ポケの細道   作:柴猫侍

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第八十六話 爆発は芸術

 

 

 

「なっ―――」

 

 電話で救助を要請していたライトは、突如上の方から響き渡ってきた咆哮に驚いた形相で見上げる。

 バッと岩壁を見遣れば、緑と黒の色のポケモンが今まさに飛び掛かろうとしてきているではないか。

 

「にぃん!?」

 

 思わず呆けてしまうライトであったが、そんなライトの襟元に噛み付いて、後ろに放り投げるライコウ。

 襲いかかってきたポケモンに紺碧色の光弾を放った。

 

―――“はどうだん”

 

 伝説のポケモンが繰り出す光弾は凄まじい威力であり、放っただけで周囲に旋風が巻き起こる。

 だが、その“はどうだん”に対し四足歩行型のポケモンは、口から竜の形をしたエネルギーを繰り出す。

 

―――“りゅうのはどう”

 

 二つの波動は二体の中央で激突し、洞窟の前で大規模の爆発を起こす。周囲に伝わる振動によって、岩壁の一部が崩れたりと、見るだけで圧倒されるような光景だ。

 一方、ライコウによって放り投げられたライトは、近くの草むらの上に尻もちを着く形で落ち、眼前で広がる爆発の光景に口をあんぐりさせた。

 

(なんだ、あのポケモン!?)

 

 “はどうだん”を“りゅうのはどう”で相殺させた後は、ライコウとの近接戦に臨む四足歩行型のポケモン。

 俊足を有すライコウと互角以上の移動速度は、並みの野生ポケモンでないことを暗に示していた。

 更に、今まで見たことのないようなポケモンに畏怖のような感情を抱いたライトは、ライコウが相手取っている間に少しでも情報をと、ロトム入りの図鑑を取り出す。

 

(ッ……動きが速過ぎて、図鑑が姿を読み込めない!?)

 

 対象のポケモンに翳すことによって、内蔵されているメモリーに刻まれているデータを読み取るポケモン図鑑であったが、四足歩行型のポケモンの動きにカメラが追いつくことができず、中々読み込むことができない。

 ライトも必死に動きに合せようとするも、一向に姿を捉えることはできない。

 そのような中、ふとライコウの方を見ると、四足歩行型のポケモンに不利な立ち回りを見せているライコウの姿が見えた。

 

「そんなっ……なんで!?」

 

 仮にも伝説のポケモン。どれだけ強いかは、一度同格と思えるサンダーを相手しているからこそ分かる。

 それにも拘わらず圧倒される理由とは一体なにか。

 

「っ、【じめん】なのか!?」

 

 考えられる理由は、四足歩行型のポケモンのタイプが【でんき】タイプであるライコウが唯一苦手とする【じめん】タイプであるということ。

 それであれば、ライコウが全く電撃を繰り出さずに四足歩行型のポケモンを相手取っていることに理由がつく。

 理解した瞬間、図鑑の検索機能で【じめん】タイプを片っ端から調べようとするライト。

 余りにも非効率な手段であるが、今はそれしか方法がない。

 

 その時だった。

 

『ケテケテェ―――ッ!』

「ロトム!?」

 

 【じめん】タイプを探し出している途中、図鑑の画面にはでかでかとロトムの顔が映りだす。

 この状況の中でふざけられたら堪ったものではないと考えるライトであったが―――。

 

 ピピピピピピピピ。

 

 瞬く間に画面に重なり合っていくブラウザ。

 【じめん】タイプから始まり、体色、大きさなどの複数の条件からありったけのデータが画面に映しだされていく。

 ふざけている訳ではなく、焦った様子のライトを見かねたロトムによる、最大限のサポートの結果だ。

 ヒャッコクジムでもそうであったが、やる時はやってくれる居候に思わず笑みを浮かべてしまったライト。

 そうしている間にも、襲撃者の真相は画面に映しだされた。

 

「ちつじょポケモン……ジガルデ? でも―――」

 

 姿が違う?

