オラが適当に書いた短編集だぎゃ   作:ダス・ライヒ

2 / 4
原作者死んじまったな…

これ、ノルウェーのゾンビ映画の監督か、ウォーキング・デッドの脚本家を呼んで終わらせるしかないんじゃね?


学黙にDOOMワールドを制圧したオリ主をぶっこんでみる

 未来の火星にて、軍事企業UACは、火星の衛星フォボスとダイモスとの間に秘密裏に瞬間移動装置の実験を行っていたが、実験の最中、偶然にも地獄の門が開いてしまい、たちまち火星の基地は、地獄からやって来た住民によって地獄へと作り変えられた!

 事態を鎮圧するため、UACは制圧部隊を送り込むも、地獄の住人達には適わず全滅。このまま火星は地獄の一部と化すかに思えた。

 

 だが、希望は潰えてはいなかった!

 

 実験中に身長2mの謎の成人男性の遺体が瞬間移動装置より出て来て、遺体安置所へと放置されていた。

 地獄の門を開け、通じてしまった際に、その遺体は当然の如く放置されたが、地獄と通じた直後に復活!

 偶然にも近くにあった銃を手に取り、自分を同胞へと変えに来た地獄の住人らを始末し、更に近くに保管されている強力な一張羅を身に纏い、それから水を得た魚のように地獄の住人たちを次々と惨殺しながら地獄へと突入する。

 

 道中、大剣まで手に入れれば、更に強くなり、もはや地獄の住人でも裸足で逃げ出すほどの恐ろしい化け物と化し、殺戮の快進撃を続ける。

 誰も止める者もおらず、その男は遂に地獄の支配者まで殺してしまう。

 これにより火星の地獄化は防がれ、地獄化は免れたが、当の英雄と言える男は何処かに去ってしまった。

 

 果たして、彼は何所へ行ってしまったのだろうか?

 それは、これから始まる物語で分かる…。

 

 

 

「いて…! 何所だここぁ?」

 

 とある場所で目覚めた2mの男は、辺りを見渡して自分が何所に居るのかを確認した。

 空は夕暮れ前時で季節は桜が舞う春ごろ、場所は建造物からして何処かの学園だ。

 男の容姿は若いのに白髪頭で、肌の色からアジア系と見えるが、片目は真っ赤な瞳である。

 

「学校かよ。まぁ、前の地獄よりは遥かにマシだな」

 

 場所が分かれば、前に居た場所より遥かにマシと言って、立ち上がって何処か人に居そうな場所へと向かう。

 

「おっと、この格好じゃ、ポリ公を呼ばれちまうな。どうすかっな?」

 

 ここで男は、自分の格好に気付き、この格好をどうするか考える。

 彼の格好はSF作品に出てきそうな緑色の戦闘用アーマーであり、背中には銃身が短く切り詰められた二連装散弾銃と、巨大な鉄塊のような大剣だ。

 こんな格好で人に出も喋り掛ければ、逃げられ、挙句の果てに警察に通報されてしまうのは確実だろう。

 どうした物かと悩んでいる最中に、黒い学生服を着た妙に足元がふらついている少年が男の前に姿を現した。

 

「ん? ありゃあ学ラン。つうことは日本かここは! やべぇな、これじゃあコスプレとか言ってもサツに通報されるぞ。でも、なんかおかしいぞあの餓鬼」

 

 人が現れたので、男はこの姿をどう言い訳するか悩み始める。

 だが、少年は歩き方はおかしく、小さく呻りながら男に近付くばかりで、驚いて逃げようともしない。

 それを見ていた男も流石に気付き、おもむろに声を掛けてみる。

 

「おい、坊主! 酒でも飲んだか? 学校で酒はまずいだろ」

 

 そう声を掛けてみたが、少年は何も反応せず、ただこちらにふら付きながら向かって来るだけだ。

 

「おい、聞いてんのか? 聞いて…!?」

 

 様子が変だと思った男は、近付いて少年の肩に手を置こうとした瞬間に、その少年は肩に出した手に噛み付いて来た。

 しかし、男が纏うアーマーは鉄のように固く、肉まで到達しないが、顎の力は並の人間を上回っていた。これには男も驚きを隠せず、思わず少年の頭を殴りつけてしまう。

 

「どうなってんだこりゃあ!? それにこの餓鬼、噛み付かれた跡がありやがる」

 

