オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第80話

王都 某所

 

私は皆の前に立ち辺りを見回す。そこには様々な者がおり、異形の者の姿もちらほらある。

 

「さて、これよりゲヘナの下準備として八本指と言う人間の組織を潰します。先程アルフィリア様からメッセージが入り八本指の殲滅の許可ももらいました、彼らに関しては奴隷にするなりシモベの食事にするなり好きにしていいと言うことなので、組織自体を乗っ取って奴隷にしたいと思います。

一般人の誘拐に関してはアインズ様には許可はいただいておりますがアルフィリア様には事後報告になるのであまり派手なことは控えてもらいたい。何か質問がある者はいますか?」

 

そう問うと、アウラが手を挙げた。

 

「ちょっと聞きたいんだけどさ、人間相手にこの戦力は過剰じゃない?」

 

そう言いながらアウラは辺りを見回す。

デミウルゴスを含め、アウラ、マーレ、シャルティアの四人の階層守護者、プレアデスからはソリュシャンとエントマ、その他にもデミウルゴスの配下の高位のシモベである魔将(イビルロード)達が複数。

レベルが最大でも30ほどしかない人間相手にこれほどの戦力をぶつけるのはもはや虐殺以外の何物でもない。

 

「アウラの言いたいことはわかりますが。あの人間達はアルフィリア様を怒らせた、と言う理由だけでは不足かね?」

 

「ん、それなら仕方ないか。それにしてもアタシまで居る必要は無いんじゃない?アインズ様から偽の拠点を作るように命令されてるんだけど」

 

「私も最初はそう思ったのですが、アルフィリア様から急な指示があったときにそれに答えなくてはいけないからね。アウラにはアルフィリア様の側に居て指示があったときはそれに従ってほしい、拐われているツアレが怪我をしていた場合も考慮してソリュシャンを。アインズ様に許可はもらっています」

 

「了解」

 

「それでは次に、アルフィリア様が八本指の拠点を一つ受け持ってくれるにあたり、マーレには他の場所を襲撃してもらう。君一人では足りないということはないだろうが、念のためエントマも同行させよう」

 

「わた・・・・・・わらわは?」

 

「シャルティアにはすまないが、今回殺してはいけない人間が六人ほどいるので待機だ、スポイトランスで吸い尽くせば問題ないとは思うが不安の芽はできるだけ摘んでおきたいからね。遊軍として遊んでいてくれたまえ」

 

それを聞いたシャルティアはしょんぼりとしている。

結果的には冒険者モモンの地位向上といういい方向に転んだが、前回血の狂乱でへまをやらかしているのでこれは仕方ないことだ。

 

「さて、これから重要事項を告げる。決して見逃したりしないように。エントマ。君は幻を作り出すことができたね?私の指示通りに幻術で作ってもらいたいものがある」

 

「了解ですぅ」

 

デミウルゴスの細かい注文を受けながら、エントマは何もない空間に六つの虚像を出現させた。

浮かび上がった幻像の出来にデミウルゴスは満足する。

 

「この人物達を殺すのは禁止だ。多少の手傷を与える事は許すが、原則禁止と覚えてほしい。特にこの五人の女性はアルフィリア様が冒険者として一緒に行動している者達だ」

 

「デミウルゴス、質問なんだけど」

 

「何かね、アウラ」

 

「その五人の中に毛色が違うのが居るけど、オーガとかトロールとかドワーフ変種の牝なの?」

 

「アルフィリア様からの情報によるとちゃんとした人間の女性のようだね。種族が違うのはこの仮面を被った魔法詠唱者(マジック・キャスター)でヴァンパイア、レベルは50ほどあるので遭遇した場合は即時撤退を推奨する」

 

それを聞いたシャルティアは興味深そうに仮面を被った少女を見つめる。アンデッドであることと少女程の背丈なのが彼女の性的な琴線に触れたようだ。

 

「シャルティア、わかっているとは思うが拐うのも禁止だ」

 

「わ、わかっているでありんす!」

 

「まあ、百年程すれば一人になるだろうし、そうなったときアルフィリア様は我々の所に来るように勧誘するだろうからそれまでの我慢だ。なに、我々にとって百年などすぐさ」

 

「そうでありんすね」

 

そう言うとシャルティアはうつむいて何やら考え始め、表情が緩んでいく。多分、彼女がナザリックに来てからどうしようかいろいろ考えているのだろう。

 

「ではこれより計画を始動する。各自持ち場についてくれたまえ」

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