オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第88話

眉間を貫かれた悪魔は息絶え、光の粒子となって消滅し、支えを失った槍が地面へと突き刺さった。

 

「ゲオルギウス」

 

アルフが空に向かって呼び掛けると、ゲオルギウスがゆっくりと肩の上に舞い降りた。

肩をちゃんと掴んだのを確認し、助けた冒険者三人に視線を向ける。

 

「お怪我は大丈夫そうですね」

 

呆然とこちら見ている三人は所々ボロボロだが命に関わるような傷、呪いの類いは受けていないようだ。

 

「あ、ああ、問題ない。そのようすだとこの事態を把握しているみたいだな。教えてくれ、王都で何が起こってるんだ」

 

「時間が無いので手短に話します。この王都に大悪魔ヤルダバオトが現れ、数多の悪魔を召喚しているようです。とりあえず皆さんはあの炎の壁に向かってください、そこならより詳しく状況が聞けます」

 

そう話していると、遠くから複数の羽音と足音が近づいて来る。先程倒した悪魔の雄叫びは、声の聞こえる範囲全ての悪魔を呼び寄せる。こうしている今も少しずつ増えている。

 

予想より速く、数が多い。

 

「ペロロンチーノさん、少し予定変更です」

 

「OK、この人達を護衛して炎の壁に、ですね」

 

「すまない、だが助かる」

 

「では行きます、離れず着いてきて下さい」

 

アルフは槍を引抜き、炎の壁に向かって走り始めた。

 

 

 

 

 

アルフとティアは先頭を走り前から来る悪魔達を蹴散らし、その後ろに助けた冒険者三人、最後尾のペロロンチーノは後方から迫る悪魔達を射落としている。

 

「すごいな、これがアダマンタイト級冒険者チームの力か・・・・・・」

 

「走る事に集中してください。ゲオルギウス、集団標的(マス・ターゲティング)、ホーリー・レイ!」

 

アルフは肩のゲオルギウスに指示を飛ばす。

ゲオルギウスが魔法を発動させ、前方にいる悪魔達が無数の光の線に貫かれ消滅していく。

 

消滅した悪魔のさらに後方、まだ複数の悪魔がいる。しかも仲間を呼び寄せるヤツが少し混ざっている。

 

「きりがない。ティア、ゲオルギウスとここは任せます」

 

「了解」

 

その言葉を聞き、アルフはゲオルギウスをティアに預け、地面を踏み込み加速する。

槍を刀に変化させ、悪魔との距離を一瞬で詰め

 

「一閃!」

 

漆黒の刀は月の光を反射して銀の弧を描き、一刀のもとに5体の悪魔の胴を切り飛ばし、そのまま悪魔の間をすり抜け踏み込むのと同時に刀を斬馬刀へと変え、返す刀で残りの悪魔を細切れにする。

 

「すごい、一瞬で上位悪魔がバラバラ。しかもあんな巨大な刀を片手で」

 

「ああ、だけどあれでも遅い方だ。本気を出されると俺でも目で追うのがやっとだ」

 

アルフは斬馬刀を槍へと変え、空中にいる悪魔を一突きする。

 

 

 

 

 

 

そんな光景を、遠隔視の鏡で覗き見る人影が二つ。

 

「凄いですね。コキュートスとシャルティアとの試合の時にも思いましたがあの動きは魔法詠唱者(マジック・キャスター)とは思えません」

 

鏡が映し出す光景、アルフが悪魔との間合いと通路の広さに合わせ武器を次々と変化させ、悪魔達を屠っていく。

こうしている今も10、20と消滅している。

 

「そう言えば、アルフィリア様の戦い方はMPが無くても戦える魔法詠唱者を目指して今の形になったってぶくぶく茶釜様が言ってたなぁ」

 

「ふむ、その辺り詳しく教えてくれますか?」

 

その言葉を聞き、普段は説明する側であるデミウルゴスと逆の立場となったことにアウラは得意気になり、話始めた。

 

「ぶくぶく茶釜様が言うにはアルフィリア様は初め純粋な魔法詠唱者だったんだけど、何かがあって魔法詠唱者がMPが無くても戦えるように、そして力の差を技量で埋める事を考えた。

全ての近接武器の対応するために努力したんだって」

 

「力の差を技量で、ですか」

 

デミウルゴスは顎に手をあて少し考えた後、アウラへと視線を向ける。

 

「さて。私はこれから少し動きますが、貴女はどうしますか?」

 

「アルフィリア様から呼び出しあるまで暇だから着いていくよ」

 

 

 

 

 

 

 

アルフ達は助けた冒険者を炎の壁の外に無事送り届け、再び道中の冒険者を助けながら中心部を目指していた。

 

「さっきも思ったけど、私達いらない?」

 

目の前ではアルフが地面と壁を蹴り、乱反射するように狭い路地を飛び回り、すれ違い様に次々と悪魔達を両断していく。

 

「今はそう見えるけどね。そろそろ限界が近いかな」

 

ペロロンチーノがそう言った直後、アルフが地面を数歩歩くと膝から崩れ落ち、両の手を地面についてしまった。

 

「あ、アルフィリア!?」

 

ティアは慌ててアルフに近づくが、アルフからの反応はない。

少ししてペロロンチーノがアルフの横にしゃがみこむと、背中を撫で始めた。

 

「・・・・・・ぎぼぢわるい゙」

 

「はぁ、前も同じことになったの覚えてないんですか?短距離であんな軌道とるからですよ」

 

アルフの顔を覗き込むと顔の色は青みがかっており、今にも吐きそうになっている。

 

「あの、これは・・・・・・」

 

「ああ、これははしゃいだ反動だよ。乗り物酔いみたいな感じかな。

本来はもっと広い所でインターバルとりながらやるモノをこんな狭い路地でやるから・・・・・・、こうなったらしばらく使い物にならないからおぶってもらえるなか」

 

「是非やらせて下さい」

 

こうしてアルフはティアに背負われ移動することになった。




遅くなって申し訳ありません、ようやく書けました。

ここしばらく書いては消してを繰り返してなかなか進みませんでした。

オーバーロードⅡの放送が待ち遠しいです。
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