踏み台だった野郎共の後日談。   作:蒼井魚

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36:ヤンデレ

 どうも、輝夫です。

 今日は早朝から目が覚めてNHKのニュースを眺めています。

 

『昨夜、○△川で三十人の二十代男性の変死体が放棄されていると通報がありました』

『三十人!? 三人の間違えではないのですか?』

『いえ、警察の調べによると発見されていないだけで変死体の数はまだある可能性があるとのことです』

 

 三十人殺されるとか日本も危険になってるなぁ……。

 

「怖いなぁ……とづまりしとこ……」

「あの……すいません……無視しないでください……」

 

 腹部に包丁が突き刺さってソファーで青白くなっている武蔵に目をやる。セフレのミカちゃんに包丁で刺されて慌てて逃げ帰ったらしい。それも刃の位置が逆で刺さっているので殺意は相当なものだろう。

 大量の女性を誑かして天罰が落ちたと思えば慈悲の心も消えてしまう。

 ――隣の家から鼓膜が破れんくらいの爆発音が響き渡った。

 確か、隣の里中さん夫婦は結婚歴十年、夫婦共に顔は整いまくっていて近所でも有名なオシドリ夫婦だったんだが、喧嘩か? 庭に出て隣の家を確認するとドス黒い黒煙が空に向かって一直線に上がっている。ガスの残り香がするのでガス管が爆発したのだろうか?

 

「……ご近所さんだし救出に行きますか」

「……すいません、それより俺の救出を」

 

 ソファーに血痕がついたら嫌なので腹部に突き刺さる包丁を抜き取って下手くそな回復魔法で傷を塞いでやる。元々痛みには強いタイプの武蔵なので違和感はあるだろうが顔のアンパンを変えてもらったように元気になった。

 押入れから二つのガスマスクを取り出して一つを武蔵に投げる。武蔵はそれを慣れた手付きで装着して里中さん救出に出かける。

 

「アナタが悪いのよ……娘に淫らな目を向けて……」

「娘って! ひなたはまだ二歳だぞ!?」

「ゆるせない……ゆるせない……」

 

 車一台がギリギリ通れる狭い路地で包丁をもった奥さんが旦那さんを刺し殺そうとしている。

 どうにもおかしい……奥さんは絶対に怒らない仏のような人で暴力なんてもっての他、それも最愛の旦那に刃物突きつけるなんてまずない。

 隣で唖然としている武蔵もセフレとニャンニャンしてたらいきなり豹変して刺されたって言ってたし、これはもしや……。

 

「輝夫? 誰に連絡入れてるんだ」

「高町のお父さん」

「え、ええ?」

 

 状況把握ができていない武蔵を後目に高町のお父さんに電話を入れてみる。すると女性が何かを振り回しているような息遣いとバックステップを連発しているのだろうか、地面に着地する音が混じっている。この時点で確信した。これは闇の書事件くらいのヤバい事案だと。

 

『もしもし、輝夫くん? 取り込み中だから後でいいかな』

「いや、安全な場所に移動しようと思ってるんですが一緒にどうですか?」

『本当かい!? どこで落ち合おうか』

「とりあえず△○公園で待ってますんで。あ、あと、携帯電話は捨てた方がいいですよ」

 

 俺はそのまま携帯電話を地面に投げ捨てて探知されないように木っ端微塵に踏み潰した。

 

「すまないが、バカな俺でも理解できるように説明してくれないか?」

「簡単に説明すると海鳴で何回目かの事件が発生している。多分だが、女性の心理状態を混乱させるような、そんなウィルスが散布されたんじゃねぇの?」

「……それ、おまえが一番やばくね?」

「あ、そうか(池沼)」

 

 武蔵を小脇に抱えて電信柱に隠れる。電信柱は真っ二つになりハイライトの消えたフェイトたんがニッコリ笑みを浮かべてバルディッシュを引き抜く。うーんむ、状況判断がワンテンポ早かったら回避できたかもしれないが、発見されたならしかたがない。

 

「輝夫……なんでわたしのモノになってくれないの……」

「フェイトさん、人間には基本的人ッ――あぶっえ!?」

 

 問答無用で切りかかってくるフェイトに1ミリの躊躇いなんて存在しない。ただ、自分の思い通りにならない俺のことを殺して自分も死ぬみたいなちょーこえーこと考えてる目してますわぁ……。

 うーんむ、地球では魔法より鉄砲の方が便利だと思ってデバイス携帯してないのが裏目に出たな、デバイスあったら気絶させて高町のお父さんとの合流ポイントに急げるのだが……。

 

「フェイトちゃん……人の持ち物になにしてるん……?」

「はやて……輝夫はわたしのモノだよ……」

「うっわ、フェイトより面倒くさい奴が現れましたよマジで」

 

 フェイトと同じようにバリアジャケットに身を包んだ八神が満面の笑みで俺のことを見るが、フェイトの方に向ける視線は酷く冷たい。よくわからないが、二人が衝突するのなら逃げるが勝ちだよな!

