しんけん!! ― ひふみ歌 ―   作:黒海透

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参話

 森を抜けた先には、開けた平野が広がっていた。

 林が所々に点在しているものの、山地というほどの起伏もない。

 平地が不自然な凹凸を見せているのは、元が田畑だったからだろうか。

 他にも、前時代の遺構ともいえる、辛うじて原型を届けた廃墟が散見できる。

 そうした中に人の気配は一切感じることができない。生気というものが存在せず、時間が止まっているかのような錯覚すら受ける。

 この土地は人々に忘れ去られた残骸なのだ――そんな印象を瑞泉は抱いた。

 

 だが、無機質な風景の中に異質な色を見付ける。

 鮮烈な朱色――平地の奥に位置し、周囲が林に囲まれ、二つの鳥居を有する建物。

 あれが――

 

「……真金神社?」

 

「見えた」

 

「見えたぞ……!」

 

 憔悴していた村人たちが、次々に声を上げる。

 ようやく見えた到着地点。日数にすれば二十日もない旅路ではあったが、常に命を狙われていた彼らからすれば永遠にも等しい時間に思えただろう。

 

 もっとも、長旅に思えたのは瑞泉も一緒だった。

 自分一人ならばもっと早く真金神社に辿り着くことができははずだし、本来ならばこなさなくて良い戦闘をいくつも行った。

 

 森を抜けるまでに都合三度。

 そのどれも犠牲者を出さずに切り抜けることはできたが、逃避行を行っている関係上、刀の手入れに充分な時間を割くことができなかったため、

 彼の持つ刀は相当切れ味が落ちている。

 

 この状態でも小型の憑喪に遅れを取ることはないという自負はあったし、大型種が出ても負けないよう立ち回ることは可能だ。

 しかしそれでも、命を託すことができる唯一の武器が本調子といえない今の状況を早く抜け出したいのは確かだった。

 

「御館様、ようやく到着できたみたいですね」

 

「……あぁ、そうだね」

 

 声のした方へ顔を向ける。

 そこには長い濡れ羽色の髪を風にたなびかせる、一人の少女がいた。

 細い眉に、長いまつげ。翡翠色の瞳はどこか物憂げな輝きを宿しているものの、視線は強く、真っ直ぐ瑞泉へと向けられている。

 

 彼女の胸元には、布に包まれた長竿――森で拾った刀が抱かれている。

 鞘を発見できなかったため取りあえずは布でくるんでいる今の状態は、取り扱いを間違えれば非常に危ない。

 しかし彼女が扱う限りはそうならないだろう――自ら意図しなければ、自傷行為は出来ないものと相場が決まっている。

 

「しかし、最後まで気を抜いちゃ駄目だ。真金神社内は結界で守られているだろうけど、外はまだ防備が整えてあるようには見えない。最後の最後で憑喪に襲われる可能性も否定はできない。俺が相手をするつもりではあるけど、もしもの時は……」

 

「はい、姫は頑張ります」

 

 軽やかに返事をした彼女の表情は笑みに変わる。

 誰が見ても愛らしい、美しいと感じるその笑顔は、しかし瑞泉の知る彼女のものではなかった。

 

 ――刀と縁を結んだ人間は、それに宿った付喪神と精神的な繋がりを得ることで身体能力や超常的な異能を獲得する。

 しかしその代償として、縁を結んだ魂から精神面、肉体面への大きな影響を受けるのだ。

 この少女も例外ではなく、言葉遣い、趣向、そして容姿までもが変わってしまっていた。

 しかしまったくの別人になったというわけではない。

 ただの人間であった頃の記憶は勿論あるだろうし、彼女固有の個我も当然のように残っているだろう。

 しかし――だからといって以前の少女と同一人物であるかと聞かれたら、瑞泉は黙ってしまうだろう。

 自分だってそうなんだから(・・・・・・・・・・・・)

 

