ポケの細道   作:柴猫侍

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第三十話 街中でローラースケートとかの類はお止し!

 

 

「がんばれー! お兄ちゃん!」

 

 観戦席では、ユリーカが大声で挑戦者と相対している兄のことを応援していた。兄はまだジムリーダーの中でも新人に当たるが、それでもユリーカは自分の兄がジムリーダーという誇り高い役職に就いていることを凄い事と考えている。

 彼女がジムリーダーの本質というものを理解しているかどうかは分からないが、『兄が強い』ということだけでは把握していた。

 だからこそ、強い=負けないという方程式が彼女の頭の中に浮かび、トレーナーでもない自分ができないことを精一杯してあげようと、腹から声を出して声援を送っていたのである。

 

 そんな妹の声援を背に受けながら、シトロンは挑戦者であるライトを見据えていた。先程のエレザードとストライクのバトルを見る限り、既にエレザードの体力は限界まで減っている筈。

 しかしそれは相手も同じ。となると、このエモンガでフィールド上に佇まっているヒトカゲを倒すのがベスト。

 

「ここは先手必勝です! “でんこうせっか”!」

 

 一通りの流れを思い浮かべたところで、シトロンは“でんこうせっか”を指示する。次の瞬間、エモンガは宙に飛んでから皮膜を広げ、風のようにヒトカゲに突進していった。

 自分の下へと突進してくるエモンガに対し、ヒトカゲは視線を鋭くして身構える。

 

「“ドラゴンクロー!」

「グァウ!」

 

 直後、ヒトカゲの右手にエメラルドグリーン色のエネルギーが現れ、鋭い三本爪の形に変貌した。

 そのままヒトカゲは、滑空してくるエモンガに“ドラゴンクロー”を振りかざす。

 

「エモンガ、ブレーキです!」

「エモッ!」

 

 次の瞬間、エモンガはグッと身をのけ反らし風を受け止めた。すると先程までの勢いが一気に失われ、エモンガはそのまま宙をフワリと漂う。

 それに対しヒトカゲは、“でんこうせっか”でやって来る所を叩きのめそうと予測したタイミングで腕を振るった為、減速したエモンガに当たる事はなく空振りしてしまった。

 焦るライトとヒトカゲ。シトロンは眼鏡を指で押し上げ、鋭い眼光でフィールドを眺めて状況把握に努める。

 

「今です! “スパーク”!」

「エッモ!」

「カゲッ!?」

 

 文字通りスパークを纏ったエモンガは空中で一回転し、その勢いで攻撃を空ぶって無防備になっているヒトカゲに滑空してゆき、胴体に突撃した。

 電気を纏うエモンガに突撃されたヒトカゲは、身体中に電撃が奔り苦悶の表情を浮かべる。

 そのままフィールドを滑るが、何とか膝をつかずに立ち続けていた。

 

「ヒトカゲ、大丈夫!?」

「ッ……ガウッ!」

 

予想外の行動に一本取られたと苦心に満ちた表情を浮かべながら、パートナーの状態を確かめるライト。グッと拳を握ってみせるヒトカゲであるが、強がりであることは見れば分かる。

 ライトのヒトカゲは度胸もあれば、バトルの状況を冷静に判断できるような胆力も兼ね備えていた。しかし、そんなヒトカゲに圧倒的に足りないのは、実戦経験。つまり、レベルが足りないということだ。

 

(僕が突破口を開かないと……!)

 

 そんなパートナーの為に自分が何とかしようと試みるライトは、フィールド上で『してやった』という顔を浮かべているエモンガを観察する。

 可愛らしい顔立ちなだけあって、そのような顔は憎たらしいとさえ思えてしまう。

 

(……今は、フィールドの上に立ってる……)

 

 ふと、とあることに気が付く。

 先程の一連の流れは、エモンガが飛んでいたからこそできていた芸当だ。ならば、もし地上でのインファイトになった場合、軍配はどちらにあがるのだろうか。

 エモンガの皮膜を見る限り、あのポケモンはどちらかと言えば空中戦に特化しているポケモンなのだろう。それも、周囲に木々がある森林の中などが一番の得意とする筈。

 

(オタチとかがそうだ……でも、このフィールドにはそんな障害物は全然ない!)