 

 最初に映し出された『ジガルデ』というポケモンの姿は、まるでアーボックのような蛇の姿であった。

 しかし、今目の前にいるのはどちらかと言えばブラッキーやグラエナなどといった四足歩行型のポケモンの形状だ。

 体色こそ酷似しているものの、余りにも姿が違い過ぎると考えたライトであったが、そんな少年の思考を感じ取ったロトムが一つのデータをピックアップした。

 

「『文献によっては姿が違う』……フォルムチェンジみたいなものか!!」

 

 一部のポケモンは、とある条件下で姿を変える。

 それと同じ類だと推測したライトは、現在進行形でライコウと激闘を繰り広げているジガルデを睨みつけた。

 

「こんなとこでドタバタやられたら、洞窟に居るあの人は堪ったものじゃないよ! リザードン!!」

「グォォォオオオ!!!」

 

 放り投げたボールから飛び出すリザードンは、空に大きな翼を広げると同時に咆哮を挙げた。

 主人の感情の昂ぶりを感じ取ったのだろう。 

 既に戦う準備はできていると言わんばかりに、瞳の奥に宿る炎も尻尾に点る炎も、轟々と燃え盛っている。

 

「ジガルデを洞窟から離すように投げ飛ばして!!」

 

 ライコウとジガルデのバトルによって響き渡る轟音にも負けない声量の指示が届くと、瞬く間に滑空してジガルデに肉迫するリザードン。

 どうやら、ライコウに気が向いていてリザードンに気が付かないジガルデは、あっという間にリザードンの接近を許す。

 次の瞬間、ジガルデの細い首を両手で掴むリザードン。

 幾ら相手が伝説のポケモンとタメを張るポケモンであろうとも、ジガルデとリザードンにはそれなりの体格差がある。

 

「グォオオ!!!」

 

 ジガルデの首を持ったまま、背負い投げの要領でジガルデを投げ飛ばすリザードン。それに対して、ジガルデは為されるがままに華奢な体を投げ飛ばされて宙を踊る。

 しかし、即座に体勢を立て直し、口腔に光り輝く翡翠色の光を収束し、天を仰ぐ。

 

「ゼドァアアアア!!!」

 

 刹那、ジガルデの口腔から解き放たれた光は無数に分裂し、まるで矢の雨のようにライコウとリザードンに降り注いだ。

 余りの数に避ける隙間も無く、何とか身を屈めることによって被弾を少なくしようとするライコウに対し、翼を盾のようにして身を守るリザードン。

 

(なんだ、あの技!? 見たことが無い……くっ!)

 

 生まれて初めて見る技に、驚愕することしかできないライト。

 よくコルニから、ジムリーダー試験にも役立つポケモンについて詳しく書かれている本を借りて読んでいるが、その本にも出ていないような技。

 最新版(定価四千五百円)にさえも書かれていないような技。

 つまりそれは、学会でも発見されていない技だということ。

 

 このような切羽詰った状況でなければ、第一発見者気分で喜んでいただろうが、状況が状況だ。

 今は只、厄介でしかない。

 

「ガゥッ……!」

「ッ、ライコウが!?」

 

 どうすればいいのかと思考を回している間、ジガルデの放った攻撃を喰らってグラつくライコウ。

 

(【じめん】技? いや、でもリザードンにも喰らってる……くそッ!!)