 ドンパチのコマンドーがはじまったと同時に戦線離脱する。あの二人はマジで実力拮抗してるから小一時間はバトってくれるだろう。

 

 

 高町のお父さんと高町のお父さんの話を聞いた修一郎様と高町のお兄さん、それに付け加えて八神の生活が順調か確認しに来た新婚クロノクソ野郎が秘密基地に集結した。

 ここは転生者が原作に関わることなく生活する場合にと全員に用意されている車庫だ。ちなみに修一郎様は車庫と家族仲のいい両親の選択肢で両親を選んでいるので毎月の30万と家、車庫は貰えていない。逆に考えると親とかいらないとか思ってる俺と武蔵の方が狂ってるような気もするな……。

 

「輝夫くん、これはどうなってるんだろうね? うちの家内も目が覚めたと同時に包丁で襲いかかってくるし」

「多分、地球外の何かがウィルスを散布したのかと」

「なのはの働いているところの世界か……?」

「多分ですけど」

 

 武蔵の方を見るとガタガタと震える修一郎様とクロノをなだめている。女の子にガチでマジの殺意を向けられたことのないタイプの人間だからな、本当に信頼してる女の子に殺されかけるとか永遠のトラウマになりそう。

 

「……散布している機械があるのかもしれないな」

「散布してる機械ですか? うーん、この街は広いですしね……虱潰し戦術で探し回っても見つけられる可能性は……」

「すずかちゃんに頼んだらどうだい?」

「……それを言いますか? 俺に」

 

 高町親子は顔をそむけた。

 車庫に置いてあるラジオを取り出してニュースを確認してみる。

 

『人気アイドルグループ・SAPSの木崎タクヤさんとご家族が三千人の女性に殺されるという事件が発生しました』

『殺害した三千人の殆どが自分が結婚する筈だったキザタクを奪った女も、選んだキザタクも許せないと供述しており、犯行を認めています――竹下アナ!?』

『愛しています! 一緒に死んでください!!』

 

 放送事故の時に流れる音楽。

 

「……やはりやばい(名推理)」

「どうすればいいんだ……」

「二人は夫婦仲良好ですからね」

「ああ、まあ……」

 

 どうしようもない、うちのゴミクズに頼むしかないか……。

 

『バル、俺の駐車場に来てくれないか? できる限り知り合いに会わないように』

『何言ってるんでっか!? ワイは今北斗無双で20連中なんですよ!! もっともっと球を増やしまっせ!!』

『本当にお願いだ。二百万払ってもいい』

『お金より球でっせ――なんや?』

『どうしたよ』

『なんか……ホスト風の兄ちゃんをキャバ嬢みたいな嬢ちゃんが刺しました……』

『……来れそうになったら駐車場な』

 

 念話を終われせる。流石に殺人事件が起きたら営業出来ないだろ。

 

 

 ドンと暗い雰囲気を漂わせるバルが体育座りで地面のホコリを指でこねくり回している。事件が起きたから連チャン中にも関わらず、持ち玉を交換させられて車庫に来た。一応、知り合いに遭遇していないかを確認すると命令に従って人気のない道を通って来たと聞いた瞬間に全員が胸をなでおろす。

 

「来る道中で多くの男女が殺し合い……いや、一方的に女の方が男を殺そうとしてる場面に何度も出くわしたんやけど、これ、どうなってるんでっか?」

「多分だが、地球外から何かしらのウィルスを持ち込んで散布した人間がいるみたいだ」

「……散布というとワイに散布してる装置の発見を手伝えってことでっか?」

「ああ、ここの全員結構ヤバメの状態だから頼めるか」

「とりあえず、地球の外の機械をサーチしてみるんで、時間ください」

 

 バルは即座に索敵を開始する。これで第一の関門は突破と言ったところだろうか?

 

「輝夫くん、少し気になることがあるんだけど」

「どうしたんですか高町のお父さん?」

「実を言うと美由紀は他の子達みたいに攻撃的じゃなくて、部屋でブツブツ独り言を言ってたんだ。これもウィルスなのかな?」

「……まさか、これってヤンデレってやつなのか」

「「「ヤンデレ?」」」

 

 転がっていたノートにヤンデレの特徴を書き記していく。

 

【1:依存型】

 対象の男性がいないと生きている意味がないと思うタイプ。

 

【2:独占型】

 対象の男性を外の世界に出さず監禁しようとするタイプ。

 

【3:排除型】

 対象の男性に近寄る女性を積極的に排除しようとするタイプ。

 

【4:攻撃型】

 対象の男性が自分の思い通りにならない場合に攻撃してくるタイプ。

 

【5:ストーカー型】

 対象の男性のすべてを把握したいタイプ。

 

【6:無害型】

 特に何もしないが対象を思うがあまり自らの体を傷つけることもあるタイプ。

 

【7:崇拝型】

 対象の男性を神に等しい存在だと崇め自らを男性のために使用してもらいたいタイプ。

 

【8:妄想型】

 対象の男性との架空のエピソードを生み出して現実とのズレを生じさせるタイプ。

 

【9:孤立誘発型】

 対象の男性の悪評を流し自分以外の存在に嫌われるように仕向けるタイプ。

 

