ザ・鉄腕&パンツァー! 没落した流派を再興できるのか?   作:パトラッシュS

62 / 87
※今回は新春スペシャルなので本編には関係ありません


新春スペシャル編
ザ!ウルトラマンパンツァー! 戦車道は世界を救えるのか!


 

 年末年始。

 

 肌寒く、それでいて気持ちを新たにする季節。

 

 大和撫子な乙女たちが今年もまた新たな挑戦に挑み今年一年を占う時期である。

 

 そして、ここ知波単学園では時御流毎年恒例のある大きなイベントが催されていた。

 

 それは…。

 

 

「新年明けましておめでとうございます」

 

「「おめでとうございます」」

 

「さぁ、今年もやって参りました年末年始。年末年始と言えば!」

 

「この時期、忙しいですよね? そんな忙しい時期に様々なピンチがあると思います」

 

「そんなピンチの時、頼りになるウルトラマンが助けに来てくれたら? と言う事で…」

 

 

 年末年始スペシャル。

 

『ザ! ウルトラマンパンツァー! 戦車道は世界を救えるのか!』

 

 さて、今回もウルトラマン達に様々な難題が待ち構えている。

 

 走行中のバスに妹にお弁当を届けるために西住流、西住まほが戦車の砲弾を…! 開いた僅か数センチの窓に…!

 

 そして、プラウダのノンナとクラーラはフィギュアスケートで繁子達が作ったラーメンを高速回転で湯切り!

 

 更に、継続高校のミカは繁子達が作った巨大カンテレを使い華麗な演奏を奏でることができるのか!?

 

 そして、我らがリーダー城志摩繁子も…!

 

 

 今回も見どころがたくさん!

 

 ザ! ウルトラマンパンツァー!戦車道は世界を救えるのか!

 

 

「さぁ、始まりました。今年も様々なウルトラマンがここ、知波単学園にやって参ります」

 

「あ、立江、そういや東浜さんどこなん?」

 

「東浜さんは毎年恒例の飲み会に行ってますねー。西住しほさんと島田千代さんとお酒でも飲み交わしてるんじゃないですか?」

 

「えー…」

 

「ま、それはええやろ、それじゃ早速現場の永瀬に代わろうか? 永瀬ー!」

 

 

 そう言って可愛らしい袴に身を包んだ繁子が現場にいる永瀬にへと応答するように促す。

 

 すると、マイクが繋がり、現在、知波単学園の全員が設置した特設の道沿いに永瀬はまほと共に立っていた。

 

 永瀬、まほの背後には今回使うであろうティーガーが威圧感を出すように置いてある。

 

 

「はーい! リーダー! こっちはチャレンジャーの西住まほさんをお迎えしていつでも準備万端です! 今日はよろしくお願いします!」

 

「あぁ、よろしく」

 

「さて、今回、西住まほさんに挑戦して頂くウルトラマンパンツァーはこちらです!」

 

 

 そう言って永瀬は事前に用意してあったVTRを流し始める。

 

 何というかかなり茶番臭い劇なようなものであるが、どうやら、このVTRの中に今回挑戦する課題が示されているという事であった。

 

 その場にいたまほと永瀬はそのVTRを黙って見守る。

 

 まず、最初に現れたのはまほの妹、西住みほが家から出てくる光景からだった。

 

 

『お母さん! それじゃ行ってくるね!』

 

『あ! 今日から登校日か! はい! 行ってらっしゃいやでー!』

 

 

 そして、それを見送るのは…。

 

 エプロンを着けた繁子であった。そのちんちくりんさに微笑ましさや癒しがあるが、どうやらみほとそれぞれ母娘の役を演じている模様である。

 

 VTRを観ていた永瀬からは「プッ…」と吹き出す声が聞こえてくる。妙に繁子の役が嵌っているのがやけに可笑しかった。

 

 すると、娘のみほが家から出てバスに乗ったところを見送ったところで母、繁子はあることに目を丸くした。それは…。

 

