『能登』物語 作:鋼鉄の咆哮
その後、武生は龍田に連れられて長官公室に連れてもらい、直属艦娘達も部屋を与えられた。
釣れられて歩く途中に見たのは、壁にこびり付いた赤黒い────
────血だった。
一体どうしたら壁に血など付くのだろうか。
武生はこの鎮守府がいわくつきである由来をもう1度理解せざるを得なかった。
長官公室に着いて荷物を整理した後、彼はインカムで直属の艦娘を公室に呼び集めた。
「どう思う?」
「どう思うとは?」
武生の問いかけに赤城が問い返す。
「分かっているだろう。ここの状態についてどう思う?」
「…私達は『当たり』を引いたわけでは無さそうですね」
答えたのは翔鶴。
「『当たり』ってまた…まぁ、そうだな。しかしこんなにも酷いとはねぇ…」
「改善するのが提督でしょう?がんばりましょうよ」
榛名が答えるが、顔には厳しい表情が張り付いていた。
「そうか…ん?」
武生がため息をつくと同時に机上の電話が鳴った。
着任早々の武生に用のある人間は多くない。
まだ仕事をしていないのだから尚更の事である。
「はい、こちら柱島第五十八泊地長官、『武生 龍城』ですが」
武生が怪訝な顔をして電話に出る。
受話器から飛び出したのは、武生もよく知る男の声だった。
「救援要請!救援要請!こちら鹿屋第一鎮守府長官、『武生 時友』!」
その声を聞くと同時に龍城は硬直した。
受話器から、息を呑む音が聞こえたように思えた。
「お前…時友?」
「兄さん…?」
「そうか!久しぶりやな時友!」
「ほんとやな兄さん!いや、そうじゃないんや!救援要請や!」
「救援要請?一体どういうこっちゃ、言うてみい。」
「鹿屋基地のレーダーが遠征からの帰還途中に襲撃されている艦隊を捉えたんや!地点は尖閣諸島沖東に15km!遠征部隊は軽巡駆逐主体の水雷戦隊に対して敵深海棲艦部隊は空母、戦艦の上位種を含む水上打撃部隊!放っておくと危険な状態や!」
「なんやと!まず、なぜ鹿屋から救援部隊が出えへんのや!」
「こちらは現在新海域を奪還したばかりで体制が整わん!稼働可能な艦娘は軒並み低練度だ!バケツも欠乏していて高速回復も不可能な状態だ。」
「なんちゅうこっちゃ。それでこっちに救援要請を?」
「その通りや。今満足に出撃できる艦娘はおらん」
「…よう分かった。こちらから救援部隊を出す。」
「あんがと。悪いな。兄さんの所だって満足に出撃できる基地の艦娘はおらんのやな。」
「まぁそうだ。だから、今回は『専属』の出番になる。」
「そうか、済まん。兄さんも場合によっては『艤装』出すんやろ?」
「どうしようもなきゃ出さにゃならんやろな」
「分かった、ではまたな、武運を祈るよ。」
「お前に祈られたら沈みそうだな」
笑いながら武生が返して電話を切った。
「あの、時友って誰ですか?」
榛名が怪訝な表情で尋ねてきた。
「あぁ、従兄弟だ。10歳違いで、今は聞いたように提督だな。…出撃準備に入ろう。早く行ってやらねば。」
「分かりました。準備に入ります。」
榛名は答えた後、怪訝な顔になった。
「しかし、提督が「艤装」を出すなら誰か一人は留守番になりますが…」
冷静に尋ねた榛名に武生は苦い顔を向けた。
「そうだった…どうする?俺が行く必要はなさそうか…?」
「いえ、上位種がどの程度か分からない以上出しておいた方が良いのでは…」
「…分かった。さて、誰が残るか。」
その時、鳳翔が小さく声を上げた。
「あの…私なら基地の艦娘の子達に聴けることもあるかもしれませんし、私が残ります。」
鳳翔の声を聞いて武生はしばらく考え込んで、結論を下した。
「分かった。鳳翔はここに残り、基地艦隊の旗艦となれ。出来るならその間に基地艦娘のカウンセリングも頼む。」
「了解致しました。」
「他の五人は出撃用意、出来ているか?」
「完了しました。」
きびきびと答える榛名に頼もしさを感じつつ、武生は号令をかける。
「揃ったな。では、艦隊、出撃!
