元々見切り発車のこの小説。最後はやっぱり変な感じがしますけど、まぁ僕はこれで満足です。
それではどうぞ。
いつからか彼女のことが好きだったのか。そんなことはもう憶えていない。
けど、きっとそれは突然だったはずで、理由も無かったはずだ。
いつの間にか、彼女の側に居たいと思って。
いつの間にか、彼女の笑顔を見たいと思って。
いつの間にか──霊夢のことが好きになっていた。
自分の想いに鈍感だったのだろう。長い間、近くて遠い場所にいて、気の良い友人として接していたから。
よくよく考えれば、簡単な問題。
なんで、霊夢の隣にいつも居たのか。友人なら、魔理沙だってそうなのに。
なんで、霊夢と一緒に居たいと思ったのか。きっとそれは、彼女のことが好きだったから。
本当、なんで気がつかなかったんだろうね。不思議過ぎて笑いが出るくらい。
まぁ多分、余裕が無かったんだと思う。自分の感情に気がつく頃に、彼らにしてやられたから。
無意識のうちに隠してたんだ。他人だけじゃなく、自分の想いさえも信じられなくなる前に。心の片隅に──ずっと。
まぁそれでも、なんだかんだありながらも、彼女に想いを伝えることが出来た。それがこの物語の結末だ。それで良いと思う。
『わたしがおおきくなってもね──わたしの、隣にいてね』
そんないつかの約束も、守れた。
俺はこれからもきみの隣にいる。ずっと、その約束を守り続けよう。
☆ ☆ ☆
「好きだぜ」
思えば、なんで今まであんなにも迷っていたのだろう。こんな一言を伝えるために、俺はなんであんなにも悩んでいたのだろう。
怖かった。
恐ろしかった。
あの時のように──自分の信頼を裏切られるのが、嫌だった。
でもきっと、あの時のことはあくまで原因の一つでしかないのだろう。
1番の原因は、俺にあった。人を信じることが出来なかった俺こそが──1番の原因だった。
だけど、もうその心配はない。
紫さんのほんの少しの助言──いや、あの妖怪にとっては、あれは些細な気まぐれでしかないのだろう。
俺や霊夢以上に気まぐれな彼女は、それぐらいが1番似合う。
それでも、彼女のそんな些細な気まぐれなおかげで、俺は勇気を持てたのだから。
紛い物ではない、本物の勇気を。
「今、なんて……」
「好きだと言ったんだよ。霊夢、きみのことが」
いつから好きだったかは憶えてない。
強いていうなら、いつからか好きだったんだ。
「俺は、さ。信じることが出来なかったんだ。周りの人間のことが」
「それは、私のことも……?」
「うん、そうだね」
「っ……」
そんな、悲しそうな
「でも、今は違うよ。きみのことを、本当の意味で信じれるし……きみに伝えたこの言葉も、本物だ」
まぁこんな言葉、ただの綺麗事にしか聞かないだろうね。信じてた人に信じられてなかった。だけど今は信じてる。それは余りにも虫が良すぎる。
嫌いになっても構わない。きみに嫌われるのは、確かに嫌だけど、それでも、きみが望むのなら俺は──
「……分かってた」
ポツリと霊夢がそんな言葉を落とした。そして、その言葉は少なからず俺に衝撃を与えた。
気がついて、いたのか……
ああ、そっか。
きみは、勘が良かったよね。
『言いたくないのなら詳しく聞かないけれど……何かあったら話しなさいよ? 相談ぐらいは乗ってあげるから』
少なくともあの時から、きみは分かってのか。
あれがきみの優しさだと思ってたけど、きみは本当に──
「あんたが、私のことを信じることが出来ないでいたのはずっと前から知ってた。何年一緒に居たと思ってるのよ。それぐらいは、簡単に分かるわ」
それでもきみは、俺と一緒に居てくれたんだね。俺がきみを信用出来てないことを知っているのに。
そして霊夢は、俺の浴衣の襟元を掴み、ぐいっと自分の方に近づけた。