 少年を殴り付けて吹き飛ばした男は、殴りつけて吹き飛ばした相手の身体に動物か人が噛み付いた跡があることに気付き、警戒を強める。

 殴り付けられた少年は、不気味にゆっくりと立ち上がり、再び男に掴み掛って来たが、頭と顎を男の両手で掴まれ、そのまま引き裂かれて惨殺された。

 

「なんでこんな場所に、アンデッドが居やがる。クソッ!」

 

 自分が先程、無残に殺した相手が知っている歩く死者、アンデッドであると分かれば、男は周囲を見渡しながら、ここが地獄の続きではないかと不安を覚えた。

 怒り任せに悪態を付けば、先の少年と同様、それも複数のアンデッドたちが音に反応して周囲から現れ、男にゆらゆらと向かって来る。

 

「地獄の陸続きって奴か? クソッタレめ」

 

 そう男は、周囲から出て来るアンデッドらに向けて吐き捨てた後、背中の大剣を抜いて構えた。

 

「3…2…1…!」

 

 周囲に群がるアンデッドらに対し、男は直ぐに巨大な鉄塊を直ぐには振るわず、ある程度の距離まで来るのを冷静を保ちながら待つ。

 十分な範囲まで、数体ほどのアンデッドが近付けば、男は手にしている大剣を力を込めて振った。

 振るわれた巨大な刀身は、アンデッドたちを歩く死体から惨殺死体へと変え、地面や壁に血や肉片に内臓らを飛び散らせる。既に息絶えた身なので、血は余りでないが、それでも同じ殺され方をした生きた人間よりも負けないグロテスクな光景が広がっている。

 一度に複数のアンデッドを惨殺死体に変えた男は、続けて数体のアンデッドを大剣で排除しつつ進み、進路方向を塞ぐアンデッド三体を同時に横の一振りで肉片に変えた後、空いた左手に二連装散弾銃(ソードオフショットガン)を取り、背後より群がるアンデッドらを肉片へと変えた。

 発射された弾に入ってある球体の数は幾つだろうか、学生アンデッドと教師アンデッドらは原形を留めない程に肉塊と化している。更に第二射目が撃ち込まれ、屠畜場染みた光景が作り出される。

 

「で、この学園全員を相手にしなきゃならねぇのか?」

 

 数十体を瞬く間に元の死体に戻した男だが、それでも群がって来るアンデッドらに対して言った後、手近な集団に向け、巨大な大剣を振るった。

 

 

 

 男がこの歩く死者(アンデッド)の溢れる世界に来て同時刻、まだ人である十代後半の高校生の少年二人と歳のわりに胸が大きい少女一人は、必死でアンデッドから身を守れる屋上へと逃げていた。

 少年の一人は、左腕に赤く染みた布切れを包帯代わりに巻いている。この道中に噛まれたと言う事だろうが、まだ周囲に居るアンデッドと化していない。だが、目の下には熊が出来ており、長くは人間ではいられないだろう。

 そんな人間の状態を踏ん張っている仲間を、バットを持つ少年とモップを槍にしている少女は、的確にアンデッドの頭を狙って突破口を開き、安全地帯である屋上の展望台を目指す。

 

「展望台の方に誰か居る!」

 

「あれは…!?」

 

 咬まれた少年の一人がアンデッドの頭をバッドで叩き潰した後、屋上に誰かいるのを見た。

 そこに居たのは、この日本に居たら確実に警察に通報されてしまう背中に小銃を背負い、手にはM1A1トンプソンと言う有名なトンプソン短機関銃の大戦時のモデルを持った女性だ。

 服装は手にしている銃と同じ年代の衣服であるが、大戦時のアメリカ軍の戦闘服であり、大変動き易そうな物であるが、胸は少女よりもかなり大きい。

 これで動けるかどうか心配であるが、彼女は少年たちを見るなり、トンプソン機関銃から小銃のM1ガーランド半自動小銃に切り替え、援護射撃を始めた。

 M1ガーランドは、八発の銃弾を装填することができ、尚且つ当時の小銃の主流であるボルトを引いて一々空薬莢を排出したり、弾を薬室に送り込む必要も無く、自動小銃のように撃てるアメリカ軍の傑作小銃だ。

 八発撃ち切れば、クリップが排出口から音を立てて排出され、直ぐに弾切れと分かる。

 だが、この隙を突いて敵兵に近付かれてしまうが、熟練の兵士はそれを利用して、空のクリップを投げて誘き寄せる手段として使っている。

 そんな小銃を持っている彼女の射撃は正確であり、的確に周囲のアンデッドたちの頭を撃ち抜き、少年たちは天文台まで非難することに成功する。

 

