ポケの細道   作:柴猫侍

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第三十二話 マジだから。リアルガチだから。

 

 

「ライト、おっはよ――――ッ!」

「……おはよ」

 

 耳元で響くコルニの声に反応して起きるライト。昨日はコボクタウンまで着かなかった為、旅を続ける二人は野宿することになった。

 持参していた各自の寝袋で寝ていたのだが、流石に次の街では持ち運びが簡単なテントの購入を決意するライト。寝袋だけでは、気温の下がった夜では暖をとり辛いのが理由だ。

 

 そんなことを思いつつポケギアで時間を確認してみると、まだ朝の四時。普段のコルニは一体どういった生活をしていたのだろうかと疑問になってくるが、早起きは三文の徳とも言うと自分に言い聞かせ、ライトは寝袋から出てそれを畳み始める。

 寝ぼけたまま辺りを一瞥すると、まだ日が昇り切らない薄暗い空が広がっており、東の方に目を向けると僅かに太陽の光が顔を覗かせていた。

 

「……うん。いい天気……ふわぁ……」

 

 欠伸をしながら今度はコルニに目を向ける。彼女はルカリオと昨日捕まえたヤンチャムと共に、ラジオ体操をしていた。

 朝から元気だなと思いながら、自分と同じ寝袋の中で寝ていたイーブイを抱き上げる。『まだ眠い』と言わんばかりに口をむにゃむにゃさせているが、それも仕方がないと考えながら、ショルダーバッグの中に入っているブルーシートを広げ、淡々と朝食の準備を始めるライト。

 

 すると、そんなライトにコルニが『そう言えば』と話しかけてきた。

 

「ライトのリザード、すっごい早起きだね! もうみんなのお湯沸かしてるし……」

「……ふぇ?」

 

 細めた目で辺りを見渡すと、何時ぞやの自分の尻尾の炎でポッドを炙るポケモンの姿が―――。

 

「……ホント、誰に似たんだろう……?」

「グァウ」

 

 昨日進化したばかりのパートナー。

 しかし、中身は以前と全く違いはなかった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 ポケモン図鑑には、その地域の生息ポケモンを調べ上げることができる。だがそれはあくまで、『大体』といった程度であり、未だ確認されていない種もその地域に生息している可能性もあるのだ。

 だが、余り多く語った所で仕方がない為、この話は割愛する。

 

 辺りを見渡すライトの目には、カントーやジョウトでも見たことのあるドードーやケーシィなどのポケモンが映っている。他にも、トリミアンやメェークルなどのミアレシティでも見かけたことのあるポケモンが野生として暮らしていた。

 

「くぅ~! カロスは花が多くて綺麗だね! なんか、歩いてるだけでいい匂いが漂ってくるし!」

「だよね! ミアレとかは凄い都会なのに、こうしてすぐ近くに大自然が広がってるって素敵じゃない?」

 

 背伸びをして肺一杯に辺りの空気を吸いこむライト。鼻腔を優しく撫でる花の香りは、嗅ぐ者の心を穏やかにしてくれることであろう。その一方で、花粉症の人は大変だろうな、とも思いながら。

 自分の住んでいる地方を褒められて喜ぶコルニは、満面の笑みで腕を大きく広げ、大自然があることをアピールしている。

 

―――だったが、そんな二人の雰囲気に水を差す出来事が。

 

 地響きのような震動と音が二人に伝わり、何事かと周囲を見渡す二人。近くで戯れていた野生のポケモンも地響きに驚いたのか、その場から大急ぎで逃げていく。

 数秒続く地響きであったが、とうとうその正体が二人の前に姿を現した。

 

「ズルッ!」 「ズルッグ!」 「ズルズッ!」 「ズギャ!」 「ズギュウ!」 「ズルズ……」 「ズルッ!」 「ズゥ!」

 

「……あれ……何?」

「ちょっと待ってね」

 

 自分達の方に向かって走ってくるダブダブのズボンを穿いているような蜥蜴のポケモン達に、ライトはすぐさま図鑑をかざした。

 