 

 ジョウトに多く生息しているオタチというポケモンも、腕と体の間に皮膜があって、時折木々の間を滑空する姿を望むことができる。

 しかし、生憎このフィールドには飛び移れるような物体は一切ない。

 エモンガをオタチと重ねて考えるのであれば、エモンガは短距離の滑空で相手を攪乱する種族であると思われる。

 とすると、鳥ポケモンのように自由自在に空中を飛び回れる訳ではなく、あくまで自分で風の流れを感じ取って、少しずつ調整しながら滑空することしかできない。

 

(なら……風の流れを変えればいいんだ!)

 

―――光明が見え始めた

 

「ヒトカゲ! エモンガの足元に“ひのこ”!」

 

 即断即行。

 その言葉を体現するかのようにヒトカゲに指示を出すライト。ヒトカゲも主人の指示に従い、自分の尻尾を振るって火の粉をエモンガの足元に繰り出した。

 

「飛んで躱してください!」

「エモゥ!」

(よし……――!)

 

 フィールドの鉄が赤くなるほどの“ひのこ”を大きく飛び上がって躱したエモンガは、フィールドの上を滑空している。

 見上げるヒトカゲは、室内の灯りによる逆光で眩しそうに目を細くしていた。それはライトもシトロンも同じであったが、ライトにしてみればヒトカゲとエモンガの距離が分かれば―――。

 

(―――充分なんだ!)

「ヒトカゲ、“がんせきふうじ”を自分の周りに準備!」

「グァウ!」

「なッ……【いわ】タイプの技を覚えていたとは!?」

 

 突如、ヒトカゲの周囲に次々と人の頭程の大きさの岩が浮かび始める。効果抜群のサブウェポンを覚えていたヒトカゲに対し、シトロンはやや動揺の色を浮かべるものの、予測範囲内と言えば予測範囲内の出来事。

 【でんき】タイプのジムである以上、【じめん】タイプのポケモンで挑んでくる者が多く、【じめん】タイプのポケモンには、サブウェポンとして【いわ】を覚えているポケモンが多いのだ。

 

(ですが、まだ技を習得して日が浅いと見た……慣れていない技では、僕のエモンガを捉える切ることはできない筈!)

「畳み掛けますよ、エモンガ! “でんこうせっか”で攪乱して下さい!」

「エッモォ!」

 

 次の瞬間、エモンガはヒトカゲの周りを周回するように滑空し始める。先制技であるが故の凄まじい動きで周回するエモンガに、忙しなく目を動かすヒトカゲ。

 だがライトは笑みを浮かべ、ヒトカゲも焦った様子は見せない。

 

(この動きはハクダンジムでも見た……そうでしょ?)

 

―――コクン

 

 主人の瞳を見つめ、無言のまま頷くヒトカゲ。

 それが意味するとことは、二人の考えていることが同じという事だ。ライトが考えていたことは、先日のハクダンジムでのバトル。

 ビオラのアメタマは、“でんこうせっか”でヒトカゲを“えんまく”で包み込もうとした。

 

 シトロンの予測範囲外であったのは、まさにその戦法だ。奇しくも、ビオラとシトロンの行ったヒトカゲへの戦法は、“でんこうせっか”で攪乱とするという似通ったものであったのである。

 そのようなことは露知らず、シトロンはエモンガに指示を出す。

 

「突撃して下さい!」

「エモォ!」

「一つずつ岩を投げつけて!」

「グァウ!」

 

 “でんこうせっか”で突撃してくるエモンガに対し、ライトはヒトカゲに岩を一つずつ投げる様に指示した。

 その指示通り、ヒトカゲは周囲に浮かべた岩を投げつける。

 だが、エモンガは皮膜で上手く風を受け、“がんせきふうじ”を確実に回避していく。次々と素早い動きで回避していくエモンガは、あっという間にヒトカゲの前までやって来る。

 そして―――。

 

