これはキル姫達の夢。彼女らの頭の中で起こった出来事。
「…目を覚ましなさい、ティルフィング」
誰かが私の名前を呼んでいる…?ゆっくりと目を開ける。するとそこには見覚えがある姫の姿があった。
「グリー…!あぁ、いえ、私《ティルフィング》」
「覚えていましたか。…もし覚えていなければ貴女の体を乗っ取り、こっそりマスターと奪おうと思ったのですが」
「なっ!それはダメです!マスターは差し上げませんよ!」
「冗談よ。強欲だから、赦しなさい」
レゾス一行がこの世界を訪れる前、彼女達は色々な物を見てきた。色々な物を見たが故に、心には人間らしい部分が出来た。いや、元々あったのだろう。
皆は七つの大罪をご存知だろうか。至極簡単に説明するならば、人間が生まれながらにして背負う業である。人が人として生きるには必ず、その罪が付いて回る。だが彼女達は違った。人では無く、キル姫だった。人間として扱われる事など万に一つも有りはしなかった。だが彼は彼女達を人間だと、ちょっと戦闘が得意なだけのただの女の子だと言い張った。
キル姫達には安全装置が組み込まれている。人としての感情を取り戻してしまった時、もう異族と闘えないと判断された時、キル姫を終わらせる最終手段。彼女達の七つの大罪の具現、ブラックキラーズ。彼女達は闘った。まだ闘える事の証明の為に。また、大事な主を守る為に。そして、キル姫では無く、いつか彼の横で人としていつまでも笑っていられるように。
その結末は彼女達が大罪に向き合い、共に生きるという選択だった。彼女達は大罪を自らの黒い影とし、自らの内に取り込んだ。
「でもどうかしたのですか?貴女が出てくるなんて珍しいですね」
「私だって出来れば出てきたく無いわ。だけど仕方ないのよ。…忠告よ。マスターを守りなさい。どんな事があっても。最悪、黒の力を使ってでも」
「…どういう事ですか?」
「今は知る必要は無い。けどいつか知る事になるはずよ。アクセルの街に降り注ぐ嵐の存在に」
そういうと強欲と呼ばれた彼女は消えていった。
その日はティルフィングとレゾス、二人でクエストを受けていた。
「これで…終わりです!」
それは簡単な討伐クエスト。ティルフィングだけで事足りると判断したが、ティルフィングの要望で同行する事になった。
「ティル、終わったか?」
「えぇ、この辺り一帯は全て狩り終わりました」
「そうか、なら…あの木陰のある池まで歩こうか。そこで昼食をとろう」
池の水を手ですくって、口に含ませる。
「…うん、一仕事終えた水は美味い!」
「そうですね、あれはマスターの指示がなければもう少し時間がかかったと思います」
「でも、時間がかかるとはいえ俺を呼ぶ必要あったのか?あ、これ今日のお昼御飯」
バッグからパンを取り出し、ティルフィングに手渡した。
「ありがとうございます。…実は話したい事があるんです」
「話したい事…?」
「私達が元いた世界で闘った、黒い私達の事を覚えていますか?」
「ブラックキラーズ、七つの大罪だろ?覚えているさ、強かったんだから」
「その黒い私が言ったのです。アクセルの街に嵐が降り注ぐ、と」
「嵐が降り注ぐ?それはどういう…」
「わかりません、それだけ言って消えてしまったので…」
「そうか…。嵐、ねぇ…。黒いティル達の方が言うほどか…」
「…準備が出来ました、如何致しましょう」
膝をつき、報告を行う者がいた。白い仮面を被った者達の長だろうか。仮面の人間達は武器を持っている。斧、槍、剣、杖。
その者達が崇拝しているものは動き出した。それは人の形では無い。異族そのものであった。
お久しぶりでございました。せんむです。ブラックキラーズのストーリーが終わって七元徳とかなんとか。ふむ、あの二人なかなか可愛いですね!
ブラックキラーズに関しては設定を元から変更させていただきました。これがどう働くのか、僕にもわかりません。見切り発車だからね、仕方ない。