『ズルッグ。だっぴポケモン。視線の合った相手にいきなり頭突きをしかける。とても硬い頭蓋骨を持つ』

『ズルズキン。あくとうポケモン。縄張りに入ってきた相手を集団でたたきのめす。口から酸性の体液を飛ばす』

「へぇ~……集団で相手を叩きのめ」

 

 図鑑の説明を読み進めていたライトの口が止まる。

 

―――縄張りに入ってきた相手を集団でたたきのめす。

 

「……まさか」

「あたしたちを……!?」

「ズルゥ~~!!!」

「「襲いに来た~~!!?」」

 

 凄まじい剣幕で突撃してくるズルッグとズルズキン達に、ライトとコルニは顔面蒼白のまま来た方向を逆に走ってゆく。

 このままではミアレの方に向かってしまうが、そうしなければ図鑑に書いてある通りに硬い頭蓋骨での頭突きを喰らってしまう事になるだろう。

 

「きゃああああ!?」

「くッ……リザード、“えんまく”!」

「グァウ!」

 

 半ば混乱状態で逃げていく二人であったが、ライトは咄嗟の判断でリザードを繰り出し、“えんまく”を指示した。

 逞しくなったリザードは、進化に伴って大きくなった口腔から膨大な黒煙を吐き出し、一気に視界を悪化させていく。

 これで十分目くらましになっただろうと考えたライトは、リザードをボールに戻した後に、コルニの手を引いて近くにあった草の影に隠れる。

 

「ズルッ!?」

「ズギャ!」

「ズ~!」

 

 縄張りに侵入してきた人間を取りのがしたズルッグ達は、相手を探すようにでも話し合っているのだろうか。

 だが、一先ず撒けたとホッと一息吐く二人。

 

「(た、助かった~……)」

「(ホント……ありがとう、ライト)」

「(いやぁ~……助かったぜ、マジで)」

「(ホントにそうですね……って誰ですか?)」

「(ん? ……あッ)」

 

 生い茂る草の影に隠れる二人に馴染む様に身を隠している一人の成人男性。黒い革ジャンに青いジーンズ。前髪を一部分だけ残し他は剃り、残った部分を深緑に染めているガラの悪い男性は、掛けている眼鏡の奥の瞳で逃げ込んできた二人を眺めていた。

 『この人誰?』と見合う二人であったが、先に男の方から二人に自己紹介を始めてくる。

 

「(俺はコボクタウンに住んでる『クロケア』って言うんだ、マジで)」

「(いや、マジも何も……そうなんですか?)」

「(ホントだ、マジで)」

 

 何やらやたら語尾に『マジで』を付けるクロケアという男に、ライトは若干引き攣った笑みを浮かべる。

 するとコルニが身を乗り出して、クロケアに対して問いかけ始めた。

 

「(あの……どうして此処に?)」

「(お前らと大体一緒の理由だ。散歩がてらに街を出たと思えば、縄張りを作ってやがったズルズキン達のグループに追われてこの様だ、マジで)」

「(っていう事は、もうすぐコボクタウンに着くってことですか?)」

「(まあ距離的にはすぐだな。だが、逃げようにもポケモンを持っちゃいねえ俺は捕まえられてボコられるのが目に見えてる。そこで、トレーナーのお前さん達が来たってことだ、マジで)」

 

 クロケアの話を聞いていた二人は、彼の考えていることを大体察した。つまり、ポケモンを持っている自分達トレーナーに、あの追いかけてくるズルズキンをトップとした群れを何とかしてもらおうという魂胆なのだろう。

 別に人助けという意味でバトルすること自体は、二人共オッケーという考えが頭に浮かんでくるのだが、問題は襲ってくるズルズキンの群れの数だ。

 トップのズルズキンを含め、子分のズルッグ達が十数体。対してライトの手持ちが四体、コルニの手持ちが二体で合計六体であるのだが、些か戦力に不安が出てしまう。更に中でもイーブイはバトル経験が皆無である為、戦力と数えていいかも不安なところである。