 ざっくりと書き終わったと同時に遭遇した女性の名前を書いていく。

 

【1:依存型】

 対象の男性がいないと生きている意味がないと思うタイプ。

 

【2:独占型】

 対象の男性を外の世界に出さず監禁しようとするタイプ。

 

【3:排除型】(八神はやて 可能性:中)

 対象の男性に近寄る女性を積極的に排除しようとするタイプ。

 

【4:攻撃型】(フェイト・テスタロッサ 可能性:大)

 対象の男性が自分の思い通りにならない場合に攻撃してくるタイプ。

 

【5:ストーカー型】

 対象の男性のすべてを把握したいタイプ。

 

【6:無害型】

 特に何もしないが対象を思うがあまり自らの体を傷つけることもあるタイプ。

 

【7:崇拝型】

 対象の男性を神に等しい存在だと崇め自らを男性のために使用してもらいたいタイプ。

 

【8:妄想型】

 対象の男性との架空のエピソードを生み出して現実とのズレを生じさせるタイプ。

 

【9:孤立誘発型】

 対象の男性の悪評を流し自分以外の存在に嫌われるように仕向けるタイプ。

 

「なんというか、詳しいな……」

「見た目以外はキモオタなんで」

「つまり、桃子は四番目に該当するのか」

「……忍は2で美由紀は6か8か」

 

 武蔵も確認しようとするがこいつは数が多すぎて考えることをやめた。

 遭遇したヒロイン達は二人、残りのタイプが気になる。もし6の無害型だった場合、綺麗な体に刃物を突きつける可能性が多少なりある。今、安全圏からヒロイン達を確認できる存在は……。

 

「誰か携帯電話を所持してる奴いる?」

「ワイの飾りの電話ならありまっせ」

「ちょっと貸してくれ」

 

 バルから携帯電話を借りて鮫島さんの番号にコールする。すると1コールで着信に応じてくれた。

 

「もしもしドナルドで……輝夫です」

「輝夫様、何度もご連絡をさせてもらったのですが……」

「やっぱりバニングスがおかしくなってるか?」

「ええ……自分は輝夫様にはふさわしくないと泣きながら体育座りを……」

「鮫島さん……刃物の類いを全部取り上げてください。マジで危ないので」

「何か情報が掴めたのですか?」

「ええ、まあ。でも、時間がかかるので刃物を取り上げることだけに専念を」

「わかりました」

 

 次はアリシアの状態を確認するためにプレシアファーストママンに電話をかけてみる。すると鮫島さんと同じくらいの速度で電話に出た。

 

「もしもしドナルドです」

「輝夫! アリシアが危険な薬を使ったようにトリップしてるんだけど!?」

「ああ、それは無害だから放置しといて」

「ちょ!? どうなってるのよ!!」

 

 通話を終わらせてバルに携帯電話を返す。アリシアは妄想型でバニングスが無害型か、バニングスは絶対に攻撃型だと思ってたんだが、人の心はなんとやらなのだろうか?

 さて、二人のタイプが確定したが……確定したからと言ってどうするよ? でも、怪我されたら心が痛いからいいのか……。

 

「おっ、1つ目発見ですわ……でも、セキュリティーが堅くて他の個体の情報にクラックに時間がかかりそうです……」

「「クラック?」」

「ああ、機械に疎いんですね。ハッキングみたいなものです」

「「なるほど」」

 

 ハッキングって本当は機械の動作の調整をしたりする意味で、ハッカーって大企業に努めてる技術屋さんみたいな人のことなんだよね。その反対がクラッカー、こっちは不正に機械に侵入して情報を抜き取ったり改ざんしたりする奴らなのさ。

 

「クラックにどれくらいかかる?」

「うーん、とりあえず三十分は見ててくださいな」

「逆にクラックされるなよ」

「ワイにはマ●フィー入ってるから大丈夫ですわ」

「マカ●ィーかよ……少し不安だわ……」

 

 バルの作業を眺めてる暇はないのでラジオの電源をもう一度入れて情報収集を開始する。だが、ニュース系のチャンネルには眠気を誘うような音楽しか流れていない。駐車場だからテレビとか設置してないからな……。

 

「うーんむ、アリシアと月村が少し心配だよな……でも、外に出るのも危険なわけだし……」

「輝夫、こいつ使っていいぞ」

「あ、これってメカニカルソード(安直)じゃねぇか」

「とりあえずこいつを非殺傷設定にして繰り出してこいよ。魔道士組に出会ってもおまえならどうにかなるでしょ」

「じゃあ、バルが終わる頃には戻るわ」

 

 

 バイオハザードRe3が出てアウトブレイクが発売されるとは思わなかったわぁ……でも、なんでラクーンシティじゃなくて海鳴が舞台になってるんだろ? いやはや、最近のCAPCOMさんはよくわからんわ。俺、生粋のセガ派だし。バーチャファイターまーだ時間かかりそうですかね?

