オッス、オラトウヤ。カノコタウンに住むごく一般的な男の子。強いて違うところを挙げるとすれば転生者ってとこかナー。
なんてネタかましてる場合じゃない。そう、俺は転生者だ。前世ではごく普通の大学生だった。講義が終わってラーメン食ってさぁ帰るか、ってところでお決まりの暴走トラックに轢かれて気がついたら、のパターンだった。
それでですね、この世界、なんとポケモンbwの世界らしいんですよ。うはっ!俺のタブンネたんに実際に会えるんだ!やったー!ってテンション上がったわ。だってポケモンですよ?前世では世界的にヒットしたゲームシリーズで、対戦バトル物としてもキャラクター物としても超一級のコンテンツであるポケットモンスター。当然俺もやってたし。一度でいいからリアルポケモンと会いたいな~、なんて妄想はみんなしたことあるでしょ?それが現実になったと知った時の俺はやばかったね。どれくらいやばかったかというと、ポケモンなしで草むらに突撃してヨーテリーにフルボッコにされるぐらい。いや、マジでポケモンって強いわ。もうね、人間なんて目じゃない。レベル3とかだろ?最初の草むらのヨーテリーって。その時俺は5歳だったんだけどさ。前世の記憶と人格を5歳くらいでいきなり思い出して、ここがポケモン世界であることを認識した瞬間、俺はいてもたってもいられずに草むら突撃してあぼーんってわけ。怪我はたいしたことなかったんだけど、親にめちゃくちゃ怒られた。ポケモンを従えてない人間が草むらに入ることは固く禁じられているからね。怪我が軽かったのは多分ヨーテリーが手加減してくれてたからだろうな。なんだかんだで野生のポケモンには良識がある。草むらでは野生のポケモンは人間に襲いかかってくるんだが、それでもガチで殺しにかかるような真似はしない、らしい。そもそも人間とエンカウントしやすいような街道とかに出現するような野生ポケモンは基本的に人間に興味がある奴ばかりだ。そこでバトルを仕掛けてみて、相手を見極めるらしい。つまりポケモンがトレーナーに逆ナンをしかけてるってイメージだな。そこで相手のトレーナーを認めたらゲットされてもいいって心持ちになり、モンスターボールで捕獲されるって寸法。逆にトレーナーはポケモンに認められなかったら絶対に捕獲できない。いくらモンスターボールを投げても弾かれてしまうっぽい。ポケモンゲットに関する設定はアニメ版のイメージだな。友情ゲットとかもあるっぽい。伝聞口調なのは、俺がまだトレーナー資格を取得してないから。
そう、俺はまだトレーナー資格を持っていないのだ。この世界では、というかこの地方では子供は13歳になったら基礎教育過程を終えトレーナー資格を貰える制度になっている。その後の進路は自分で決めるってわけだ。高等教育過程にすぐ進学する奴もいれば、数年間旅に出て世界を回ってから改めて進学するって奴もいる。13歳を迎えた人は成人として扱われる。俺の前世的にはありえない制度だが、一応基礎教育過程では早い段階から大人としての心構えなども教えているから目立った問題は起きてないらしい。すげー世界だな。
と、世界観設定はおいおい話すとして、俺のトウヤという名前。そして容姿。近くの研究所にいるアララギ博士。基礎教育過程で同じクラスだったベル、チェレン、トウコの名前。どう見ても主人公です。本当にありがとうございました。
なんて思っていた時期が俺にもありました。俺はベルチェレントウコらと別段仲良くない。同じクラスってだけの知り合い以上友達未満ってやつだ。3人組は非常に仲がよろしく見える。きっとこの世界の主役はトウコなんだろうなー。ま、いっか。その方が気楽だし。でも、ゼクロムには会ってみたいんだよね、かっこいいし。まぁ高望みはすまい。
そんな俺も今や13歳。明日はアララギ博士から最初のポケモンを貰って旅立つ日。とうとうこの日がやってきたわけですよ。わくわくして眠れないぜぇ。なぁハッサム。
「パルルゥッ!」
こいつはハッサム。家で飼ってるが、俺のポケモンってわけじゃない。まだ資格持ってないし。こいつは俺が8歳のときに近くの林にこっそり忍び込んでポケモンウォッチングしてた時に偶然見つけたタマゴを拾って持って帰ってきた奴が孵化して以来、家で飼ってるポケモンだ。当然タマゴから孵った時はストライクだったんだが、お小遣いを貯めて買ったメタルコートを持たせたら進化した。ゲーム設定的にはありえないわけだが、どうやら完全ゲーム準拠な世界じゃないということは薄々感じてたし、ダメ元でやってみたら進化したわけだ。こいつ超かっこいい。
鳴き声はゲーム版が近いかな。アニメ版みたいに種族名を唱えるわけじゃない。ピカチュウはピカピカ鳴くが。
今はこいつのはさみを研磨用タオルで磨いてやってるところだ。ん~、今日もいい光沢だぞ。
「パルゥ!」
どうやらご機嫌らしい。ポケモンは前世の動物たちと違って人間の言葉をはっきり理解してる頭のいい生き物だ。感情も非常に人間に近い、ように思える。だから、ペットというよりは友達って感覚が近いな。
「なぁハッサム、お前も知っての通り、明日から俺は旅に出る。俺としてはお前と一緒に旅をしたいと思ってるんだけどさ。どうだ?正式に俺のポケモンになって一緒に旅をしてくれるか?」
「パルッ!」
こくりと頷くハッサム。おお、ありがとう!一緒にがんばろうぜハッサム!
