踏み台だった野郎共の後日談。   作:蒼井魚

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37:G動物園

 どうも、輝夫です。

 今日は暇潰しにゲームセンターに遊びに来たのですが珍しくこの世界の正当な主人公である修一郎様とばったりと遭遇したのでなんとなくガンダム動物園のコーナーに着席しているところです。

 

「それにしても、修一郎様もガンダム動物園するんだね」

「まあ、台パン奇声してる人は嫌いだけどエクバシリーズは面白いゲームだし」

「このゲームを面白いと思ってる人はじめてみた……」

「じゃあなんで西風はプレイしてんだよ……」

「え、厨機体に乗ってる奴らをクソ雑魚機体で倒すのに爽快感があるから」

「……これがドSってやつか」

 

 ヒロイン達との遭遇の割合の中に修一郎様も入ってきたということは確実に修一郎様もぼっくんのヒロインになったってことだな、よっしゃ、初っ端から裏ヒロイン攻略をこなしてやるぜ!

 

「なんか悪寒がするのだが……」

「えへへ」

「その笑みの真相は何!?」

 

 というわけで互いに百円を投入して店内固定、俺の機体はこのゲームで一番乗ってはいけないと言われている1500コスト帯のマラサイ、色々な上方修正は受け取っているのだがやっぱりコストの関係上でクソザコナメクジでしかない。だからこそ、こいつで厨機体をぶっ潰すのが最高に面白いのよね……!

 

「西風はマラサイか……」

「あ、大丈夫。絶対に先落ちしないから3000乗っていいよ」

「……じゃあ、最近勉強してるストフリで」

「似合いすぎて困る」

「また優男いじりしてる……」

 

 修一郎様の行動すべてを弄り倒せる自信がある。

 さて、マッチングが終わってマラサイとストフリ、相手はHi-νガンダムとトライバーニングガンダム、うん! 並のマラサイ乗りなら泣きたくなる機体だね! エピオンよりマシだけど!!

 

「……なあ、大丈夫?」

「全然、こいつらを何機屠ってきたことか……」

「本当かなぁ……」

 

 開幕ゲロビ(照射ビーム)でとりあえず牽制、そのままトラバに突っ込む。相手の二機もコストオーバーを狙って柔らかいマラサイにターゲットするが俺のマラサイはジェリドが乗ってんだから負けるわけ無いだろ(説得力皆無)

 

「うっわ、【無類の量産機好き】さんが厨機体狩りしてる」

「おお、今日、【無類の量産機好き】さん来てたんだ」

「え、無類の量産機好きさんって?」

「ああ、基本的にマラサイしか乗らない変態で、Hi-νガンダムとエピオンが大好物の化け物だよ」

「でも、マラサイって1500のギリギリ使える機体だろ? どうやってそういう機体に勝つんだよ」

「まあ、見てたらわかるさ」

 

 厨機体二機に囲まれているが相手の考えていることが全部わかる。華麗にステップを重ねてトラバの甘い着地にビームサーベルを投げてライダーキック、修一郎様がHi-νガンダムを抑えているのでそのまま二回目のライダーキック、そして前格、ブーストを回復してHi-νガンダムにビームライフル4連射、二発命中、そのまま接近して回復したゲロビをブッパ。

 

「……ねえ、それ本当にマラサイ?」

「マラサイ以外のなんだよ」

「……色んな意味で西風って規格外なんだな」

 

 後方からトラバが火柱を立てるがステップでそれを回避してリロードしたビームライフルで牽制、そのままビームサーベル投擲、キックは我慢してHi-νガンダムに接近、N格闘で無難にダウンを取る。

 修一郎様も結構捌くの上手いじゃないの、シャッフルの人達よりかは厨機体狩りがやりやすいわ。

 

「どっちから落とす?」

「トラバからでいいんじゃないの」

「じゃあ、修一郎様はHi-νよろしく」

「了解」

 

 修一郎様がHi-νガンダムと疑似タイマンしてくれている間にトラバの攻撃を掻い潜りビームサーベル投擲&ライダーキック、ダウンしたトラバの前に立ち起き攻め、起きた瞬間に前格、そのまま間合いをとってビームライフルを連打、トラバの人もトサカ来たのか果敢に攻め立てるがそれをすべて受け流して甘い着地にゲロビ。

 