 

「(う~ん……地元の人なら、こう……裏道とかないんですか?)」

「(あったら苦労しねえんだわな、マジで。頼むよ。あの~、アレだ。街に着いたら何かメシ奢ってやるからよ、マジで)」

「(頑張ります!)」

「(え~……)」

 

 食事を奢るというクロケアに真っ先に食いついたのはコルニであった。目をキラキラと輝かせやる気満々なその姿にライトは、『ミカンさんみたいだ……』と心の中で呟く。

 だが、彼女も一応ジムリーダー候補。手持ちが少ないとはいえ、エースであろうルカリオはかなりの強さの筈だ。

 そのようなことをライトが考えていると、今度はクロケアが語り始める。

 

「(できりゃ、“じしん”やら“なみのり”やらで一掃できる技を使ってほしんだが……ねえんなら、群れの頭のズルズキンを倒せ! 野生の群れ然り、社会のグループ然りトップが倒れりゃ付いている奴等は統率を失くすぜ! マジで!)」

「(成程! じゃあ、あたしがズルズキンを相手するから、ライトは周りのズルッグをお願いね!)」

「(え、僕? いや、まあ……いいけど)」

 

 勝手に役割を決められたものの、よくよく考えてみてコルニの実力を考えれば妥当だという結論に至り、それを了承したライト。

 事はバトルする方向へと進んでおり、既にコルニは戦う気満々だ。対してライトは、未だに戦わずに済むのであれば、そちらの方面で行きたいと考えているのだが、このままここで足踏みしていても前に進むことはできない。

 腹をくくったライトも、深呼吸をする。

 

「(よし……じゃあ、行こうか!)」

「(オッケー! 後ろは任せたよ!)」

 

 

 

 ***

 

 

 

「ズル……」

 

 切り株に腰掛けるのは、ズルッグ達のリーダーであるズルズキン。現在、子分であるズルッグ達に先程縄張りに入ってきた子供達を探させているところだ。

 モヒカンのような鶏冠を撫でながら、落ちていた小枝を爪楊枝のように噛んで『シーハー』とする姿は不良か、もしくは中年の男性か。

 だがそのふてぶてしさは違う事なく、トップとしての威厳を子分たちに示している。

 

 そして、ズルズキンは子分が持ってきたオレンの実を口の中に放り投げて食す。

 

 次の瞬間、草の影から二つの人影は出現し、ズルズキンとズルッグ達は何事かと目線をその方向へと遣った。

 

「ルカリオ、ヤンチャム!出番よ!」

「ストライク、リザード、ヒンバス、イーブイ! 君達に決めた!」

 

 飛び出してきた二人のトレーナーは、小さなボールの中から複数のポケモンを繰り出してきた。

 その中でも、ルカリオはすぐさま地面を蹴って跳躍し、ズルズキンに肉迫する。

 

「“ボーンラッシュ”!」

「クァン!!」

 

 骨状のエネルギーを手に作り上げ、それをズルズキンに振り下ろすルカリオ。『ビュン』と空を切る音が響くほどの勢いであったが、そんな攻撃に怯むことなくズルズキンは“ずつき”を繰り出す。

 “ボーンラッシュ”と“ずつき”が激突するが、なんとルカリオの手に持っていた骨がズルズキンの頭部と衝突した瞬間砕け散った。

 目を見開くルカリオ。そんな相手に遠慮などする筈もないズルズキンは、そのまま頭頂部をルカリオの胴にぶつける。

 激しい衝突音の後吹き飛ぶルカリオであったが、空中で体勢を立て直しなんとか着地した。

 

「なんて硬さなの!? “ボーンラッシュ”が押し負けるなんて……!」

「グルゥ……!」

「ルカリオ、大丈夫!?」

「ガウ!」

「よーし、なら“グロウパンチ”!」

 

 拳を突きだしながら指示を出すコルニに応え、右腕の拳にエネルギーを収束させて再び肉迫してゆくルカリオ。

 対してズルズキンは、『何度来ても同じだ』と言わんばかりの笑みを浮かべ、向かって来るルカリオに“かわらわり”を繰り出してくる。

 