「エモンガ、“スパーク”です!」

「今だ!()()()()()()“がんせきふうじ”!」

「なッ……!?」

 

 電光を纏って突撃してくるエモンガを見据えたまま、ヒトカゲは周囲に浮かべていた岩石を城壁のように己の周りに落とした。その光景に、シトロンは思わず驚きの声を漏らす。

 まだ未進化であるヒトカゲの繰り出す“がんせきふうじ”は、【いわ】タイプのポケモンが繰り出すものより見た目は劣るものの、ライトの指示通りに動かす程度には扱えている。

 そんな“がんせきふうじ”は、フィールドに落下した際に周りに強めの風を巻き起こした。

 

「エモォ!?」

 

 今まで風が全く吹いていなかったフィールドに起きた風圧にエモンガは、思いもよらぬ風を皮膜に受けて体勢を崩し、慌てふためく。

 

「ヒトカゲ、今がチャンスだよ!突っ込んで!“ドラゴ……――!」

 

 自分の周りに積み上げられている岩石を足蹴に、ヒトカゲは体勢を崩しているエモンガに飛び掛かっていった。

 その際“ドラゴンクロー”を指示しようとしたライトであったが、ふと、ヒトカゲの口腔にエネルギーのようなものが収束していることに気が付く。

 

(あれは……!)

 

 かつて、ポケモンバトルの番組で見たことのある技に、ライトの指示は一瞬止まる。

 そして“ドラゴンクロー”の代わりにライトは、たった今ヒトカゲが覚えたであろう技名を口に出した。

 

「―――“りゅうのいかり”!」

 

 直後、飛び掛かっていくヒトカゲの口腔から、オレンジ色の光球が解き放たれた。炎ではないエネルギーが圧縮された光球は、体勢を崩しているエモンガに一直線に飛んでいく。

 

「エ、エモッ!?」

 

 “りゅうのいかり”がエモンガに衝突し、爆音と衝撃を周囲に伝えて、大気を震わせる。爆発によって発生した煙によってエモンガの姿は見えなくなるが、次の瞬間、煙の中から力なくフィールドに落下していく影が全員の瞳に映った。

 

「エモォ~……」

「エモンガ、戦闘不能」

「っしゃ! やったね、ヒトカ……ゲ?」

 

 見事、エモンガを下したヒトカゲに激励を送ろうとしたライトであったが、ヒトカゲの様子がおかしいことに気が付く。

 寒くない筈であるにも拘わらず、その身をブルブルと震わせていた。

 

「グ……グァアアアア!!」

 

 次の瞬間、ヒトカゲの体が煌びやかな光に包み込まれていき、次第にその小さな体の形を変貌させていくではないか。

 小さかった体躯は徐々に肥大化してゆき、後頭部には一本角が生え、小さかった腕にも巨大な爪が生える。

 そして、自らを包み込む光を掻き消すように、そのポケモンは鋭い爪を大きく振るった。

 

「リザアアアアアアッ!!!」

「「「し……進化した!!?」」」

 

 光が掻き消えると、橙色であった皮膚は紅蓮に変色したのを望むことができ、尻尾の先に点っている炎もヒトカゲとは段違いに燃え盛っていた。

 思わず声をそろえて驚く三人であったが、正気に戻ったライトはポケットから図鑑を取り出し、詳細を画面に映し出す。

 

『リザード。かえんポケモン。鋭い爪で容赦なく叩きのめす。強敵と向かい合うと気分が高まり、尻尾の炎が青白く燃え上がる』

「す……凄い!リザードだァ!」

「この場面で進化するなんて……完全に予想外です……!」

「わぁ~! 進化する場面なんて初めてみたァ~!!」

 

 進化した自分のパートナーの興奮するライトと、彼に違わぬ程に興奮しているユリーカ。この中で唯一シトロンは、リザードを見て苦虫を噛んだかのような顔を浮かべている。

 エモンガが倒された今、シトロンの手持ちに残っているのはストライクとの戦闘で疲弊したエレザードのみ。

 進化したばかりで興奮状態のリザードは、尻尾の先の炎を轟々と燃え盛らせている。シトロンの所持しているエレザードの特性は“かんそうはだ”であり、【みず】タイプの攻撃を受けると体力を回復するが、【ほのお】タイプの攻撃を受けてしまうと通常の倍のダメージを受けてしまう。そんな相性の悪いリザードを倒したとして、果たして後続のストライクを倒せるかどうか。