 

 ライコウを一撃であそこまで疲弊させるのだから、効果が抜群な【じめん】技であることの可能性が濃厚だ。

 だが、それならば何故本来【じめん】技を喰らわないリザードンさえも喰らって疲弊しているのかが想像つかない。

 【こおり】タイプの技の中に“フリーズドライ”という技があり、それは本来効果がいまひとつの【みず】に対して効果が抜群となるらしいが、それと似たような技なのだろうか。

 この短時間で脳に入ってくる情報の多さに、脳味噌がオーバーヒートしそうな感覚になるライト。

 だが、ガリガリと帽子越しに頭を掻き、息も絶え絶えとなっているライコウを目にした後のライトの決断は早かった。

 

 これしかない。

 

 

 

「メガシンカッ!!」

 

 

 

 もし、【ひこう】タイプにさえも直撃することができる【じめん】技を有しているのであれば、普通の状態のまま戦うメリットは少ない。

 ならば、伝説のポケモンに迫ることができるだけの力を。

 

 ライトのキーストーンから発せられる光に呼応したリザードンは、瞬くまにその姿を変貌させていき、メガリザードンⅩへとメガシンカを果たした。

 

「“だいもんじ”!!」

「ッ!」

 

 翼を広げると同時に青い爆炎を解き放ったリザードン。

 その光景を目の当たりにしたジガルデは、咄嗟にバックステップをして近くの川に飛び込んだ。

 そして、前脚を大きく振り下ろして地面を穿った。

 すると、水の下に広がる地面に巨大な亀裂が入り、そこから翡翠色の閃光が瞬き、周囲に激震を走らせる。

 同時に、川の水が間欠泉のように噴き上がり、目の前まで迫ってきた“だいもんじ”を防ぐ結果となった。

 

 数秒、豪雨でも降っているかのような水が落ちる音が鳴り響く。

 

「“ドラゴンクロー”!」

 

 “だいもんじ”によってできた白い水蒸気の中に佇むジガルデに、畳み掛けるように地面を蹴って飛翔するリザードン。

 瞬く間にジガルデの眼前にまで迫ったリザードンは、溢れ出るメガシンカの恩恵を受けた力を以てして、その鋭利な爪を振り下ろした。

 

 しかし、『単調な動きだ』と言わんばかりに少しだけ体を逸らして“ドラゴンクロー”を回避したジガルデは、リザードンの攻撃によってできた水柱に紛れて宙に飛ぶ。

 忍者であるかのような身のこなしでリザードンとの距離をとったジガルデは、背中ががら空きのリザードンに対し、“りゅうのはどう”を解き放つ。

 【ひこう】が【ドラゴン】へと変質したリザードンにとっては、効果が抜群な技だが、

 

「―――ッ!」

 

 リザードンとジガルデの間に割り込んできたブラッキーの“まもる”によって、“りゅうのはどう”は防がれた。

 防がれた攻撃の余波は川のあちこちに弾け飛び、幾つもの小さな水柱を上げていく。

 自分の攻撃を防いだブラッキー―――そのトレーナーである少年に、ジガルデは目を遣った。

 すると、ジガルデの眼前には真紅の爪が振り下ろされる。

 これもまた寸での所で回避したジガルデは、肉迫していたハッサムとの距離をとる為にバックステップをしてから、自分を睨みつけてくるポケモンを一体ずつ観察した。

 

「……こういうの好きじゃないけど、許してね」

 

 自分のフェアプレー精神には反すると口にするライト。

 普通の野生ポケモンとの戦闘で、多対一など絶対にしない性質ではあるが、今回ばかりは違う。

 人命が掛かっているとするのならば、なりふり構ってはいられない。

 瀕死にするか、撃退するか。どちらにせよ、並みではないポケモンを相手にするのだから、一対一などまどろっこしいことはしていられないのである。

 

 申し訳なさそうに―――だが、据わった目つきで睨みつけてくる少年を目の当たりにしたジガルデは、少しばかり目つきを鋭くした。

 

 

 

―――邪魔スルナラ、オ前タチモ。

 

 

 

 先程からピクリとも動かないライコウは、ジガルデの攻撃対象から一旦外れた。

 まずは、自分を邪魔しようとするこの人間とポケモン達から排除しようと考えたジガルデは、すぐさま口腔に翡翠色の光を収束させる。

 