 別人になった、というほどの違和感を抱く者は少ないはずだが、やはり中には以前の自分とあまりにも違う容姿の変化に戸惑う者も出てくるし、そういった者を瑞泉も目にしてきた。

 目の前の彼女は、変化した自らの外見に違和感を抱いていないようだ。ことについては不幸中の幸いと云えるかもしれない。

 

 一方で精神面での影響は――これはそもそも、刀剣に宿った付喪神は似た趣向の者と縁を結ぶという関係上、そこまで大きな変化を見せることはない。

 ただ――付喪神が縁を結べると判断した精神的要因が、より強まる方向で変質することは多々あるが。

 ただそれもあまり極端なものではないため大きな問題へと発展することは少ない。

 もし発展するとしたらその時は――

 

「……出たな」

 

 金属同士を擦り合わせるような異音が複数重なり合った不協和音が背後から聞こえてくる。

 瑞泉は刀を鞘から抜き放つと、姿を現し始めた憑喪を見据えつつ、少女―― 一文字(いちもんじ)めづるへと声をかけた。

 

「俺はここで時間を稼ぐ。まぁ大した数でもないだろうから殲滅できると思うけど……。めづる。君は真金神社へ行き、そこの管理者と接触するんだ。増援を送るかどうかはその人に任せて」

 

「姫も戦います。御館様を一人残してゆくわけにはまいりません」

 

「……分かった。なら、村人たちの直衛を。撃ち漏らしの対処をお願い」

 

「分かりました。お任せ下さい」

 

 めづるの了承を背に、刀を抜刀――表面に浮かぶ黒い染み、錆にしか見えないそれを流し見つつ、瑞泉は憑喪の群れへと突撃した。

 

 

 

 

 

†††

 

 

 

 

 

「と啖呵はを切りはしたものの」

 

 不用意に近付いてきた以津真天を上段からの一撃で切り伏せ、刃を返し、体を捻りながら横一文字に一閃。

 憑喪の中央に存在する核――魂鋼と同種のそれを引き裂くと、まるで水に溶ける泥人形のように憑喪の肉体は崩壊する。

 

「一人で広く浅くはやっぱり苦しいな。これで得物が太刀や大太刀なら多少は融通も利くんだろうけど」

 

 愚痴を口にしながらも、瑞泉は膝を落とし、次の瞬間には地を這うように跳躍していた。

 慣性を無視したかのような軌道で飛翔するその様は異様であり、人間であるならばまず不可能な芸当だ。

 しかしそれを可能としているのは瑞泉もまた刀を縁を結んだ存在――真剣少年であるからに他ならない。

 

 しかし、その力の源とも云える霊力の根源は刀に宿った魂だ。

 そして器たる刀にダメージが蓄積すると、得ることの出来る力もまた小さくなる。

 瑞泉の振るう刀は蓄積したダメージにより、全快時の五割ほどの能力しか発揮できていない。

 

 それで充分な程度の憑喪しか出てきていないため問題はないが、もし万が一、手違いで一匹でも撃ち漏らしてしまいめづるが戦うようなことになったら。

 そう考えると手を抜くようなことは決して出来ない。

 例え実戦経験がないのだとしても、真剣少女となった瞬間から彼女は自らの武器を扱えるようになっている。

 人が手足を当然のように扱えるのと同じように。

 当然、経験不足からくる拙さはあるだろうが、それでも以津真天のような下級の憑喪に後れを取ることはないだろう。

 しかし、彼女の持つ刀の状態が最悪という点が問題だ。

 刀の状態悪化は持ち主の精神に悪影響を及ぼす。

 そして蝕まれた精神状態で戦場に出た結果強いストレスを受けた真剣少女がどうなるか――

 

「――なら俺が全部やらなきゃ駄目だろう」

 