「……なにこれ?」

「これが無類の量産機好きさんなんだよ。圧倒的な実力で相手をゴッ倒す人なんだよ」

「マラサイ以外には乗らないの?」

「マラサイ以外に乗ったところは見たこと無いな……」

 

 そのまま華麗にトラバを完封してHi-νガンダムにターゲットを移すと修一郎様が多少のダメージを受けて入るが落としてくれていた。さてはて、コストオーバーのHi-νガンダムを落としてフィニッシュにしますか。

 

「修一郎様上手いね」

「ストフリは結構バランス型だから……まあ、マラサイで爆弾やってる西風には勝てないと思うけど」

「リアルでも言えることなんだけど、攻撃の選択肢って大量より少量の方が機能することが多いのよね。このマラサイという機体は武装のバリエーションが少ないわけだけどそのすべてに無駄がないから理解するとすっごく強いのよ。機能美ってやつさ」

「……西風は戦う時そういうの理解してるのか」

「当たり前じゃん、考えて使う武器より考えないで使う武器の方が実戦では強いのよ」

 

 一戦目は互いに落ちることなくほぼ完封勝利で終わった。いい相方と戦えばこのゲームはある一定のラインまで連勝出来るからなぁ。

 

「二戦目はHi-νとヤークトアルケーか……相手事故ってるなぁ……」

「なあ、リアルの俺を見て無駄だと思うところってあるか」

 

 カチャカチャとレバーとボタンの音が鳴り響いている。ゲームと世間話を並行するのは脳みその回転が遅くなるが、まあ、二戦目なら戦力差はイーブンだから多少の被弾はどうでもいい。

 

「修一郎様は多様性を重んじてる部分があるんだよね。自分はこういう手を何個も用意しているからどんな状況でも切り抜けられるみたいな風に見えるのよ、実を言うとそれは現実世界では必要のないものなのさ」

「というと?」

「どんな状況でも切り抜けられるように技というエースカードを大量にデッキに組み込んでるわけよ、でもね、手札にエースカードばっかり来ると使い勝手のいい汎用カードを見落とすわけさ」

「汎用カード……」

「戦いにおいて切り札は一番効果が出る場合に使ってこそ意味がある。その切り札を確実に出せるように汎用カードを場に出して場を繋ぐのよ、そうすると必然的に無駄な行動が減って生存率が高くなる。生き残る為には綺羅びやかな一手より泥臭い三手の方が相手から見るとすっげー嫌らしいのよ」

 

 コンボを気持ちよく決めてぱぱぱっと終わらせようと執念深く張り付いてくるヤークトアルケーを華麗に捌いてライダーキック、トサカにきたのか尚更に粘着してきている。格闘機ってホント単純だわすなぁ。

 

「西風はどいう風に自分をまとめてきたんだ?」

「最初に自分がギリギリ勝てる相手を想像して脳内で戦ってみる。その勝率が100%になるまで戦い続けて、最終的に自分がどういう戦い方をしたのかを注意深く考察するのさ、そのファイトスタイルが汎用性の高い戦い方だ」

「……それ、何年かかるの?」

「人それぞれとしかね」

「十年かかりそうで萎えるぜ……」

 

 多分、天才じゃないと五十年かかるよ。

 

 

「君達、中学生だよね? もうお家に帰る時間だよ」

「最高連勝記録更新! 帰りましょ、帰りましょ」

「……化け物って怖い」

 

 中学生がゲーセンに入れない時間になったので今日の動物園は終了、ゲーセンの椅子って安っぽいから腰が痛くなりますわ。

 ゲーセンの外に出た時に力強い声で呼び止められる。

 

「西風、俺……強くなるよ……」

「ふーん、がんば!」

「がんばって……おまえなぁ……」

「強くなろうとしてる時点で二流って気づけよ。主人公さん」

 

 家に帰ると窓ガラスがすべて割られていた。多分、武蔵がセフレの家に行っていたからヒロイン達が夜逃げしたと勘違いして破壊の限りを尽くしたのだろう。

 

「被害届……出しちゃダメだよな……」

 

 ガラスで指を切りました。痛かったです(小学生)。




 ヒロイン達が出ない話って難しいですね。

投稿ペース

  • 一秒でも早く書いて♡
  • ネタの品質を重視してじっくり!
  • 冨樫先生みたいでええよ~
  • 絵上手いから挿絵積極的に
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