「なんで銃を持ってるか分かりませんが、ありがとうございます…!」

 

「そんなことは良い。私の妹を見なかったか? 工具のような銃を持った十代前半の少女だ」

 

 先頭に立っている黒い学ランの下に赤いシャツを着た少年は、その女性に感謝の言葉を述べたが、彼女はそれはどうでも良いと言って、自分の妹を見なかったかどうかを問う。

 これに二人の纏める少年は、問われた彼の代わりに答える。

 

「工具のような銃? 銃を持っている人は貴方しか見てませんよ。それに、貴方は何なんですか? 古い銃を持って学校の屋上で…ゴホッ!」

 

(ひさし)!?」

 

 逆に問うた少年であったが、既にアンデッド化の兆候が進んでいるのか、吐血し始めていた。

 それを心配そうに彼女とされるこの歳にしては胸が大き過ぎる少女が近寄り、解放し始める。

 これに女性は思わず銃に手を出してしまいそうになったが、まだ人間の状態を保っている様子なので、引き金から手を離し、彼らを迎え入れる。

 

「兎に角、ここに入れ。バリケードを作らねば」

 

「分かりました。(たかし)(れい)、この人の言う通りに」

 

「分かった!」

 

 咬まれた自分を迎え入れた彼女に対し、永と言う少年は、孝と呼ばれた少年と麗と呼ばれる少女をまとめ上げ、向かって来るアンデッドの侵入を防ぐため、天文台の中にあるあり合わせな物で、唯一の出入り口にバリケードを築き上げた。

 それと同時に、地獄より来た大男が大剣を振るってアンデッド、ゾンビの屠畜場を作り上げているが、彼女らには聞こえていないのか、必死にバリケードを拵えている。

 ヨーロッパで比較的大柄の白人女性のおかげか、数分もしないうちに即席のバリケードは出来あがり、アンデッドの侵入の心配はなくなった。

 一難去った所で、再び永は古臭い銃とそれに似合う格好をしている彼女に対しての質問を始める。

 

「その姿は自衛隊では無いと伺いますが、何者なんですか?」

 

「私か? 私はコンスタンティナ・アン・カポディストリアス、アンで良い。私、いや、私と妹は西暦1945年のドイツの片田舎の村にある地下に運び込まれた聖遺物を回収するため、そこに潜入していたが、バリケードの外で動き回ってる奴らよりも悍ましい物と戦っていた。だが、周囲の光が私達を包み、君たちの時代まで連れてこられたようだ」

 

「言ってる意味が分からないな…」

 

アンは自分がこの未来の世界に来た経緯を話したが、孝は言ってる意味が分からないと告げた。永も麗も同様であり、目前に居る女が、精神異常者ではないかと疑い始める。

 

「あの、仰ってる意味が分からな過ぎるんですが…」

 

「そうか? これで少しは理解してくれると思ったが…」

 

 永が全く理解できないと孝に続いて言えば、アンは首を傾げ始める。

 そんな時に、上空を双発式エンジンの多目的ヘリUH-60が通過した。緑の迷彩色と日の丸が機体の側面に描かれていることから、陸上自衛隊所属と分かる。そんな通り過ぎようとしているヘリに、麗は自分等がここに居ると知らせるために、大声を上げて呼ぶ。

 

「おぉーい!!」

 

「無駄だよ。あのヘリは政府の命令を受けて飛んでいるんだ。僕たちより優先な方をね」

 

「あぁ、街もあんなだしな…」

 

「そんな…」

 

 ヘリを呼び止めようとする麗だが、ヘリは無視して目標とされた場所へと飛んで行く。

 それを無駄な行為と告げた永は、街を見ながら告げれば、孝も続いて彼女に告げた。街の様子を見た麗も、絶望的な表情を浮かべ、街の惨状を見る。

 

「あれでは、誰も助けてはくれないな。警察も同様だ、通報しても来ないだろう」

 

 アンも同意見であり、この状況では、自分等を助けてくれるものは居ないと告げる。

 更に絶望感が沸き上がる中、麗は自分の父が警察官だと知っていたためか、孝が持っている携帯を奪って直接電話した。

 しかし、結果は絶望的。彼女の父は麗を知り合いの孝と勘違いし、娘の事を頼んだと言ってから電話を切る。

 

