どうも、輝夫です。
今日は大切なお友達の誕生日会なんで中野くん……じゃなかった、高町の両親が経営している喫茶店、たしか名前を翠屋とか言う場所に来ています。この場所に来るのははじめてなので少しだけ私ドキドキしてますが、まあ、高町のお兄ちゃんくらいしかキツイ眼差しを向けていないので大丈夫でしょう。
「にしても、貸し切りとかええのかね」
「娘の友達、それに付け加えて息子の奥さんの妹の誕生日会なんだ! パーッとやらないとね」
カウンター席でコーヒーを飲みながら高町のお父さんと世間話をしている。俺と武蔵は不登校が許されている(諦められている)ので一時間くらい早く入店しています。武蔵の方を見るとコーヒーの苦さにまだまだ舌が慣れていないのか渋い顔で砂糖を投入しています。
「てるをたん……こーひーにがいお……」
「しーらなーい」
「ぼっくんがセフレと遊び回って、てるをたんと遊べないからって冷たくすることないじゃないですかぁ~」
「ぼっくんはむさしきゅんから修一郎様に鞍替えしたんだお! むさしきゅんのことなんてしーらなーい!」
「でも、ぼっくんのこと忘れられないんでしょ!」
「もう! 修一郎様が忘れさせてくれるんだから」
「「キャッキャ」」
武蔵と久しぶりに乳繰り合ってると店の扉が開かれた。さて、誰が一番乗りだろうか? ああ、高町の姉ちゃんじゃん……。
「あれ、輝夫くんに武蔵くんもすずかちゃんの誕生日会に来てくれてたんだ」
「ええ、友達の誕生日会ですから」キリッ
「一人でも多くの友達が来たほうが楽しいですからね」キリッ
「うっわ、学校で色目使ってくる男達の目してるぅ~」
「「バレたかぁ!?」」
ちくせう! 高町のお姉ちゃんは俺達の守備範囲に存在する希少な存在なのに!! 美人だから相手の視線に敏感になってやがる……付け入る隙間はねぇのか……?
「色目使わないので付き合ってください! 婿養子でいいので!!」
「あ、ずるーい! ぼっくんなんて浮気したらパイプカットしますから!!」
「「「「「へぇ……」」」」」
「あの、ガラス代弁償するんで割って逃げていいですか?」
「駄目だよ」
武蔵は高町の姉ちゃんを口説き落とす準備に入るが俺の方はハイライトの消えた瞳の美少女(中学生)達に迫られて黄金小水を漏らしそうになっている。これは確実に殺されるぞ!? やべー殺され方で殺されるぞ!!
「輝夫くん……わたしの誕生日に他の子と浮気するんだ……」
「いえ、ぼっくんは月村とお付き合いなんてしていませんので浮気という言葉は似つかわしくないと思うのですがそれは」
「駆け落ちした仲の女の子の前で堂々と浮気とか……」
「二日で終わる駆け落ちとか駆け落ちに入らないから」
「「責任とって」」
「この姉妹に至っては意味不明なんですが!?」
「ファーストキスはわたしが奪ったんやから輝夫はわたしのモノやろ……?」
「むさしきゅんとしたような気がするから俺のファーストキスはむさしきゅんです」
むさしきゅんがトイレ借りていいですかと高町のお父さんに聞いてそのままゲロを吐きに行った。想像で吐き気を催すとかどんだけ俺のことを気持ち悪いと思ってるんだよ!? 部屋に隠してるエロ本全部BL本にすり替えてやる!!
「どうどうどう! 今日は月村の誕生日会だろ? 暴力はいけない……みんなで楽しい誕生日会! それを目指すなら暴力はいけない!!」
「「あ、蚊が!」」
「あべし!?」
ああ、季節外れのスカイフィッシュが俺の顔の周辺に飛んでいたのか八神とバニングスがグーで殴ってきましたよ! 蚊だったらパーですもんね! スカイフィッシュだからグーなんですよね!?
久しぶりに女性恐怖症という設定を活かして店の片隅で体育座り、女の子怖いよぉと呟いてこの誕生日会を乗り切る準備に入ります。絶対に通常モードで接していたら顔面崩壊不可避です。だから治ってる病気を駆使して難を逃れてやりますよ!!
「輝夫……最近冷たいから……」
「なんで片隅で震えてるぼっくんにすり寄ってくるんですかフェイトたん……」
「抜け駆け禁止!」
バニングスに襟を掴まれて行動キャンセルされるフェイトたん! よっしゃー!! 流石は俺と駆け落ちした女だけあるぞ! このまま全員の行動キャンセルを頼む!!