 ポスト型の憑喪、一本踏鞴の脚を引き裂き振り上げようとした腕を削ぎ、脳天から一刀で断ち切る。

 刀を振り下ろし、大きく息を吐く。

 両手で柄を握り締め、意識を集中――ハッ、と声を上げ、刀に宿る霊力を増幅、解放した。

 瞬間、疲労が回り始めていた四肢に活力が宿る。

 疲れから鈍り始めていた思考がクリアになり、雑音という雑音が排除され、戦闘に必要な音がいやに大きく届く。

 

 魂鋼製の刀に宿った魂、それが生み出す霊力には通常、ある程度のリミッターがかかっている。

 今瑞泉が行ったのはその枷を解き放っただけ。

 しかしその効力は絶大であり、彼の振るう刀や体捌きは鋭さを増し、憑喪の殲滅速度は加速する。

 

 無論、わざわざかかっているリミッターを解除するのだから難点は存在する。

 そもそもこのリミッターは、真剣少女の無用な消耗を抑えるために設けられている代物だ。

 力の行使には当然のように対価が必要であり、それは熱量と呼ばれるエネルギー。

 熱量、とざっくりとした表現を用いられているのは、消費されるエネルギーの種類が多岐に渡るからである。

 単純なカロリーから、精神的な熱意まで、霊力に転用できるものならば刀はなんでも食らう。

 普段はその消費量を戦闘に必要な最低レベルに抑えてあるが、瑞泉はそのリミッターを一つ解除したのだ。

 "気合いを入れる"と称されるこの行為を、瑞泉は村人たちと合流してから使っていなかった。

 その理由は単純な話、消費したエネルギー補給の目処が立たなかったからだ。

 充分な食事、精神状態を高揚させるような何か――それらを得る目処が立たないならば無駄な消耗は避けるべきだと。

 

 しかし今、目的地たる真金神社を前にして、瑞泉はその枷から解き放たれた。

 真剣少女――否、真剣少年、憑喪に対する人類の切り札、その名に恥じない力を見せつけ、一方的に憑喪を破壊する。

 

 上昇した膂力に物を言わせ、近付いてきた憑喪を殴り飛ばす。

 当然ダメージを入れることはできないが、体勢を崩せば充分。

 倒れた憑喪を足蹴に逆手に持った刀を突き刺し核を破壊。崩壊を始める体を蹴り上げ、別の憑喪へと叩きつける。

 遺骸ごと次の憑喪を両断し、次の、次の、次の憑喪を破壊し続ける。

 

 そうして大方の憑喪を破壊し、これで終わりか――そう思った時だった。

 最早聞くことの少なくなった排気音に、獣のものとも違う唸り声――これをエンジンが吹かされる音だと瑞泉は知っている。

 

 それは瑞泉たちが出てきた森の奥から、木々をなぎ倒しながらゆっくり姿を現せた。

 生木がへし折られる破砕音、タイヤに抉られる大地の悲鳴。

 

「……大物がいたのか。あるいは真金神社を以前から狙っていた奴がいたのか? どっちにしろ倒すが」

 

 ゆっくりと姿を現したそれを、何も知らない前時代の者が見れば大型重機、ブルドーザーか何かと云うだろう。

 それは半分正しく半分間違い――憑喪に取り付かれたそれは、既に人のための道具として働くことはないのだから。

 前輪がカッター状のアーム、後輪は以前と同じ役割を続け、這うように進んでくる憑喪――牛鬼。

 媒介が内燃機関を搭載した大型重機という関係上、日本国内には非常に多くの個体が存在する憑喪の一種だ。

 