「お父さん? お父さん!?」

 

「君の父は警官のようだが、娘を迎えに行けない程の忙殺されているのだろう。ここは諦め…」

 

「あんた、その言い方は無いでしょう。麗だって必死に…」

 

「ゴホッ! がぁぁ…」

 

『永!?』

 

 自分とは気付いてもらえずに電話を切られた麗に対するアンの対応に、孝は少し怒りを覚えたのか、彼女の代わりに文句の一つを言おうとしたが、永が吐血し始めた。

 これに反応してか、アンは手にしているライフルを永の頭部に向ける。

 

「もう長くは無いな。このままではいずれ、周囲にうろついている者達と同様の物となる。そうなる前に、ここで始末を付けるのが有効だ」

 

「なんでだよ、ちょっと噛まれただけだろう…なんでこんな酷く…」

 

「噛まれたらアウトだ。私達が居た過去の世界は、ただ戦死者の死体を使った物で、感染はしないが、この現代ではそうなるようだ」

 

 咬まれれば感染する。

 そう告げるアンに対し、孝は絶望して膝を着くが、更に彼女は続け、永の頭に銃口を向ける。今にもM1ガーランドを撃とうとするアンに対し、麗は銃口の前に立ってそれを防ごうとする。

 

「何の真似だ?」

 

「止めてください! 永は奴らになんかならない! だって永は…」

 

「止せ、麗。映画と同じなんだ。噛まれただけで駄目なんだ…」

 

「永、でも…!」

 

 そんな麗に対し、永は自分はもう持たないと言って説得を試みるが、彼女は聞かない。

 

「僕は人間のままで死にたい。奴らになんかになりたくない!」

 

「永、しっかりして!」

 

「お願いです、撃ってください! みんなに襲い掛かる前に! 撃ってくれ!」

 

 必死に訴える永は、吐血しながらも人間のままで殺してくれるようにせがむ。

 だが、麗はそれを許さず、まだ銃口より離れないが、アンは彼女ごと撃つつもりで引き金に指を掛ける。

 

「心中でもする気か? 私は躊躇いも無しに君を撃つことが出来る。退かねば死ぬぞ」

 

「麗、退くんだ! この人は本気だ!」

 

「撃てるものなら撃ってみなさいよ! 私は永と一緒なら…」

 

 これに孝も麗の説得を試みるも、彼女は頑なにそこから動こうとしない。

 そんな時に、アンは無理やり麗を退かせ、永に銃口を向け、引き金を引いた。

 

「ありがとう…!」

 

 自分を人とのまま殺してくれるアンに、礼を言ってから永は歩く死者にならぬまま死んだ。銃声が響いた後、息絶えた永を見て麗は悲鳴を上げた。

 悲鳴を上げた後に泣き崩れた麗は、そのまま両膝を着いたままであったが、数秒もしないうちに泣き終え、自分の得物を握って自分の恋人の仇であるアンに、尖ったモップの金属部分の尖端を突き刺そうとする。

 

「麗!?」

 

 この無意味な行為に走った麗に驚く孝であったが、アンはそれを片手だけで止め、更には彼女の唇まで奪う。これには孝も理解できず、ただ困惑するばかりだ。

 

「っ!? 離して!」

 

 自分の攻撃を止め、更には唇まで奪ったアンを引き離した麗は、頬を叩く。

 

「…済まない。こうするしか方法が無い。それに、これは彼の望みだ…」

 

「…っ! だからって、いきなりキスなんて…! あんた、おかしいわよ…!」

 

 頬を叩かれたアンは、麗に向けて謝罪したが、彼女はそれを許さず、顔を合わせないで向こう側に行って再び泣き始めた。

 それを孝は何も出来ず、ただ見ているしか無かった。

 

 

 

「デブオタ! まだなの!?」

 

 同時刻、まだアンデッドとなっていない何処かの漫画家に似た少年と、ピンク色のツインテールの少女が、工作室でアンデッドに震えていた。

 震えていると言っても少女だけであり、肥満体系な少年は釘打ち機と様々な工具を合わせて銃を自作するのに夢中になって一切の恐怖心を抱いていない。

 外のドアを叩く奴らは待ってはくれず、ドアを潰して工作室内部に雪崩れ込んで来た。

 

「き、来た!?」

 

 雪崩れ込んで来る奴らの集団に対し、少女が悲鳴を上げる中、軍オタである少年は冷静であり、正確にライフルのように釘打ち機を構え、全ての奴らの頭を正確に撃ち抜いた。

 

