魔法少女リリカルなのは 〜fortissimoの輝き〜 リメイク   作:fortissimo 01

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夕焼けの出会い

「ふ〜、いい買い物ができた」

 

晩御飯の食材を買いに行った零時は現在、夕日で照らされたアスファルトの道を歩いている。

 

「早く帰って作るか。俺も腹減ってきたし」

 

零時は自分もお腹が空いてきたので歩くスピードを速めた。家までの帰り道に公園を通るので公園もそのまま行こうと思った。

 

「ん……? 何やってんだあの子?」

 

ふと、ブランコの方をみるとブランコに俯いたまま動かない茶髪の少女がいた。零時は何か怪我でもしたのかと思いその子に近づきにいった。

 

 

side 茶髪少女

 

今日も夕飯まで公園で待っていたの。

私のお父さんは事故で意識不明の重傷で入院中で、そのためお母さんとお姉ちゃんは店の仕事で忙しくて、お兄ちゃんはずっと道場にこもって竹刀を振ってるの。私は皆に心配をかけないようにいつも皆に笑顔を見せて、ずっといい子にしてた。でも……やっぱり寂しい。

 

「グスッ……」

 

今日も同じ、誰もいない公園で私は静かに俯きながら涙を零す。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「……え?」

 

誰もいないと思っていたのに目の前から声が聞こえてきた。ふと俯かせた顔をあげるとそこには買い物袋を両手に持った黒髪の男の子がいた。

 

 

 

 

 

「おい、大丈夫か?」

 

「……え?」

 

茶髪の女の子は顔を上げて、驚いた様子で零時を見つめる。血行のいい肌、青い宝石のように綺麗な瞳。その肌には泣いた跡が残っている。とりあえず話をしなければ始まらないと零時は思い少女に事情を聞こうとした。

 

「どうしてこんな所で泣いていたんだ?」

 

「え? あ、ああ大丈夫だよ! 私は平気だから!」

 

少女は必死に零時を安心させようと()()を作った。しかしその笑顔には【平気】の二文字が全く感じられない。

 

「……無理すんなよ」

 

「む、無理なんて……」

 

「溜め込んだら身体に触る。だから話してくれないか? なんで泣いていたのかを。少しは楽になれると思うんだ」

 

「……わかったの」

 

少女は観念するとポツポツと泣いていた理由を吐き出す。

この子の父親が不慮の事故で意識不明の状態で入院して、家族は家の事で忙しい。そんな家族を心配させないように自分はいつも良い子にしていた……と少女は言った。そうか……そんな事があったんだな

 

「ずっと我慢してたんだな……」

 

「うん……そうすれば皆が笑顔でいられるから」

 

でもな……一つ大事な事をお前は忘れている。

 

「そうすれば皆に迷惑かけないから」

 

「違う……」

 

「え?」

 

「いつまで()被ってるだよ……」

 

零時はブランコから立ち上がり少女の前に立つ。

 

「お前は本当にそれでいいのかよ!?」

 

「!」

 

「本当の気持ちを言えよ、自分が心から思っていることを言ってみろ!」

 

「私は……」

 

「お前は今のままでいいのかよ!」

 

「そんなの…………」

 

 

 

 

「嫌に決まってるよ!」

 

少女は今にも泣きそうな表情で零時を見つめる。

 

「本当は誰かに助けて欲しいよ! こんな作り物の笑顔を作っても誰も私の事なんて構ってくれなくてずっと辛かったの! また皆と昔みたいに仲良く……したいよ。でも、助けてくれる人なんて……どこにも」

 

「ここにいる」

 

「え?」

 

「お前と俺は今日、初めて出会ったけど……お前の事はよくわかった。だから少し、ほんの少しだけでも……俺にお前を助けさせてくれないか?」

 

零時は少女に手を差し出す。少女はその手を見る。それは自分を暗い海底から救い出してくれる暖かい光みたいだった。もし、わがままを言っていいなら……

 

「私を……助けて」

 

「……ああ、任せろ」

 

静寂に包まれた公園で一つの誓約が交わされた。

 

 

 

「さてと……まずはお前の気持ちを家族に伝えないとな」

 

「うん……」

 

少女は首を縦にふるがその眼には不安が漂っている。零時はそっと少女の手をとる。

 

「あ……」

 

「安心しろ、俺も一緒だ。二人なら怖くないだろ?」

 

「いいの……?」

 

少女は驚いた顔をしながら零時に聞いた。

 

「さっき約束したろ、助けるって。知らないと思うけどな、男が一度約束したらそれは死んでも守らないといけない…………って誰かが言ってたような気がする」

 

「……ふふ、何それ」

 

少女は零時のいっている事が面白かったのかくすくすと笑う。笑っている少女は自然と笑顔になっていた。

 

「お、ようやくいい笑顔になったじゃねぇか。うん、そっちの方が可愛い」

 

 

「え、あ、ありがとう……」

 

少女はいきなり可愛いといわれ、顔を赤く染めながら俯く。

 

「それじゃ行こう……って大事な事忘れてた」

 

「?」

 

「俺、まだお前の名前知らねぇ」

 

「あ、そうだったの」

 

そういえばと少女は頷く

 

「じゃあ俺から……神谷零時だ、よろしくな」

 

「私は……高町なのは! よろしくなの、零時君!」

 

少女……なのはは笑顔で自己紹介した。その時の表情にはもう不安はなかった。

 

「よし、じゃあ行くか?」

 

「うん!」

 

零時となのはは手を繋いだままなのはの家に向かった。

 

(悪りぃなサクラ。もう少しだけ待っててくれ)

 

零時は心の中で家で腹を空かせている相棒に謝罪した。

 

 

 

 

 

 

 

日が沈み、あたりは薄暗い静寂に包まれた。そんな中、零時となのははなのはの案内でなのはの家『喫茶店翠屋』に到着した。なのはは喫茶店のドアを開ける。

 

「ただいま!」

 

「「「あ、なのは!」」」

 

中に入ると若い女性二人と若い男性一人がこちらに駆け寄ってきた。見た目だけで判断すると女性と男性は兄と姉か? なのはの姉らしき女性はなのはに抱きついた。

 

「よかった、無事で……いつもより帰りが遅かったから心配したのよ……?」

 

「ごめんなさい、お母さん……」

 

(お、お母さん!?)