 ――轟、と咆吼が一つ上がり、その外見からは想像できない速度で牛鬼は瑞泉との距離を詰めてくる。

 その媒介となった物を考えると、牛鬼の質量は圧巻の一言だ。例え今の瑞泉でも正面から受け止めることは難しい。

 タイミングを読み、真横へ跳躍―― 一瞬後、瑞泉が立っていた場所はカッター状のアームで抉られていた。

 普通の人間であれば限界も残らないほど破壊されてしまうだろう。

 その巨大な重量がもたらす破壊は単純故に防ぐことは難しい。

 故に選択は回避の一手。

 エギゾーストに混じる憑喪の咆吼、大地を抉る轟音、撒き散らされる、懐かしさすら覚える排気ガスの香り。

 嵐のように降り注ぐ鉄塊の乱舞を見極めながら、瑞泉はひたすらに避け続ける。

 

 牛鬼の攻撃を回避しつつ、すれ違い様に一閃――しかし当然のように装甲に阻まれ、刃が立たない。

 それを見越して刀身へ負担をかけないよう体重を一切かけない一撃ではあったのだが、さてどうするか、と瑞泉は思案する。

 

 更に熱量を消費しリミッターを更に二段階ほど解除した上で大な一撃を繰り出せば、装甲ごと牛鬼を両断することは可能だろう。

 しかしそんな真似をすれば間違いなく戦闘終了と同時に身動きが取れなくなってしまう。

 真金神社という休憩可能な場所があるとはいっても、瑞泉は経験上、完全に戦闘続行が不可能な状態に陥るようなことは避けたいと思っていた。

 

 であるならば正面から粉砕するのではなく、別の手段を。

 多少手間が増えてしまっても仕方がないだろう。

 まずはあの腕から断ち切るべきか。いよいよとなった奥義の使用も考える――

 

 そう思案しつつ、振り上げられた牛鬼の腕、その肘関節に狙いを定めた瞬間だった。

 

「助太刀するわ」

 

 軽やかな声と共に、長い影が瑞泉の死角から現れる。

 駆けてきたのか勢い良く声の主――少女は跳躍すると、構えていた刀を牛鬼の腕へと叩きつけた。

 陽光を反射し煌めく刀――あの長さは短刀か。そしてその持ち主は、短い得物に相応しいような小柄な子だった。

 まず真っ先に、その長い日本の三つ編みが目を引いた。紫がかった髪は長く、腰程までの長さがある。

 眼鏡をかけているため、表情はあまり読めない。

 青地に赤色のラインが走ったセーラー服をたなびかせ、彼女は勢いを乗せた刃で牛鬼の腕を切り落とした。

 

 瑞泉との戦闘に集中していたため近付いてくる少女に気付かなかったのだろう。

 腕を切り飛ばされた牛鬼は怒りか激痛か――あるいはその両方によるものか、咆吼を上げる。

 

「それっ!……って、あれ?」

 

 少女はその咆吼を聞き流したかのような振る舞いで、着地後、更に短刀を振るう。

 しかし横薙の軌跡を描いた刃は牛鬼の後ろ足――分厚いタイヤを引き裂くことができず止まってしまう。

 幸い、牛鬼の攻撃手段は両腕を使ったもののみであるため問題はないだろうが、もしタイヤに巻き込まれでもしたら無傷では済まないだろう。

 

 瑞泉は牛鬼の動きを注視しつつ、少女の元へ一足飛びに近付く。

 そして刀が抜けずに戸惑っている少女の手を取って刃を牛鬼から引き抜くと、ステップを踏んで距離を取った。

 

「君は真金神社の?」

 

「ええ。憑喪と戦ってる子がいるって聞いて、助けにきたわ」

 

「そうか、ありがとう。それじゃあ残ったもう一本の腕は俺がやるから、君は全力で憑喪の核を破壊してくれるか?」

 

「いいけど、それでどこを攻撃すれば良いの?」

 

「……いやごめん、俺がやろう。君は牛鬼の気を引いてくれる?」

 

「……分かった」

 

