「おぉ、来ていたのか。いらっしゃい」
その店には本来いるはずのない奴が奥からやって来た。
「なんでここで働いているんだ…?」
「なんでって、貴様聴いていただろうが。ここで捕虜になったのだ」
「…捕虜ってこんなに自由に働けるのか…?てかウィズはなんでこんな奴を雇ったし…」
頭を抱えるマスター。その姿には、あの時の恐ろしさは何一つとして感じられることは無かった。
「む?その頭は…デュラハンとお見受けした。」
薬品を探る手を止め、つかつかと近づいてくるのはその他数名の一人であるマサムネ
「おお、あの時のサムライ女か。貴様の太刀筋、見事だったぞ?我が従者
にしてやりたいくらいだ。」
するとマサムネの目が獲物を狙う鷹の如く鋭く光った。
「ほぉ…私を狙うつもりか?私は一度みた技を二度も喰らうほど愚かでは無いぞ?」
「フハハッ!いい威勢だ!しかし私はウィズに魔力を封印された身だ、捕虜としてな。それに私は死してはいるが騎士であり、紳士でもある。こんな場所では戦えんさ」
ウィズはどうやらデュラハンの力を封印しておいてくれたらしい。憎たらしい言い方は健在だが、そこには確固たる騎士の姿は…見えないね、うん。
「…オイ首無し、お前紳士名乗るならもうちょっと目線を上げろ、ガン見じゃねぇか。」
デュラハンの目線は実際豊満なマサムネの胸を凝視していた。
「ヒッ!」
マスターの言葉に反応し、咄嗟に彼の陰に隠れるマサムネ。
「きっ貴様!騎士と言っておきながら、人の身体を舐め回すように見るなど…!汚らわしい!」
マサムネは恥ずかしさと怒りからか、タコのように真っ赤になっていた。
「切り捨て御免!」
「わー待って待ってマサムネ!ここで刀は抜かないで!」
「やめてくれ主!こいつは女の敵だ!生かしておけない!」
必死に刀を抜かせまいと腕にしがみつくレゾス。しかし剣士の腕は伊達ではなく、ゆっくりと刀に手が伸びていく。
だがその腕の進みは、あと一歩で止まる。
「そこまでです。マサムネ、本来の目的を忘れてませんか?」
アルテミスだった。
「すまんアルテミス、助かった…」
「お礼はいりませんマスター、マサムネを止めてくださり感謝します」
「アルテミス!止めてくれるな!拙者はこいつを…!」
「落ち着いて、周りを良く見なさい。それだけよ」
すると刀に伸びた手はストンと落ちた。
「すまないアルテミス、主よ…怒りで周りが見えなくなっていたようだ…」
「早くアイテム探しに戻りますよ…」
カチャカチャと薬品を探る音がまた聞こえ出す。
「ところでウィズはどこへ行ったんだ?聞くことがあったんだが…」
「ウィズならある村へ商品を仕入れに行ったぞ?」
「そうかー、なら出直してくるわ。マサムネーアルテミスー、なんか見つかったか?」
マサムネとアルテミスが戻って来た。マサムネはたくさんの薬品を、アルテミスは本を数冊持って。
「主、かの世界にあった薬品と同じ物を見つけた。」
「私はこの世界の魔法や呪術に関してです。」
「よし、じゃあ買って帰るか!」
「まいどありー…と。にしてもあの男、なかなか良い女の子を連れているな!是非ともお友達に(ドスッ)うぉぉ⁈」
矢文がデュラハンの頭に刺さった。
「何だこれは?えっと…なになに?」
(私達のマスターに近づかないでください)
「訂正だ、あの男の従者、おっかねぇ…」
「どうしたアルテミス、小型の弓なんかつがえて…」
「いえ、何でもありません」
そのあと帰って来たウィズに、落ち武者と言われたのだった。