 

「お兄ちゃんどいて! そいつ殺せない!!」

 

 うっわ、久々に聞いたよその名言、永遠に語り継がれるだろうね。

 

「それにしても……ラクーンシティよりやべーな……」

 

 町中には包丁を握りしめた女性が大量に溢れかえっており男性側はキモオタフェイス以外は基本的に物陰に隠れている。というか、この緊急事態でも美少女フィギュアを買いに来る奴っているんですね、俺はキモオタレベル2くらいですわ、この人達は絶対にブルーアイズホワイトドラゴンのレベル8ですわ。

 

「どうするかな、月村の様子見に行くのも悪くないが……あいつが一番ヤバそうだからこえーなー」

 

 月村は絶対に監禁型だよ、真っ先に拘束具を取り出すのアイツだもん……。

 もうね、断定したから月村は放置しますか!

 手首に伝わるブレスレットのように付け慣れた手錠の冷たさ……やだもー(武部沙織)。

 

「月村さん……それを外してください……」

「だーめ♡」

「俺を飼いならそうとする女子が多すぎて草ですわ……」

「でも、輝夫くんはネコちゃんだよね?」

「どっちの意味!? ヤバイ方の意味だったらマジで怖いんですけど!!」

 

 手首をこねくり回して手錠を外して即座に逃げる。だが、月村って運動神経抜群でお昼でも化け物レベルの速度出せるんだよね……。

 

「あの、鍛えてる男と並走しないでいただけますか?」

「輝夫くんが逃げるからだよ♡」

「逃げてないんです、現実逃避してるんです」

「現実は楽しいよ!」

「現実は苦しいんだよぉ!」

 

 一筋の殺意を感じ取って月村を抱えて路地に隠れる。すると地面に極太の砲撃魔法が突き刺さっている。あ、でも……この魔力の色は高町だよな?

 

「シュウくんを誑かす変態男は殺すしかないよね☆」

「……高町は排除型かぁ」

「輝夫くん強引だよ……でもいいよ……」

「よくねーよ……現実はツラたんピーナッツだわ……」

 

 高町まで敵対勢力に回ったなら魔導師組は全員俺の敵じゃねぇか、詰みだわ、どうか優しく殺して……。

 

『ご主人はん、クラック終わりましたよー』

「銀行行けそうにないからスイス銀行に預けるわ」

『ご主人はん!? ワイはゴルゴ13じゃねぇからスイス銀行に口座なんてありまへんで!!』

「冗談だよ、ちょっとヒロイン達に絡まれてるから少し時間かかる」

『驚いたぁ、ワイの二百万は保証されてるんやなって』

 

 チッ、具体的な金額覚えてやがる……知らんぷり通じるかな……?

 

「輝夫くん……しよ……」

「しませ――ッ!?」

「「てーるーおー……!」」

 

 フェイトと八神、ああ、これはもう駄目だわ、今日が命日です。第三部完。

 

 

「ぜぇぜぇ……どうも輝夫です……」

「ちょっと遅かったとちゃう?」

「高町なのはさんとフェイト、八神の相手して一時間で生還した俺を褒めろよマジで……」

「でも、牛丼買ってくるくらいの余裕あるじゃん」

 

 武蔵のメカニカルソード(安直)は高性能だから牛丼買えるくらいの時間が作れた。これ売ってもらおうかな? いや、でも、俺は量産品の性能を限界まで引き上げるという趣味があるからなぁ……。

 

「す●家? マ●家?」

「吉●屋です」

「うーん……合格!」

「何がだよ……」

 

 全員分の牛丼特盛と緑茶を行き渡らせて作戦会議を開始する。

 

「牛丼はどこ派ですか?」

「僕は昔から吉●家だね」

「味が濃いからす●屋だ……」

「恭也さんわかってますね、俺もす●家派ですわ」

「なのは怖い……す●家が好き……」

「僕はマ●屋だな……」

「なんで率直に牛丼屋の好み答えてるの? ていうか、す●家派多いなおい……」

 

 す●家を選ぶのって若干少数派だと思ってたんだがコアなファンいるんだね、あ、俺は吉●家です。出汁の旨味が段違いです。

 空腹を解消してバルの方を見るとノートに座標を書き記している途中だった。

 

「うーん、これは転送装置使わんと難しい距離ですなぁ……」

「転送装置とか費用対効果低すぎて家に設置してねぇからな」

 

 転送装置というと……バニングスの家に設置されてあるな、管理局認定の。一応、バニングスは無害型だから移動さえ出来れば安全に座標位置まで到着できるだろう。じゃあ、いつものように輝夫&武蔵無双で終わらせますか。

 

「ついて行っていいかな?」

「え?」

 

 高町のお父さんがとんでもない爆弾発言を投下しましたよマジで……。

 

「いや、なのはの職場に挨拶に行こうと思っても許してくれないんだよね。一応、親としては娘の職場の環境というのも見てみたいし、それになのはは未成年なわけだし」

「まあ、いいですけど……素手で大丈夫ですか? 死なないでくださいね」

「僕と恭也はライフルの弾を避けられるし大丈夫だよ」

「うーん、まあ、そこの戦力外通告一歩手前よりはマシですね」

「「泣いていいですか?」」

 

 さて、ドラクエ的な四人パーティーになったところで駐車場に潜伏している最大の利点を発揮しようと思う。なぜ、俺がこの駐車場を隠れ家に選んだのか、それは一つ。逃げる手段があるからだ。

