツ、玉葱、肉という内容、玉葱は犬にとっては毒と言う話だが、自分は人狼なのでたぶん大丈夫なはずだ、もし毒だとしてもグレイプニルが反応して打ち消すはずだ。
そう思いながらスープを口にする。
口の中に野菜の甘味が広がる、そのままスープを飲み込むがグレイプニルに反応はなく、体調の変化もないようだ。
朝食後
皆は思い思いに過ごしている。
ガガーランは少し離れた場所で腹ごなしにハンマーで素振りをしており、ラキュース、イビルアイ、ティアはアルフの近くに座りアルフに質問をしている。
質問の内容としては、耳と尻尾はどうやって消しているのか、実際は何位階の魔法まで使えるのか、他のプレイヤーはどんな人物かと言うもの、一応答えられる範囲で答え、まずそうな部分は誤魔化している。
そしてアルフからも質問する。
内容は、十三英雄は今現在生きているのか、生きているのならどこに居るのか、と言うものだ。
もしも友好的であれば助け合う事ができるし、敵対的であれば警戒する必要がある。
「・・・・・・大半は死んでしまったよ、他は散り散りになっていてな、たまに顔を見るのもいるが放浪癖があってな」
「・・・・・・ごめん、無神経なこと聞いたかな」
「いや、もう200年ほど前の話だ、気にしないでいい」
それから森を見張りながらしばらく過ごしたが森からモンスターが出てくる気配はなく、他の冒険者チームが来たのでその人達に引継し、王都へ戻るとこにした。
帰るときもゲオルギウスの背に乗り、王都外の人目につかない所に着地させ、検問を通り王都に入った。
「私達は冒険者組合に報告に行くけど、貴女はどうする?」
ラキュースは振り返りながらアルフにそう言ってきた。
「私は店の準備があるので帰ります、茶釜さんが少し心配ですし」
「わかった、報酬は明日の朝、貴女の店に持っていく。それとこれ」
ラキュースは懐から封書を取り出しアルフに渡す。
「これは?」
「今度行われる昼餐会の招待状よ。国王から第三王女経由で私のところに渡すように依頼が来たの」
「ありがとうございます。では、また明日」
「ああ、また明日」
そう言って蒼の薔薇の四人と別れて店に戻り、ぶくぶく茶釜とクレマンティーヌと一緒に昼食をとろうと寝室に入ったのだが。
「・・・・・・」
クレマンティーヌは目を開けていがその目は虚ろで、起きているようだがベッドの上にぐったりとしており反応がない。
「アルフさん、お帰り」
ぶくぶく茶釜はそう言いながら、映像のスクロールを見ている。
とりあえずクレマンティーヌの状態を確認するために近寄り、顔の前で手をヒラヒラと振ってみる。
「クレマンティーヌ、どうしたの?何か変なものでも食べた?」
話しかけてみたが反応がない。
次は揺すってみる、すると反応があったのだが。
「茶釜さま~、もっと~・・・・」
と、うわ言のように呟いている。
「・・・・茶釜さん、クレマンティーヌに何したんですか?」
「ん、いろいろ」
そう言いながらスクロールを放って来た。アルフはそれを受取りスクロールを再生する。
そこに写されていたのは、なんと言うか、簡単に言うと女戦士とスライムが絡み合うR-18な内容だった。
「・・・・・・茶釜さん、前から聞きたかったんですけど、今の貴女の性別ってどっちなんですか」
「両性。クレマンティーヌでいろいろ確かめた」
「確かめるなら
アルフは呆れたようにぶくぶく茶釜に問う。
「私にとって吸血鬼の花嫁はなんかそそる要素が薄いのよ。その点クレマンティーヌは出るとこ出ててるし、健康的なやわ肌とか猫耳と尻尾とかいろいろ来るものがある!」
力説しながら拳をグッと握り締める。そういうのは男が言うのもではないのだろうか・・・・。
「はぁ・・・・・・とりあえずお昼ご飯にしましょう」
そう言いながらアイテムボックスからアイテムを取り出す。それはポーションに似た小瓶に入っているが、中身が透き通った緑色をしている、効果は朦朧、酩酊等の異常を回復させるものだ。
「クレマンティーヌこれ飲んで」
クレマンティーヌの体を起こし、口元に小瓶を持っていくが口をつける様子がない。
このポーションはナザリックでいろいろと試したが、飲む以外では効果は発揮しなかった。
アルフは小瓶に口をつけて中身を口に含み、そのままクレマンティーヌに口移しで飲ませる。
少しするとクレマンティーヌの瞳に光が戻り、正気に戻ったようだ。
「クレマンティーヌ、大丈夫?」
「うん。茶釜ちゃんにされたことが癖になりそうだけど大丈夫」
クレマンティーヌの発言がなんか心配だが、とりあえず昼食をとるためにリビングに移動した。
誤字の指摘ありがとうございます。