 

『あ! アカン! どないしよ! あの娘お弁当持ってっとらんやん! あぁ…しもうたー』

 

 

 なんと繁子お手製のお弁当を忘れてしまっていたのである。

 

 どうかしてこれを届けなければいけないが、もはや、みほが乗ったバスは発進してしまっている。繁子が走って追いつくのは無理だ。

 

 …と、そこで母、繁子の目にあるものが飛び込んできた。それは…。

 

 

『ん…、あれはもしや!』

 

 

 ティーガー戦車。

 

 なんと道路の横にティーガーが置いてあるではないか! そうだ、これを使えば…!

 

 走るバスの開いた窓から、砲弾に乗せて手作りのお弁当を撃ち込む事ができる! だが、繁子はこの後家事がある為そんな戦車に乗る時間なんて無い。

 

 せめて、ティーガーに乗ってこのお弁当を届けれる人が居れば。

 

 しかし、そんな神業的な芸当ができる人物が果たしているのだろうか!

 

 そんな時だ。困り果てた繁子の肩をポンと叩くウルトラマンが居た!

 

 

『しげ……いや、お母さん、私がみほにお弁当を届けよう』

 

『あ、お姉ちゃん! 届けてくれるんか?』

 

『私が食べたいのはやまやまなんだが、みほの為だ。姉の私に任せてほしい』

 

『いや…まほりん、途中からセリフ変わっとるやん。ま、ええわ、それじゃ…お願いしてもええか?』

 

『あぁ、任せろ!』

 

 

 そう言って、鼻血を微かに垂らしながら満面の笑みサムズアップするウルトラマンまほ。

 

 高校戦車道王道。名門西住流!

 

 戦車道全国大会を今年で9連覇した戦車道の超名門校、黒森峰女学園。

 

 その黒森峰で隊長を務めるのがこの西住まほである。

 

 前回の戦車道全国大会では我らが時御流、そして、城志摩繁子との激戦を繰り広げ、死闘の末破竹の9連覇を成し遂げた西住流の正当後継者である。

 

 その類い稀な指揮や戦術は多彩。

 

 来年には先ほどバスに乗りしげちゃんの弁当を妹のみほも加わり強力になること間違いなしである。

 

 

 さぁ、というわけで今回のチャレンジは時速20kmで走るバスの開いた窓に西住まほが指揮する戦車を使い弁当が入った砲弾をバスに当てず傷つけないまま撃ち込むという企画である!

 

 バスは戦車道全国大会や普通の大会で使用される特殊カーボンをさらに強化したもので全体的にコーティングされており、貫通したり壊れたりすることはない。

 

 まず、走行しているバスに追いつきその開いた窓に標準を合わせて、砲弾を撃ち込むが、これは並外れた指揮とタイミング、そして、砲撃の腕が必要となる。

 

 道には障害物も多々あり、バスとの距離は指定された一定の距離に保たなければならない。

 

 制限時間は10分!

 

 その間に西住みほにしげちゃんお弁当を届けられなかった時点でチャレンジは終了となる。

 

 

「そういうわけですが、まほさん! 自信の方は…?」

 

「間違いなくある、黒森峰では鬼の様な訓練を日々行っているし不安はないよ」

 

「という事ですっ!」

 

「まぁ、あれやね、ウチを負かしたんやしこれくらいはできるって思うよ、まほりんなら…」

 

「うん、しげちゃん。成功したら私にもお弁当作ってくれ」

 

「えぇ!? …ま、まぁ、ええけど?」

 

「俄然やる気が出て来た」

 

「さぁ、では所定の位置についてください」

 

 

 そして、永瀬に従いティーガー戦車に乗り込むまほと黒森峰の学生達。

 

 さぁ、戦車に乗りエンジンが掛かったらいよいよバスも動き出しチャレンジがスタートだ。

 

 みほが乗ったバスもエンジンが掛かり、青信号になるのを待つばかり。バスに乗るみほはにこやかな笑みを浮かべてこちらに手を振っている。

 

