魔法少女リリカルなのは 〜fortissimoの輝き〜 リメイク   作:fortissimo 01

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ユーノの事情

「零時君、サクラちゃん、おはよう〜!」

 

翌日ーー。零時とサクラが学校の廊下を歩いていると後ろからなのはが駆け寄ってきた。

 

「おはよう〜なのはちゃん!」

 

「おはよう、昨日はなんとか言い訳できたか?」

 

「にゃははは……なんとかね」

 

苦笑いをしながらなのは言った。

 

「そういえばユーノの体調はよくなったか?」

 

「うん!もうすっかり元気になっているよ!」

 

そんな話をしていると零時達はいつの間に教室に着いていた。教室に入ると先に来ていたアリサとすずかがこちらの存在に気づき、近づいてきた。

 

「あんた達、昨夜の事件聞いた?」

 

「え? 聞いてないけど……」

 

「実はこの前フェレットを預けた病院が半壊していたらしいのよ」

 

「調査の結果ではフェレットはその時いなくなっていて……。私、心配で……」

 

アリサとすずかは暗い顔をした。

 

「えっと……その件は……えーと」

 

なのはは二人を安心させる話をしようと考えるがうまく思いつかないようだ。すると零時が一歩前に出る。

 

「そのフェレットなら今なのはの家にいるぞ」

 

「ほんと!?」

 

「さっきなのはに聞いたんだが、どうやら昨日の夜になのはの家に迷い込んだらしい……だよな、なのは?」

 

「う、うん! そうだよ!」

 

「という事はフェレットは無事なのね?」

 

「はぁ、よかった……」

 

アリサとすずかは安堵の表情を浮かべた。何とかなのはが合わせてくれたおかげでこの場を切り抜けられた。

 

「あの子、飼いフェレットじゃなかったから、しばらくうちで飼うことになったの!」

 

「そっか!じゃあ名前を付けてあげないとね!」

 

「もう決まってるの?」

 

「うん!ユーノ君!」

 

「ユーノ君?」

 

「そう、ユーノ君!」

 

「ユーノ……うん、いい名前ね!」

 

 

授業の時間ーー。周りの皆は授業をしっかり受けているが、零時はボーっと窓の向こうにある空を見ていた。後ろのサクラは毎度おなじみ睡眠学習中だ。

 

《……時君、零時君、聞こえるかな?》

 

すると、隣で授業をしっかり受けているはずのなのはの声が聞こえてきた。恐らくこれはーー、

 

《念話、できるようになったんだな》

 

《聞こえた! うん、ユーノ君に教えてもらったんだ!》

 

《なるほど……ユーノもいるのか?》

 

《うん、いるよ零時》

 

すると念話にユーノの声が聞こえてきた。

 

《で、何の用だ? もしかして昨日の事か?》

 

《うん、零時……君の事を話してくれないか?》

 

《ああ、いいぜ》

 

零時はなのはとユーノに自分とデバイスであるサクラの事を話す。

 

《で、デバイス!? 全く気づかなかったよ……》

 

《サクラちゃん……、機械だったんだ……》

 

《ーーこれで全部だな。次はユーノの事を聞かせてくれよ》

 

《うん、わかった》

 

ユーノは零時達に昨夜の事を語る。

 

《ジュエルシードは僕らの世界の古代遺産なんだ……。本来は手にした物の願いを叶えてくれる魔法の石なんだけど、力の発動が不安定で昨夜みたいに単体で暴走したり、使用者を求めて周囲に被害を出すときもある。それにたまたま拾った人や動物が間違って使用してその力を取り込んでしまう事もあるんだ》

 

《そんな大変な物……なんでご近所に?》

 

《ーー僕のせいなんだ。僕の故郷は遺跡発掘を仕事にしていてたまたま発掘していたらあの石があって、調査団に保管させようと思ったんだけど、それを運んでいた時空船が何らかの事故か人為的災害が起きて……》

 

