side月華
「ほー、なるほどつまり最初っからLv4ってのは本来有り得ないってことか」
「当たり前や!そんなの今まで見たことも聞いたこともないわ!」
ある程度何らかの影響があるとは思ってたがまさかここまでとは。正直予想外。
「まあともかく最初からLv4なんてのはありえへん。だからギルドの冒険者登録の時は過去に神に恩恵をもらって鍛えてきた……みたいにうまいこと誤魔化してや。」
「ん、了解した。」
月華はいいながら服を着る。
「うちのファミリアの幹部には一応ぼかして話はする。せやけど他の神や冒険者には詳細は絶対秘密や。あ、神には嘘はつけへんから上手く立ち回りや。」
だいぶ放任主義だなおい。
「月華の契約は終わったかい?」
フィンは扉を開け期待の目をロキに向けている。
「ああ、その事なんやけどな……幹部を急遽集めてや。フィン、ガレス、リヴェリアにはホントの事を伝える。ベートら他の幹部にはぼかして伝えるわ。」
「そうか、相当だったみたいだね。」
フィンはそこで話を打ち切りこちらに目の向ける。
「そうだ、一応聞いて置かなければならないことがあってね。君に今から3つの質問をする。嘘偽りなく答えてくれ。まず一つ目、君はどうして冒険者になろうと思ったんだい?君の場合は……そうだね戦う理由でも聞こうか。」
戦う理由……ね。最初は適性があったからでなんとなく始めたハンターだった。でもそこからいろんな奴に会って、村の人から激励をもらって、俺は……
「……護るため。自分の大切なものを失わないために俺は戦う。人は守る物があればいくらでも強くなれるのさ。」
「そうか……では2つ目、君はファミリアの仲間が危機に陥った時、命を賭して助けに向かうことが出来るかい?」
「そんな状況覆してやるさ。もう昨日まで仲間だったやつが死んでいくさまなんざ見たくないからな。」
「最後の質問だ。君は何があろうと僕らのファミリアの一員だ。ファミリアのために命をかける覚悟はあるか?」
「当然。拾ってもらった身だ。誠心誠意尽くさせて貰おう。」
フィンは納得したかのように2、3回頷き口を開く。
「合格だよ月華。君は【ロキファミリア】に相応しい冒険者だ。今の誓い忘れないことだよ。」
「よし、じゃあ月華の部屋を案内するでー、っとその前に……誰がええかなー。アイズたんでええか。お前にはアイズたんと模擬戦をしてもらうで。」
実力を見たいってとこか。俺は頷きフィンに中庭まで案内された。
ファミリアに入ったんなら他のメンバーの顔合わせとかやらないのかと聞くと今夜遠征祝の宴会があるからそこで発表するのだそうで。
sideアイズ
「なんだろう。」
私はいまフィンに呼び出されて中庭に向かっている。とりあえずあの月華って人、すごく綺麗な太刀筋だった。もしかしたら自分よりも剣技においては上かもしれない。最近ステイタスが伸び悩んでるし……彼と戦えばもっと強くなれる気がする。あ、中庭についた。あれはフィンとロキと……月華君?
「お、来たなアイズたん。早速やけどちょっと月華と模擬戦してくれへんか?こいつの実力が見たいんや。」
願ってもないことだ。私は快く頷く。
「獲物は自分のを使っていいよ。ただし僕がやめと言ったらすぐに中断すること。」
「分かった。」
「了解。」
私は
side月華
急遽アイズと戦うことになり、俺は武器箱の中の武器たちを眺めていた。どうしようかなー何使うかなー。せっかくだしこの世界にないものにしようか。きっとこれはそうそうあるもんじゃないだろう。
俺は迷わずスラッシュアックスの《アクアテンペスト》を武器箱から取り出した。
するとアイズが到着した。ロキとフィンから説明を受けると片手剣を鞘から引き抜いた。フィンのルールに「了解。」と短く返す。
相手はLv5、自分はLv4。その間には絶対的な壁があるらしい。それほどにレベルというものは大きいようだ。
しかし負けるつもりは毛頭ない。こちらとて規格外の化け物相手に工夫と技巧を駆使して生き残ってきたハンターだ。勝ち続けてきた実力は伊達ではない。これは慢心や驕りではなく純然たる自負とでも言っておこう。
フィンから「はじめ!」と合図がかかる。
一瞬、すり足でアイズに肉薄し斧モードで切り上げる。これはそうそう反応出来るはずも無いのだが……
アイズは少し驚きながらもバックステップで躱した。
フィン曰くレベルの上昇は筋力や耐久だけではなく、体感速度や反応速度も上昇する。そうでなければモンスターに人が敵うはずもないそうだ。
故に俺の切り上げを避けられるのも当然といえば当然のことである。
アイズは片手剣で勢いよく突き出す。それを間一髪で躱すが躱した先に鉄製のブーツが見える。避けられるはずもなく。俺は側頭部を蹴り飛ばされた。
速すぎるな……レベルが一つ違うとここまで違うのかと戦慄する。しかし相手の土俵で勝つことは難しい。しかし相手の土俵でわざわざやることも無い。自分の土俵に引き込めばいい話だ。
力で勝てないなら技術で勝つ。
ーースラッシュアックス変形『剣モード』
やはり驚くか、中庭にいる全員が驚いている。てかいつの間にか人増えてね?中庭には既に50人ほどの観客で埋まっていた。
アイズは筋力とスピードにものを言わせて切り込んでくる。俺は体捌きと剣の側面の微妙な軌道でそれをいなす。切りかかるそれをいなす。切りかかる、いなす。それを何度か続けた次の瞬間。
『
アイズの口から放たれた言葉が突風を生む。今から来るのは最強の一撃だと、そう直感した。風と共に突き出された剣は神速を以て俺に襲いかかる。
この瞬間を待っていた。
俺はスラッシュアックスを地面と水平にして剣を受け……スラッシュアックスをその反動で回転させ振り下ろした。剣の武術で言うところの『返し技』と呼ばれるものだ。
これは決まったそう確信し寸止めする直前。その刃は彼女の片手剣に阻まれ……俺は掌底を食らって吹っ飛んだ。
そこでフィンから「やめ!」の合図がかかった。
衝撃を受身で逃がしたのでほとんどダメージは無いが俺の完敗だ。
アイズが近づいてきて俺に手を差し出した。
「大丈夫?」
俺はその手を取り「大丈夫だ。」と言った。
「負けたよ。完敗だ。」
「月華も強かったよ。もし刀とか片手剣とかもっと軽いものを使われてたら負けてたかもしれない。」
負けて悔しいが都市最強と謳われる冒険者の実力を知ることが出来たのでいい収穫だと思う。
この世界での最初の激戦はこうして幕を閉じた。
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