抜けるような青空の中を6人…もとい6隻が走っていく。
「そろそろ触接が考えられますが。」
赤城が艦隊無線で尋ねてくる。
「分かった。よし、空母は偵察機を発艦!」
「「了解。」」
赤城と翔鶴の声がシンクロする。
そして武生は白い球のような物体と、右手から顕現させた棍棒を持った。
「すまん副長、操艦を渡すぞ。「隼星」を発艦させる。」
「了解。」副長は手に持った小さなモニターから目も離さずに答えた。
海上に武生が立っている。
白い道着に黒い帯。武生が嗜む空手の正装である。
更に、武生と戦艦『能登』の艦魂が武生の体の中で再融合。
戦意を漲らせた『能登』の力が、武生の道着の所々をスパークさせている。実際はスパークは戦闘には影響なく、単なる見た目である。
武生は鉄の棍棒を右手に、球のような物体を左手に持つ。
ふっと左手を空中に舞わせると、その手から白い物体が離れた。
その『球』は左手の与えた力に従って空中に舞い、やがて空中の一点で僅かに静止する。
そこから『球』を落下させるのは、母なる地球がすべてを引き寄せる力『万有引力』。
武生はその『球』の軌道を見てほとんど無意識的にタイミングを計算し、ゆっくりと軸足の右足に体重をかける。
その瞬間、武生は力を一点に爆発させる。
『球』は回転とともに一瞬で加速。凄まじい勢いで海上を翔ぶ。
そして、しばらく高速で飛んだ後、『球』は二つに分裂した。
そこから現れたのは、球の欠片ではなく、水上偵察機「隼星」。
二機編隊を組んだ「隼星」は、『能登』の上空を一周。搭乗員が武生に敬礼した。
武生はそれを手を振って見守る。
雲の彼方へ偵察機が消えるのを見届けた後、武生は再び本隊を追い始めた。
まだ緊張とは程遠い雰囲気の中で、武生はこの艦の副長の妖精に話しかけた。
「なぁ…上位種ってどの程度強いんだ?」
「『すごく』強いですよ?練度の低い艦娘だと間違いなく大破しますね。」
「そうか…電探には?」
「未だ感なし、ですかね」
「いつ来るんだ?そろそろ来てもおかしくない頃合だが…おっ!」
「『隼星』から連絡!敵艦隊及び敵艦載機、並びに味方艦隊発見!」
「来やがったか…全艦に会敵知らせ!」
「対空戦闘用意!主砲弾を対空弾に換装、対空/対潜ミサイルVLSを対空にセット!一番、二番主砲開放用意、ミサイルVLS敵追尾準備開始!」
「敵追尾準備完了しました!」
「良し!機関砲隊、魚雷迎撃用意!」
「魚雷迎撃用意完了しました!」
「主砲開放完了しました!」
「ミサイルVLS、ホーミング可能です!」
「対空弾換装終了しました!」
次々と入ってくる報告を人間状態ではありえないスピードでこなす。
そして、武生は無線機を握った。
(頼む。今しばらく…耐えてくれよ!)