「ひ、平野!?」

 

「少しブレがあるな。もう少し改良の必要が…っと!」

 

 工作室に入って来た奴らをすべて倒した平野と呼ばれる少年は、ややライフル風味な釘打ち機の改良の余地があると言ってから、第二派に向けて釘を撃ち込んで倒す。

 

「リロード! 高城さん! 取り敢えずそこらの必要そうな工具を詰めてください! 急いで!!」

 

「ちょっと平野! この私に指図…」

 

「入れてください」

 

「わ、分かったわよ! たく!」

 

 平時では自分より遥かに劣る平野に対し、こんな時にもプライド高い高城と呼ばれる少女は腹を立てたが、振り向いた際に見せた恐ろしい形相を見て、恐怖を覚えるも、一瞬にして微笑ましい笑みに変わったので、言う通りにして必要そうな工具を袋に詰め込む。

 この間にも奴らが入って来たが、全て平野の現役の兵士のような射撃で全て打ち倒された。

 

「詰めたわよ!」

 

「では、行きま…な、ナチゾンビ…!?」

 

「ナチゾンビ? あんた何を言って…っ!?」

 

 準備が終わったので、工作室を出ようとした時、破壊されたドアに、旧ドイツ国防軍の陸軍の野戦服を着て象徴的なシュタールヘルムを被った悍ましい姿のゾンビが立っていた。裂かれた腹から内臓が飛び出し、口は大きく裂け、鋭利な歯が見える。その姿を見た平野は、ある映画の事を思い出してそれを口にした。

 驚く二人に容赦なく、ナチゾンビは殺そうと真正面から向かう。

 そんなナチゾンビに平野も、釘打ち機を構え、頭に向けて釘を撃ち込むが、被っているシュタールヘルムの所為で中々当たらない。

 

「駄目だ! シュタールヘルムで弾かれてしまう!」

 

「なんとかしなさいよ!」

 

「無理ですぅ!」

 

 歩きながら向かって来るナチゾンビに対し、高城はどうにかしろと下がりながら言うが、平野は無理だと返す。

 万事休すか。

 そう思った時に、二人に天使が舞い降りる。

 銃声が聞こえ、ナチゾンビは背中から無数の銃弾を浴びえて床に倒れた。

 天使と言っても良いくらいの容姿を持つ美少女が、ナチゾンビを仕留めた銃、工具のような外見の短機関銃、M3A1グリーズガンを持って立っていた。服装は軍服では無く、四十年代の欧州の少女の服装だが、スカートが偉く短い。美少女の外見は、屋上に現れたアンを更に幼くした感じだ。

 

「あ、あれは45口径拳銃弾を使用するM3グリーズガン!? メジャーなA1モデルだ! アメリカの戦争博物館で見た実物と同じだ!!」

 

 平野は銃を持った美少女よりも、手にしている銃の事を言い始める。

 

「銃なんてどうでも良いでしょ! それよりなんで銃を持った美少女がここに居るの!? あぁもう! 訳わかんないわ! ホラー映画にナチゾンビ! そんで銃を持った美少女! 夢なら醒めてよ…!」

 

 自信を天才と表する高城は、次から次へと怒る超常現象に、ついてこられ無いようだ。

 

「取り敢えず、ここから出ましょう」

 

「うん」

 

 ここは平野が仕切り、二人を連れて工作室を出た。

 取り敢えず、一同は目的地を職員室に定め、そこへと向かう。道中、一同は自己紹介を始める。

 

「私、ルリ、ルリ・カポディストリアスって言うの。よろしくね。で、なんでおっぱい大きいの? 留年生なの?」

 

「私は高城沙耶(たかぎさや)、留年なんてしてないわ。今年に高校生デビューしたばかりよ。それと子の胸は自前! そんでこのキモイデブオタは…」

 

「平野、平野コータ…! それ、本物? それに腰のホルスターの拳銃はワルサーPPkだね…!」

 

 銃を持った美少女がルリと名乗れば、沙耶とコータも名乗る。コータは、ルリが持っている銃が本物だと知ってかなり興奮していた。

 そんな時に、沙耶はあのナチゾンビついて何か知っているのかをルリに問う。

 

「ねぇ、あんた。あのナチスのゾンビ…奴らはなんなの?」

 

「あれね。私が未来に行く前に、お姉ちゃんと一緒にドイツの田舎町で戦ってたゾンビなの」

 