 【まひ】状態にしているものの、“かわらわり”を喰らって疲弊しきっているエレザードで倒せるか―――。

 

「……色々考えても仕方ないですね。ジムリーダーの僕は、全力で挑戦者の君と相対すのみ! エレザード! 頼みますよ!」

「エッザァ!」

 

 ボールを投げると、中から再びエレザードを繰り出す。

 やや疲弊した顔を覗かせるものの、闘志は充分といった瞳を主のシトロンに投げかける。

 

(……ふふッ、僕はちょっと弱気になっちゃっていたかもですね)

 

 パートナーの瞳を見たシトロンは、先程の自分を反省し、フィールドの上で佇んでいるリザードを見据える。

 

「行きますよ、エレザード! “ドラゴンテール”ッ!!」

「リザード! “ドラゴンクロー”だァッ!!」

 

 互いにパートナーに指示を出す。すぐさまポケモン達は、尻尾や爪にエネルギーを纏わせながらフィールドを駆け、肉迫していく。

 

 

 

 

「リザアアアアアアッ!!」

「エレザアアアアアッ!!」

 

 

 

 

 交錯は一瞬。

 技を繰り出した音が室内に響き渡り、フィールド上は静寂に包まれる。

 ライトやシトロンのみならず、観戦しているユリーカでさえも余りの緊張感に息を忘れ、茫然とリザードとエレザードを見つめていた。

 ずっとこのままではないかと思われた次の瞬間、エレザードの尾に纏うエネルギーが弾け飛び、そのままエレザードはフィールド上にうつ伏せに崩れ落ちてしまう。

 

「ザァ~……」

「エレザード、戦闘不能。勝者ハ、挑戦者ライト」

「……お疲れ様です、エレザード」

 

 ボールをかざし、瀕死になったエレザードを戻すシトロンの顔はにこやかで、どこか晴々としているものであった。

 エレザードの入っているボールを見つめ『ゆっくり休んでください』と呟いた後、シトロンは視線を上げ、フィールドの上で抱き合うライトとリザード。

 ギャラドス以来、久し振りに自分の手持ちの進化に立ち会ったライトは感極まり、目尻に涙を浮かべている。対してリザードはクールながらも、主の歓びを分かち合う様に穏やかな笑みを浮かべていた。

 

 そんな彼等に歩み寄るシトロンは、ツナギのポケットの中に準備しておいた物を取り出し、抱き合う二人に差し出す。

 逆三角形に稲妻を模ったような線が三本重なる黄色いバッジ。

 

「これを……僕に勝った証の『ボルテージバッジ』です。受け取って下さい!」

「わぁ……ありがとうございます!」

 

 シトロンからボルテージバッジを受け取ったライトは、隣に居るリザードと共にその輝きを一通り堪能してから、バッジケースの中へと仕舞う。

 ストライクには申し訳ないが、彼には後でポケモンセンターに連れていって回復してから見せようと考えたライト。

 

「あ~あ……お兄ちゃん、残念だったね」

「いいんですよ、ユリーカ。僕達ジムリーダーはトレーナーの実力を測る存在でもありますが、同時に僕達自身も挑戦者なんです。ジムリーダーもまた、挑戦者の方々から多くのことを学んでいくんですよ」

 

 兄が負けたことにやや不服そうな顔を見せていたユリーカであったが、シトロンの言葉に納得したかのように満点の笑みを見せた。

 

「ん~……そっか! ライトお兄ちゃん、今日はアリガトね!」

「ううん! 僕こそありがとね、ユリーカちゃん!」

「他のジムでも頑張ってね!」

「うん、頑張るよ!」

 