《そして運悪くこの世界にジュエルシードを落としてしまった……って事か》

 

《うん。ーー僕が()()に君達と関わったせいで君達を巻き込んでしまった。……本当にごめん》

 

《ユーノ君……》

 

ユーノは二人を巻き込んでしまったという罪悪感が込み上げる。そのせいか声に覇気を感じられない。そんなユーノをなのはは心配する。

ーーすると。

 

《ーーじゃあそのジュエルシード集め、俺も協力していいか?》

 

《ーーーーえ?》

 

おそらくユーノはポカンとした表情を浮かべているだろうと思った。何故なら隣で座っているなのはもぽかんとした顔をしてるからだ。

 

《だ、だめだよ!危険すぎる! それにこれは僕の問題なんだ……僕が解決しないとーー》

 

《そんな事知るか》

 

《え?》

 

《俺は、俺個人の意思で言ってんだ。お前が何て言おうと俺は協力するぞ。お前が勝手に巻き込んだからな、俺も勝手にやらせてもらうぜ》

 

《そ、そんな無茶苦茶な……でもーー》

 

《わ、私も! 勝手にユーノ君を手伝うよ!》

 

なのはがユーノの言葉を遮りながら言った。

 

《な、なのはまで!?》

 

《だってこのままユーノ君の事、見過ごすことなんてできないよ! それに昨日みたいな事がまた起こったらご近所さんの迷惑だしね! だからね、ユーノ君。私にユーノ君や皆を守らせて!》

 

《なのは……》

 

《ーーわかったか、ユーノ? これが俺たちの()()だぜ?》

 

ユーノの心に二人の言葉が強く刻まれる。見ず知らずの自分に手を差し伸べてくれる。それがどんな過酷な道でも。

だから僕はーー。

ユーノの心の中で答えが決まる。

 

《ーーありがとう……これからよろしく、零時! なのは!》

 

この人達をーーーー信じる。

 

《ああ、よろしくなユーノ》

 

《よろしくね! ユーノ君!》

 

こうして零時となのはとユーノは共にジュエルシード集めを行う事にした。念話が終わった後でサクラに事情を話さなければなと零時は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー商店街。学校が終わり、アリサとすずかと別れた零時となのはとサクラは商店街を歩いていた。そんな中、零時はサクラに念話で話した事を話す。

 

「じゃあ、そのジュエルシードって奴を集めればいいの?」

 

「ああ、理解したかサクラ?」

 

「うん! よろしくね、ユーノ!」

 

《うん、よろしくサクラ》

 

サクラはユーノと念話を繋ぎ、お互い自己紹介をする。零時となのはは普通に会話をしていた。

ーーーー刹那。零時達の頭に電気が走った様な感覚がする。

 

「これはーー魔力反応!」

 

「だけど、何処から……?」

 

「っ、あっちからするんだよ!」

 

サクラは山の方に指を向ける。指の差す方向には神社があった。おそらくあそこにジュエルシードが。

 

《僕も後から合流する! 零時達は先に魔力反応があった場所に向かってて!》

 

「わかった。よし、行くぞ!」

 

『うん!』

 

零時達は神社がある方に走り出した。

 

 

 

数分後ーー。零時達は神社の入り口に着いた。

 

「皆!」

 

「あ、ユーノ君!」

 

「よし、じゃあ行こうぜ」

 

ユーノと合流した一行は神社の階段を駆け上がる。そして最後の石の段に着いた。神社の中を見てみるとそこには巨大な狼がいた。

 

【グルルルルル……】

 

狼は零時達に気づき、こちらを睨んでいる。

 

「あれは……現獣生物を取り込んでいる!」

 

「な、何かまずいの?」

 

【グルル……グオオオオオオオ!!】

 

狼は猛スピードでこちらに走ってきた。

 

「実体がある分、手強くなっているんだ!」

 

「要するに昨日の黒い怪物より手強いって事か?」

 

「そうだね……とりあえずなのは! レイジングハートを起動させるんだ!」

 