「あぁ、聞いた自分が馬鹿だったわ。当てにならないわね、あんたのお姉ちゃんが頼りね」

 

「うん、難しい話は良く分かんないの。これ、食べる?」

 

「いらないわよ、こんな状況で」

 

 その答えは全く当てにならないので、沙耶はアンに会う必要がると言って目的地へと急ぐ。

 理由は彼女も生存者と合流して、職員室に向かっていると計算したからだろう。

 だが、行く前にやって行く方法がある。それは奴ら(アンデッド)の習性だ。

 手近に居る奴らに気付かれぬように、近くの物陰に隠れ、偶然近くにあった雑巾を奴らに向けて投げ付けてみる。

 

「何しているんですか?」

 

「決まってるじゃない。あいつ等の習性よ、習性。どうやって私らを嗅ぎ付けてるか確かめてんのよ」

 

 同じく隠れているコータに問われた沙耶は、問いに答えつつ、雑巾を当てても気付かない奴らに対し、今度は別の方向へ向けて雑巾を投げてみる。

 すると、奴らは音が鳴った方向へと吸い寄せられるように向かって行く。音に反応する習性があるようだ。

 

「目が見えてないのかしら?」

 

「視力が無くて音に反応する…何処かのゾンビ映画の設定ですね」

 

「黙ってなさいよデブチン。ほら、行くわよ。それとあんた、鉄砲は撃たないようにね」

 

「うん、分かった」

 

 取り敢えず。奴らに対しての習性がある程度に分かった所で、一同は目的地に急いだ。

 

 

 

「あれも。これも持って行かないと」

 

「急いでください鞠川(まりかわ)先生! 早くしないと…!」

 

 一方での保健室。ここは直ぐに奴らにやられているかと思われたが、運良く全滅は免れたようだ。

 保健の正規の先生では無い鞠川と呼ばれるアンに負けない程の美貌を持つ女性教師は、脱出する際に火挺な物を鞄に詰め込み、手間取っている。

 窓やドアから殺到して来る奴らを抑え付ける男子生徒は、早くしろと急かすが、彼女はまるで聞こえていないのか、幾つか薬品を落としてしまっている。これでは仲間入りも時間の問題だろう。

 

「ぐあぁぁ!?」

 

「え、嘘…!?」

 

 そうこうしている間に、奴らを抑え付けていた男子生徒が噛まれてしまう。

 自分も映画のようにゾンビになる。

 噛まれた男子生徒を見て、そう思ってしまった鞠川であったが、助けが都合よく入った。

 助けは木刀を携えし大和撫子を具現化したような上級生の女子生徒だ。彼女は手慣れた手付きで木刀を奴らの急所である頭部へ叩き込み、あっと言う間に保健室に雪崩れ込んで来た奴らを殲滅した。

 

「貴方は三年の毒島冴子(ぶすじまさえこ)さん?」

 

「如何にも、私は毒島冴子だ。荷物を纏めろ。直ぐにここから…」

 

 鞠川に名前を問われた女子生徒は、直ぐに答えて次を警戒したが、その次は想像を絶する物だった。

 

「ロメロ映画だけじゃなくて、ナチス物も…!?」

 

「何を言っているか理解できないが、他の奴らとは大違いのようだ」

 

 それはコータと沙耶を襲った旧ドイツ国防軍の軍服を纏ったゾンビであった。

 戦死者の遺体を無理やり動かしたゾンビを前に、流石の温和な鞠川でも驚きは隠せなかったが、冴子は相手にしてきた奴らとは段違いの物と判断して警戒する。

 飛び掛かって来る一体目の攻撃を防御しようとした瞬間に、その一体目のゾンビは外からの謎の攻撃で吹き飛び、壁に激突して元の死体に戻った。

 二人は思わず、謎の攻撃が来た方向を見れば、そこには窓から保健室へと入って来て、手を翳している高身長の白人の好青年だ。彼は保健室へと完全に入り切ると、何も無い場所から屋内での近接戦闘に優れる武器であるショートソードを取り出し、襲って来るナチゾンビを次々と斬り捨てる。

 やがて最後の一体を斬り捨てれば、好青年は鞠川と冴子に無事かどうかを問う。

 

「大丈夫ですか、お嬢さん方? 私はルボル・パワールと言う者です。ルボとお呼びください」

 

「あぁ、助かったのだが、ルボよ。それで、この兵士の奴らは一体…?」

 