「ハッサム、“バレットパンチ”! リザードン、“だいもんじ”! ブラッキー、“どくどく”!」

 

 攻撃をさせるまいかと、捲し立てるように指示を飛ばすライト。

 一番早く動いたのはハッサム。その鋼鉄のような拳をジガルデに振りかぶろうと一気に肉迫する。

 

「ッ!」

 

 だが、振るった拳を軽く躱したジガルデは、ハッサムの体を踏み台に近くの岩壁に飛び移った。

 そこへ続けざまに、リザードンの“だいもんじ”とブラッキーの“どくどく”が襲いかかる。

 ハッサムの攻撃をカバーするかのようなタイミングで放たれた攻撃は、連携としてはかなり洗練されていたものであったが、それでさえもジガルデは岩壁を足蹴にすることによって回避した。

 

 直後、足元の岩壁で爆発が起こるものの、逆にそれを推進力にして大きく飛びあがったジガルデは、再び大空を仰いで翡翠色の光を上空に向けて解き放つ。

 降り注ぐ緑色の光の雨を前に、すぐさま身構えるライトとその手持ち達。

 

 そうして怯んでいる間に、今はもう使われなくなったトロッコの線路の上に降り立ったジガルデは、悠々と邪魔者を見下ろす。

 トロッコが通ることだけを予定して組み立てられた鉄骨が剥き出しの足場から。

 

「―――真下」

 

 煌々と照っていて、真面に相手を視認することができない視界。

 その中で、ライトは帽子のつばの陰にある瞳をギラギラと光らせていた。

 同時に、ジガルデの足元でも閃光が爆ぜる。

 

「がら空きだよ」

「ッ!!?」

 

 ジガルデの放った降り注ぐ攻撃とは違い、地上から空に向けて放たれる竜の形をしたエネルギー。

 完全に油断していたジガルデは、真下の草むらから放たれた“りゅうのはどう”に直撃して吹き飛ばされる。

 

 何が起こったのか未だに理解できないジガルデは、攻撃が放たれた場所である線路の下の草むらに目を遣った。

 すると次の瞬間、背の高い草が刀で切られるように一斉に刈られていき、草むらの中に姿を隠していたジュカインの姿が露わになるのを目にする。

 隠れていた相手を認識したところで、受け身もとれないまま落下するジガルデ。

 

 そこへ、先程まで息を潜めていたジュカインが驚異的な脚力で降り立つ。更に、次々とライトの手持ち達が降り立ってジガルデを包囲する。

 バッジを七つ集めたトレーナーが手塩にかけて鍛え上げたポケモン達。

 それらに囲まれたジガルデは、一瞬動きを止めた。

 

「……?」

 

 襲撃を諦めてくれたのかと考えるライトは、身を乗り出して動かないジガルデの様子を観察しようと試みる。

 

―――このまま帰ってくれればいいのになぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼドァァアアアアアッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ……な、なに!!?」

 

 突如、咆哮を上げるジガルデ。

 するとジガルデから煌々と瞬き、景色のあちこちから伸びてくる翡翠色の光が、そのようなジガルデの下に集まって来るではないか。

 まるで何かを吸収するかのようなモーションを見せるジガルデに、ライトの頬には一筋の汗が流れる。

 

(これって……ピンチになったらパワーアップ的な感じの!?)

 

 テレビアニメでもよくあるような展開。ポケモンでも、体力が少なくなれば技の威力が上がる特性があるように、危機を感じたジガルデが何かを試みようとしているのではないか。

 そうであるとしたら、只でさえ厄介な相手がパワーアップして、手に負えなくなるのでは―――。

 

「わわわっ……! リ、リザードン! “ドラゴン―――」

 

 今繰り出している手持ちの中で最もパワーのあるだろうリザードンで何とかしようと考えたライト。

 だが、その思考を遮断するかのように奔っていく影が一つ。

 