 

「高町のお兄さんって免許持ってます?」

「ああ、車もバイクもある」

「じゃあ、大丈夫ですね」

「おっ、あの二台ってここに置いてたんだ」

 

 かかってあるカバーを外すとフェアレディZ33とマツダロードスターNCが姿を見せる。武蔵は俺に隠れてこんな代物を買ってたのかという呆れた表情になっているが、俺は前世からのメカオタクでこういうスポーツカーが大好物なんだよ。

 

「輝夫くんのZとロードスターってここに置いてあったんだ。いやはや、桃子とのデートに使わせてもらって悪いね」

「いえいえ、サーキットまで送ってもらってるんで悪くないですよ」

「輝夫……おまえ、高町のお父さんと仲良すぎね?」

「「なんか、波長的なものがすっごくマッチしてるんだよね」」

 

 とりあえず俺と高町のお父さんがZで武蔵と高町のお兄さんがロードスターに乗り込んで戦力外通告組には三万を渡してバニングスの家に向かった。早く18歳になりてぇな……。

 

 

 黒煙が広がる町中を回避して人気のない道を選んでバニングスの家に到着する。恭也さんはロードスターのことを見つめて俺の顔を見た。

 

「……定期的に貸して貰えないか?」

「いいですよ。保険の手続きとか面倒くさいですけど」

「ありがとう」

 

 バニングスの家に車をつけて門の前に向かうと鮫島さんが綺麗なお辞儀をして迎え入れてくれた。

 

「地球外の存在が悪さしてるみたいなんで、転送装置貸してください」

「そうだったんですか……どうぞご自由にご使用ください」

 

 すんなりと転送装置まで案内される。転送装置ってマジで近未来的な構造してるよね、いや、これ近未来の技術だから近未来的な構造してるのは当たり前なんだけどさ。

 

「さーて、えっと、座標入力……あ、魔力の量が足りない。とりあえず管理局に飛ぶか」

「お、なのはが働いてるところかい」

「そうなりますね。腐った大人が多いんで……気に食わなかったら殴り潰していいですよ」

「大丈夫! OHANASIするだけさ☆!!」

 

 こうして管理局と地球の危機が相互にやってきたわけです(俺が悪い)。

 

 

 管理局に到着したと同時にクロノクソ野郎のお母さんであるリンディさんがなんとなく出迎えてくれた。今は高町の直近の上司ではないのだが、旧上司だから現在の上司のことはよく知っているだろうし、高町親子を上司のところに案内くらいできるだろう。

 

「リンディさん久しぶりですね」

「ええ、輝夫くんと武蔵くん久しぶり。地球ですごいことが起こってるみたいね」

「というわけで俺達が勝手に片付けるんで二人を高町の上司のところに案内してください」

「……あの人死にそうね」

 

 あらら、セクハラしてたのかもしれないな、南無。

 

「じゃあ、高町のお父さんとお兄さん。三人で出どころに行くから見学楽しんでくださいね」

「いいのかい? 僕達が来た方が早いんじゃ」

「多分、10分くらいだから誤差ですよ。コーヒー飲みながらOHANASI☆ 楽しんでください!」

「うん!」

 

 自分の父親の満面の笑みに凍りついている恭也さんの顔が非常に印象に残る。これは確実に流血沙汰で最終的に史上最強の親子喧嘩になるな(確信)。

 

「じゃあ、いつもの三人で行きますか!」

「今回素手だからなぁ、バル、おまえが一番危ないから気をつけろよ」

「なんででっしゃろ……ワイが見た目一番強いのに中身一番弱いんやろか……」

 

 

 人気のない廃墟と化した研究所、入り口のガラスは割られており機能しているとは思えない。だが、バルの演算によると99.999%ここがウィルスの発信源だということだ。テロリストの潜伏先と考えると似合っているような、似合っていないような。

 懐から拳銃を取り出してクリアリングをしながら室内を散策する。後ろに武蔵、後方にバル、まるで訓練された軍人のような移動で室内を探索する。

 

「電源回路が行きてる……バル、電圧を調べられるか?」

「ちょっとまってくださいね……そんなに大量の電気は流れてまへん……」

「行き先は?」

「地下ですわ……多分地下二階くらいでっしゃろ」

 

 階段を探すが階段が存在しない。だが、エレベーターは存在している。とりあえずエレベーターが生きているかどうかを確認する。

 

「エレベーターは死んでるな……こじ開けるか……」

「片方まかせろ」

 

 二人でエレベーターを開いて地下二階が存在するかを確認してみると地下一階までしかボタンは存在していない。となると地下二階は隠し部屋と言ったところだろうか? 地下に続く階段は存在しないわけだし、本当ならエレベーターのボタンの隠しコマンド的なのを駆使して移動するんだろうが……。

 

「しゃーね、このエレベーター破壊するか」

「アナザーっていうアニメ見たことある?」

「俺達飛べるのに何言ってるんですかね」

「そうだった」

 