 年端もいかぬ少女の激励に、ライトも満面の笑みを返す。

 しかし、突然ユリーカは両手の人差し指をツンツンとしながら、何か言いたげにそうに上目使いでライトを見つめる。

 

「あの……」

「ん? どうしたの?」

「イーブイ、触ってみてもいい?」

「ブイ?」

 

 自分の名前を呼ばれたイーブイは、何時の間にかに入っていたライトのフードの中からピョコっと顔を出し、ユリーカと目を合わせる。

 短い間の印象であるが、ユリーカは天真爛漫な女の子だ。可愛いものには目が無い年頃なのだろう。

 それを察したライトは、フードの中からイーブイを抱き上げ、ユリーカの前に差し出す。

 

「はい!優しく撫でてあげてね!」

「ッ、わあ~!ありがとう!カワイイ~!」

「ブイ~……」

 

 触る許可を貰ったユリーカはすぐさまイーブイの頭を撫で始める。撫でられるイーブイは気持ちよさそうに目を細め、為されるがままにユリーカの手を受け入れていた。

 この後、イーブイはかれこれ十分ほど撫でまわされるのであったが、それはまた別の話。

 

 

 

 ライト、ボルテージバッジ獲得。

 

 

 

 ***

 

 

 

「っく~……よし! バッジ二個ゲットだ!」

「ブイ!」

 

 僕は背伸びをしながら、さっきのバトルの結果をもう一度口にした。イーブイも元気よく応えてくれる。

 まだイーブイはバトルしたことはないけれど、皆のバトルを観戦してるから、頭の中ではイメージとかはできているのかな?

 まあそれは今度、野生のポケモンとのバトルとかで確かめるとして……。

 

「わああああ!? 君、危な―――いッ!!」

「え……―――って、ヴェアアアア!?」

 

 イッタイ!? っていうか、急すぎて変な声出ちゃったんだけど!

 角に差し掛かったトコで人と激突して、そのまま吹き飛ばされる。確かフードの中にイーブイが居たけど、大丈夫かな!?

 そんなことを思いながら倒れたら、頭にイーブイが『ポフッ』と落下してきた。

 

「ブイ!」

「……元気そうだね、イーブイ」

「ご、ゴメンなさい!!大丈夫!?」

 

 頭にイーブイを乗せてミアレの歩道に倒れている僕に、ぶつかってきた人が謝りながら手を差し伸べてきた。

 声の高さから考えると女の子かな?

 そんなことを考えながら視線を上に移すと、案の定女の子が手を差し伸べていた。凄いボリュームのある金髪を後頭部で纏めて、額からは一房その金髪を垂らしている。

 赤いフレームのサングラスを額に乗せてる女の子は、動きやすそうな白と赤の半袖に、スカートを穿きつつ、膝上ぐらいまであるスパッツも穿いていた。

 活発そうな子。靴を見る限り、ローラースケートでもしてたのかな?

 そんなことを思いながら、差し伸ばされる手を取って立ち上がる。

 

「あ、ありがとう……」

「ホントにごめんなさい! 怪我ない!? 念のため、ポケモンセンターに行ってジョーイさんに……!」

「大丈夫だよ。ジム戦が終わって、ちょうどこれからポケモンセンターに行くところだったから……」

 

 怪我はないとは思うんだけど、舗装されてる地面に思いっきり倒れたから、身体は痛む。でもそんな心配されるほどじゃないと思う。

 でも、本当に申し訳なさそうな目で見てくる女の子に、断るのもこっちが申し訳なくなってくるほどだ。

 って言うか、ぶつかって僕だけ倒れるってどういうことなの?なんか自分が情けなくなってくる……。

 

「なら、あたしも付いていくよ! あたしの不注意で怪我しちゃってたら……!」

「わ、分かったよ。僕はライト。君は?」

 

 このまま引き下がってはくれない雰囲気を醸し出していたので、僕は素直について来てもらうことにした。

 僕が自己紹介すると、女の子は申し訳なさそうな色を残しながらも、笑みを浮かべて自己紹介してくれる。

 

 

 

「よろしく、ライト! あたしはコルニ!」

 

 

 

 

 


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