ですが、楽しんでいただけると助かります。
「秋だね」
「秋ね」
縁側から宙を舞っている紅葉を見ながら、俺と霊夢はそんな事を呟く。
秋といったらやっぱり紅葉だ。紅葉が紅くなったり黄色くなったりすると、やっと秋が来たかと感じれる。秋の代名詞といっても過言ではないかもね。
俺は秋が好きだ。因みに二番めは春。何故秋が一番好きかと言うと、秋は俺が好きなものが多いからだ。食欲の秋、というように木の実なども沢山生るし、紅葉みたいな綺麗なものも見える。気温もちょうど良いしね。
春も秋も似た者同士だけれど、俺から見れば、秋は春よりちょいと勝ってるんだ。だから俺は秋の方が好きなんだ。
「でも、もう秋も終わっちゃうんだよなぁ」
秋から冬へ移り変わり、冬から春へ、春から夏に、移り変わる。そしてまた、秋に巡り回ってくる。
そうやって季節はいつも回ってきた。
ふふ、此れを口に出してたら、霊夢は「格好付け」って言うんだろうね。俺もそう思うよ。
この前、紫さんにも言ったけれど、俺ぐらいの年頃は大人の真似をして格好付けたがるもんなんだよ。背伸びをしたがるお年頃なんです。
「そういや奏は秋が好きだったわね」
「うん。特に秋の終わり頃はね。もうすぐ好きな季節が終わるってのは、少し悲しい事だけど、秋の終わり頃は綺麗なものも沢山見れるから」
「ふーん。あんたって、意外と儚いものが好きよね。もっと派手なものが好きだと思ったわ」
「ん、派手なもの好きだよ。花火とか、きみ達の弾幕ごっことか」
でもやっぱり、儚いものが好きです。
桜は散り際が一番綺麗だというし、紅葉も同じだ。派手に爆発する花火も好きだが、俺は線香花火の方が好きだったりする。あのパチパチなったあとにポトンと落ちるのは大好きだ。
「霊夢は……春夏秋冬どれがすきなんだい?」
「うーん……」
霊夢はちょいと考える素振りする。そんなに難しく考える必要はないのにね。
「私は春、ね」
「へぇ……其れまた何で?」
暖かい季節だからかな? 其れとも花見とかがあるからとか。春も良いところは沢山あるもんね。
そういや、俺の誕生日も春だった。完全に忘れてました。
「何となく。何故かは分からないけど、春が好きなの」
「そうかい。ま、好きな理由なんて無くても良いか。其れが好きだったら其れで良いと思うし」
「ええ、そうね」
俺は軽く笑い、霊夢の口も小さく弧を描く。
まあ、アレだな。いつもと変わらない日常ってやつだ。縁側でお茶を啜ってお話をして、二人で笑うそんな日常。
そんな日常を、俺はかなり気に入っています、
「そういやあ霊夢。今日、秋の幸を持ってきたんだが──「寄越しなさい!」
うんうん、分かったから身体をぐらぐらするのを止めて下さいな。そんぐらいじゃ気分が悪くなったりはしないけれど、食材を渡せないからさ。
まあ気持ちは分からんでもないけどね。俺も秋の幸は大好きだし。特に栗は最高です。
「ちょいと落ち着けよ、霊夢。食材を渡せないじゃないか」
「ご、ごめん。ちょっと正気を失ってたわ」
ちょっとどころじゃなかった気がするけどなぁ……。気がついてないのだろうか? 其れ程までに此の食材達が欲しいのかい? 恐るべし、秋の幸達。
俺は霊夢の真剣さに内心若干引きながらも、包に入った食材達を渡す。其れを受け取ると、霊夢はパァと光が灯ったとような明るい顔をしてました。ホントに嬉しかったんだね。其れはわざわざ採ってきた甲斐がありました。良かった良かった。
「ね、ねぇ、ホントに良いの? ホントに貰って良いの? 私、貧乏だから、大した御礼はできないわよ?」
