魔法少女リリカルなのは 〜fortissimoの輝き〜 リメイク 作:fortissimo 01
高町なのはとの出会いから数年後ーー。零時とサクラは学校の教室の前に立っていた。ーーしかし、小学生の制服姿でだ。
「いや〜! 楽しみなんだよ、マスター!」
「そうだな……」
サクラは笑顔をこぼしながらその場を飛び跳ねる。零時はその様子を見てため息をこぼす。
(たくっ……なんで俺がまた小学生にならないといけないんだ)
話は数ヶ月前に遡るーー。
「マスター! 学校行ってみたい!」
ご飯を食べているといきなりサクラが零時に告白した。零時は少し固まった。
「……一応聞いてやる、なんでだ?」
「だってだって! 外歩いていたら皆楽しそうに話してたんだよ! それにあの制服、可愛いし……とにかく私、小学生になりたいんだよ!」
小学生になりたい理由が……っと思いながら零時はサクラの顔をジト目で見る。対してサクラは上目遣いで手を合わせている
「はぁ〜……わかった、学校行っていいぞ」
「本当!? やったやった!」
サクラは椅子に座った状態で手を上にあげて喜びを表現する。
「こら、ご飯中だから暴れんな!」
こうしてサクラは学校に行く事が認められた。
ーーーーしかし。
「なんで俺もなんだよ?」
「え〜? いいじゃん、マスター! マスターと一緒に登校できて嬉しいんだよ〜!」
無邪気な笑顔で零時の顔をみる。少しムカついたのか零時はサクラのほっぺをつねる。
「ふにゃゃ!? ひ、ひたいよ〜まひゅた〜!」
「はぁ……なっちまったものはしょうがないか」
零時はサクラの頬から手を離し、先生に呼ばれるまで黙って待つことにした。
side なのは
零時君に出会ってから時早くも数年が経ちました。私、高町なのはは小学3年生になったの! アリサちゃんとすずかちゃんという新しい友達ができて、毎日が楽しいです。だけどあれ以来零時君にあっていません。零時に会いたいな……。ちゃんとお礼を言いたいのに
「会えないかな〜……」
「誰に?」
「ふにゃ!?」
なのはが机に座って窓を見てると視界に金髪の友人の顔が映った。なのはは驚き体制を崩しそうになったがなんとか耐える。
「あ、アリサちゃん……びっくりしたの」
「ふふ、なのはは反応が面白いからね〜……ってさっきなのは『会えないかな〜』って言ってたけどそれって例の男の子?」
金髪の少女、アリサ・バニングスはなのはに質問する
「うん……。お礼を言いたいんだけど零時君がどこにいるのかが……もう会えないのかな……」
なのはは俯き悩む。もうこの街には零時はいないのか? もう本当に零時には会えないのか? 、と
「そんな事ないんじゃないかな?」
するとなのはの隣から声が聞こえた。そちらに顔を向けると紫色の髪をした友人がいた。
「すずかちゃん?」
「桃子さんが言ってたんでしょ? なのはちゃんが会いたいと思えばきっと会えるって。だから諦めないで待っていよ?」
月村すずかは笑顔でなのはを励ます。
「すずかちゃん……!」
「そうよ! あんたが諦めてどうすんのよ、しゃんとしなさいよ!」
「アリサちゃん……! 二人とも、ありがとうなの」
なのはは二人に感謝すると教室のドアが開いた。そこから先生が入ってきた
「はーい、皆、席についてー」
先生の声で皆は自分の席に戻る。席に戻ったところで先生が話を始めた
「今日はみなさんに転校生を紹介します!」
先生がそう言うとクラスはざわめきだした。
「先生、先生! 男の子ですか?女の子ですか?」
「ふっふっふっ、両方よ! それも美男子、美少女!」
『きゃあああー!!』
『やったーー!!』
男女はほぼ全員嬉しさに声をあげた。
「それじゃあ! 入ってきて」
『はーい!』
『はい』
陽気な声と静かに返事する声が聞こえると教室のドアが開く。そして転校生は先生の近くに来る。
「えっと、神谷サクラって言うんだよ! よろしく〜!」
『うおおおおおお!』
サクラは笑顔をこぼしながら皆に向かって自己紹介をする。男子たちの心は全員【生きててよかった】と思った。サクラは自己紹介をし終わると隣の男の子に向かって少しどや顔をした。隣の男の子は少しため息を吐き、自己紹介をした。
「……神谷零時って言います。よろしくお願いします」
『きゃああああ!』
零時は普通の簡単な自己紹介をした。そんな中高町なのはは驚きを隠せなかった。まさか自分が探していた人が目の前に来てくれるなんてと……
side 零時
『きゃああああ!』
うぐっ! 鼓膜が……。零時は女子の声に耳を塞ぐ。男子からは少しばかり殺気を受けている
「はい〜みんな嬉しいのはいいけど、静かにね。それじゃあ……零時君は高町さんの横でサクラちゃんは零時君の横ね」
「はーい!」
「はい(高町……? もしかして)
教室を見渡すと案の定なのはの姿があった。まさかなのはと同じ学校だとは……。零時とサクラは指定された席に座る。
「あ、あの……」
「久しぶりだな、なのは」
「! うん、久しぶりなの、零時君」
なのはは覚えててくれた事が嬉しいのか笑顔を零時に向ける。零時はなのはの笑顔を見てほっとした。昔みたいな作り笑顔ではなく、純粋な子供の笑顔だった。
「じゃあ、最初の授業は零時君とサクラちゃんに質問タイム〜!」
『イエエエエエィ!』
「……なんじゃそりゃ」
「なんだか楽しそうなんだよ!」
「つ、疲れた……」
「あはは……零時君お疲れ様」
現在、昼休みの時間。零時はクラスの人達に質問攻めされた疲労がきたのか机にのしかかる。現在はご飯の時間なので零時は弁当を取り出そうとした。
「あ、零時君。一緒に屋上で弁当食べない?」
なのはに視線を向けるとなのはと隣に金髪の少女と紫色の髪の少女がいた。おそらくなのはの友達か?