ユーノはなのはの方を向きながら言った。

 

「あ、あの〜ーー」

 

するとなのはは困ったような顔を浮かべた。

 

「どうしたの、なのはちゃん?」

 

 

 

「ーー発動する時の言葉を忘れちゃって。にゃははは……」

 

「「え?」」

 

零時とユーノは豆鉄砲をくらったような顔をして固まった。

 

「そういうの私もあるんだよ!」

 

「サクラちゃんも? よくあるよーー」

 

【グォォォォォ!!】

 

サクラとなのはが謎の会話を繰り広げている中も巨大狼がこちらに向かってくる。

 

「おい二人共、今はこっちに集中しろ!」

 

「「は!? そうだった!」」

「すっかり忘れてたんだね……」

 

零時にそう言われようやく二人は今の状況がまずいと理解した。ユーノはその二人をジト目で覗く。

 

「よし、まずユーノは後方でなのはに起動詠唱を教えろ! サクラは俺が前にでるからバックアップを頼む!」

 

「わかった! 気をつけて、零時!」

 

ユーノはなのはと共に後ろに下がる。

 

「バックアップは任せてなんだよ!」

 

「ああ!」

 

零時は黒と白の二拳銃、『うたまる&アルキメデス』を装備する。サクラは服装は制服から戦闘用の服に変わる。零時は狼のいる方とは少しずれた方向に走りながら拳銃で狼を撃つ。

 

【グルル……グオオ!】

 

ーーしかし。威力が低いので決定的なダメージにはならない。狼の矛先は零時に向けられた。

 

「(やっぱり福音の魔弾(ヴァイス・シュヴァルツ)じゃないと決定的なダメージは与えられないかーーーーよし)サクラ! ()()を撃つ準備だ!」

 

零時はそう言いながら拳銃を消す。それと同時に零時の右手に黒いウエディンググローブが装備された。

 

「了解なんだよっ!」

 

サクラはそう言うと目を閉じ、魔力を集中させる。零時は引き続き狼の注意を引く為、神社内を走り回る。ーーしかし、狼の方が素早い。零時に追いつくのは時間の問題だ。

そしてーー。

 

【グオオオ!!】

 

「!」

 

狼は零時に飛びかかってきた。

 

「零時君!」

 

「零時!」

 

鳥居の方に目を向けると昨日とデバイスを起動し、昨日と同じ容のなのはとユーノが心配そうにこっちを見ている。

 

「ーーなのははいつでも封印出来るようにそこにいろ!」

 

「零時君! 逃げて!」

 

【グオオオ! ーーグッ!?】

 

刹那ーー。飛びかかった狼は零時を噛み殺す事なく()()()()()()()()()()

 

 

 

 

無に還った少女(ブリーシンガメン)……よし、作戦成功だな」

 

「どうして……?」

 

「あれは……糸?」

 

よくみると零時の着けてるグローブから細いピアノ線が出ている。しかしピアノ線だけであんな巨大生物の重りを受け止める事ができない。しかし、零時が放った魔法ーーーー無に還った少女(ブリーシンガメン)

《ピアノ線に触れた現象の運動エネルギーを変化させる》という能力だ。零時は狼の運動エネルギーを “0” に操作し、狼の攻撃を受け止めたのだ。

 

「ーーいつでもいけるよ! マスター!」

 

魔力を集中させていたサクラの手に桜色の魔力が収縮されている。

 

「収束砲!? すごい魔力だ!」

 

「よし、ぶちかませサクラ!」

 

穢れなき桜光の聖剣(レーヴァテイン)!!」

 

【グオオオオオオオ!!??】

 

収束した魔力をサクラは解き放ち、サクラの持つ最強の収束魔法、穢れなき桜光の聖剣(レーヴァテイン)を放った。桜光の魔力は一瞬で身動きが取れない狼を包み込む。桜光が収まると狼の身体はボロボロだった。

 

「今だ、なのは!」

 

