「おはようございまーす」
「おっはー」
どうも、輝夫&武蔵です。
鮫島さんの親戚が危篤で仕事ができないということでバニングスの執事仕事的なものを変わりに引き受けたのですが、なぜだか集合場所が彼女の家の反対側に存在する大規模な運動公園に集合させられているのですよ。どうして彼女の家に現地集合したらいけないのでしょうね?
「おはよう。今日から執事の仕事頑張るんやで」
「……いや、なんでバニングスに雇われてるのに一番最初に顔合わせるのが君なの?」
似合わないレディーススーツ姿の八神がドヤ顔えで俺達に手をふる。いや、なんで開幕早々に君の顔を見ないといけないのですかね? 今回は君の顔を見ずに済むと気分が良かったのですが……。
「じゃあ、早速着替えてもらおうか!」
「いや、それはここで……大晦日特番みたいなボックスがあるんですが……」
「輝夫……久々に理不尽な暴力が降り注ぎそうでオラワクワクすっぞ!」
「稀にしか暴力が降り注がないからワクワクしてるぞ……」
ヒロイン達から暴力が降り注がない絶対安全圏で生温いお茶を飲んでいる立場だから久しぶりの登板で若干の高揚を見せているむさしきゅん! 正直お前だけがすべての暴力を受けてくれたら俺も喜々としてなんでも突っ込んでやりたいさ、でもね、平等に降り注ぐから理不尽な暴力なんだよ?
「で、てるおたん? どっちのボックスに入るよ」
「家でカレー仕込むからお前だけ入れよ」
「早くはいり」
不満はあるが仕事に遅刻してしまったら多方面から肉体言語を使われそうだから右側のボックスに入る。大晦日特番特有の女装ではなく普通の執事服で一安心。
久しぶりのキチッとした格好で外に出る。隣には女装美少年が神妙な表情で立ち尽くしている。
「……お股がスースーするですわ」
「左が女装枠だったかぁ……」
武蔵って中学生らしく身長低くて女顔だから非常に美少女ですね、この姿でヤリチンという事実があるのだから世界は不思議ですわ。
「二人とも準備できたみたいやな! じゃあ、バスに乗ってもらおうか」
「……バス移動、マジで大晦日特番だなオイ」
「セフレにこの姿見られたら確実にそういうプレイされそうで怖いんですけどー」
やる気のない足取りで八神の後ろをついていくと普通の路線バスが停車している。こいつらの財力ってどうなってるの? なんでバス一台をこんな無駄なことのために借りれるの……。
武蔵は女装させられて萎えているのか常時レイプ目でトテトテと歩いている。なんでだろう……めっちゃソソル。
劣情を催している中でバスが発車する。何が起こるかわからないから身構えないとな……。
「ああ、どうしよう……ああ! どうしよう!!」
バスが停車して思い切りド知り合いが乗車して意味不明なことを言い始めている。
――高町のお父さん何してるの!?
「輝夫……俺達とんでもないことに巻き込まれてねぇか?」
「絶対にそうだよ」
「僕はどうしたらいいんだ!! 早くどうにかしないと!?」
「……何があったんですか」
なんとなく動揺している高町のお父さんに理由を聞いてみる。
「娘達が一緒にお風呂に入ってくれないんだ!!」
「「グフッ!」」
『輝夫・武蔵アウトー』
デデーンという音が響いてバスにしなやかな棒を持った高町とヴィータが乗車する。もちろん満面の笑みだ。
まさかね、本当に大晦日特番スタイルとかやめてよねまじで!!
