『能登』物語   作:鋼鉄の咆哮

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いよいよ新任地に着いた武生を待ち構えるものとは?
※本作から他作ネタが少しずつ出ます


海域その参 波の彼方

「つ、着きましたよ」

「あぁ、ご苦労様」

車は古い、しかしそれなりにきれいな建物の前に停まった。

武生は車から出て伸びをする

しかし、運転の憲兵は慌てて会釈すると、直ぐに走り去っていった。

「ここですか。なんだか、きれいだけど怖いですね…」

「む…」

武生も声にこそ出さなかったが、榛名と同じ考えであった。

「まぁ、仕方あるまい。恨むのなら大本営だな。」

彼には珍しく乾いた表情で返す武生を見て、榛名は奇異の感に打たれた。

「まぁいい、入るぞ…っと!」

完全に油断したように見せかけていた武生が飛び退く。

その身は既に彼の「艤装」に変わり、淡い光を発していた。

「誰だ…深海棲艦か?」

艤装を身にまとい、彼は声を発した。

その背には、一振りの刀が突き立っている。

「ちっ、殺り損ねたか」

その景色を見ても怖気付くことない「誰か」が呟いた。

「君は」

「答える義理なんざねぇなぁ」

その「誰か」が答える。

それを聞き、武生はゆっくりと振り向いた。

その「彼女」は眼帯をして、つけ耳のような装備を付けている。

彼女の目には、怒りも、悲しみも、恨みもなかった。

ただ純粋な、純粋過ぎるほどの「殺意」。

そこには、前の鎮守府にもいた「天龍」の、まごう方無き姿があった。

 

 

 

 

 

「一度でダメなら二度、二度でダメなら三度…貴様を、生きて帰すつもりはねぇっ!」

天龍の目に「殺意」ではなく、今度は何か別の物が見えた気がした。

そのまま斬りかかってくる天龍を武生は躱さず、その刃を腕で、正確には腕に相当する主砲で受け止めた。

血飛沫すら起こらない。

もう一度斬りかかってくる天龍を今度は受け流し、それと同時に天龍の後ろに回り込む。

武生は出来るだけ体を近づけ、天龍が振り向くのを待った。

振り向くと同時に、天龍が驚愕の相を表す。

それに構わず、天龍のがら空きの鳩尾に武生は緩いパンチを打った。

勝負は決した、という合図。

天龍は悔しげに舌打ちして、急に崩れ落ちた。

武生が驚愕の声を上げるよりも早く、崩れ落ちた天龍が立てるドサッという音が響く。

武生はその瞬間悟った。

 

 

これでは初日から俺が艦娘を痛めつけたようではないか…

仕方ないので艤装を消した後天龍を抱えて鎮守府の中へ歩こうとし始めた、その時、

「っ!」

武生は再び飛び退いた。

殺意を、殺気を感じる。

油断なく周囲を見回した武生の目に飛び込んだのは、天龍と似たような色の服を着て、付け耳の代わりに天使の輪っかを載せたような艦娘。

 

そう、「龍田」だ。

「あらー、何処の馬の骨だか知らないけれど、天龍ちゃんに手を出すような不届き者は斬り捨ててあげるわー♪」

龍田が凄味をきかせた笑みと共に薙刀を振り上げる。

その刃が振り下ろされる瞬間、武生は再び艤装を出して飛び退いた。

武生のコンマ一秒前にいた位置に薙刀が突き立てられる。

しかし、龍田が眼をやった時、武生は生きていた。

龍田がたじろぐ。

なにしろ、ただの人としか思っていなかった未知の男が、凄まじい速さで自分の、艦娘の攻撃を避けたのだ。

辛うじて────という表現のままに、龍田が尋ねる。

「貴方、ほんとに何なの」

微かに苛立ちの混じった声音で、武生に問う。

一方の武生は悪びれる事もなく答えた。

「今日から配属になった提督兼戦艦だ。なんなら『能登』と呼んでくれても構わんが」

「…分かったわ、ただし天龍ちゃんには手荒なことはしないでちょうだい。前任の被害者に、例外などないの」

「…分かった。気をつける」

「分かればいいわぁ。じゃあ、これでー」

「少し待ってくれるか?連れてきた艦娘達を呼ぶから」

「なんで待たなきゃいけないの」

「案内を頼みたい。まだ、君と天龍しか知らないからな。」

「…良いわ。直ぐに連れてきてちょうだい」

「分かった、すぐに連れてくる」

武生は龍田にここで待つように念押しした後歩き去った。

 




話し進まねぇ…
ご意見ご感想頂けるとありがたいです。


ちなみに~~の所は鋼鉄の咆哮3に出てきますw
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