久しぶりになりますね、武蔵です。
季節外れの風邪はまだわかるのですが、季節外れのインフルエンザって都市伝説だと思っていました。インフルエンザって家で寝ていたら数週間で完治するという話しを聞いたことがあるのですが、薬を取りに行くのが面倒くさいので輝夫の優しさで病院で治してきました。
そして輝夫の手料理を楽しみに帰ってみると輝夫がゾンビになっていました。
「……うぁぁぁぁ」
「やっべ、CAPCOMに著作権侵害で訴えられそう」
顔色が悪い輝夫は口を開けたまま放心状態になっている。何が起こったのかわからないが俺がインフルと格闘している間にラクーンシティに観光に行ったのだろう。黒幕はウェスカーなんですけどね初見さん。
何度か声をかけても返事を返してくれることはない。
「俺は警察だ。世の中の不逞な輩を見逃すわけにはいかねぇんだ」
「――ゴボガァ!?」
とりあえず正義の鉄槌でバツを下した。すると輝夫はさっきまでのゾンビ状態から開放されて俺のことを涙目で見つめる。あれ、輝夫ってこんなに可愛いのか……。
「むさしきゅん……」
「てるをたん……」
「「久しぶり! 痩せた?」」
正常な状態に戻った輝夫の姿に安堵して反対側のソファーに腰掛ける。
輝夫の表情は気だるさを漂わせている。これはゾンビに噛まれて一時間経過と言ったところだろうか? もし本当にゾンビになったら撃ち殺して燃やさないといけないな。
「俺はラクーンシティに行ってねぇぞ」
「なんでわかるんですかね?」
「ブラザーの考えてることはお見通しだ」
「そうなると自分がゾンビみたいな顔色してるのには気付いているんですね」
輝夫はため息を吐き出して少しの間を開ける。
そして起こる筈がないことを口に出した。
「フェイトたんが……俺に暴力を振るったんだ……」
「冗談はよせよ。俺達のアイドルであるフェイトたんは暴力を使わないタイプの美少女だろ?」
「いや、フェイトたんが俺のことを殴ったんだ……パーじゃなくてグーで……」
「……マジ?」
「マジ」
俺達は互いに長い空白の時間を作りながら一つの答えに辿り着く。
「「……うぁぁぁぁ」」
ゾンビになって現実逃避することだ。
2
どうも、軽い女性恐怖症を発症した輝夫です。
とりあえず今日という一日は部屋に引きこもって寝ます。今日は絶対に女と喋らないぞ、俺は絶対に原作ヒロインと関わらないぞ、絶対にな!
「よし、買い溜めたエロ本を読んで女性恐怖症を治そう」
最近はコンビニのエロ本コーナーが縮小(現在は完全撤去)されて困るんだよね、可愛いコンビニ店員に年齢聞かれるのが大好きなのにね。
今日は巨乳OLモノを楽しもうかなぁ!
「……おっきいね」
「……うん、母さんと同じくらいかな?」
「…………」
後ろを振り返るとテスタロッサ姉妹が食い入るように読んでいたエロ本を眺めている。どうしてだろうか、どうして、どうして……。
俺はエロ本をゴミ箱に投げ捨てて勉強机の引き出しに顔を突っ込む。
「どらえもぉん!! タイムマシン使わせよろオラ!?」
「フェイト、アレが輝夫の現実逃避第一段階だよ。タイムマシン探し出すの」
「そ、そうなんだ……」
「ドラえもんを殺して俺も死ぬ……」
冷静になれ、冷静にならないと二人の流れに飲み込まれてしまう。俺は踏み台なのだ。修一郎様の引き立て役である俺がヒロイン達に負けてなるものか!?