翌日
朝10時にアララギ研究所に到着した。同期の奴で旅に出る面々もちらほらいらっしゃる。主人公組はたしかプレゼントボックスが家に届けられてるんだったかな。
「ハーイ!トウヤ、いらっしゃい!待ってたわよ!」
「おはようございます、アララギ博士。」
「早速だけど、これがトレーナーカードよ。はい、受け取って。」
アララギ博士からトレーナーカードを渡された。よし、これで俺もポケモントレーナーの資格をゲットだぜ!それでポケモンのほうは・・・
「それと・・・これがお待ちかねのあなたのポケモンよ!」
そう、最初に渡されるポケモンはイッシュ御三家から選ぶってわけではないのだ。この街では最初に与えられるポケモンは基礎教育過程での成績や性格などを考慮してアララギ博士が決めることになっている。まあ基本的にはイッシュ御三家になるのだが。俺は基礎教育課程でのポケモンに関する面での成績はすこぶるよかった。なにせ前世の知識があるんだし。前世のゲーム知識とは全然違う点も多いが、そもそもこの世界でのポケモンに対する一般人の知識レベルはたいしたことがない。
俺はアララギ博士から受け取ったモンスターボールを投げてみる。出てきたポケモンは・・・
「ぽわ~!」
ピンク色のクラゲみたいなポケモン。プルリルだ。かわいい!でも何故ブルリル?
「この子はプルリル。みず、ゴーストタイプのポケモンよ。しっかり可愛がってあげてね!」
「よろしくな、プルリル!」
「ぼわぽわ~ん!」
プルリルと握手する。かわいいなぁ。プルリルも喜んでるようだ。
「さて、これからあなたの旅が始まります。これからあなたはたくさんの人やポケモンと出会うことでしょう。そこで、あなただけの大切な何かを見つけてくれると期待しています。がんばって!」
「はい!ありがとうございます!」
俺はアララギ研究所を後にする。取り敢えず家に戻って、いよいよ出発だ!
「ただいま、ハッサム。紹介するよ。俺たちの新しい仲間、プルリルだ。それ、出ておいで。」
「ぽわ~」
「ぱるぅ」
「仲良くな」
ハッサムとプルリルが挨拶をする。どうやらファーストコンタクトは上々らしい。
それにしてもプルリルか。進化系のブルンゲルは特防が高くてゴーストタイプだからノーマル格闘技を無効化できるし、受け範囲も広くて受けとしては優秀だな。ハッサムもいることだし、ガチパを目指すのもいいかもしれないなー。
俺は必要以上にポケモンをゲットする気はない。しっかり愛情を注いで育てていきたいからだ。ボックス送りにしたままなんて俺が嫌だしな。ボックス内は割とポケモンにとって快適らしいんだけどね。やっぱり相棒たちとは直に接していたい。孵化厳選なんてもってのほかだ。そもそもステータスが数値化されているわけではないし、正確な個体値なんて分かりっこない。性格補正や努力値的なものはあるっぽいけど、それでも血の通ったポケモンを戦いのための道具として扱うなんて無理だわ。友達だからね。でも、別にバトルを否定しているわけではない。むしろ、ポケモン達は好戦的というか、バトル好きが多い。まあ、パーティのバランスを考えてポケモンをゲットしていく方針で。
さて、荷物も持ったしそろそろ出発するか。家の親は超絶放任主義というか、あまり俺に関心がないようで、今日も留守にしている。そのおかげで、実精神年齢とかで怪しまれたり気味悪がられたりしなかったおかげで助かっているけど。
「さぁ、出発だ!」
「ぽわ!」
「パルッ!」
主人公たちも出発したかな?