 武蔵がエレベーターの天井を切り裂いて埃が舞い踊る内部に侵入する。その後は簡単、エレベーターのワイヤーを切り裂いて落下する。

 響き渡る炸裂音、老朽化していたエレベーターはひしゃげて地面にめり込んでいる。

 

「地下二階発見、ここに誰がいるんだろうな」

 

 薄暗いが地面に少量の光源が点滅している室内。動力パイプのようなものが引き込まれており、その先には朽ちて半分だけ空いている扉がある。銃を構えてその中に入ると虚ろな瞳の老人がパイプ椅子に座って天井を眺めていた。

 

「アンタが地球にウィルスを散布した人間か」

「坊や達……人の愛をなんと表現する……」

「爺さん、それは人間の永遠のテーマだぜ」

 

 この人ポエム語り始めましたよ。

 

「私は人を愛した」

「うん」

「私は人に愛されたと思っていた」

「うん?」

「寝取られた」

「えぇ……」

 

 これが世界的大流行病を作り出した男の言葉だった。

 

「寝取られるって具体的にどういうことさね……」

「私は四十の時に遅く結婚した。だが、子宝にも恵まれて今では孫までいる」

「うん、まあ、普通に幸せそうではあるけど」

「家内が私に嫁いできた時の年齢は二十歳と若かった」

 

 爺さんはどこか達観した瞳で天井を眺める。悲壮感漂うその風貌は自分という存在に少しだけ似ていて心なしか数分前まで持っていた感情が消えていた。

 

「年の差はあったが、家内は明るく多くの友がいた」

「まあ、若い女って友達が男の三倍はいるからね」

「その時に気がついておけばよかったのだ……女は裏切る生き物だということに……」

「なんか、すげーグロッキーな話聞かされそう……」

 

 俺と武蔵、バルは色々な意味で身構える。

 

「私と家内の関係は良好だった。年の差はあっても愛は存在すると周りはもてはやしてくれた」

「うんうん」

「二人の子宝にも恵まれて、長女は孫をよく連れてきてくれた……」

「オチがわかりはじめてきて心が痛い」

「私は最近になってわかったのだが、子供が作れない体なのだ」

「泣いていい?」

 

 俺達三人は円陣を組んで作戦会議を開始する。

 

「ご主人はん……ワイ、この人恨めまへんわ……」

「ああ、なんか、この世界の不幸の中で結構な悲惨さを持つNTRされた人を処すとかマジで心が痛いんだけど……」

「とりあえず最後まで話を聞こうぜ」

 

 円陣を終わらせて爺さんが語りだすのを待つ。

 

「私は受け入れていた。家内の浮気によって生まれた子供だとしても、自分の子として愛している。だからこそ、自分の心に楔を打ち込んで我慢ができた……」

「…………」

「だが、私の体は病に蝕まれ……明日も生きられないようなものになったとき……妻に愛していると言ってほしかった……」

「……それで、地球に散布しているウィルスを使ったのか?」

「ああ、そして……彼女の本心を聞いたよ――私は、最愛の人に金を渡すだけの機械だった……彼女が本当に愛しているのは幼馴染で、二人の娘もそいつの子供だ。娘達も本当の父親のことを知っていて、本当の父親と関係を持っている」

 

 言葉に出来ない。この人は男としての尊厳を他人に奪われ、最終的に金のなる木として扱われていたことを妻と娘達に突きつけられた事実によって暴走してしまったのだ。

 

「坊や達……私は間違ったことをしているという自覚は誰よりも持っている。殺されても文句は言えない立場であることも理解している。だが、一時の気の狂いで行動を起こしてしまった」

「……罪の意識が強すぎる」

「ミッドチルダでの散布を計画していたが、私の家内は……地球出身でな、地球の人間に復讐してしまえと思い立ち、行動した。君達は地球から来たのだろう? 家内は日本という国の出身でな、君達の顔立ち、日本人そのものだ」

「……はい、日本人です」

「すまなかった。謝っても許してはもらえないだろう」

 

 いや!? もうマジで99%許しはじめてるよマジで!!

 この人不憫すぎ!! なに? 奥さんが奥さんの幼馴染に寝取られて、幼馴染の子供を自分の子供にされて、その子供達も奥さんの幼馴染と関係もってるとかマジで不憫すぎるだろうが!?

 ああ、なんか、目から出汁が出るぅ……。

 

「そこの箱の中に設置された機械の制御装置が置かれてある。もう足が動かなくてな……6741と入力したらワクチンが散布される。お願いしていいか……」

「バル……入力してくれ……」

「わ、わかりました……」

 

 バルは制御装置にコードを入力した。

 さて、俺達はこの人をどうしたらいいのだろうか……。

 

「爺さん……俺は、俺達はアンタのやったことを肯定は出来ないが……話を聞いたら否定も出来ない。アンタは裏切られていても、信頼して愛してもらえていると思って家族を愛していたわけだ。でも、それを否定され、心が壊れた。行動が出来る立場なら――誰だって行動するだろうさ、愛があるなら」

「……坊や」

「愛してるから、愛しているからこそ、裏切られて……自暴自棄になってしまう。でも、自分が自暴自棄になったということを真っ先に理解して、懺悔して、悔いている。だからこそ、俺達はアナタを裁くことができない……」