「こちら救援部隊。こちら救援部隊。友軍艦隊、応答を求む。」武生はこの通信をしばらく繰り返した。なるべく早く彼らに救援部隊の存在を知らせ、安心させてやりたい。武生はそう考えた。
呼びかけが10を超えてしばらくすると、友軍艦隊と思われる艦隊から雑音混じりの通信が入り始めた。
「ガッ・・・助け・・」
声の悲痛さからして、切羽詰まっているのが読み取れる。
榛名が必死に呼びかける。
「頑張って!私達が救援部隊よ!もう少し耐えて!」
「ガッ・・・分かっ・・」
航走を続けると、少しずつ雑音は少なくなってきた。そこで、再び武生が無線通信を始める。
「友軍艦隊、聞こえるか。私達が救援部隊だ。よければ所属を教えて欲しい。」
そして、その旗艦からは武生の予想をはるかに上回る答えが返ってきた。
「こちらは・・『柱島第五十八泊地』所属・・・第三艦隊。旗艦・・阿武隈。」
「なっ...『柱島第五十八泊地』所属だと!?」
傍目にも分かる程武生の表情と声が動揺する。
なぜなら、その阿武隈は、憔悴しきっていたからだ。
頬がこけ、目にもくまができている。戦える状態でないのは明らかだった。しかも、殆どの艦娘が大なり小なりダメージを受けている。中には大破し、虫の息で航走している艦娘もいた。
阿武隈がその痩せこけた顔に疑問の相を呈し、武生に問うてくる。
「救援部隊の・・所属を、教えてください。」
武生は逡巡した。
ここで正直に言うべきだろうか。そうなれば『能登』というこの異形の艦についてもある程度説明せねばならない。そうなれば、自分が新しい提督であることも覚られてしまうだろう。そして、『柱島第五十八泊地』の艦娘が、『提督』と聞いても────
────自分達を信用してくれるだろうか。
武生は懐疑的だった。自分なら信用できない。
自分の事を提督だと信じてくれないならまだいい。しかし、阿武隈以下遠征部隊の艦娘が、救援部隊の存在自体を信用せず絶望してしまえば、どうなるか。
自暴自棄になった艦娘は、思わぬ行動に出るかもしれない。自沈などの行為に出ないという保証はどこにもないのだ。そうなれば、助けられる可能性は限りなく低くなる。
しかし、言わない事には救援部隊の存在を信じさせるチャンスすらない。
武生は覚悟を決めた。
「『柱島第五十八泊地』所属、戦艦『能登』以下5隻だ。貴隊を救援に来た。全速力をもってここから離脱してくれ。」
武生が命じ、阿武隈以下の遠征部隊の表情が驚愕に染まる。
「嘘…今まで1度も、救援なんか来なかったのに、どうして、どうしてなのよ…」
呆然としている阿武隈に、武生は更に答えた。
「戦艦『能登』は、『柱島第五十八泊地』の提督だ。君達がいない間に、僕はこちらに赴任した。さぁ、早く!基地に戻るんだ!」
「嘘だ!」
誰かの叫び声に武生は首を向けた。
「お前らはいつも嘘だ…お前たちは、曙を、朧を…!私の姉や妹を、沈めたんだ!人間なんて、味方なんて…嘘だ!お前らは、敵だ!」
悲しみに染まった声で、駆逐艦「潮」が叫ぶ。
武生はその声に、自分の心臓が抉られるような痛みを感じた。
何も言えない。言えるわけがない。立っているのも辛いほどに、言葉が突き刺さる。
それでも、武生は表情を変えないように努力しつつ、再び命じた。
「戻れ!今は信じてくれなくとも構わない!全速力で、基地へ!戻れ!戻るんだ!」
「全速力なんて…資材を放棄しないと出せません。資材を放棄してしまえば、再び罰される…!」
「それでも!それでも命を守れ!資材など気にするな!全て投棄しろ!犬死するな!戻れ!」
「今だけは、今だけは…あなたを信じます。行きましょう、潮も」
「っ…分かった…」
ゆっくりと、遠征部隊が戻っていく。やがて遠征部隊は、泊地へ向かう水平線の彼方へ消えた。
大きく息をついた武生に副長が淡々と伝える。
「敵艦載機との距離、150km、後10分で会敵」
「了解。奴等は一度退避したのだろうか?この距離から襲撃するのは不可能だと思うが」
「多分友軍艦隊を見失ったのでしょう。奴らにしてはどんくさいですな。」
そう副長が返した後に暫しの静寂が空間を支配した。
つい先程まではのんびりとした表情だった副長の顔は、今や声をかけるのもはばかられる程に引き締まっている。