 ライトの手持ち達の間を縫って、光をその身に収束させていくジガルデに肉迫するポケモン―――ライコウの口腔には、途轍もない大きさの紺碧の光弾が出来上がっていた。

 “きあいだま”にも負けずとも劣らない大きさの“はどうだん”。

 それを、何かを試みようと無防備になっているジガルデに、

 

「グルォォァァァアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 解放した。

 

「い゛ぃいいいいっ!?」

 

 カッと何かが爆ぜると同時に吹き荒れる爆風。それはライトの体が一瞬浮いてしまうほどのものであり、バランスを崩したライトはそのまま後方に後転し続け、川の中へと落水してしまった。

 

 この時、『(ライコウ)の主人の為に気を遣って洞窟から離してたのに、なにそんな馬鹿みたいな威力の技出してるの?』と思ったのは秘密である。

 

 まるで地震が起きたのではないかと言う程の地響きがなること十数秒。

 漸く揺れと音が治まった頃、ずぶ濡れになったライトは川から身を乗り出した。

 

「う゛ぇっほ!? げほっげほっ! うぅ~……なにがなんだか……はっ!」

 

 余りの出来事に暫し放心してしまったライトであったが、視界の一部に映り込む土煙を目の当たりにし、正気に戻った。

 急いで川から這い上がり、水を滴らせながら爆心地―――ジガルデが居た場所へと駆け寄っていく。

 駆け寄っていく内に土煙は晴れ、砂埃を身体中に纏う手持ちのポケモン達の姿を見ることができる。

 しかし、

 

「……いない?」

 

 ライコウが見下ろす先にあるのは抉れた地面だけであり、ジガルデの姿は一切見当たらなかった。

 一瞬、消し炭が残らない程の攻撃を受けたのかと嫌な想像が頭を過ったが、ライコウの顔を窺えばそうでないことを理解する。

 

「逃げられた……の?」

 

 コクン。

 無言で頷くライコウ。恐らく、ジガルデがああいった行動をとることを予見して、ライトのポケモン達とジガルデの戦闘には手を出さず、虎視眈々と隙を窺っていたのだろう。

 それでも仕留めるには届かなかったらしいが、今は相手が逃げ出した―――つまり、撃退できたという事実があれば十分だった。

 

 肩の荷が下りたライトはホッと胸をなで下ろし、その場に尻もちをつくようにへたり込む。

 同時に、リザードンのメガシンカも解け、緊張の糸が切れたようにライトのポケモン達もホッと息を吐いた。

 

「はぁ~~~! 野生のポケモンであんなのと戦うなんてこりごりだよぉ~~~もぉ~~~!」

『おい! あっちの方で凄い爆発があったぞ!』

『ああ! なにかあったのかもしれない! 行くぞ!』

「ん? ……ポケモンレンジャーの人かな?」

 

 文句を垂れていたライトの耳に届く、何人かの大人の声。恐らく先程電話して要請したポケモンレンジャーなのではないかと考えたライトは、一気に蕩けた顔になって、近くのブラッキーに身を委ねる。

 びしょびしょの体で申し訳ないと思うものの、緊張の糸が切れた今、上手く体に力を入れることができないライトはそうすることしかできなかった。

 

 

 

 ***

 

 

 

「―――あぁ~、あいよ。レンリタウンの病院ね。はいはい、そこに入院してると。そういうことかい」

 

 ポケギアを耳に当てながら気怠そうに話す中年の男性。黒いハットとコートに対し、下足がサンダルという非常に不釣り合いな格好をした白髪の男性は、猫背のままベンチに座って電話を続ける。

 

「おう、じゃあ明日見舞いに行ってやるよ、土産付きでな。……あ? いらない? まあまあ、そう遠慮しなさんな。大層なモンを持ってっても困るのは分かるからよ」

 

 部下と思しき人物と通話を続ける男は、ニヒルな笑みを浮かべながらこう告げる。

 

 

 

「ま、軽くね」

 


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