「ねえ、どこから侵入したの?」
「窓」
「せめて玄関から入ってきなよ……」
「居留守を使われると思って」
「むさしきゅんが退院してるからしねぇよ……」
二階の窓から侵入する女の子とか萌え要素満載だけど現実に起こると不信感が半端ない。唯一の希望がテスタロッサ姉妹という比較的に暴力的じゃないヒロインというところだろうか? いや、フェイトたんは俺に暴力を……。
「ああ、どうして俺はこうも不幸なのだろうか……」
「女の子二人に囲まれてどこが不幸なの?」
「そーですねー」
両肩に二人の頭が乗る。最近は修一郎様というヒロインを縛り付ける機械が故障して暴走してんだよ……どうにか修一郎様にもう一度だけでも、せめて子狸くらいは縛り付けてもらいたいところなのだが……。
ピロピロリンと携帯電話からメールの音が響く、開いて確認してみると武蔵からだった。
内容は少し出かけてくるというもので下の方には入院したときにお世話になったナースさんと書かれた写真が貼り付けられてる。
「綺麗な看護師さんだね……」
「武蔵の野郎……俺にもインフルエンザを分けろよオラ……」
「その時の看護は任せてね♪」
「やっぱりいいです……」
確実に病気をしたら酷いことになる。絶対になる。
あら、まだ写真があるじゃねぇか? 二人目のナースさんかな……うぇ……?
武蔵の陰部をしゃぶるさっきのナースさんの写真が……。
「「……ふ、不潔です!」」
「……あの野郎!!!!????」
即座に武蔵に連絡を入れる。
『どうしたんだよ輝夫?』
「てめぇ……俺との約束忘れたのか……?」
『ああ、アレね』
「『我ら二人、姓は違えども兄弟の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、困窮する者たちを救わん。上は国家に報い、下は民を安んずることを誓う。同年、同月、同日に生まれることを得ずとも、願わくば同年、同月、同日に童貞を捨てることを』」
「覚えてるじゃねぇか!?」
『栗園の誓いなんてゴミ箱に捨てたわ! 童貞輝夫のばーかばーか!!』
プツッと通話が切られる音が響き渡る。
俺は……ピエロだな……。
大親友は原作ヒロイン達のことを俺にすべて押し付けて性春を謳歌しやがった……。
「……すいません、泣きたいので帰ってもらっていいですか?」
「……輝夫だったらいいよ」
「……すいません、服を脱がないで帰ってもらっていいですか?」
「お姉ちゃんが最初だからね!」
「……帰れって言ってるだろうがオラ!?」
おもむろに服を脱ぎだすテスタロッサ姉妹、この娘達は本当にわかっていない! 俺が泣きたいのは武蔵が童貞を捨てたからじゃないんだ。武蔵が原作ヒロイン達を完璧に捨て去って自分勝手にこの世界を満喫しているのが許せないんだ! 俺だって原作ヒロインとか無視して女を食べまくりたいんだよ!!
だが、このままだと確実に二人は俺のことを捕食しにくる。武蔵はラブコメムーブから足を洗っている状態だから確実に原作ヒロイン達のアタックの対象から外れる。つまり、俺が二人に食べられたら他の子達が俺のことを殺しに来る。連帯責任だった武蔵が消えて負担は二倍になるのだ。
「逃げる! 逃げるんだよぉ!!」
窓から飛び降りようとした瞬間に久しぶりの感覚が蘇る。これはこの世界でのお決まり魔法であるバインドという類の魔法だ。武蔵と殺し合ってる頃は小手先のテクニック重視の俺はよく使ってたなぁ……。
「……意地悪しないでよ」
「意地悪してるのは輝夫なんだからね」
二人は顔を真赤にしながら俺の服を奪い取っていく。
バインドに拘束されるのが数年ぶりだから解き方が思い出せない。自分の魔力で打ち消すんだっけかな?