「……坊や達、私の手を握ってお爺ちゃんと言ってくれないか?」

 

 俺と武蔵は爺さんの手を握った。

 

「「お爺ちゃん」」

「……ありがとう」

 

 手を離して祈りを捧げた。この人が生まれ変わったらもっと幸せな人生を……。

 

「「……帰ろう。もう、心が壊れる」」

 

 

 地球に戻ったらピタリとヤンデレウィルスは機能しておらず、男性の死者は日本人の男女の比率を塗り替えた程度だろうか? 男性アイドルとイケメン俳優は結構殺されて女性刑務所はパンク寸前らしい。

 付け加えて、高町のお父さんとお兄さんは高町の上司を半殺しにしたらしい。なんか、セクハラしてたみたいだ。

 

「「「ごめんなさい……ゆるしてください……」」」

「土下座やめて、別に殺されてないし」

 

 八神、フェイト、月村がリビングで綺麗な土下座をしている。記憶は残っているようで、自分がやったことに色々な罪悪感を持っているようだ。

 

「「「許してくれるの?」」」

「別に、ウィルス散布が原因だし不可抗力ってやつだし――ブボヴァ!?」

「ふぅ……土下座して損したわ。さーて、どうやって料理したろうか……」

「……結局暴力オチかよ」

 

 ああ、もうメチャクチャだよ……。

 

【おまけ】

 

 ミッドチルダの霊園、そこでこじんまりとした葬式が執り行われていた。

 集まっているのは老人ばかりで一番若い存在が俺達という歪な構図になっている。それでも、それでも……安らかな表情を見るに後悔は無いと思いたい。

 

「……坊や達が弟を見つけてくれた人かい?」

「はい。花程度は送らないといけないと思って」

 

 喪服を着込んだお婆さんがハンカチで瞳を拭いながら俺と武蔵に挨拶をしてくれた。

 

「……若いのに古風だね。この子の嫁や娘達は行方をくらまして最後の姿さえ見ようとしないというのに」

「……そっちの方が幸せかもしれませんよ。我慢強い人だったみたいなので」

 

 姉のお婆さんが懐から吸っていた銘柄のタバコを取り出して棺桶の中に収める。

 俺達も花束を棺桶の中に収めた。

 エイデン・カルノア、享年68歳、安らかに眠る。

 棺桶の蓋を閉じようとした時、幼い少年の声が響いた。

 

「お爺ちゃん!」

 

 喪服も何も着ていない少年は爺さんの遺体の手を握りしめて大粒の涙を大量に流した。

 集まった遺族達は驚きの表情を見せた。

 この子が爺さんの孫か……。

 

「ライノ! 戻ってきなさい!!」

 

 まだ二十代くらいの母親が爺さんに抱きつく息子を無理矢理に引き剥がそうとする。

 それを止めようと踏み出そうとしたところで先に婆さんが母親の顔を引っ叩いた。

 

「祖父と孫の最後の別れに水を差すな! 姪っ子でも許さないよ!!」

「この人はこの子の祖父ではありません! もう親子の縁は切りました。赤の他人です」

「父親の前でそれを言うか!」

「これ以上の攻撃をするならこっちにも方法が――」

 

 俺と武蔵はデバイスを展開しようとしている母親に獲物を構えた。

 

「葬式で喧嘩はいいが、口喧嘩で終わらせな」

「誰です貴方達は!」

「死体の第一発見者だ。それ以上でもそれ以外でもない」

 

 母親はニヤリと笑って大声をあげた。

 

「貴方達がこの人を殺したんでしょ! 第一発見者が取調べも受けずに葬式に来れるわけがありませんものね!!」

「やめなさい! せっかく来てくれたお方に!!」

「この男のデバイス、数年前の管理局採用の旧式、テロリストがよく使う横流し品じゃないですか! この男が殺したんですよ!!」

 

 ヒステリックな女というのはどうしてこうも自分勝手な考えをベーベーと吐けるのだろうか? 自分の考えがあたかも大多数の正論のように立ち振る舞うのは殺意以外の感情をいだけなくなる。数年前の俺達なら躊躇わずに頭と胴体を別にしているだろう。

 

「……帰ろう。こんな虚しい葬式になるとは思わなかった」

「逃げるのですか!? やはり貴方達がちち――ッ」

 

 爺さんのことを父親と呼ぼうとした時、堪忍袋の糸が切れかけた。拳銃を引き抜こうとした手をバルが押さえつけていた。バルの左手を見ると武蔵の拳も止めている。

 

「ご主人はん……武蔵はん……こんなゴミに手を下しても無意味やから収めてくだはい……」

「「……すまない」」

 

 女は一歩、二歩と後退る。

 こんな女を娘だと思っていた爺さんは天から見放された存在なのだろうか。せめて、土に還る時くらい……静かに安らかに眠ることを願っていたのだが……。

 

「時空管理局だ! 貴様達は包囲されている!!」

 

