「ふぅ、何とかぬけたなぁ。あれだけの悪魔さばくのは疲れる・・・・・・精神的に」
俺達は悪魔のスキル範囲外に抜け出し、見通しのいい大通りで休憩している。
俺は道の端に置いてある木箱に腰掛け、ティアはたったまま辺りを警戒している。
「ティア、アルフさん下ろして少し休んだら?」
「いい。アルフィリアの太ももと背に感じる体温が至福」
「さいですか。それでアルフさん調子はどうです?酔いは治りました?」
その言葉に反応し、アルフがティアの右肩から顔を出すが若干顔色が悪いが、最初よりましになっている。
「何とか大丈夫です。これならラキュース達と合流する頃には何とかなりそう。この酔いがバッドステータスならなぁ」
アルフの酔いは三半規管を揺さぶった事による酔いだ、酔いを治すアイテムはあるがそれはバッドステータスに対してはたらくものであり、ゲームではダイブ酔いには効かなかった。
現実にアイテムの効果が現れるのであれば、バッドステータス以外でも効くのだろうか?
そんなことを考えていると、アルフが手元に紙袋が放り込んできた。
紙袋はB5サイズほどあり、口を開いて見ると中には唐揚げと焼き鳥と、何やら悪意を感じるモノが入っている。
「空腹解消にどうぞ」
アルフの方に視線を向けるとティアに俺に渡したのと同じ物を食べさせており、ティアはアルフの手から食べさせてもらって嬉しそうである。
「で、この料理を選んだ真意は?」
「レッツ共食い!」
具合が悪くてもこれですか、そうですか。
まぁ食べるけど。
同時刻
「まず、ここで話しても大丈夫なのだな?」
「はい。ここでの会話を聞ける者はおりません」
どこかの一室。そこには椅子に座った鎧姿のアインズ、小さなテーブルを挟んだ対面には仮面を外したヤルダバオト・・・・デミウルゴスが座り、壁際にはアウラと遠隔視の鏡を抱えたマーレが控えている。
アウラの足元に腕を千切られたスキンヘッドの大男が倒れているが気にしたら敗けだろうか・・・・・・。
「なら良いが。それで、進捗状況はどうだ?」
「住民の誘拐と物資調達は概ね順調ですが、アルフィリア様とペロロンチーノ様の御活躍で召喚された悪魔達の減りが想定より早いのが気にかかるところです」
「そうか。アルフさん達がどうしているか状況は確認できるか?」
「マーレ、遠隔視の鏡を此方へ」
「は、はいっ!」
遠隔視の鏡をテーブルの横に置くと、アウラの隣へと戻っていった。
それを見届けたデミウルゴスは手をかざし、鏡を起動する。
鏡にアルフ、ペロロンチーノ、忍者の少女の3人が映し出されている。あの忍者が報告にあった双子の片割れだろう。
ユグドラシルでは忍者になるには60レベルは必要だ、それを30未満で就いていると聞く、それに確かイビルアイは天然物の吸血鬼だったか?
こういったレア物は手元に置いて色々調べたくなってくる。
そんな雑念をはらい、鏡に映された状況を確認する。
先ほどは忍者の少女に気をとられ気づかなかったが、背負われているアルフがぐったりしている。
アインズは顎に手を当て、過去の事を思い出す。
以前にも同じような事があったが、おそらく無茶な軌道をとって酔いをおこしているのだろう。
その時の事を思い出していると、
「アインズ様、何か気になる事でも?」
「いや、少し昔の事を。皆で冒険していた時の事を思い出していた」
そう言い、アインズはデミウルゴスに視線を移す。
「詳細は省くが、以前アルフさんの虫の居所が悪いときに喧嘩を売った他ギルドの阿呆が居てな」
「そんな不敬な輩がいるのですか。命じていただければ我ら守護者、その者を屠って」
「話は最後まで聞け。それにこれは昔の話だ」
「申し訳ありません!出すぎた真似を・・・・・・」
「よい、それは我ら至高の存在を思っての言動だ、咎めはしない。それで話の続きだが、アルフさんに喧嘩を売った奴の末路は今も鮮明に覚えている」
地面と空を蹴り飛び回るアルフに手も足も出ず、一方的に屠られていた。
まぁその後は今のように酔いでぐったりしているのをたっちさんに背負われていたが。
しかし、少し面倒なことになりそうだ。
アレは主にイラついている時に使う戦法だ。茶釜からの報告で嫌なモノをいろいろ見てイラついていると報告があったが、六腕とやらを潰すだけでは解消されなかったようだ・・・・・・。
もしこの状態のアルフと相対する事があればデミウルゴスが危ないので助言しようと少し考えこんだ。
「・・・・・・デミウルゴス。もしアルフさんと相対する場合、目の前から彼女が消えたら全力で後方に飛び退け」
「防ぐ、ではなく飛び退くのですか?」
デミウルゴスは変化無しであればアルフの攻撃を防げると思ったのだろう。
「うむ。本来彼女は攻撃する時様々なスキルを乗せる、それがなかなか厄介でな。回数制限はあるが防御の上から殴るとノックバックが発生するモノがある」
「なるほど。ノックバックしたら最後、その速さで追撃ですか」
デミウルゴスは顎に手を当て何やら考えこんでいる。
本当の脅威はそれだけではないが、今回は人前と言う制限があるので手加減してくれると信じたい・・・・・・。
遅くなってすみません、ようやく書きあがりました。
毎度誤字脱字の指摘ありがとうございます。
出来ればペースを上げていきたいです。