ぶくぶく茶釜がイビルアイに尋問している同刻。
ナザリック地下大墳墓 アインズ私室
「アインズ様、いかがいたしましょう」
「うむ」
アインズはアルベドの言葉を聞き手元の資料に目を通す。
そこには先の王都襲撃の報告書があり、今読んでいるのは拐った人間に関しての項目だ。
「ニグレドとペストーニャの頼みとはいえ、やはり人員が足りないか・・・・・」
資料には拐った人間の自我を持たないほど幼い子供を保護したい旨が書かれている。
「現在子育てが出来る者はナザリックに少なく、呼び出す者もそういった技能を持っておらず・・・・・・」
まぁそうだろう、基本POPするモンスターやユグドラシル金貨で呼び出すモンスターは拠点防衛目的でそんなこと一切出来ない。
ニグレドは設定に〈亡き子を求める〉とあるのでその関係で子育てが出来るのだろう。
「・・・・・・アイテムボックスの肥やしにするより使った方がましか」
そう言いながらアインズは虚空に手を入れ、アイテムボックスから5つの丸底フラスコを取り出し執務机の上に並べた。
フラスコは宙にふよふよ浮いており淡く光る薄緑色の液体で満たされ、中には胎児のようなものが浮いている。
「アインズ様、これは?」
「これはホムンクスルの素体だ、これを錬金術師が調整する事によりホムンクスルとなる」
いま机の上に並んでいるのはガチャで出たものだ。
ホムンクスルの素体は課金無しで手に入るアイテムからでも一応造れるが、手間と素材がかかる、消費される素材の量と時間を考えるならガチャから出た方が安上がりだったりする。
「出来ればアルフさんに手間を増やしたくなかったのだが仕方ないか・・・・・・」
「しかし、使ってもよろしいのですか?」
「構わない。そもそも錬金術師でなければ扱えないからな」
「・・・・・・アインズ様、私もアルフィリア様に少し御頼みしたいことがありますので、その時にホムンクスルの依頼も御一緒にお伝えいたしましょうか?」
アルベドは顎に手を当て少し思案するとそう言った。
「良いのか?」
「はい、私の用事は個人的なモノなので構いません」
「ふむ、では任せる。アルフさんには《種族と設定はこちらで指定する、容姿に関してはアルフさんの自由、調整に必要な素材があればこちらで出す》と伝えてくれ」
そう言いながら種族と設定をメモに書き込み、アルベドにホムンクスルの素体と共に手渡した。
(しかしアルベドがアルフさんに依頼か。これは良い傾向なのかも知れないな)
「なしてこうなった・・・・・・」
現在王都リ・エスティーゼから離れた人がめったに来ない、何もない平原に来ていた。
「えー、これよりアルフィリアの能力を丸裸にしたいと思います」
目の前ではラキュースが音頭をとりイビルアイ以外の蒼の薔薇の面々とぶくぶく茶釜がぱちぱちと拍手している。
あれからぶくぶく茶釜による恋バナと言う名の尋問をイビルアイが受け、イビルアイの要望でエ・ランテルにアルフが所有する建物を転移の拠点として使用する事が決まったのだが、
それが決まった直後、あれよあれよとこんな事態に・・・・・・。
ちなみにイビルアイは少し離れた木の下でモモンが使っていた溶けた大剣を抱えて三角座りをしている、おそらくあれで精神を安定させているのだろう。
まぁ仕方ないだろう、ぶくぶく茶釜による尋問、その内容をほかの蒼の薔薇のメンバーに聞かれていたんだ。
赤裸々に語られたモモンへの想いだ、精神的ダメージがでかかったのだろう。
「えぇ、皆が知っていると思うけど先の悪魔たちの襲撃の時、アルフィリアは徒手空拳で悪魔ヤルダバオトと対等に渡り合い、殴り飛ばしているわ。
しかもまだ余裕があると見ました」
ラキュースはそう言いながらこちらを見る。
「・・・・・・また今度と言うわけには」
「いかないわね、そうやって有耶無耶にするつもりでしょ?」
図星である。
まぁ、この身体や武器の平時の性能を知られるのは問題無い、私の強さは戦闘技術と手数の多さ、それに
考えていても仕方ない、周りを見ても味方はいない。
「・・・・・・わかりました、能力テストすれば良いんでしょ」
こうして能力の一部を開示する事になった。
「まず最初は貴女のもつ最も重い武器を出してもらえる?、アルフィリアにだけ能力開示させるのは不公平だからこちらもね。
まぁ私達とアルフィリアとでは実力差がありすぎて釣り合いがとれるとは思えないけどね」
ラキュースの提案何となくわかる気がするので了承し、アルフはアイテムボックスに手を入れ戦鎚を取り出し地面に置いた。
戦鎚は何処ぞの邪神の頭をもぎ取って来た様な姿をしていて常時触手が蠢き黒い靄を放っており、持ち手部分は脊椎を思わせる形状をしている。じっと見ていると正気度がガリガリ削られそうである。
武器の名前は災禍の禍鎚と言うのだが、仲間内ではクトゥルフヘッドと呼ばれていたりする。
この戦鎚は重量をペナルティーとしてデータ容量を増やし麻痺、毒、混乱、石化、スロウ、盲目等様々なバットステータスを与える物だが代償として攻撃力が低い。
「「「・・・・・・」」」
そんな異形の戦鎚を見た蒼の薔薇の面々は沈黙している。
「なぁアルフィリア、それさわって平気か?呪とかかかってねぇよな?」
ガガーランは蒼の薔薇の内心を代表し思ったことを口にする。
「大丈夫ですよ、心配ならイビルアイに・・・・は無理そうだからこれ使って確認してください」
そう言いながらガガーランに手渡すのは上位道具鑑定が付与された 虫眼鏡だ。
ガガーランはそれを受けとると戦鎚を確認する。
「・・・・・・一応予想はしていたが、こいつはとんでもねぇな」
ガガーランの反応で気になったのか、ラキュースが後ろから覗きこむ。
「これは確かに、神話に出てくると言われても信じられるわね」
「だがこの外見だ、邪神や悪魔が使ってそうだよな」
そんなガガーランの台詞にここにいる皆が頷いた。
お久しぶりです、遅くなって申し訳ありません。
残業やらイベント周回でなかなかかけませんでした。
更新が終わったらFGOで種火周回とオバマスで星四ターニャを幸運80にする作業が待ってます。