「あの、えっと……」
「尻だせ尻、叩けねぇだろ」
「マジすか……」
「顔でもいいんだぜ」
俺と武蔵は顔よりはマシ理論で二人に尻を差し出す。
パシッ! という乾いた音と形容詞し難い鋭い痛み。ああ、あの芸人さん達って頑張ってるんですね……。
「いっつつ……帰りたい……」
「お前はまだいいだろ……俺なんて女装させられてるんだぞゴラ……」
もう絶対に笑わねぇ、俺は鉄仮面だ……。
「僕はお父さんなんだ……娘とお風呂に入りたい年頃なんだ……」
「さっき娘さん居ましたよ……」
「僕は娘に背中を洗ってほしいんだよ!!」
「「……お父さんは辛いですね」」
「それに恭也も入ってくれないんだ!!」
「「ゴフッ!!」」
『全員アウトー』
早いなという表情のヴィータと俺達を合法的に引っ叩ける喜びで微笑んでる高町が再び現われて尻を引っ叩いて下車していく。
高町のお父さんもそれに合わせて下車していった。これは強敵揃いだぞ……。
「輝夫、さっき笑ったのはお前が笑ったから誘われたんだぞ」
「嘘こけ、俺より0.1秒お前の方が早かったぞ」
不毛な言い争いを終わらせて外の風景を眺める。
流石に高町のお父さん以外の猛者は流石に現われないだろう。初っ端から最終兵器を出して失敗したな主催者! 俺達の笑いの沸点はそんなに低くねぇぞ。
次のバス停に到着してまたまた顔見知りが乗車する。
クロノの嫁とリンディーさん? これまた俺達と会わないタイプを連れてきたものだ。
「お義母さん……クロノくんってすこし……」
「わかるわ、自分の息子ながら酷いところが目立つのよね」
「はい……一人でお風呂に入りたいのに乱入してきて……」
「フッ……あ」
『輝夫アウトー』
お風呂ネタを引っ張られて笑ってしまった!?
満面の笑みで高町が登場して颯爽と尻を叩いて降りていく。どれだけ俺のこと嫌いなんだよ……。
「ああ、それはお父さんの血ね」
「クロノくんのお父さんってどんな人だったんですか?」
「そうね、最初に出会ったのは下着泥棒を捕まえた時ね」
「ああ、クロノくんのお父さんが管理局の職員として下着泥棒を捕まえていたんですか」
「いえ、彼が私の下着を盗んでいたのよ」
「……笑うな俺、絶対に、ふふっぜった……」
「武蔵アウトー」
颯爽と高町が現われて武蔵の尻を叩いていく。だが、俺を叩く時よりは笑顔ではない、俺をそんなに叩きたいのかよ……。
それにしても出会いが下着盗まれそうとか異次元だな、流行ってたのかな。
「下着泥棒だったんですね……でもどうして結婚を?」
「土下座して結婚してくださいって言われたのよね」
「普通しませんよね?」
「書類偽造されたのよねー顔はソコソコ良かったし受け入れちゃった♪」
この程度で笑わねぇぞ、絶対に……。
「やっぱり顔ですね!」
「「ふふっ」」
『全員アウトー』
「あひん!」
「やはん!」
顔ですべてを判断するんじゃねぇよ、武蔵じゃねぇんだから!
互いに柔らかいくせに靭やかにアタックするからビンタレベルの痛みが色んな意味でじんじんするぜ……。
人妻と未亡人が下車して地面のシミを数える。冷静になれば絶対に笑わない。俺は鉄仮面なんだ、鋼の心持ってるだろ!
