オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第68話

八本指の下っ端が襲撃してきたその日の夜、アルフは蒼の薔薇と共に行動していた。

目的はもちろん、八本指が運営している麻薬栽培所を潰すこと。

手順は蒼の薔薇が潜入し、資料や辞令書、暗号文などを持ち帰り、その後ゲオルギウスで村に火を放って栽培中の麻薬や貯蔵されているものを焼却処分し、転移してもう2ヶ所同じように潰す。

 

そして今は最後である三ヶ所目、前の二ヶ所も〈完全不可知化(パーフェクト・アンノウアブル)〉を使って見ていたが手際が良い、皆で連携をとり迅速に行動している。

 

三ヶ所目は前の二ヶ所より規模が大きく地下に隠し倉庫がいくつかあるらしく、ラキュースは作戦の説明時に出来るのであれば地下にある麻薬も燃やして欲しいと言っていた。

 

そんなことを思い出しながら、完全不可知化を使いティアの後を付いていく。

しばらくすると、一件の家の前でティアが止り中を確認すると、家の扉の鍵を開け中に入った。

 

ティアに続き中に入ると、そこには鎖に繋がれた全裸の女性が複数人いた。ティアは女性達の鎖を切り、大きめの布を被せていく。

 

恐らく近くの村から拐われてきたのだろう、よく見ると所々に痣があり、酷い扱いを受けていたことが見てとれる。

 

その光景を見て無意識に拳を握り締め、それを家の壁に叩きつけていた。

打撃を受けた壁が吹き飛ぶと同時、ティアの視線がこちらを向いた。

 

「・・・・・・アルフィリア、いるの?」

 

ティアの問に答えるように魔法を解除し、認識できるようにした。

 

「ティア。ラキュース達に、この村消し飛ばすから2キロ以上離れてって伝えてください」

 

そう言い、転移門(ゲート)を使って転移した。

 

 

 

 

 

 

 

捕まっていた女性達をイビルアイに頼んで安全な場所に転移させた後、村から少し離れた所でラキュース達と合流し先程あったことを伝えた。

アルフィリアが捕まっていた女性達を見たこと、この村を消し飛ばす事を。

 

「前の二つの村には居なかったけど、拐われてきた娘達を見てしまったのね。あの子の王城での反応見たときから少し心配だったけど、やっぱり八本指に対して怒りを抑えきれなくなったのね」

 

「しかしよぉ、この村けっこうでかいぜ。地下倉庫が何層もあるから、こちらとしては消し飛ばしてもらっても構わないが本当に出来るのか?」

 

「アルフィリアが言うなら間違いないと思う。イビルアイ、捕まってた人達はちゃんと逃がせた?」

 

「問題ない。保護を頼んだ村はここから30キロ以上離れてる」

 

「じゃあ合図を、その後村から3キロ離れたところに転移して様子を見ましょう。ティア、花火を打ち上げて」

 

「了解」

 

ラキュースの指示を受け、懐から花火を打ち上げるための筒を出して火を付け、打ち上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「合図がきた。行こうかゲオルギウス」

 

アルフは手綱を握り、馬ほどの大きさにしたゲオルギウスに指示を出し、天高く舞い上がる。

念のため、ラキュース達が攻撃範囲の外にいるか千里眼を使って確認し、ゲオルギウスに指示を出す。

 

「ゲオルギウス、フルサイズ。攻撃拡散、地形破壊、オブジェクト破壊スキル使用、ドラゴンブレス用意」

 

ゲオルギウスが本来の大きさに戻り、口を大きく開いて全身の魔力を一点に集め始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イビルアイと共に転移した直後、暗転していた視界が戻り目に入ってきたのは、時間は真夜中のはずなのに辺りが昼のように明いと言う光景だった。

 

「おい。あれを見ろ」

 

ガガーランは光源の方を見て、呆けた顔をしている。

何を見たのか気になり、すぐにガガーランが向いている方向に視線を向ける。

 

遠目で詳細はわかりにくいが、魔方陣を帯びた白く輝く光球を作り、両翼で80メートルもありそうな翼を羽ばたかせ浮いている巨大な黒いドラゴンがいた。

 

「あれ、ゲオルギウスよね。あれが本来の大きさ・・・・・・」

 

「間違いない。頭にアルフィリアが乗っている」

 

自分の目では確認できないがイビルアイが言うのだから間違いないだろう。

 

「あれ、まずくないか?」

 

ゲオルギウスの全身に血のように紅い模様が現れ、作り出した光球を中心に小さな光球が生まれ、尾を引いて吸い込まれていく。

 

「大気中の魔力を取り込んでいる?」

 

小さな光が取り込まれるたび、光球の輝きが増していく。

 

「イビルアイ、王都に転移だ!!」

 

ガガーランの言葉に反応し、皆がイビルアイに掴まり王都に転移した。

 

 

 

 

王都の城壁の外に転移した直後見たものは、太陽の欠片が落ちた様な光景だった。

 

村があった方角が太陽に照らされたように明るくなり、ズドンッ‼と腹の底に響くような衝撃音が伝わる。

その後、ゲオルギウスの攻撃の余波と思われる空振が伝わり、王都内から建物のガラスがガタガタと鳴る音や、割れる音が聞こえてくる。

 

「ずいぶんな威力だな、あの村からここまで衝撃が伝わってくるとは」

 

「ええ、正直ここまで凄いとは思わなかった、まるで神話で語られるドラゴンね。イビルアイ、日が昇ったらあの村の状況を確かめてきて」

 

「わかった」

 

そんな時、アルフィリアからメッセージの魔法が届いた。

 

『ラキュース、今は王都ですか?』

 

「ええ、貴女はまだあの村ですか?」

 

『はい。ちょっと今回は私らしく無かったです。少し頭を冷やしながら帰ります』

 

そう言うと魔法が切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麻薬工場のあった村の上空、アルフはメッセージを切った後爆心地を見下ろした。

 

そこには村の影も形もなく、スキルにより拡散したドラゴンブレスで作られた深さ50メートル程の巨大なクレーターが無数にあり、その底には融けた物がグツグツと音をたて、いまだに高温を放っている。

 

「私の八つ当たりに付き合わせてごめんね」

 

そう言いながらゲオルギウスの頭を撫でる。

それが気持ちいいのかグルルルと喉を鳴らしている。

 

「このままナザリックまでゆっくり飛んで」

 

そう言いながらゲオルギウスの額に腰をおろし、月と星が輝く空を見上げた。




ドラゴンブレス

ゲオルギウスが今回放ったのは光と火の複合属性。
スキルによる強化、拡散や収束が可能。

イメージとしては某魔砲少女のSLBです。




12月9日、我らがヒドイン、アルベド様のフィギュアが発売、一応購入予定です。ねんどろいどアインズ様はコミケ軍資金の残りと相談です。
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