蒼の薔薇への説明を終え、暇になったアルフは街を散歩していたのだが。
途中で人集りが出来ており、何やら騒がしい。
何があったのか気になって物見していると、知った顔が目に入ったので事情を聞いていることにした。
「串焼屋のおじさん、おばさん、何があったの?」
「おお、嬢ちゃんか。いやな、ここで子供が複数のごろつきに殴る蹴るされててな、そこに通りかかった背が高い執事の爺さんが助けたんだ」
「あのお爺さんはかっこよかったねぇ、あんたがアレくらいかっこよかったら・・・・・・・」
「悪かったな、筋肉ダルマで」
二人が言っていた執事は多分セバスだろう、とくにやることもないので、二人にどっちに行ったのか聞き、匂いを追ってみることにしたのだが、セバスの後を追うようにクライムの匂いが続いている。
匂いを追い路地に入り、しばらくするとセバスとクライムが向かい合って話しているのが見えた。
二人の話を盗み聞きしてみると、どうやらクライムがセバスに師事してもらっていると言う状況らしい。
邪魔したら悪いので立ち去ろうとしたがどこからか刺激臭が漂ってくる。臭いのする方向に視線を向けると、そこには粘度の高い液体が滴る短剣を持った男がおり、刺激臭はその男が持つ短剣から放たれていた。
「毒、かな」
標的はどちらかわからない、セバスは大丈夫だろう、クライムは毒に対処できるアイテムや耐性を持っているとは思えない。
アルフは加勢する準備をし、スキル〈気配遮断〉を使い物陰に隠れて様子を見ようとしたとき、思ったより早く男が動いた。
アルフは男が動くと同時に地面を蹴り、一瞬で男の背後に詰め寄り、後頭部を鷲掴みにする。
「え?」
男が間抜けな声をあげるが遅い。
そのまま力を入れて男の顔面を地面に叩きつけた。
「ラグナライト様、何故ここに?!」
「それは後で、まずはあいつらをかたつけないと」
そう言いながらセバスが相手している男達に視線を向ける。
その男達も毒を塗った短剣を手に持っている。
「〈
魔法が発動し、男達が持っている短剣が砕けて砂となり、セバスは相手が驚いている隙に拳を放ち、気絶させて無力化した。
襲撃者を無力化し、セバスのスキルで尋問をおこなったことで、いろいろ状況がわかってきた。
この襲撃者達は八本指の警備部門最強、六腕の一人に鍛え上げられた暗殺者であり、けしかけてきたのは幻魔の二つ名を持つサキュロントとのことだ。
彼等の目的はセバスを亡きモノとし、美貌の主人と取引相手であるアルフの二人を自分達の意のままに操るのが計画だったらしい。
そこまで話を聞き、クライムは寒気に襲われる。その発生源はアルフとセバスだ。
「そ、そういえば。ラグナライト様は何故ここに?」
「この人の挙動が少しおかしかったので後を追って来ました」
アルフはそう言いながら、自分がのした暗殺者を見下ろしたあと、セバスに問う。
「それでセバス様はどうなされるのですか?」
「決意が固まりました。とりあえず問題源となっている場所を潰して来ます。話ではサキュロントもそこにいるようですし。火の粉はさっさと払うべきでしょう」
その答えに、クライムは息を飲む。
殴り込みをかけると言うことは、アダマンタイト
人類最高峰の戦闘能力を持つ者を相手に勝てる自信があるのだろう。
「・・・・・・それにそこには他にも囚われている人がいるようですし、早急に行動した方が良いでしょう。
では私はこれから乗り込むつもりです。
大変申し訳ないのですが、この意思を変えるつもりはございません。お二人はこの暗殺者を詰め所まで運んでいただけますか?」
「セバス様、私も一緒に行きます。私もそろそろあの八本指と言う組織が鬱陶しくなってきました。どうか協力させてもらえないでしょうか?」
「私もです。王都の治安を守るのはラナー様の配下である私にとっても当たり前のことです」
「・・・・・・アルフィリア様は大丈夫だと思いますが、あなたには少し危険かも知れませんよ」
「危険は承知です」
「セバス様、クライムさんも一緒に協力させてください、もしもの時は私がフォローします」
「・・・・・・覚悟はしているんですね?」
セバスの問いかけにクライムは頭を一つ縦に振った。
「分かりました。ならばこれ以上言うことはないでしょう。ではお二方、力をお貸しください」
いよいよ娼館潰しです。