「なあ、俺達の笑いの沸点って低かったんだな……」
「何諦めてるんだよ、まだバスだぞ……」
繰り返しになるが芸人さんの根性って凄まじいのね……。
「にーらめっこしーましょ! あっぷっぷ!!」
「へっ? ぐふっ……!」
『輝夫アウト―』
バスが停車して高町が乗車、俺の尻を叩いて颯爽と去っていく。
「てめぇ……」
「いや、走ってる最中に笑ったらどうなるんだろうって」
「絶対にタイキックはお前に擦り付けてやる」
「女装枠はタイキックとガチビンタはキャンセルされんだよ」
ぐぬぬと呻いて次の刺客の到着を待つ。大晦日特番的にバスの刺客の数は平均5~7、俺達の知り合いの数を考えるにその半分の3~4くらいだ。次が最後か、それとも次の次か。
バスが止まって新しい刺客が乗車する。
「……シグナムの姉御だ」
「……シグナムの姉御って笑いを取るタイプだったか?」
「……輝夫、武蔵。一つ聞きたいのだが」
「なんですかね」
「私は巨乳なのか?」
「「ゴハッ!?」」
「全員アウトー」
互いに尻を引っ叩かれて円陣を組む。
「なあ、これ映像化されてたらこのシーンだけループしていいかな? マジでシグナムの姉御が可愛すぎる!!」
「ああ、お願いします神様! 撮影していますように!! 一生のお願いです!?」
顔を両手で隠しているシグナムの姉御を彼岸島よろしくハアハアしながら眺める。やっぱり気高い女騎士タイプが恥ずかしがる姿ってマジ興奮するぜぇ……。
シグナムの姉御は顔を隠したまま逃げるように下車していく。ああ、最高だったぜ……。
「こういうのあるなら尻を叩かれるくらい許容範囲やな」
「ああ、シグナムの姉御は俺達の大好物だからな!」
久しぶりの眼福を得た俺達はしたり顔で椅子に腰掛ける。もう何も怖くない。
もうそろそろ目的地に到着するな、刺客全部に笑わされたよ……。
「運転手からお願いがあります。お客様に変態はいらっしゃいませんか」
「「ぶっ!?」」
最後の最後の攻撃は攻撃力が高かった……。
2
ようやくバニングス邸に到着した俺達だが結構な疲労が蓄積されている。これ以上の攻撃は人間性やSAN値が削られそうです。
「ようやく到着したな! じゃあ、雇い主のアリサちゃんに挨拶しにいくよ!!」
「テンションたかいなーおい……」
「本当に怖いわこれ、久しぶりの理不尽な暴力は体より心に来るぞ……」
先回りしていた八神に引き連れられて屋敷に入っていく。そして豪勢な部屋に案内され雇い主のバニングスとようやく会えた。
「あんた達が新しく入った執事ね!」
「……メイド服着てるんですがそれは」
初対面の体を保ったバニングスが俺達のことをマジマジと眺める。どこまでも大晦日特番なのですね……。
『この執事めっちゃタイプ! 鮫島クビにして本採用しようかしら?』
「「ゴフッ!?」」
『全員アウトー』
「「ありがとうございます!」」
お尻を擦りながらバニングスの話しに戻る。
「あんた! 名前なんていうの」
「……西風輝夫です」
「西風輝夫ね! うーん、呼びにくいからサウザーね!!」
「さうざー……ふふっ……」
『武蔵アウトー』
武蔵の尻を叩かれる様を見て特番が待ち遠しくなります。
『引かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!』
「ググッ……せーふ……」
どうにかサウザーの名言を回避してお仕置きを回避する。
次は武蔵の方に歩み寄ってマジマジと眺める。
「あんた! 名前は」
「……枚方武蔵です」
「枚方武蔵ね! うーん、呼びにくいから大和ね!!」
「「ぶぐぐっ!」」
それは反則! お姉ちゃんの方だから!?