二人がTシャツを脱がし終わったと同時に赤かった顔が暗い顔に変わる。
「……この傷、なのはの砲撃魔法から庇ってくれた時の」
「ああ、一番最初の傷だな」
高町とフェイトがまだ敵対してた頃だったか? フェイトを庇って吹き飛ばされて木の枝が肩に刺さったんだよね、すげぇ痛かった。
「……これは?」
「これは最初の汚れ仕事で出来たやつ」
胸から腹部まで届く傷痕、アビーに切られたやつだね。
それ以外にも新しいのはお嬢様コンビ救出の銃痕や仕事でしくじった時の刺し傷などなど、十三歳の体には似合わない傷痕が大量だ。
「よっしゃ! バインドが解けたぞ!!」
バインドを破壊できたので逃げ出そうとするが二人が俺のことを抱きしめて離さない。
……これはバインドより固そうだ。
「どうして……輝夫は怪我ばっかりするの……」
「人間だから」
「わたしよりずっと強くて……優しいのに……」
「強くて優しくても敵が同情してくれるわけないだろうが」
仕方がないから二人の頭を撫でる作業に入る。テスタロッサ姉妹は実を言うと甘え下手なのだ。フェイトはもちろんのことアリシアも明るく振る舞い過ぎて甘えることに苦手意識を持っている。これを優男が受け止めてくれたら完璧なのだが、あの優男は男の深みみたいなものが欠如しているから受け止められない。
「どうしておまえ達は俺に甘えるのかねぇ? 俺より甘えて優しくしてくれる男なんていっぱいいるだろうに」
「「輝夫の優しいところ輝夫より知ってるから」」
「……そう」
よし、二人が抱きつくことをやめた。
「セーフティ解除! この瞬間を――ッ!?」
「んっ」
フェイトが唇を重ねてきた……あ、舌まで入れてきましたよこの子……。
本気のキスで気絶させてやってもよかったんだが、流石に中学一年生に本気出してどうするよと思ったので背中をポンポン叩いて降参を宣言する。
「……もう一回していい?」
「ダメ、絶対にダメ、輝夫たんは身持ちがカチカチな――ッ!?」
「んっ」
アリシア……おまえもか……。
この姉妹はムッツリスケベだと思っていたがガッツリスケベになりそうで怖いわ、姉の方も妹に負けじと舌突っ込んでくるし……。
「えへへ……しちゃった……」
「……てるおたんはねう!」
ベッドの下に潜り込んで二人の誘惑から逃れる。これ以上のことをしたら精神が持たない。
ベッドの下のスペースは本当に素晴らしい。誰にも邪魔されず一人でゆっくりと幸福でもないが、孤独でもない優しいなにか……ああ、これがお母さんのお腹の中というやつなんですね……。
腕が引っ張らられる。
「やめていただけますか? 私は信心な『空を飛ぶスパゲッティ・モンスター教』なんです。姦淫の罪を犯すとスパゲッティを一週間禁止されるんですよ」
「女の子を生殺しにしていいと思ってるの?」
「……責任、とって」
「無罪の人間を有罪にしようとかエゴの塊じゃねぇか……」
大丈夫、この姉妹は意外と根性がない! このまま時間経過で確実に姉妹を撒くぞ!!
あれ、なんで二人してじゃんけんしてるんですかね?
「「じゃんけんぽん!」」
「お姉ちゃんの勝ちだね!」
「……残念」
「じゃあ、失礼して」
「お願いだから俺の絶対領域に入ってこないでぇ……もう! 出てくるからぁ……」
流石にベッドの下に二人潜り込むとかストレスがマッハなので大人しく安息の地から出る。そして即座に部屋の片隅で体育座りです。
「どうして……どうしてアグレッシブな女の子が多いのよ……」
「輝夫……もう一回……」
「ええい、やめい!?」
姉妹が本気モードです。
このスケベ共が、俺は絶対に女の子になんか負けないもん! 輝夫たんは負けないもん!!
フェイトが俺の顔を両手で掴んで唇を奪った瞬間に聞き慣れた炸裂音が響き渡る。
「腐ったみかん、遊びに来た……」
「どうしたんだよはやて? 輝夫はリビングに居ねぇから絶対部屋だと……」
「んっ」
フェイトたんに唇を奪われて返事が出来ないけど生命の危機です。
「……はあはあ」
「輝夫……どんな死に方したい……?」
「毎回言ってるだろうが、絶世の美女に腹上死ってなぁ……」
「ほう? じゃあ、選べよ。四人いるぞ」
ヴィータはとりあえずの情けを見せてくれました。俺はフェイトたんの許しをもらって立ち上がる。そして八神のことを指差す。
「え、えっ!?」
「「「………………」」」
「……嘘だよーん!」
八神を選んだら確実に全員が固まる! この瞬間を待っていたんだ!!
「あばよ!!」
「「「「待てーい!!」」」」
窓から飛び降りて逃げ出しました。
自宅に自由は無いということを理解しました。
スケベな回になってしまった。これはバンされるのでは?
投稿ペース
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一秒でも早く書いて♡
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ネタの品質を重視してじっくり!
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冨樫先生みたいでええよ~
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絵上手いから挿絵積極的に