 無表情、というよりは無愛想な表情を浮かべつつも、彼女は瑞泉の指示通り、牛鬼の気を引くべく再び憑喪の間合いへと入ってゆく。

 お互いのリーチギリギリの距離を保ちながら牽制を続ける少女を尻目に、瑞泉は牛鬼の様子をじっと眺めた。

 あの少女――短刀と縁を結んだ真剣少女は、おそらく場慣れしていない。

 真剣少女になったことで最低限の戦闘技能は獲得しているが、それとは別――憑喪の弱点や特性などを把握しているようには見えなかった。

 要するに経験が不足しているのだ。そして剣術の練度もまた、高くはない。

 出鉄大社が設けている真剣少女の評価指数である練度値であれば5かそこら――と推測する。

 その練度では奥義を修得しているかも不明だし、たとえ習得していても発動まで長い時間が必要となるだろう。

 そんな彼女に牛鬼の始末を任せるのは酷だ。

 無論、時間をかければ可能だろう。しかし今は彼女の成長のため経験を積ませるよりも、早くこの戦闘を終わらせたい。

 経験不足は瑞泉よりも少女自身が身に染みて分かっているはずだ。

 だというのに助けに来てくれた彼女に無駄な消耗を強いるようなことはしたくなかった。

 

 隻腕となった牛鬼は、黒煙を撒き散らしながら短刀の真剣少女を追撃する。

 彼女はそのほっそりとした外見に違わず軽快なステップでそれらを回避しつつ、無理のない範囲で反撃を行っている。しかしそのどれもが致命傷にはほど遠い。

 決着を付けるには、どちらかが大技を使わなければならないだろう――

 

 そしてそれは瑞泉だけではなく牛鬼も思っていたことなのか。

 痺れを切らしたようにエギゾーストを周囲に響かせ、憑喪は後輪に全体重を乗せ巨体を引き起こす。

 大質量を用いての押し潰し――単純故にその威力は相当に高いものだと予想できる。

 そして短刀の真剣少女もまた、牛鬼が繰り出そうとしている一撃がどれほどの威力を秘めているのか察知したのだろう。

 普通であれば回避に移るだろうが、しかし、彼女は呆気に取られたように――否、真実呆気にとられ、動きを止めてしまっていた。

 

 だが――この瞬間こそ瑞泉の待っていたものだったのだ。

 牛鬼が少女を押し潰すよりも早く、瑞泉は刀へ更なる熱量を込める。

 自分の中から何かが抜けていく脱力感の後、全身に満ちる活力と集中力。

 視界の全てが遅い――そんな錯覚すら抱くほどに研ぎ澄まされた感覚を振り絞り、一気に牛鬼との距離をゼロに。

 同時、牛鬼の前足が叩きつけられそうになるが――遅い。

 

 速度と体重の全てを乗せた刺突が牛鬼の底部――普段ならば大地とその巨体に隠れている場所へと突き刺さり、弱点を抉る。

 苦悶の絶叫が機械音、エンジン音に混じり不協和音の大合唱となって木霊する。

 まだ生きているのなら――瑞泉は刀を握る手に力を込めると、そのまま柄を捻り、傷口を更に抉る。

 開かれた裂傷から赤色の液体が血液のごとく噴出する。それを浴びながら瑞泉は体を捻りつつ刀を引き抜くと、バックステップを刻んで距離を取った。

 

 急所を確実に貫かれた牛鬼の肉体は徐々に崩壊してゆく。

 それを眺めながら、瑞泉は顔にかかった憑喪の体液を手の甲で拭った。

 ざらりとした感触。一見血液のようだがまったく違うそれを忌々しそうに拭き取り、瑞泉は溜息を吐きながら納刀する。

 

「……ありがとう。助かったよ」

 

「お世辞は別に……あたしが助けなくても、なんとか出来たでしょう」

 

「確かに俺一人でもなんとかなったとは思う。でも助かったのは嘘じゃない。長旅で俺も消耗してたから、ジリ貧だったしね。それに何より、君は傍観することだって出来たのに、わざわざ手助けをしてくれた。それを俺は嬉しく思う。……三笠瑞泉だ。改めて、ありがとう」

