「モモンガ様、遅くなり誠に申し訳ありません」
皆の回答を聞いた少し後セバスが現れ、モモンガの前まで来ると、ほかの守護者同様ゆっくりと片膝をつく。
「いや、構わん。それよりは周囲の状況を聞かせてくれないか?」
その言葉を聞き、セバスが説明を始めた。
ナザリックを中心とした一キロは沼地ではなく平凡な草原であり、人工的な建物は皆無、生息している動物の類いも戦闘力皆無だそうだ。
そこから先はナザリックの防衛に関する話が進められ、各階層守護者間の情報共有システムの構築、第八階層の立ち入り禁止、第九階層・第十階層へのシモベ達の立ち入りの許可、大墳墓の壁に土をかけて隠蔽することが決まっていく。
そして最後に、守護者達にモモンガ、ぶくぶく茶釜、ペロロンチーノがどのような存在かを問う。
守護者達からの評価は異常に高いものだった。
「では、最後に、ここにいるアルフィリアさん、彼女についてどのように思っているか聞かせてくれないか、まずはシャルティア」
「ペロロンチーノ様と仲が良く、楽しそうにお話している姿をよく見るでありんすので、人当たりが良く、面倒見の良い人物と思っているでありんす」
「コキュートス」
「直接オ会イシタコトハゴザイマセンガ、至高ノ御方々ト互角以上ニ渡リ合エル者ト伺ッテオリマス、今度オ手合ワセヲオ願イシタイト思ッテオリマス」
コキュートスの言葉にアウラが「それってコキュートスが戦いたいだけじゃん」と呟いた。
「アウラ」
モモンガ呼び声で、姿勢をただし少し慌てた様子で答える。
「強くて、美しいお方です」
「マーレ」
「や、優しいお方だと思います、会うたびに頭を撫でてくれます」
「デミウルゴス」
「一度もお会いしたことがないので、判断しかねます」
「セバス」
「至高の方々と共に残ってくださった慈悲深き方かと」
「最後になったがアルベド」
「至高の方々と同格の力を持ち、我々シモベが至高の方々と同等の忠誠を捧げるにたるお方だと思います」
「・・・なるほど。各員の考えは十分に理解した。今後とも忠義に励め」
再び大きく頭を下げ、拝謁の姿勢をとった守護者達の元からモモンガ達は転移することで移動する。
瞬時に視界が変化し、闘技場から玉座の間の扉の前に転移した。
「なんかすごい忠誠心でしたね」
「忠誠心が高すぎてひくわぁ」
ぶくぶく茶釜とペロロンチーノの感想にモモンガとアルフが同意する、忠誠心は高い方が良いのだが、あれは高すぎるような気がする。
「そういえば。モモンガさん、僕のこと彼女って・・・・・・姿はこんなんですが、一応中身は男ですよ・・・・」
「すみません、1から説明すると時間がかかるのでつい・・・・・
こうして考えても仕方ない。守護者達の期待に応えられるよう対応する、ということでいいですね? では、手持ちのアイテムの確認などもあるので。ここで一時解散で」
モモンガの言葉に皆が頷き、各々の部屋に戻っていく。
同刻・第六階層 闘技場
「す、すごく怖かったね、お姉ちゃん」
「ほんと。あたし押しつぶされるかと思った」
「流石はモモンガ様。私達守護者にすらそのお力の効果を発揮するなんて・・・・・」
「至高ノ御方デアル以上、我々ヨリ強イトハ知ッテイタガ、コレホドトハ」
「あれが支配者としての器をお見せになられたモモンガ様なのね」
「ツマリハ、我々ノ忠義ニ応エ、支配者トシテノオ顔ヲ見セラレタトイウコトカ」
「確実でしょうね。それに、至高の方々はその力を全く受けていなかった」
「あたしたちと一緒にいた時も全然、オーラを発してなかったしね。すっごくモモンガ様、優しかったんだよ。喉が渇いたかって飲み物まで出してくれて」