 拳と拳の衝突。その衝撃によって、辺りには一陣の風が巻き起こる。

 牙をむき出しにして拳に力を込める両者は、互いに一歩も退かぬという意志を見せつけんばかりの気迫を放っていた。

 

「ルカリオ! どんどん“グロウパンチ”!」

「グルァ!!」

 

 右ではなく、今度は左の拳に力を収束させズルズキンにパンチを放つルカリオ。ズルズキンもまた、そんなルカリオの拳を打ち砕こうと“かわらわり”を繰り出してゆく。

 同じ【かくとう】タイプ同士の拳の打ち合いは苛烈を極め、拳同士の衝突する音は聞く者の鼓膜を大きく揺らす。

 何度も衝突する拳。しかし、次第に押されていくポケモンが―――。

 

「ズ……ズルゥ……!」

 

 始めに余裕を見せていたズルズキンであったが、幾度となく“グロウパンチ”を放ってくるルカリオの力の増幅に耐え切れず、どんどん後退してゆく。

 だが、頭としての威厳があるズルズキンは、謎の力の増幅を果たすルカリオを前にしても背中を見せずに“かわらわり”を繰り出していた。

 

「ズル……ズッ!?」

 

 しかし、とうとうルカリオに押し負け、足元が浮かんでしまうズルズキン。その瞬間を見逃さなかったルカリオは、すぐさまズルズキンへの懐へと入り込む。

 そして―――。

 

 

 

「―――“インファイト”ォ!!」

 

 

 

「グルァアアアア!!!」

 

 雄叫びを上げながら嵐のような拳を撃ち続けるルカリオ。顔や胴体に次々と突き刺さるように撃ち込まれる拳に、ズルズキンは為す術もなく、最後のアッパーカットのような一撃が決まった瞬間に放物線を描くように地面に落下していった。

 『ドシャ』と地面に倒れ込んだ頭に、周りでライトの手持ちと戦っていたズルッグ達の動きはピタリと止まる。

 

「ズ……ズラァ……」

『ズル――――ッ!?』

 

 目をグルグルと回している頭を見て仰天した態度をとったズルッグ。すぐに彼らはズルズキンの下に駆け寄り、動けない彼を大勢で持ち上げてコルニ達の目の前から逃げ去っていく。

 相手が居なくなったことにより、場は静寂に包まれる。

 しかし、コルニが拳を天高く掲げ叫んだことにより、その静寂は破られた。

 

「やった―――! 大・勝・利!! 最高だよ、ルカリオ!!」

「クァンヌ!」

 

 スキップしながらルカリオに抱き着くコルニは、相棒の健闘を大いに讃える。その近くでは、ズルッグ達を相手に四体で頑張っていたパートナーを労うライトの姿が在った。

 

「皆、お疲れ様」

「グァウ!」

「シャア!」

「ミッ!」

「ブイッ!」

 

 特に初めてであるにも拘わらず果敢に“たいあたり”で攻め込んだイーブイを、ライトはいつも以上に撫でて褒める事にした。

 そんな彼等の背後には、事の次第を見届けたクロケアが手の汗をジーンズで拭き取りながら、不良らしい蟹股歩きで近づいてくる。

 

「いや~、いいバトルだった、マジで。お蔭で助かったぜ。じゃあ、礼がてらにコボクタウンまで案内するぜ、マジで」

 

 相も変わらず本当かどうなのか疑いたくなる喋り方のクロケアであるが、慣れたと言わんばかりに二人は『マジで』をスルーしながら手持ちを戻し、彼の方に目を向けた。

 だが、コルニに関してはグッと拳を握って小脇を締めながら、頭垂れる。

 

「ゴチになります!」

「いや、気が早いよ」

 

 

 

 ***

 

 

 

 時は過ぎて正午に。

 クロケアに連れられてきた二人は、石畳が疎らに広がる古風な雰囲気の街に辿り着いていた。

 