 

「いや、手を振っとるけどバスに乗ってるみぽりん大丈夫やろうか…」

 

「強化特殊カーボンでバスの装甲作ってるし大丈夫でしょ?」

 

「砲弾も特殊弾だしね、ゴム製の柔らかいやつ」

 

「全部私らが作ったけどね…」

 

 

 このイベントの為、繁子達は念頭な準備をして来た。

 

 その甲斐もあり、話を聞きつけたギャラリーが他校や他所からズラリと一目見ようと知波単学園に集まってきたのである。

 

 おかげで出店を開いて資金はウハウハ、さらに出店に協力してくれたアンツィオや他の資金源も潤うためこの一大イベントは言わば他校共同の出し物芸大会のような感じだ。

 

 さて、双方の準備が整い、バスの前の信号が青に変わる。

 

 

「チャレンジスタート!」

 

 

 そして、西住まほのウルトラマンチャレンジがスタートした!

 

 制限時間のタイマーがスタートし、まほが乗る戦車とバスが同時に動き出した。

 

 砲撃を撃ち込むには障害が無くなる交差点の指定の位置に向かわなくてはいけない。その場所にいち早く狙いを定めたまほはスルリ、スルリと抜き出してきた。

 

 障害物があるというのに流れる様な指揮に運転テクニック、ティーガーに乗る黒森峰の生徒達が並外れた訓練を積んできたというのは、周りの人が見ても明らかな事であった。

 

 

「よし! いいペースだ!」

 

 

 そして、交差点へ…。

 

 繁子の乗った戦車が砲先を走行しているバスへと向ける、あとはタイミングだけだ。だが、思いの外スピードが早い!

 

 まほの乗る戦車は砲身を外すことなく一点に白縁の開いた窓に狙いを定めている。

 

 まほはバスの早いスピードを物ともしない、集中力を高め冷静にタイミングを見定めると砲手に発射の指示を飛ばす。

 

 

「撃てぇ!」

 

 

 ズドンッ! とティーガーから発射された砲弾は真っ直ぐバスに向かっていく…。

 

 がしかし、窓から僅かにズレたのか、砲弾はバスの装甲に当たると『ガツッ』と音を鳴らし窓から外れてしまう。

 

 それと同時に期待していたギャラリーから落胆の声が溢れた。しかし、チャレンジ1回目にして期待ができるくらいの惜しい砲撃であった。

 

 

「あぁ〜〜…惜しい!」

 

「あと数センチくらいですねー、いやー惜しい!」

 

 

 残念そうな声を溢す永瀬に多代子がにこやかにそう応える。僅かに右上、戦車の砲撃のタイミングはバッチリだった。

 

 だが、一回目のチャレンジに手ごたえを感じたのかまほは集中力を保ったまま、インカムに話しかける。

 

 

「どうだった?」

 

「左に15くらい修正したらいいと思う。タイミングは少し早くかな?」

 

「やっぱりそれくらいか、助かったみほ」

 

「ううん! あとちょっとだよ! お姉ちゃん!」

 

「あぁ、わかった。任しておけ」

 

 

 さぁ、残り時間は9分切り、チャレンジは2回目へと差し掛かる。

 

 しかし、1回目にして早くも見せ場を作った西住まほ、やはり、戦車道全国大会を制した腕前は伊達ではないということだろう。

 

 源氏物語の那須与一のような腕前を目の当たりに出来る瞬間もそう遠くはない。その奇跡の瞬間は間も無く訪れるに違いないと誰もがそう感じることができた。

 

 西住まほは無事にしげちゃんのお弁当をみほに届けることができるのか!?

 

 そして、スケートリンクではノンナとクラーラが華麗に舞いラーメンの湯切り! カチューシャに祝いのケーキを運ぶ!

 

 ミカはアキ、ミッコと共に巨大カンテレを使い演奏を披露!

 

 その続きは…! 次回! ウルトラマンパンツァーで!

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。