「駆け落ちしたんだから奥さんはわたしなの!!」
「やめて! 駆け落ちじゃないから!? アレは駆け落ちっぽいお泊り会だから!!」
「むぅー! 輝夫くん……今日はわたしの誕生日会なんだよ……」
「話題を広げて楽しんでるのは君達じゃないですかやだー」
怖いよぉ、この子達の行動力が怖いよぉ……。
高町のお父さんが間に入ってくれた。もしかして救いの手を差し伸べてくれるのだろうか? いや、このパターンは確実に悪化するような選択肢を選ぶだろう、そして俺は死ぬのさ……。
「桃子の手伝いをしてやってくれないか?」
「サーイエッサー!!」
流石は高町のお父さん! 俺を助けてくれる選択肢を取ってくれるなんて!? 期待していなくてごめんなさい!! 抱いて!!
頬を膨らませるヒロインズ達をあざ笑いながら調理室に入ってく! ああ、これで自由だ!!
2
「やっぱりお店の設備は凄いね……料理人として久しぶりに興奮したよ……」
「……えろう大量に作ったね」
「ああ、和食以上じゃないけど和風の菓子は得意分野でごわす」
ぼた餅、まんじゅう、羊羹と高町のお母さんが事前に用意してくれていたのか食材が揃っていたのでパパッと仕上げることができた。高町のお母さんに和菓子屋さんの息子なのねと言われて違いますと言えなかった自分が恥ずかしい。
「月村、誕生日だから最初の一個は君に捧げよう」
「いいの?」
「ああ、誕生日だから最初の一口は月村が食べねぇと」
月村はまんじゅうを手にとって一口、そしてほっぺたがオチたと言わんばかりの惚けた顔になる。
「こんなお饅頭はじめて……皮がいつもだべるお饅頭とぜんぜん違う……」
「ああ、こいつは薄めと厚めのちょうど中間くらいを見極めて作った俺のオリジナルだ。薄すぎず、厚すぎずであんこの甘さをギリギリまで引き立てるようになってるんだ」
蒸し加減の調整やあんこの量にも気を使って最高のバランスを作り出すのさ、俺は料理人、舌と胃袋を満足させなければいけない存在なのだ!
高町のお父さんがお疲れと言ってコーヒーを振る舞ってくれる。キンキンに冷えたアイスコーヒー、ガムシロップを二つ入れてストローで飲む。ほろ苦いが奥にある深みのよく効いた良いコーヒーだ……。
「ああ、生き返るわぁ……」
「桃子が輝夫くんのお菓子を食べてみたいと言っていたからね」
「手捌きに驚いていましたよ、和菓子は洋菓子と違った部分がありますからね」
「僕も一つ食べに行こうかな」
高町のお父さんはエプロンを脱いで和菓子コーナーに向かった。
少しだけ疲れたので背伸びをしてコーヒーを一口。
「輝夫! 誕生日ケーキが出来たみたいよ」
「おお、厨房で見てた時は飾り付けがまだだったからわからなかったけど、これは凝った飾り付けだぁ……」
「早くハッピーバースデーを歌わないといけないから来なさい!」
「了解」
月村の年齢に合わせた十三本のロウソクに火が灯る。
全員で合唱するハッピーバースデー、月村の表情は非常に明るいものになっている。
月村がロウソクの火を消して大きい拍手が響き渡る。
「みんな……ありがとう……!」
「よーし、誕生日ケーキを食べ終わったらプレゼント交換よ!」
全員で雑談をしながら食べる誕生日ケーキというのはいいものだね、どこか温かみがあって風情もある。それになによりケーキが美味い!
ものの数分で誕生日ケーキは食べ終わり個々が誕生日プレゼントを持ち寄る。
「わたしからコレ! 可愛いネコのハンカチがあったから」
「ありがとう、大切にするね!」
バニングスは猫が描かれた高そうなハンカチ。
「俺は紅茶が好きだって聞いたから」
「ちょ、ちょっと量が多いかな……」
「好きな種類わからなかったから、とりあえず全部買ったんだよ」
「でも、嬉しいよ……」
武蔵は箱いっぱいの紅茶。
「「わたし達のは……家に帰って開けてね……」」
「な、なんだろう? うん、わかった」
テスタロッサ姉妹は怪しい小包、何が入ってるんだろ?