尻をシバかれて心の声が攻撃力が高くないことを祈る。
『わたしより美人なんですけどーマジでテンサゲー!』
唐突なギャル語!? まあ、俺と武蔵は結構な頻度でギャル語会話してるから慣れてるか。
「辛いことあるかもしれないけど頑張って仕事しなさいよね!」
「はい」
「わかりました」
八神がしたり顔で俺達の肩を叩く。
「お嬢様に気に入られたようやな! 執事たるもの信頼第一や!!」
「「テンションたけーなおい……」」
「じゃあ、わたしピアノの稽古があるから九時頃に帰るわね!」
「「えぇ……」」
颯爽とピアノの稽古に向かうバニングスの背中を呆然と眺めた。
3
「ここが控室や! 軽食や飲料は完備してるから好きに飲み食いしてええよ」
特番お決まりの机のある休憩室……引き出しトラップが絶対に仕掛けられてるよぉ……。
「輝夫……引き出しどうするよ……」
「いや、本当は引き出しなんて見たくねぇけどさ……アイツ達が必死こいて何かしら作ってるなら触らないとかなって……」
「でもさ、高町の打撃は全盛期のイチロー超えてるぞ、見事な神主打法だぞ」
「でもさ、流石に物程度で俺達を笑わせられるわけねぇじゃん! 見るだけ見ようぜ」
最初はグーと掛け声を発してパーを出すと武蔵は平然とチョキで迎撃しやがった……。
「ジャンケンで初手チョキは性格悪いって昔から言われてるから」
「はよあけろや」
上段、中段、下段……最初は上段から行くか……。
上段の引き出しを開けるとDVDが一枚、それ以外は何もない。タイキック系のDVDだな……。
中段の引き出しには何も入ってない。これ確実に後々何か入れるパターンだわ……。
下段は怪しげなボタン、もちろん輝夫という名前が書かれてある。
「DVDとボタンね……王道過ぎるぜ……」
「王道すぎるな、どっちがタイキックなのやら」
武蔵は腕を組んで物思いにふける。何を考えているのやら、早く自分の机を開けろや……。
「あ、天井に何か貼ってある」
「ああ? そういう仕掛けも――」
「正解は越○製菓!!」
「ちょ!? ま!!」
武蔵は鏡餅のCMのように机から出てきたボタンを押しやがった……。
『輝夫の黒歴史』
「え?」
『なのは! すずか! アリサ! 一緒に帰ろうぜぇ』
「ゴハッ!? ゴホゴホッ!!」
小学生時代の馴れ馴れしい俺の肉声がスピーカーから流れる。どうやって入手したんだよ!?
「越○製菓!」
「ちょ! 本当にやめて!!」
『なのはちゃ~ん、オレっち子供は三人ほしいなぁ~』
「オゴゴゴ!? グゲゲ……」
「おお、悶てる悶てる」
ボタンをひったくって電池を抜き取ってゴミ箱に投げ捨てる。俺の黒歴史なんか使うんじゃねぇよ! 俺の心がダークサイドに落ちちまうだろうが!!
武蔵の方を見ると絶妙に物惜しそうにゴミ箱を眺めている。
「テメーの机には何が入ってんだよ……今度は俺が押してやるよ……」
「へいへい、何があるかなぁー」
武蔵も淡々と机を開けていく。中身は大きな封筒と小包が一つ……チッ! ボタン入れろや企画者……。
「うーん、どっちも危険度高そうだなぁ……」
「とりあえず小包気になるな、ボタンの可能性があるし」
「どんだけボタン欲してんだよ」
小包を開けて中身を確認する。中身は……男性器を模した大人の玩具だった……。
「いや、俺達男子だからこの程度で笑わねぇよ」
「そうだよな、笑うわけなッ――ググッはははは!? ははは」
「お、おい……どうしたよ……」
武蔵が笑い転げてデ○ルドを指差す。それを凝らして見てみる――ああ、これは笑うわ……。
【名前:ザフィーラ】
『全員アウトー』
互いに椅子に座って深呼吸を繰り返す。ヴィータの打撃は短時間が収まるのに高町の打撃は長時間続くから高町があてがわれる確率が高い俺のお尻はレッドゾーン寸前だぜ……。
「これ企画してる奴さぁ、脳みそのネジ二三本吹っ飛んでるだろうな」
「俺は四本だと予想するね」
互いに視線は封筒とDVDだ。ここまで痛い思いしてるのなら突き進んだ方がスッキリするような謎の感覚に襲われる。
互いに頷いて封筒を指差す。
「DVDは十中八九タイキック、最後の花にしようぜ」
「ああ、DVDのタイキックがどっちでも恨みなしだ」
「じゃあ、封筒開けるか……」
生唾を飲み込んで封筒の中身を確認する。
「「ぶはっ!」」
【修一郎様の合成写真(輝夫&武蔵作)】
『全員アウトー』
乾いた炸裂音に近い打撃音の果てにもう一度椅子に腰掛ける。
こんな昔に作った代物をよくもまぁ……。
破り捨ててゴミ箱に投げる。
「たいきっく! たいきっく……」
「おねがいします……むさしでありますように……」
考えることをやめてDVDをプレイヤーにセットしてどんな映像が流れるかを待つ。
映ったと思ったら椅子に座ったヴィータが悲しそうな表情をしている。なんだよこれ?