「リリカルマジカルシリアル16ーー封印!」

 

なのはの手にある『レイジングハート』から桜色の魔力光が飛び出し、狼に突き刺さる。少し経つと狼の体は光を放つ。光が収まるとその場所には可愛らしい子犬とジュエルシードがあった。

 

「一件落着だな。おつかれ、なのは、ユーノ、サクラ」

 

「お疲れ! 零時君!」

 

「お疲れ、零時」

 

「皆お疲れ様なんだよ!」

 

皆は目の前の問題を解決した事を祝福する。サクラはユーノは抱きしめて嬉しさのあまり、くるくると回っている。

 

「さ、さ、サクラ! 落ち着いて〜!」

 

零時は止めようとしたが、動物が好きだが動物に好かれないサクラだからしょうがないと思い止めないでいた。心の中でユーノには謝っておいた。ふと隣にいるなのはも苦笑いをするだけだった。

ーーすると。

 

「おーい、なの……は」

 

神社の入り口から声が聞こえたので、零時となのはは入り口の方を見る。するとそこには制服姿の御剣海斗の姿があった。

 

「な、なんでお前がいるんだよ!」

 

海斗は零時に指を差し、叫んだ。向けられた本人はきょとんとした顔をしている。

 

「いちゃ悪いのか?」

 

「ああ、悪いね! いつも俺の邪魔をしやがって! お前はどっか行け!」

 

「そ、そんな言い方ーー」

 

「じゃあお前はこいつらを守れるんだな?」

 

「ああ、言われなくてもお前より守れる! なんたって俺の方が強いからな!」

 

海斗はドヤ顔をしながら零時を見る。少し零時は考える仕草をすると軽くため息を吐く。

 

「わかった、お前はなのはと一緒にいろよ」

 

「れ、零時君!?」

 

「へ! わかればいいんだよ」

 

零時の予想外の返答になのはは驚きを隠せない。なのははなんで? という思いを込めて視線を向ける。零時はその視線に気づき、なのはに念話をとばす。

 

『ここからは別行動にしよう。こいつに反抗したら面倒くさいからな。大丈夫、サクラはなのはの方についてってもらうから』

 

『で、でも……』

 

 

 

「じゃあまた明日な、なのは!」

 

海斗は気分がいいのか鼻歌を歌いながら神社の階段を降りて行った。

 

「じゃあ俺たちも帰るか」

 

「うん……」

 

なのははまだ納得出来ない様子で俯いている。零時はなのはの元に駆け寄った。

 

「どうした? なのは?」

 

「ーーーーしたくない」

 

「え?」

 

「私は零時君を一人にしたくない! 何処かで零時君が大怪我したら私……やだよ」

 

なのはは少し目に涙を溜めて言う。そして再度俯いた。自分の事を心配してくれているという事がよくわかった。

 

「ーーなのは」

 

「零時君……」

 

零時はなのはの頭に手を置き、優しく撫でる。

 

「ごめん、なのはが心配してくれてるのに気づかなくて。でも大丈夫。俺は絶対、大怪我せずなのは達に会いに行くよ。約束だ」

 

零時はなのはに小指を出した。

 

「ーーーーうん、わかった。約束」

 

涙を拭き取ったなのはは零時の事を信じ、自分も小指を出し、零時の指を絡める。

 

「嘘ついたらダメだよ!」

 

「おお、わかった」

 

零時となのはといい感じの雰囲気を出してる中、サクラとユーノはその様子を少し遠くから見ていた。

 

「なんだかわからないけど……二人共、大丈夫そうだねサクラ?」

 

「うん……」

 

「サクラ?」

 

「……なんでもない!」

 

サクラはユーノは再度抱きしめながら零時達の方に歩みを進める。サクラは先程抱いた気持ちの事を考えていた。

 

「(なんでなのはちゃんとマスターが一緒にいる所をみるとモヤモヤするんだろう?)」

 

サクラがその気持ちに気づくのはまだまだ先の話ーー。

 

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