「ああ、わかった。ところでそちらの二人は?」
「私はアリサ・バニングスよ!」
「私は月村すずかです!」
「ああ、よろしくバニングスさん、月村さん」
「すずかでいいよ! うん、よろしくね! 零児くん!」
「私もアリサでいいわよ! よろしく! 零児!」
アリサは活発な女の子、すずかは物静かな女の子だなと零時は思った。
「わかった、改めてよろしくな二人共」
「じゃあ早速行きましょう!」
「あ、その前に少しいいか?」
三人は零時の言葉を聞き、その場で待つ。そして零時は後ろを振り返ると
「むにゃ、むにゃ……もう食べられないんだよ〜……」
零時は静かに手を上げ、サクラの頭上に振り下ろす。
『いただきます!』
屋上に来た零時達は各々弁当を開く。そんな中サクラは頭を抑えてる。
「うぅ〜……マ、レイジー! ひどいんだよ!」
「お前がずっと寝てたからだろ?」
「むうぅぅぅぅ〜!」
ふてくされているサクラに零時は弁当を渡す。
「ほら、弁当」
「あ! ありがとう〜」
サクラはすぐさま弁当を取り、弁当を食べ始めた。まるで餌を待っていた子犬みたいだった。
「そういえば零時とサクラって兄弟なんだっけ?」
「ああ、そうだが」
「へぇ〜……」
アリサは零時とサクラの顔を見比べる。
「性格とか全然似てないわね」
「まあな、結構こいつには手を焼いてるよ」
「?」
サクラは食べ物で頬を膨らませながらきょとんとした表情で零時達を見る。
「それにしても零時君とサクラちゃんの弁当美味しそうだね!」
すずかは零時とサクラの弁当を見て言った。するとサクラはドヤ顔をする。
「当然なんだよ! だってマス……零時が作ったんだから!」
「え!? そうなの零時君?」
「ああ、朝早くからな。他には洗濯とか家事全般は俺が全部やってんな……って三人共どうした?」
零時が三人の方をみると三人はどこか遠くを見る目をしていた。
「なんだろう、この圧倒的女子力ある男子……」
「?」
三人の様子が変だが零時は気にせず自分のご飯を食べる。うーん、もう少し塩がいるかな?
「おーい、なのは! アリサ! すずか!」
「うん?」
味の評価をしていたら後ろから大声でなのは達を呼ぶ声が聞こえた。後ろを振り返るとそこには金髪で赤と青のオッドアイをした少年がこちらに歩いてくる。なのは達の友達か?
「なぁ、あいつってお前たちの……」
『うっ……』
零時はなのは達の方をみると三人共明らかに嫌そうな顔をしていた。どうやら友達ってわけではないみたいだな。
「よぉ、相変わらず三人共可愛いな〜……ん?」
少年はベンチの端っこに座っている零時に目を移した。少年は零時の前に立った。
「おい、お前誰だよ?」
零時は弁当を置いてからベンチから腰をあげた。
「ああ、俺は今日ここに転校してきた神谷零時だ。よろしくな」
零時は手を少年に向けて出した。
「……ふんっ!」
ーーパンッ!