 

なのはは俯きながら謝罪してる中、零時は目の前の若い女性がなのはの母という事に驚いていた。するとなのはの母は内心驚いている零時に顔を向けた

 

「なのはの友達かしら? なのはの事、ありがとね」

 

「あ、いえいえそんな事! ……あの、なのはのお母さん」

 

「? 何かしら?」

 

零時はなのはの母に抱きつかれているなのはに視線を送る。視線に気づいたなのはは零時の方を見て頷いた。

 

「お母さん! お姉ちゃん、お兄ちゃん!」

 

「「「?」」」

 

なのはの声に皆はなのはに視線を向ける。後は頑張れ……なのは

 

「あ、あのね……私」

 

なのはは零時と公園で話した事を包み隠さず全て家族に話した。自分は実は辛かった事、もっと構って欲しいと……。なのはが最後まで話すとなのはの母さんは涙を零しながらなのはを強く抱きしめた

 

「ごめんね……なのは。なのはがそんなに思いつめてた事に気づいてあげられなくて……本当にごめんなさいね」

 

「おかあ、さん…う、うわぁぁぁぁん!」

 

なのはは今まで溜めていた涙を零した。なのはの姉と兄もなのはに近づき抱きしめた。零時はその様子を輪の外で見ていた

 

(もう俺は邪魔みたいだな…………本当によかったな、なのは)

 

零時は気づかれない様にドアを静かに開け外に出た。外は月にあたりが照らされ少し明るかった

 

(なのはが教えてくれたな……。なのはのお父さんが通っている病院の場所。……よし)

 

零時は月に照らされたアスファルトの道を走った

 

 

 

side なのは

 

「? なのは、さっきの男の子は?」

 

「え? そこに……ってあれ!?」

 

お姉ちゃんに言われ、私は後ろを振り返った。そこには零時の姿がなかった。あたりを見渡しても零時君の姿が見つからない。どうやらもう帰ってしまったんだ。

 

「まだ……お礼言ってないのに」

 

私はしょぼんと肩を落とした。するとお母さんは私の頭に手を置いた。

「きっと、会えるわよ」

 

「本当……?」

 

「なのはがあの子に会いたいと思えばきっと会える。だからまたあの子にあった時には皆でお礼を言いましょう?」

 

「! うん!」

 

私は首を縦に振った。だから私は零時に会える時を待ってる……。また会えるよね、零時君?

 

「うんうん、なのはにも春が来たね〜、ねぇ? 恭兄!」

 

「なのはを助けた事には感謝するが……なのははやらないぞー!!」

 

「……やはりシスコン」

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

零時は家に帰ってきた。家に入るとドタドタとこっちに向かってくる音が聞こえた。

 

「マスタ〜!」

 

ドアが開かれた先には頬を膨らませたサクラがいた。

 

「遅いよ、マスター! お腹が空きすぎて死ぬかと思ったんだよ〜!」

 

「悪りぃ、悪りぃ……でもご飯を食べる前にやることがあるんだ」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………よし」

 

零時はある病院に潜入し、目の前の病室に入る

 

「この人が……」

 

ベッドに眠っている男性を見た後、あたりを見渡した。すると男性の近くに写真が置いてあった。そこにはなのはやなのはの家族とこの男性が映っていた。そしてこの男性の名前が『高町士郎』という事がわかった。間違いない、この人がなのはのお父さんだ

 

『今からどうするの? マスター?』

 

サクラはお腹が空きすぎて動けないらしいので現在はネックレスの形になって零時の首にかけてある。

 

「サクラ、今からこの人の怪我を治したいんだ」

 

『え? でもマスターの能力で治癒能力は……』

 

「……こいつだ」

 

こうかな……? 零時は強く念じると手の平にトランプが現れた。しかし、ただのトランプではない。それを見たサクラは理解した。

 

『“傷だらけの忠誠心”(ストームプレディンガー)!? でもそれは……』

 

“傷だらけの忠誠心”……。これは先ほど零時が出したトランプ状の物……ミスティルテインという物を対象の者に刺すとその者の生命力、エネルギーや魔力を奪うことができる。そしてその奪った生命力を他者に分け与える事ができる。

 

『! まさかマスター!?』

 

「この人がただの怪我でよかった……。病気だったらどうしようもないからな」

 

零時はミスティルテインを自分の腕に刺した。するとミスティルテインは少しずつ零時の生命力を奪う。

 

「くっ……結構きついな」

 

『そんな事したらマスターが!?』

 

「大丈夫だ、サクラ。俺はお前が壊されない限り死なねぇよ」

 

『でも……』

 

「それに……あいつと約束したからな。あいつを助けるって……!」

 

「“傷だらけの忠誠心”!」

 

するとトランプが輝き暖かな光が男性を包む。すると男性の怪我はみるみる回復していく

 

「はぁ……はぁ……これで大丈夫だな。行くぞ、サクラ」

 

『……無理しないでね、マスター』

 

「ありがとな」

 

零時とサクラはバレない様に静かに病院を出た。

 

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