 空を見上げてみると管理局の羽虫達が俺達に向けて杖を構えている。女はこの瞬間を待っていたとばかりに立ち上がって自分も杖を構えた。

 後方から白服を着込んだ偉そうなおっさんが歩み寄ってくる。

 

「時空管理局の者だが、君達が事情聴取も受けずに消えたという報告を受けてね。カルノアくんは優秀な研究者だったわけで、こちらとしても十分な聴取を終わらせないと仕事が終わらない」

「……仕事で人の葬式をぶっ壊すのか」

「ん?」

「……仕事のために人の葬式をぶっ壊すのかと聞いている。答えろ、有象無象共が」

「いやはや、これは事情聴取の必要がないようだ。カルノアくんも可哀想な人だよ、奥さんと娘さんに愛想つかされて、葬式もテロリストに邪魔されるなんて」

 

 最初に殴り飛ばそうと思って拳を握りしめた瞬間にはバルの拳が男の腹部に突き刺さっていた。

 

「……ゴミ共が、こっちが我慢してやってるのにピーチクパーチクうるさいんや。人が花買って葬式に来てんのに貴様達は物騒なモン向けて、ワイ達のメンツを何やと思っとるん?」

「は、ごはっ……早くこうつらを!!」

「事情聴取ならアンタが一番最初に受けんとならんのか?」

 

 喪服のポケットからボイスレコーダーを取り出して地面に投げる。

 

『あの男は本当にバカで頭の悪い奴だ。俺の子供を産んだ女を妻といい、本当の父親に股を開く娘を見たらどう思うだろうな』

『パパ……今度は私に入れて……』

『いい子だ。だが、奴はそれなりに優秀だったからな……当て馬を使わないと上が納得しないだろう。まあ、いつものように殺して第一発見者を犯人にすればいい……ッ』

『あの人の名前を言わないで、気持ち悪くて吐き気がするわ』

『すまないすまない、愛の営みにゴミの存在は不要だな』

 

 男と女の喘ぎ声が響いている。

 

「バル、こんな代物どうやって手に入れたんだ?」

「ワイも昔は人やったんですわ」

「で、どうする? こっちは罪を擦り付けられそうになったわけだし、多少の反撃は許されるんじゃね」

「いえ、この男の悪事は全部収集しとりますからお引取りだけでええですわ。腐っとる人間は個人の私刑より裁判所で下された刑の方がお似合いですから」

 

 バルは孫の肩を叩く。

 

「坊や、このお爺はんは君の本当のお爺ちゃんやない。本当のお爺ちゃんはそこで放心しとる偉そうなおっさんや、はようお爺ちゃん大丈夫って言っておやり」

「違う! あんな人お爺ちゃんじゃない!!」

「坊や、どうしてそこのおっさんをお爺ちゃんと言えないんや?」

「あの人は今日はじめて会った人だもん! はじめて会った人がお爺ちゃんなわけないもん!!」

 

 血の繋がりよりも絆の繋がりか……。

 

「坊や、あっちのおっさんをお爺ちゃんと呼ばんと後悔するで。死んどる人間より生きとる人間を大切にせんと寂しい思いするのは自分なんやで」

「絶対にやだ!」

「……坊や、ごめんな。おじちゃん意地悪やったわ」

 

 バルは胸ポケットにさしてある一輪を棺桶の中に入れて立ち上がった。

 

「ご主人はん、帰りまひょう」

「ああ、後は好きにしてくれ」

 

 満足そうに笑っていた。

 

 

 人間は偉くなったらどんなに高等な学をもっても馬鹿になるとは言うが、どうにも俺達が出会う偉い人間はあの爺さんを除いてほとんど欲の塊だ。珍しくバルが自発的に集めた情報は公職追放なんて鼻で笑えるレベルのスキャンダルをハリーポッター一冊分くらいの量でまとめている。それ以外にもデータ記録も大量に漁っているらしく、武蔵が素人3P動画は堪らないとか言ってイカ臭くなっていた。

 

「バル、おまえが人に熱くなるってのは珍しいよな」

「なんちゅーか、ワイが人間やった頃の恩人に少しだけ似ていたんですわ……汚い世界でも希望はあるとか夢語るバカやったんやけど」

「……どんな死に方したんだ?」

「食い物を野垂れ死ぬガキに与えて餓死ですわ。親に捨てられた子供なんぞ生きてはいけない世界で子供を育てる聖人……なんつーたら笑われますな……」

「笑わねぇよ、その人がおまえの親なら笑える筈がない」




 心療内科に行ったらうつ病でした。
 まあ、投稿が遅れる理由にはならないけどね! ワハハ!!
 とりあえず、最近脳みそが破壊されるという言葉が流行ってるからそういう話しを書こうと思ったら色々とくだらない話しになりました。マジでごめんなさい。
 とりあえず、ネタは散りばめたと思ってるんですが、面白くなかったらごめんなさい!

【追記】

 適当に書き足したけどこれで少しでも後味が良くなったらいいなぁ。

投稿ペース

  • 一秒でも早く書いて♡
  • ネタの品質を重視してじっくり!
  • 冨樫先生みたいでええよ~
  • 絵上手いから挿絵積極的に
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