 枯れた味わいの街―――『コボクタウン』。

 

 どこか古きよく時代を思い出させてくれるような街並みに、ライトのみならずコルニも感動のような溜め息を吐く。

 街の中央にある噴水は機能していないものの、ポッポやヤヤコマが水浴びの為に使っている。

 そのような風景を眺めながら、地面の中に疎らに埋め込まれた石畳を踏んで進んでいく三人。

 もし小さな子供であれば、この点々と存在している石畳の上だけを歩くといったような遊びをするだろう。

 

 上を見上げると、青々と茂っている木々の合間にアンティークな装飾の街灯を望むことができる。

 

(……夜になったら、星が綺麗だろうなァ……)

 

 田舎あるあるの一つとして、『星が良く見える』というものがあるとライトは考えていた。

 実際、カロスの中でも小さな街に分類されるコボクタウンでは、車の排気ガスなどや工業排気ガスなどもほとんどなく、夜になれば満点の星を眺めることができる。

 

 ライトがアルトマーレに居た頃も、夜に窓から顔を覗かせて潮の匂いを嗅ぎながら、星空をよく眺めていた。

 そのような過去の事を思い出していたライトであったが、前を行くクロケアが立ち止まったことにより、コルニに続いてその場に立ち止まる。

 

「ここが俺んちだ。まあ上がれよ。中は汚えけどな、マジで」

「へぇ~、お邪魔しま~す!」

「お邪魔します……」

 

 玄関の扉を開けて中に入ると、何やら機械が動いているような電子音が廊下の先から聞こえてくる。

 何の音かそれだけで理解出来るはずもなく、二人はクロケアに付いていく。

 だが、クロケアが帰ってきた事に気が付いた者が、廊下の奥の部屋から顔を出す。

 

「クロケア、このドアホッ! わいに預かりシステムの調整ほっぽり出して、どこほっつき歩いてたんやねん!」

「いや、散歩してたら野生のポケモンに襲われてよ、マジで。仕方なくね?」

「そか、そらしょうがない……ってドアホッ! なんで野生のポケモンに襲われるような所にまで散歩しに行ってんねん!!」

 

 それなりの距離があるというのに、キンキンに響いてくるキレのあるコガネ弁。一瞬、ジョウトのアカネが頭に浮かんだライトであったが、聞こえてくる声は男性のものであった。

 コガネ弁を話すという事は、ジョウト出身の者が奥の部屋に居るという事。そこはかとなく気になったライトは、少し身を乗り出して誰が居るのかを確認しようとする。

 すると、部屋の奥から茶髪の天然パーマの若い男性が、ブツブツと文句を言いながらクロケアの下まで歩み寄ってきた。

 

「ったく……カロスのポケモン預かりシステムはお前に任せとんねんから、調整なり修理なり、己が出来るようにせえへんといかんやないか!」

「別によくね? 不具合出たらお前がカロスに来れば……」

「アホッ! 飛行機代もタダちゃうんやで! そんな往ったり来たりしたら、わいの財布の中が空っぽになるわ!」

「俺と違ってお前は大分稼いでんだから問題ねえって、マジで」

「マジもアホもあらへんわ! ったく……ん?なんや、その子ら?」

 

 ここにきて漸く、クロケアの背後に佇んでいたライト達に気付く男。

 ライトは、何故か自分の方にジッと視線を向けてくる男に、訝しげな表情を浮かべる。まるで相手が向けてくる目は、『どこかで会った気が……』と言わんばかりのものであったからだ。

 だが、そんな両者の間に割って入って来るように、クロケアが口を開く。

 

「こいつらが、ポケモンに襲われてる俺を助けてくれたんだ、マジで」

「ほぉ~! 中々肝の据わった子達やないか!」

 

 感心するように声を上げる男は、ニカッと笑ってライト達に右手を差し伸べる。

 

 

 

 

 

「よろしくな! わいはマサキ! カントーとジョウトのポケモン預かりシステムの管理人やっとるんや!」

 

 

 


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