「敵機視認!」
見張り妖精から報告が入った。
「了解。各艦は十分な距離に近づいたと判断した時点で、自己裁量により対空戦闘を開始せよ。」
「各艦了解です。」
「副長。敵艦載機との距離は?」
「距離…80km。そろそろですな。」
「良し…30秒後に対空戦闘を開始する。対空戦闘用意最終確認!」
「確認良し。提督、問題ありません。」
「了解。さぁ、やってやろうじゃねぇか、パーティーの始まりだ。」
「榛名、10秒後に対空戦闘開始します。」
「霧島、15秒後に対空戦闘開始します。」
「赤城、機関砲隊準備完了、敵機からの回避起動を必要に応じ行います。」
「愛宕、10秒後に対空戦闘開始します。」
「翔鶴、赤城と同じく機関砲隊準備完了です。」
「山城、瑞雲を発艦させます。総勢22機の若鷲、さぁ、やっておしまい!」
「了解。戦艦『能登』、10秒後に対空戦闘を開始する。」
「「「全門解放!一斉射、てぇぇぇぇぇぇっ!!!!」」」
榛名、愛宕、霧島が同時に主砲と副砲を斉射する。
銀色の点のような敵艦載機は、3分の1程が散ったものの、残りはそのまま突撃を止めない。
「『能登』、敵艦載機3分の1の撃破を確認。対空戦闘開始。」
武生は淡々と報告し、命令を告げた。
「全門開放!一斉射!目標、敵艦載機!ミサイルVLSハッチ全開放!ミサイル発射用意!」
「全門開放完了!いつでも殺れます!」
副長の叫ぶような報告を聞いて武生は更に絶叫する。
「全門!撃てぇぇぇぇぇっ!」
暖かい空気を切り裂くような轟音が辺り一帯に響き渡る。
主兵装の61.0cm砲60口径2基6門、56.0cm砲65口径2基6門、更に副砲の20.3cm砲70口径6基24門、そしてミサイルVLS25基から一斉に砲弾や誘導弾がすっ飛んでいく。
その多くは敵艦載機の大編隊の真っ只中で大爆発を起こした。
次々と艦載機が消滅する。
武生の兵器は敵艦載機や敵艦の「撃破」ではなく「滅殺」を引き起こした。
「艦長、敵艦載機編隊壊滅!残り50機!」
「よし、対空パルスレーザー、機関砲発射用意。残りは近距離で消そう。」
一瞬の安堵…と思った途端、榛名の悲鳴に似た声が通信機を震わせた。
「提督!敵大艦隊発見!戦艦7、正規空母5、軽空母10、重巡10、軽巡20、駆逐艦30以上!」
「なっ!?多過ぎるぞ…」
武生が目を剥いて呟く。
10倍、15倍以上の敵が迫ってきているのだ。武生は帰還できてもほかの艦娘が大破、最悪の場合撃沈する事だって考えられる。
(仕方ない…こうなったら奴を呼ぶしかないか…)
ほんの数瞬黙考した後武生は副長に命じた。
「副長、鹿屋第一に繋げ。大至急だ。」
「…?了解しました。」
「頼むぞ。」
それから数秒後、副長が受話器を持って近づいてきた。
「繋がりました。艦の指揮は私が代わっておきます。」
「頼んだ。」
そのまま受話器を引っ掴んで話す。
「おい、時友か?」
「えっ?あぁ、そうだよ?」
「ちょっとややこしい事になった。今すぐ来てくれるか?」
「どうなったのさ。あぁ…尖閣付近やな?」
「ご名答。敵の大艦隊に遭遇した。遠征部隊は既に避退させたのでそっちの心配はない。単艦なら何とかなるかも知れんが5隻引き連れている、あいつらが撃沈するのは敵わんからな。増援に来い。必ずやぞ。」
「了解。まぁあれや、「期待しないで待ってて」くれよ?鹿屋とはいえ遠いんやから。フルスロットルかましても5時間は後やで?」
「それでも良いから来てくれ。無いよりは数倍マシというもんだ。」
「了解。すぐ向かう。切るぞ?」
「おう。急いでくれよ?じゃ」
受話器を架台に戻しすぐに告げる。
「副長、ありがとう。増援の手配をしてきた。戦況は?」
「軽巡と駆逐艦を5隻ずつくらいは叩き潰しましたが…あいにく上位種が多過ぎますね。」
「そうか…僚艦は?」
「まだ小破艦も出ていません。ノーダメージかカスダメってとこですかね。」
「了解。敵艦隊との距離は?」
「もうそろそろ射程内です。残り…15km。もう当たりますよ?」
「良し、そこまで来たなら撃とうか…全砲門、対艦徹甲弾装填開始。残り2分で済ませ。」
「全門了解。装填開始、30秒後完了予定。」