『輝夫……黙ってたことがるんだ……』
「…………」
『偶にさ……一緒に寝てただろ……』
「…………」
『その時に……まあ、アレだ! そういうことしたんだよ……』
「童貞卒業おめでとう」
「うるせえ! 見入ってんだよ黙ってろ!!」
武蔵に鳩尾を決めて集中して内容を確認する。
『それで……出来たんだ……』
「あ、ああ……」
『でも、輝夫に迷惑がかかるから……黙ってて……』
「早く言えよ!? てか、まさか、やめろよな? おい、やめろよな!」
『ギリギリ間に合うから産婦人科で……』
「バカ言うな! いや、ヴィータは尻叩きしてたしまだ産婦人科に行ってない……武蔵! 早く笑え!! わはははははは!!!」
「あ、ああ……はは」
『全員アウトー』
入ってくるヴィータを抱きしめる。
「おまえと間の子供を疎ましいとか思うかよ! まだお腹の子はいるんだよな!? 大丈夫だ……色々とすれ違いがあったかもしれないけど二人を絶対に守るから!! お父さんになるから……ヴィータ……」
「いや、妊娠してねぇよ」
「へ?」
『産婦人科で……輝夫タイキックらしいぞ』
タイ人が入ってきてお辞儀をした。
――ごめん、君に俺の怒りをぶつけるよ。
「オニイサン! ボクのウデオレチャウ!!」
「ああ、医療費出すから折らせろよ……」
「ボク格闘家! ウデコワレタラ試合デレナイ!!」
アームロックでタイ人くんのウデをへし折ろうとするが武蔵に羽交い締めにされてロックが外れて彼は部屋から逃げ出してしまった。
笑顔だった高町が流石にこの演出には思い当たる節があったらしく軽く叩いて退出していった。ヴィータの方は容赦なく武蔵を引っ叩いて出ていく。
「……いっそのことヴィータ犯して子供こさえるか」
「復讐は新たな復讐を生むだけだぞ」
「RPGの主人公みたいなこと言うな……」
互いに前半戦はまだまだ続いているのに疲労困憊だ。何よりDVDの破壊力がヤバかった。俺の妹分のヴィータに何させてやがるよ……。
カタンと扉が開いて満面の笑みで八神が入ってくる。
「今日は全日本執事連盟の会長さんが講習会をしてるんや! なんとなんとこのお屋敷で」
「全日本執事連盟ってなんですかね……」
「俺はメイド連盟の講習に行きたいんですが、メイド服ですから」
俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった。
――前世では次男でしたけどね。
3
骨は折れてないけど心は折れてる俺は無表情に八神の後ろをついていく。全日本執事連盟の会長ってどんな人なのやら? 予想できないし罠が仕掛けられてそうで怖いわ……。
屋敷の中の大広間には大勢の執事服を着た老若男女がパイプ椅子に座っている。見た感じはまともそうだな。
「全日本執事連盟の会長さんのありがたいお言葉が始まるからはよ座り」
何故か特等席と言わんばかりの最前列に着席させられる。やっぱり嫌な予感するわ。
奥の方からヨボヨボの爺さんとスーツ姿の司会? がひな壇に立つ。
「こちらが全日本執事連盟会長の島崎様です。そして私が司会担当の島崎です。孫です」
後方と左右からスタンディングオベーションが響く……カルト教団かな?