「いやいや、いつもお邪魔してるからさ。其れの御礼だと思ってくれよ」
「あら? そう考えたら、御礼を持ってるくるのは当たり前ね。いつもお茶と茶菓子をあげてるんだから、感謝しなさいよ」
「ははは……手のひら返しがすごいな。ま、感謝してますよ、ホント」
ホントに、感謝してますよ。
だからいつもありがとう。
なんて事は、少し怖くて言えないや。
感謝の気持ちなら伝えられる。でも、いつも一緒にいてくれてる事の感謝の気持ちを伝えるのは、ちょっぴり俺には無理そうです。俺はやっぱり、どこまで行っても臆病だなぁ。
「どうしたの?」
霊夢がこてっと首を傾げる。俺は「何でもないよ」と本心を隠す。霊夢が人の好意を踏み躙るような奴だとは思っていないが、心の何処かで俺は不安なんだろう。そうでもなきゃ、本心を隠したりはしない。
どこまでも臆病で、自信がない俺の逃げだ。自分の想いからの逃避行。
「あんた、さっきから何だかおかしいわよ? 表情が何処か暗いし……なんか悩み事でもあんの?」
おっと。表情に出てたみたい。危ない危ない。
「言いたくないのなら詳しく聞かないけれど……何かあったら話しなさいよ? 相談ぐらいは乗ってあげるから」
「そりゃあ良いね。だけど、遠慮しておくよ。此れは俺が解決しなくちゃいけない問題だし」
きみもその問題に関わってるしね。寧ろ、中心近くにいると言っても過言ではない。
尤も、そんな悩み事は大したもんじゃあないんだけれど。
「なら良いわ。精々頑張りなさい」
「ああ、頑張るよ」
あの白黒魔法使い程頑張る事はできないけれど、其れでもまあ、僕なりに努力していこうと思う。
「あら? もう日が沈んできたわね……そろそろ夕飯でも食べましょうか。折角あんたが秋の幸を持ってきたのだし、今日はご馳走ね!」
「料理は何方が作る? 俺が作ってもいいのだけど、折角だし二人でやるかい?」
「うーん……そうね、一人でやるのも面倒臭いし、一緒にやりましょう。私も一応、あんたのお世話になってるわけだし」
「んじゃ、二人でやろうか。ほら、さっさと台所に行こうぜ」
俺が歩き、その後ろを霊夢が付いて来る。なんか妹みたいで可愛いです。
案外俺は、妹好きなのかもしれないね。フランちゃんからお兄さまって言われた時、嬉しかったしね。やっぱりさ、妹がいないからこそ、兄と呼ばれると嬉しいんだろうね。
なんて莫迦みたいな事を思考していると、台所に付いていた。
「なあ霊夢」
「なによ」
「一緒にご飯作るってさ。夫婦みたいだよね」
「あ、あんたなに言ってんのよ!?」
「ふふ、顔赤くしちゃってさ。恥ずかしがるなよ、これぐらいで。ただの冗談じゃないか」
そう言うと、霊夢は真っ赤な顔で俺を睨んでくる。俺はそれを見て笑う。
そんなに恥ずかしがる事はないだろうに。そんなにムキにならないでよ。昔はね、『奏と結婚する〜』とか言ってたのにね。まあ子供の頃だから霊夢も覚えていないだろうし、子供なら結婚なんてすぐに口走る。
「ささ、早く取り掛ろうぜ。今日はいつもより夕飯を作るのが遅いんだから、これ以上時間を無駄にするわけにゃいかんだろう?」
「誰のせいだと思ってんのよ、ホント」
誰のせいだろうね? 全く心当たりがありません。
霊夢はちょっと怒ってるような口調だったけれど、少しだけ笑っていた。
きみはやっぱり、笑顔が似合ってると、俺は思います。
さて。次話からは魔理沙出すか。
今の所、東方キャラは霊夢とゆかりんしか出てないしね。