「よろしい。装填を急げ。」最後の一言は特に必要ない事は武生にも分かっていた。
副長がレーダーを覗き込み報告してきた。
「敵艦載機第2波発艦。射程内に入るまで後15分。」
「それなら先に空母をぶっ殺して家を無くしてやった方が良いか。」
「そうですな。その後近距離機銃とパルスで吹き飛ばしましょう。」
「全門対艦対地弾装填完了!照準補正、敵艦追尾開始します!」
「了解。各砲塔の自己裁量において射程内に入った敵艦に発砲しこれを撃滅…いや、抹殺せよ。」武生は敢えてどぎつい言葉を使った。
「各砲塔了解。」
「さぁ、そろそろだな。」
「ですな。まぁ、そんなに時間はかからないのでは?」
「そうあって欲しいね。」
「射程内に敵艦が入りました。第二、第三砲塔照準補正。10秒後に発射、対艦戦闘開始します。」
「第一、第四砲塔照準補正。15秒後に発射、対艦戦闘開始します。」
「全副砲塔、パルスレーザー、機関砲未だ敵艦射程内に入りません。適宜対艦戦闘、敵弾迎撃開始します。」
「了解。」
「56.0cm砲、全門開放!一斉射、撃てぇぇぇぇぇっ!!」
「61.0cm砲、全門開放!一斉射、撃てぇぇぇぇぇっ!!」
まずは56.0cm砲が、そして61.0cm砲が続いて発射される。
鉄の大雨が、凄まじい速さで敵艦に吸い込まれていった。
数瞬遅れて後、敵艦隊の真っ只中で主砲弾が炸裂し、敵艦が次々と崩壊していった。
真っ赤な血に染め上げられた深海棲艦が望見できる。そのほとんどが体を引き裂かれ、臓器を晒している。武生はその光景にも眉一つ動かさない。
「艦長、敵重巡2、敵軽空母2、敵正規空母3撃沈!」
「まぁ、そんなもんか。」
「提督、敵正規空母撤退していきます!」
榛名からの報告に武生は耳を疑った。
「本当か?戦艦隊は?」
「本当です!ただし、戦艦隊は残留、輪形陣をとっています!」
「よし、これで制空権はとったな。しかし、なぜ撤退したんだ…?」
誰にともなく発せられた武生の呟きに副長が返した。
「分かりませんよ。とりあえず今は倒せるだけ倒さないと。」
「そうだな。」
少しの間の静寂を榛名の叫びが吹き飛ばした。
「提督、巨大な敵影を発見!巨大なノイズが併せて観測されました!少なくとも戦艦以上!レ級改超フラグシップかも知れません!」
「なっ…レ級改超フラグシップ!?聞いたこともないぞ!」
「分かりません!ただ…」
「ただ、なんだ?」
「深海棲艦にしては速すぎます。速力はざっと50ノット!」
「…ッ!?榛名、今すぐ残りの4隻を連れて撤退しろ!俺はここに残る!」
「なぜ!あれは何なのですか!?」
(まさか…!俺の『艦』としての記憶が正しいなら…そいつは深海棲艦じゃない!)
「榛名、よく聞け。あいつは深海棲艦じゃない。あいつは…深海棲艦よりも格段に強い、『超兵器』だ。連合軍南遣艦隊旗艦、『インテゲルタイラント』だ。あるいはその深海棲艦版なのかもしれん。速力は50ノット、大量の誘導砲を積んでいる。46センチ砲に匹敵する威力だから、艦娘が被弾すればただでは済まない。すぐに撤退するんだ。」
「…仕方ないですね…必ず帰ってきてくださいよ?」
「もちろんだ…ッ!?」
「艦長、誘導弾飛来!この軌道では、榛名、赤城に直撃します!」
「くっ…ならっ…!」
それと同時に武生は近くにいた榛名を抱きかかえたまま海面から跳んだ。
「赤城!済まない!」
その声で赤城が振り向く。
その胸に武生は飛び込んで、赤城をかばいつつ海面に押し倒した。
その瞬間、武生、もとい戦艦「能登」の背中の上で誘導弾が炸裂する。
しかし、武生はそれを全て防御重力場で跳ね返した。ダメージはごく軽微。何の支障も及ぼさない。
武生はすぐに立ち上がって榛名と赤城を解放する。
「す、済まん…」
「い、いえ、榛名は大丈夫です!」
「榛名、これで分かってくれたな?今すぐ残りの4隻を連れて撤退してくれ。」
「……必ず帰ってきてくださいよ?約束です。」
「分かった。必ず帰る。急いで!」
「はい!」
「武運を祈る。」
そのまま武生は榛名たちを見送って、副長に命じた。
「全速前進。真っ向勝負だ。」
三部構成くらいになります(フラグ)
ガ、ガンバリマス(白目)