少年は零時が差し出した手を叩いた。
「モブごときが、なれなれしいんだよ!」
零時はそのまま叩かれた手を眺めていた。その光景に耐えられなくなったのかアリサが前に出る。
「ちょっと、海斗! 零時に謝りなさいよ!」
「大丈夫だよ、アリサ。だってこいつモブだから」
「あんたねぇ……!」
「大丈夫だ、アリサ。気にしてない」
アリサは少年、海斗の言葉に怒りを覚え突っかかろうとしたが零時に止められる。アリサは目を零時の方に向ける。
「ほらな、アリサ。モブだからいいんだよ。そんな事より一緒にご飯でも……」
「いやよ!」
「俺の前では照れなくてもいいんだぜ? だからさ……」
海斗は手をアリサの方に伸ばし、腕を掴んだ。
「よせよ、嫌がってるだろ」
「ああ?」
ガシッと零時は海斗の腕を掴む。海斗は零時を睨みつける。零時はまっすぐな瞳で海斗を睨む。
「……ちっ!」
海斗はアリサの腕を離し、零時の手を振りほどいた。そしてポケットに手を突っ込みながら屋上を出て行った。
「大丈夫だったか? アリサ」
「う、うん……。その、ありがとう……」
「礼を言われるほどの事はしてないよ」
その後すぐにチャイムが鳴ったので零時達は教室に戻った。
「御剣海斗って言うのか?」
学校の授業が終わり零時達は帰宅中、昼の少年の事を話していた。
「ええ、あいつは小学校一年の時から今日の昼と似たような事をしているのよ」
「最初にあった時なんていきなり頭撫でられたし……」
「後は私達の事を“俺の嫁達”って言ってるんだよ!」
三人はうんざりした顔をしながら海斗の事を話す。
「へ、へぇ〜……変わったやつだな」
零時は確認の為に最近覚えた“念話”を使い、サクラに質問する。
(サクラ、昼のあいつってやっぱり……)
(うん、マスターと同じ転生者で間違い無いんだよ)
(やっぱりか……。通りであの時魔力を感じたんだな……)
あの時というのは零時が海斗に叩かれた時だ。相手は魔力の扱いに慣れていないのか手を叩いた瞬間、魔力が感じ取れた。海斗の様子をみるとまだ零時が転生者だとばれていないようだ。まぁそれは今は置いといて……。
「てか、いいのか?」
「? 何が?」
三人はキョトンとした顔で零時を見る。
「俺とサクラの歓迎会をやるなんて……」
実は今日、零時とサクラはなのは達に誘われてなのはの家で歓迎会をしようと言われたのだ。
「いいのよ、なのはが桃子さんに連絡したらOKって来たから!」
「うん、お母さんが零時くんにずっとお礼を言いたかったから来てほしいって」
「行こうよ、マスター!」
サクラにも行くように言われ、零時は観念した。
「じゃあ……お言葉に甘えて」
そんなこんなでなのはの家、『喫茶店翠屋』に着いた。なのはは早速ドアを開ける。
「ただいまー!」
『お邪魔しまーす!』
すると店の奥からなのはの母が出てきた。
「あら!なのはにすずかちゃんにアリサちゃんに……! 君はもしかして……」
「えっと神谷零時です」
「やっぱりあの時の男の子ね! さあさあ皆上がって!」
なのはの母は零時達に席に案内する。零時以外の人は席に着く。零時はなのはの母に呼ばれ、別の席に座った。
「まだ名前を言ってなかったよね? 私は高町桃子です。あの時はありがとう、零時くん。貴方がいなかったら今の私達はいなかったわ。本当にありがとう」
「いえ、俺はそんな……。でも、皆さんが元気で良かったです」
零時がそう言うと桃子さんは笑顔になった。
「ふふ、ありがとう。優しいのね……ああそうだ、ちょっと待っててね?」
桃子さんは一度店の奥に入っていった。少し経つと桃子さんともう一人男の人がこちらにきた。
「君が零時君だね?」
「はい、神谷零時です……。(この人の顔、どこかで……)」
どこかで見た事ある。零時はそう考えていると男は口を開いた。
「僕の名前は高町士郎だ。家族から君の話は聞いていたよ。娘達と妻を手助けしてくれてありがとう。今日はゆっくりしていってくれ」
彼は昔零時とサクラが助けた人だった。生死の堺目のところを零時が生命力を分け与えたのだ。元気そうで良かったと零時は心の中でほっとする。
「はい、ありがとうございます!」
「零時〜、 はやくこっちにこないとシュークリームなくなっちゃうだよ〜!」
零時と桃子と士郎は声のした方に顔を向けると、両手にシュークリームを持って美味しそうに頬張るサクラ達の姿があった。
「あら、元気がいいわね。あの金髪の女の子は零時君のお友達?」
「あはは……僕の妹です」
「そうなんだ!……ふふ、元気な妹さんね?」
「はい、元気すぎるくらいに……」
その後しばらく歓迎会は続いた。余談だが、歓迎会が終わり家に帰る前に零時は翠屋のシュークリームを何個か買って帰った。そのときサクラがはしゃいでいたのは置いておこう。