「わたしは高いものじゃないけど……手作りのミサンガ……」
「なのはちゃんの手作り!? 上手にできてるね」
高町は手作りのミサンガ。
「八神一家からはフルーツゼリー詰め合わせ、仕事が忙しかったからごめんね」
「はやてちゃんが忙しいのは知ってるから大丈夫だよ」
八神一家はフルーツゼリーの詰め合わせかぁ。
「俺からは可愛い人形があったからこいつを」
「わー、くまさんだー」
修一郎様はクマの人形か。
おっと、俺の番だな……。
「月村……これを……」
「何かなこれ……え……」
月村が箱を開けると肩たたき券と書かれた紙切れが一枚。
「うんうん、肩こりひどそ――ごぼが!?」
「「「死ね、ゴミクズが……」」」
こうして月村の誕生日会は楽しく終わったのだ。
3
「……輝夫くんのプレゼント、期待してたんだけどな」
すずかは輝夫の誕生日プレゼントの箱を手に取り中身を確認する。肩たたき券と書かれた紙切れが一枚、それを拾い上げようとするとセロハンテープで付けられた手紙が一緒についてきた。
彼女はその手紙を急いで読んでみると、
【輝夫より】
俺には月村が欲しいものがわからなかったから、誕生日の一日後になってしまうけど買い物しに行かないか? その時になんでも欲しいもの買ってやる。あ! お金で買えるものだけだぞ!?
放課後に駅前のコーヒーショップで待っています。本当に遠慮せずに欲しい物を好きなだけ言いな。
輝夫より。
「輝夫くん……らしいね……」
すずかは手紙を抱きしめて自分が輝夫のこういうサプライヤーなところが好きなんだと実感する。彼は奇をてらった行為が大好きで、落としてから上げるテクニシャンだ。
そしてテスタロッサ姉妹からの誕生日プレゼントも開けてみる。
【輝夫の使用済みパンツ(無洗濯)】
「……家宝にしないと」
こうして月村すずかの誕生日は終わる。
4
どうも、輝夫です。
月村へのプレゼントで送った肩たたき券の後ろにある手紙に気がついているならもうそろそろこのコーヒーショップに来てくれる筈なんですが、気づいてもらえなかったかな? まあ、その時は殴られ損で終わるだけだからいいのだけど。
目の周りに少しだけ冷たい感触が……。
「だーれだ」
「月村」
「むぅー……だーれだ」
「月村すずか」
「ギリギリ正解にしてあげる」
手が離れていき振り返ると制服姿の月村がニッコリと笑って俺の手紙をヒラヒラと見せつけている。
とりあえず、銀行から百万おろしてきたから買えないものそうそうないだろう。
「というか、月村で正解じゃないですかやだー」
「どうして輝夫くんは下の名前で読んでくれないの? フェイトちゃんとアリシアちゃんは下の名前で呼んでるのに……」
「うーん、まあ、小さい頃に繋がりが深かったとしか言いようがないね」
「……あんなに好きだって追いかけてたのに」
「過去は捨てたんだ。かっこいいだろ?」
月村の表情が悪くなる。だって、フェイトとアリシアは踏み台行為してない状態での付き合いだから名前呼びになっちゃったんだもの、君達みたいに踏み台だった頃からの付き合いの子は必然的に名字呼びになりますよ普通。悪いこといっぱいしちゃったから……。
「本当になんでも買ってくれるの?」
「ああ、俺は誕生日プレゼントは一緒に買いに行く主義なんだが、誕生日会を開かれたらどうすることも出来ないからな。一日遅れてるがプレゼント買っていいか?」
「……ありがとう」
席を立って歩き出そうとすると腕を組まれた。もうツッコミを入れても無駄だろうからエスコートしてもらいましょうか。それが一番早い。
色々な場所を回った。
駅の中にある大きなデパートの中でブランド品やお人形屋さん、でも、月村は欲しいとは一回も言わない。ただ、俺という存在を独占出来る時間が一番の宝物のような顔をしている。
時刻はどんどんと過ぎ去っていき、そらは暗くなっている。
最後に訪れたのはゲームセンター、それのプリクラの機械。
「……二人で撮った写真ないから」
「こんな安いのでいいのかよ……可愛らしいもんだぜ……」
二人で撮った写真を抱きしめて月村はまたね、そう告げて帰っていった。
「さて、俺も帰りますか」
後日、ヒロイン達がいる前で肩たたき券を使われて殴られました。
最近スランプ気味です。面白いギャグが書けません……。
次の投稿は時間がかかりそうなので気長にオナシャス! (二週間くらいかかるかも)
投稿ペース
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一秒でも早く書いて♡
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ネタの品質を重視してじっくり!
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冨樫先生みたいでええよ~
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絵上手いから挿絵積極的に