アウラの発言に対して、各守護者からピリピリとした気配が立ち込める。それは嫉妬。その濃厚さは目視できる気がするほど。特に大きかったのはアルベドだ。手がプルプルと震え、爪が手袋を破りそうな気配すらある。
びくりと肩を震わせたマーレが若干大き目に声を発する。
「あ、あれがナザリック地下大墳墓の支配者として本気になったモモンガ様なんだよね。凄いよね!」
即座に空気が変わった。
「全くその通り。私達の気持ちに応えて、絶対者たる振る舞いを取っていただけるとは・・・・・・流石は我々の造物主。
至高なる四一人の中の御三方、四二人目になるかもしれない御方。そして最後までこの地に残りし、慈悲深き方々」
アルベドの言葉に合わせ、守護者各員が陶然とした表情を浮かべる。マーレの安堵の色が強く混じっていたが。
自らの造物主である至高の四一人。絶対の忠誠を尽くすべき存在の真なる態度を目にすることができ、これ以上は無いと言う喜びが全身を包み込む。
そんな愉悦で緩んだ空気を払拭するかのように、セバスが口を開いた。
「では私は先に戻ります。モモンガ様がどこにいかれたのかは不明ですが、お傍に仕えるべきでしょうし」
「分かりました、セバス。モモンガ様に失礼が無いように仕えなさい。それと何かあった場合はすぐに私に報告を。特にモモンガ様が私をお呼びという場合は即座に駆けつけます。他の何を放っても!」
聞いていたデミウルゴスが困ったものだという表情を微かに取る。
「ところで・・・・・・静かですね。どうかしましたか、シャルティア」
デミウルゴスの言葉に合わせ、全員の視線がシャルティアに向けられる。見れば、シャルティアのみがいまだ跪いている状態だ。
「ドウシタ、シャルティア」
再び声がかけられ、初めてシャルティアが顔を上げた。
その目はとろんと濁り、夢心地であるように締まりが無い。
「あ、あの凄い気配を受けてゾクゾクしてしまって。それに、アルフィリア様の美しさにあてられて・・・・・・少うし下着がまずいことになってありんすの」
静まり返る。
全員が何を言うべきか、そんな顔で互いを窺う。守護者の中でも最も歪んだ性癖を多数持つシャルティアの性癖の二つ、
そんな中、アルベドの嫉妬にも酷似した感情が、その口を開かせる。
「このビッチ」
この発言の後、言い争いに発展したのだが、他の守護者は、我関せず、と各々の話を始める。
その話はナザリック地下大墳墓の将来の話から、至高の方々御世継ぎ問題、繁殖実験となっていく。
しばらくするとアルベドとシャルティアの言い合いが終わったのか、こちらに戻ってきた。どうやらモモンガに対しては一夫多妻制をとり、アルフに関しては本人が同意するするのであれば関係を持ってもよい、となったらしい。
「そういえば、アルベド。先程言っていたことは本気ですか? アルフィリア様を至高の方々と同等の忠義を捧げると、至高の方々の四二人目であると」
デミウルゴスの言葉に、アルベドは小さく頷き応えた。
「ええ、本気ですよ。彼女は信用にたる人物です」
「何を根拠に」
「彼女は、以前あった1500人による襲撃の情報を事前に報告しに来ました。それだけではありません、本人は気付いていないようですが、彼女の旗を至高の方々が楽しそうに話し合いながら作っていました」
「・・・・ですが、私は一度もお会いしたことがない方を信頼することはできません」
「ではデミウルゴスは、アルフィリア様がモモンガ様や我々を裏切ると?」
「そこまでは言いませんが・・・・」
「では、モモンガ様にアルフィリア様のことを聞いてみてはどう? モモンガ様の口から聞けば信頼できる方だと確信できるでしょ」
アルベドの言葉に頷く。
「分かりました、後でモモンガ様にお聞きします」
デミウルゴスはいい終えると、闘技場をあとにした。
ようやくアルフを動かせます。