「……婆さん、飯はまだかい」
「皆様、会長も執事の皆様が持つ勤勉さに喜んでいますよ」
「お刺身食べたいなァ」
「パチンコやめたら?」
「「ごはっ!?」」
唐突なウシジマくんで笑ってしまった。
あれ? 高町とヴィータが来ない……ああ、講習が終わるまで叩かれないパターンか……。
「では皆様、執事とは何かを会長から聞いてみましょう! 会長、執事とはなんですか?」
「ロールケーキ」
「そう! ロールケーキなのです!!」
「「ロールケーキってなんだよ……」」
大口を開けながら認知症が入った会長さんとお孫さんのパフォーマンスを眺める。
「会長、執事になるための修行はなんですか」
「飯食ってパチンコ打って寝る。執事の鍛錬はそいつで十分よ」
「なあ、輝夫……この人さぁ、執事じゃなくて認知症の入ったパチンカスじゃね?」
「言うな、言ってやるな……」
同じような存在を飼ってる俺に効く。
「では、執事としての心構えを」
「一万円札を躊躇わないこと」
「一万円札は紙切れです! 多少粗末に扱いましょう!!」
またスタンディングオベーションが響き渡る。なんだこれ……。
――扉が蹴破られる炸裂音と共に機動隊みたいな格好をした集団がなだれ込んでくる。
「るぅぱぁん! きさまをたいふぉすうぅ!!」
「銭形警部! 入れ歯を忘れています!!」
「うむ」
「ぜーにんがたのとっつぁん!? いきとったんかわれ!」
「「唐突なルパン!?」」
結構な高齢化したルパンと銭形が現われて講習会が騒然となる。高齢銭形は杖をつきながら会長? それともルパン? よくわからないが逮捕しようとしている。あ、捕まった。
「とっつぁん……長く逃げてきたけど俺も年だからな……」
「ああ、もうゴールしていい」
二人が抱きしめ合うと同時に流れる【鳥の歌】。
なにこれ?
その摩訶不思議な光景を眺めていると司会をしていた奴が大声で笑いはじめた。
「貴方が爺様のライバルだった銭形警部でしたか! ですが、爺様が逮捕されてもルパン五世である私が大泥棒として君臨します!!」
「あ、おまえも学校の大きな三角定規を盗んだ罪で逮捕だ」
「……ボクもまた、大きな三角定規に踊らされた被害者の一人なのさ」
頭の中がこんがらがって笑えない。
もちろん終わった後の尻叩きは強烈でした。
4
控室に戻り冷蔵庫から水を取り出す。
「俺は本当に現実世界に存在してるのか? これ絶対に夢だろ」
「夢だったら尻は痛くねぇよ」
武蔵の正論で現実世界であることを再確認する。現実世界って怖いですね。
キャップを開けて中身の匂いを確認して安全を確認してから口をつける。
「大福とか入ってないよな、入ってたら高町のお父さんの汗使われてそうだし」
「とりあえず水は大丈夫そうだぞ」
武蔵に水を渡して互いに席につく。そして何気なく引き出しを開けてみるとDVDが一枚入っていた。
「……入ってた?」
「……うん」
武蔵も無表情に引き出しを確認する。中から俺の人形が出てきた。
「うっわ、完成度高いな……」
「特番特有の完成度の高いフィギュアか……」
「お、ボタンがついてる」
「えー、またろくでもない機能だろうな」
武蔵は無表情でボタンを押してみた。
『輝夫の黒歴史』
『おっれのよめー!!』
「ボタンは危険ですね!?」
【次回予告】
唐突に始まった大晦日特番ポイ企画! 撮影はだいたい秋頃にされるらしい。
二人の美少年を陥れる笑いの刺客達、二人の精神とお尻の耐久値は残るのだろうか?
次回に続く。
流石に間に合わねぇ、分割する
【追記】
武蔵の立ち絵をかわいいと思ったらタイキックー!!
投稿ペース
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一秒でも早く書いて♡
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ネタの品質を重視してじっくり!
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冨樫先生みたいでええよ~
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絵上手いから挿絵積極的に