「デ・・・・・ヤルダバオト。そちらの目的はなんだ?お前のような強大な悪魔が何故ここにいる?」
「私たちを召喚し、使役する強大なアイテムがこの都市に流れ込んだようです。それを回収するために参ったということになっております」
「それをこちらが提供すれば問題はそれで終わるのか?」
「いえ、無理ですね。私たちは敵同士として戦うしかありません」
「それが結論か? 私たちは敵同士という道しかないんだな?」
「はい。その通りです」
イビルアイはかすかな違和感を感じ、首を傾げた。
二人の会話は情報戦、というより情報交換という方がしっくりくる気がするが、その考えは即座に破棄する。
二人は敵同士、そんなはずはないだろうと思い直す。
「大体理解した。そういうことならば・・・・・・ここで倒させてもらおう。問題ないな?」
そう言いながらモモンは地面を踏みしめ、腰をおとす。
「困りますので、抵抗させてもらうとしましょう」
「 行くぞ」
次の瞬間、モモンの姿が消えた。いや、消えたように見えたといった方が正しい。
モモンは一瞬でヤルダバオトとの距離を詰め、激突しあう。
何かが起こったとしかイビルアイ達には説明できないレベルでの攻防。
剣の煌きが無数に起こり、ヤルダバオトが長く伸びた爪で弾き返している。
「すごい・・・・・・」
賛辞なら数多ある。しかし、その剣閃を目にしたイビルアイは最も単純で素直な言葉を口にした。
記憶の中にあるどんな戦士をも超える斬撃。自分を背に戦うモモンは
股間の辺りから背筋を電流のようなものが走り抜け、イビルアイは小さく身を震わせる。
イビルアイの二百五十年動いていない心臓が一つ跳ねた気がした。
「イビルアイ、大丈夫か?」
「ああ・・・・・・少し惚けていた・・・・・・がんばれ、ももんさま」
後半の囁きのような応援はガガーランとティアには聞こえていない。
イビルアイは両手を組むと願う。
自分の騎士が、大いなる悪魔に勝利を収めることを。
二人の剣戟は激しさを増し、速度を上げていく。
「お見事です。あなたのような天才戦士を相手にしたというのは私の唯一の過ちかもしれませんね」
「お世辞はいい。お前だってまだまだ力を隠しているんだろ?」
それを聞いて、イビルアイは目を見開く。
あの攻防ですら全力でないというのはあまりに常識外すぎる。
「もしや・・・・・・神人、それともぷれいやーか?」
確かアルフィリアの話では一緒に来たぷれいやーは四人、内二人は埋まっているが残りは知らない。なら、その内の一人だろうか?
「手詰まりですね。なら、これならどうですか?」
ヤルダバオトはそういうと、イビルアイ達に向けて火球を放った。
「くっ!」
その出来事は一瞬だった。
モモンはイビルアイを抱き締めるように庇い、その背に火球を受ける。
鎧に魔法の減衰効果があるのか火球が爆発したにも関わらず、イビルアイの後ろにいたガガーランとティアには火の粉すら届くことはなかった。
「無傷で何よりだ」
「せ、背中が! 大丈夫ですか!」
モモンは平気そうにしているが背には火球によって作られた焦げはある。いくら鎧が頑強でもあれほどの火力の魔法を受けてノーダメージのはずがない。
「こちらは大丈夫だ。それよりも無事のようで安心した」
軽く笑いかけるような声。
どきん、と再びイビルアイは自分の体の中で心臓が一つ鳴ったのを感じ取った。顔がやたらと熱い。
「お見事です。彼女達を守りきるとは。このヤルダバオト、心より称賛をおくりたいと思っております」
「世辞はいらん。それよりヤルダバオト・・・・・・どうして距離を取るんだ?」
言いながらモモンの手がイビルアイに伸び、彼女はそのまま抱え込むように持ち上げられた。
動いていない心臓が三度跳ねる。頭の中に、バカにしていた
(すまない! 世界中の吟遊詩人達よ。本当の騎士はか弱き乙女を抱きかかえ、守りながら戦うんだ。うわ、なにこれ! 恥ずかしい!)
イビルアイが約数百年ぶりの感情に振り回されていた少し後。
王都上空。アルフはゲオルギウスの頭の上に座って王都を見下ろし、現状確認をしていた。
「何がどうなってるやら」
見下ろしている王都の裏道を駆ける影が5つ。アインズ、ナーベラル、イビルアイ、ガガーラン、ティアの5人は王城に向かっているようだ。
デミウルゴスはゲヘナを発動後、モンスターに指示を出してゲヘナ内の人達を拐っている。
デミウルゴスがやっている事は八本指と変わらないが、ナザリックのためでもあるのでどうしたものかとモヤモヤする。
いろいろ考えていると、背後から声がかけられた。
「アルフさん、こんなところでどうしたんですか?」
その声を聞き振り返ると、そこにはペロロンチーノが飛んでいた。
「ペロロンチーノさんこそ、冒険者チーム漆黒の一員としてあっちに居なくて良いんですか?」
「それね。最初は向こうにいたんだけど、アルフさんに今一度確認したいことがありまして」
ペロロンチーノはゲオルギウスの上に降り、姿勢を正す。
「確認したいこと?」
「はい。イビルアイが天然物のロリババアというのは間違いないでしょうか」
その瞳は真っ直ぐで、キラキラとしたモノを宿している。
「・・・・・・まあ、本人が言うには二百は超えてるようです。良かったら紹介しましょうか?」
「マジですか‼」
ペロロンチーノはアルフの両手をとり、顔を近付ける。
「ペロロンチーノさん顔近いです!マジですからとりあえず王城行きましょう!」
アルフはゲオルギウスに王城へ向かうよう指示を出した。
またも遅れて申し訳ないです。
最近ガンプラ作りが楽しくてつい。