「体内に埋め込まれた金属に流された電流の影響で動く死体です。周囲に居る動く死体には、金属が埋め込まれていないようですが…?」

 

 無事だと答えた冴子は、ナチゾンビについてのことを問い返した。

 これにルボは、体内に埋め込まれた電流の流れる金属の影響で動いている死体だと答え、近くに倒れている奴らの死体を調べ始める。ナチゾンビと同じ電流が流れている金属が埋め込まれた物と判断しただろうか、死体解剖用のメスを何所からともなく取り出し、金属が埋め込まれてないか調べ始める。

 

「金属が埋め込まれていない…? どうやって動いてるんだ!? 近くにネクロマンサーでも居るのか!?」

 

「まぁ、このナチス物の奴らが動いている理由は分かりましたが、これは全く分かりません…それにネクロマンサーとかのファンタジー系統も…」

 

「そうか。なら、ここを出るしかないな」

 

 金属が埋め込まれていないのに動く死体に驚くルボに、鞠川は理由が分からないと答えた。

 更にルボは自分が知る動く死体を操る技術があると言ったが、魔法の類は感じられず、奴らに噛まれたばかりの男子生徒を忘れて保健室を後にしようとする。

 自分を忘れて欲しくないのか、勝手に部屋を出ようとするルボを呼び止める。

 

「あ、あの…」

 

「あぁ、噛まれた青年か。もう駄目なようだが…」

 

「私がやります」

 

 呼び止めた男子生徒を見たルボはもう長くないと判断すれば、冴子は代わりに人のまま彼を死なせようとした。 だが、その役目はルボに取られる。

 

「彼の最期は私がする。君はどうにも…その、生きた人間を殺してみたいと言う好奇心がある…」

 

「…」

 

「…地雷踏んじゃった?」

 

「あぁ、済まない」

 

 ルボは、冴子の奥深くに潜む感覚を感じ取ったのだ。これに彼女は表情を暗くし、鞠川は彼が触れてはならない物に触れたのかと問えば、ルボは謝りながら腰のホルスターに収めてあるCz75自動拳銃を抜き、安全装置を外して男子生徒の眉間に銃口を向ける。

 

「君の名前はなんだ?」

 

「い、石井です…」

 

「OK、石井君。一瞬で楽になる。目を開けたときは、天国かもしれない」

 

「ありがとうございます…」

 

 奴らになり掛けている男子生徒の名前を問えば、彼は石井と答える。

 名前が分かった所で、ルボは目を閉じろと指示をし、彼が指示通りに目を閉じれば、引き金を引いて彼の人としての最期を迎えさせた。それから彼の遺体の顔に白いハンカチを被せた後、一同は保健室を後にした。

 

「鞠川女史、ここで一番の選択肢はなんだと?」

 

「えーと、職員室に行くことかな。あそこに車のキーがあるし」

 

「決まりだな。職員室に行こう」

 

 保健室へと出た後の選択肢が、職員室であると少し悩んだ後に鞠川が答えを出せば、冴子が決めて職員室へと向かうことにした。

 道中に幾多の奴らと遭遇したが、対応できる武器を持つ冴子とルボは完全に倒さず、転ばせる程度に済まして目的地へ急ぐ。

 これに鞠川は疑問を感じたのか、なぜ倒さないかを二人に問う。

 

「ねぇ、弱点分かっててそんなに強いのに何で倒さないの?」

 

「時間が掛かる上に、弾薬の消耗が激しいからです」

 

「それに奴らは鈍い。こういう時は、軽くあしらってやるのが肯定だ」

 

 この問いに、二人は急いでいる時は軽く倒す程度で良いと答え、襲ってきた奴らの足を狙って床の上に転ばせた。

 

「あん!」

 

「大丈夫ですか?」

 

 移動の最中に、鞠川が何かに躓いて転んだ。

 これにルボは直ぐに介補するが、冴子は彼女が履いているタイトスカートを破り始める。

 

「走るには、向かない格好だ」

 

「もぅ、高かったのに!」

 

「なんてことを…」

 

 タイトスカートを破った冴子に、鞠川は怒り始め、ルボは赤面する。

 そんな鞠川に対し、ファッションか命のどちらが大事かを問う。

 

「ファッションと命、どっちが大事だ?」

 

「両方!」

 

 その問いに対し、鞠川は両方を選んだ。

 

 

 

「このまま行けば、この学園の生徒全員をぶっ殺しちまいそうだな」

 