突然の行動に、俺は何も出来なかった。
「え……?」
「………ん」
ふと、唇に柔らかい感触を感じた。そして、それが彼女の唇だと気がつくまで、少しの時間が掛かった。
「私も……あんた──奏のこと、好きよ」
見惚れるような笑顔を浮かべて、けれど恥ずかしいのか、顔を真っ赤に染め上げながら、彼女はそう言った。
そう、告白してくれた。
だから俺も、それに対して答えた。
「ああ、俺も、きみのことが好きだ」
霊夢は、その言葉を聞いて目を瞑った。
俺はそれを見てふと軽く笑って、彼女の顔に自分の顔を近づけた。
ありがとう、霊夢。
俺はきみのことが好きで幸せだ。
きみが俺のことを好きでいてくれて、幸せだ。
だから。
だから──
そっと顔を離すと、霊夢の真っ赤な顔が視界に入った。心なしか瞳に渦巻き模様が浮かんでいる気がする。
俺はそんな霊夢を見て微笑んで、
「俺と結婚して下さい」
「はい!」
告白からのプロポーズ。
かなり早いような気がするけれど、まぁそれはそれで良いと思うんだ。
☆ ☆ ☆
俺が霊夢に告白して、プロポーズをしたあの日から5年が経った。
結婚したのはつい最近で、色んな人から祝福された。紫さんにからかわれたり、魔理沙にからかわれたりしたけど、まあそれも良い思い出だ。
結婚して何かが変わったかと言えば、正直あんまり変わったことはない。
俺と霊夢が同棲を始めたぐらいで、基本的にはすることは変わらない。
縁側でお茶を啜り、たわいのない話をしながら1日を過ごす。霊夢は相変わらず妖怪退治を続けているし、俺は適当に人里で魚とかを売ったりしてる。
でも、その生活を俺は気に入っている。これから先ずっと、こんな風に何気なく1日を過ごして行くだろう。
まぁ、俺と霊夢が恋仲になって一番変わったことと言えば、きっとアレだろうなぁ。
「もっと近くに寄りなさいよ」
博麗霊夢、彼女だろうね。
今まで甘える人が居なかったからか、なんか俺にべったりになった。
暇があれば俺に抱きついてくる。
それが嫌だとは言わないけれど、いや、寧ろどんどん来て欲しいのだけれど……紫さんや魔理沙が居ても、この態度なんだ。
こんな俺と霊夢を見た人間は、からかう気力も奪われるのか苦い物をたくさん求める傾向にある。
多分、その原因は霊夢だけじゃなくて、それを甘やかしてる俺にもあるのだろうけれど。
だってねぇ……。
霊夢、可愛いし。
まぁ彼女の意外な一面を知ることが出来たのも、こうして恋仲になり、結婚したからだ。
あのまま俺と霊夢が不仲なままだったら、きっとこんな一面を見ることはなかっただろうし、もしかしたら今頃は一緒に居さえしていなかったかもしれない。
だからまぁ、ね。
そういうことだ。
俺と霊夢の恋のお話はこれでおしまいだ。
無事にハッピーエンドを迎えること出来たし、俺は満足だ。きっと霊夢もそう思ってる。
けど、お話が終わったからと言って、俺達の日常が終わるわけじゃない。
これから先もずっと、続いていく。
物語が完結した後、その登場人物がどうなっていくのか。多分、ずっと続いていくのだと思う。其処で終わりなんかじゃなくて、彼らの毎日は、それからもこれからもずっと。
それは、俺達も一緒だ。
ふと、横を見る。
俺の隣には霊夢がいて。
霊夢の隣には俺がいる。
そうして2人で並んで歩いていく。
平凡な俺と巫女のきみ
そんな2人の日常は、これからもずっと、続いていく。
やっぱり最後はめちゃくちゃで、だけどきっと、こういう終わり方も良いと思います。
あとがきは活動報告に載せときました。
取り敢えず、今まで読んでくれた方々にはお礼を言いたいと思います。
読了お疲れ様でした。
こんな拙い小説を読んでくれて、本当に感謝感激です。
それでは、また何処かで。
近いうちに新作出すよ(ボソッ)
活動報告を見てね。