 一方で地獄より来た大男は、返り血塗れで周囲に転がる無数の死体を、奴らの一体の顎を引き剥がし、頭を踏み潰してから呟いた。

 辺り一面が惨殺された奴らの遺体だらけであり、地面は血で真っ赤に染まっている。

 

「中に入ってみっかな」

 

 校舎内に入ってみようかと思って大剣を背中に戻し、まだ残っている奴らを素手で殺しながら校舎内へと入った。

 中に入ったら入ったで奴らがうろついていたが、男は関係なしに進み、奴らを殺しながら何処かこの世界がどんな所か分かりそうな場所を探す。

 

『キャー!』

 

「まだゾンビになってねぇのが居るな。行くか」

 

 女子高生の悲鳴が二階より聞こえたので、シュンはまだ生きている者が居ると確認し、助けるために階段を体格に会わない凄まじい速さで上がった。

 

「おい、生きてっか!?」

 

 悲鳴を聞き付けて階段を上がれば、ツインテールの女子高生、それも沙耶が奴らの頭にドリルを差し込んでいる場面であった。彼女の周りには、釘打ち器を構えるコータと、M3A1グリーズガンから片手剣に切り替えたルリが居る。

 先の悲鳴で奴らが幾つか集めてしまったようだが、心強い生存者達も集まって来た。

 

「麗!」

 

「左を抑えるわ!」

 

「私は左右をやる!」

 

 上階の方からは孝に麗、それにM1A1トンプソンを構えるアン。

 

「こちらは任せろ!」

 

「一気に片付ける!」

 

 反対側の廊下の方からは冴子に鞠川、ルボが現れ、手近に居る奴らを手早く片付ける。

 戦闘は一瞬にして終わり、それぞれが周囲の安全が確保されたかと思って安心しきったが、予想だにしない敵の増援が現れた。

 それは電流が流れる金属を埋め込まれて生者に襲い掛かる戦史者達のなれの果て、すなわちナチゾンビだ。

 数は数体ほどであるが、当然現れたナチゾンビに驚いているのか、対応が遅れる。

 

「やれやれ、俺の出番のようだな」

 

 そんなナチゾンビらに即応できるのは、大剣を抜いて背中に二連装散弾銃を持った大男だけだ。

 彼は自分の出番が来たので、階段を上がり切り、張り切って大剣を振るって手近なナチゾンビを原形を留めないバラバラにした。

 一同が突如として現れた大剣の男に、驚きを隠せない中、男はその大剣を振るい、一秒ほどで二体のナチゾンビを同様にバラバラにする。

 ナチゾンビらもただバラバラにされるばかりでなく、乱入してきた男に集団で襲い掛かるが、返り討ちにされてバラバラにされるだけだ。

 

「離れてろ!」

 

 離れた距離に居るナチゾンビは、射線上に居る者に警告してから二連装散弾銃を放って肉塊にする。

 この凄まじい散弾銃の威力に、コータは驚きを隠せず、身の丈のある鉄塊のような大剣を振るう男がただの大男では無いと判断した。

 最後の士官帽を被ったナチゾンビを惨殺すれば、返り血塗れの顔で一同に無事かどうかを問う。

 

「よう、無事か?」

 

「あ、貴方は…?」

 

「瀬戸シュン!? 何故生きている!? お前はあの時に…」

 

「でも、なんかおっきくなってるよ」

 

 無事かどうかを問えば、アンはこの大剣を振るう大男を知っていたのか、その死んだはずの男の名を口にした。

 だが、ルリは男の身長が高くなっていると言って、別人ではないかと疑う。

 これに、瀬戸シュンと言う名の大男は、自分が蘇ったことと、この世界に来た経緯を話す。

 

「地獄で勝手に化け物にされて蘇らされ、そんで地獄の王をぶっ殺したらこの死者地獄に来た。これで良いか?」

 

 死んだはずの当の本人であり、悪魔として蘇らされたことや、この世界に来た経緯を大雑把に答えれば、アンとルリはやや混乱した。

 シュンのことを知らない姉妹を除く者達は、当然ながら理解できないでいた。これにシュンは、安全な場所で詳しく話そうと提案する。

 

「まっ、俺は口下手だしな。向こうで話そうぜ、ここじゃいつさっきの連中に襲われるか分からねぇ」




夏のホラー枠、投稿完了。

さて、学黙の原作者の代行人…決まるだろうか…?

続きが気になる? まぁ、連載予定じゃないけど。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。