 

「……左文字(さもじ)さよ、です」

 

 握手をしつつも少女――さよはさっぽを向いてしまう。

 無愛想な子、と瑞泉は先ほど彼女を評したが、実際は気難しいだけで悪い子ではない――そんな風に思う。

 

「……ところでその……あなた、男性ですよね?」

 

「ああ。見ての通り……真剣少年、といって分かるかな?」

 

 真剣少年の存在が稀少、あるいは皆無に近いことは瑞泉も知っている。

 そのためこうした男であるのに憑喪と戦える理由を問われることは多々あるのだが、その度に自分を真剣少年――少年、と口にするのは酷く抵抗があった。

 もっとも、肉体年齢は17歳ほどまで若返っているため間違いではないのだろうが、それでも長い時間を生きてきたという自覚が本人にはあるためどうしても違和感をぬぐい去ることができない。

 

 そんな瑞泉の胸中を知ってか知らずか、さよは首を傾げる。

 

「つまりは真剣少女の男性版ということですか? いるんですね、そういう方も」

 

「……今はもう、少ないみたいだけどね。ああそれより、急に押しかけてしまってすまなかった。事前に連絡を送ることができれば良かったんだけど、その余裕もなくて」

 

「いえ、仕方ありませんよ――よくあること、です」

 

 諦観も悲しみもせず、当然のことであると少女は断言する。

 別にこれは彼女が真剣少女であるから残酷な世界を見続けた結果といったものではなく、当然の常識として有り触れた反応だ。

 

「困った時はお互い様でしょう。それに、そういう難しい話は私じゃなくて真金神社の管理者へお願いします」

 

「ああ……八重垣(やえがき)いちこさん、で良いのかな?」

 

「はい。司令は神社の隣にある屋敷で待ってますよ。話もあるでしょうけど、ひとまず休憩された方が良いと思います」

 

「それなら、お言葉に甘えさせてもらおうかな」

 

 そう口にすると、二人は真金神社へと足を向ける。

 戦闘後の疲労感が体に残っているが、しかし逃避行がようやく終了したという開放感から足取りは瑞泉が思っていたよりも軽かった。

 

 

 

 

 

†††

 

 

 

 

 

 畳の匂い、古い木々の香り。立ち上る茶葉の芳しさ。

 屋敷の中にある和室で、瑞泉たちは真金神社の管理者を待っていた。

 戦闘の後、瑞泉とめづるは取りあえず休憩を、と進められ、旅の汗を流した後軽い食事を取った。

 そうなると完全に気分は寛いでしまい、出来ることならこの場で畳に横になりたい――そう思っているのは瑞泉だけではないらしく、めづるもどこか眠そうな様子を見せている。

 

 世話役であろう女中の持ってきた茶を口に運び眠気を覚ましつつ、

 そういえば、と瑞泉は口を開いた。

 

「そういえば、めづる。君の刀はどうした?」

 

「真金神社の方に預けました。研ぎ師の方がいらっしゃるみたいで、錆を落としてくれるそうです」

 

「それは良かった。あの状態の刀は、俺でもちょっと手が出せない。専門の方がいるなら任せた方が良いだろう。それと――」

 

 云いながら、瑞泉はめづるの体――着ている服を見る。

 

「その服は?」

 

「はい、頂きました。なんでも、真剣少女が貧相な格好をしていては沽券に関わると……。どういう意味かは理解しかねましたが、いただけるなら、ということで有り難く頂戴いたしました」

 

 めづるの着ている服は、旅の道中着続けていた着物ではなく、洋服へと代わっていた。

 映えるような朱色のスカートに、白のブラウス。胸元に黄色のリボン。

 紺のブレザーを羽織っており、長く美しい黒髪は、簪により彩られている。

 

「……似合って、ますか?」

 

「ああ、似合ってる。綺麗だよ」

 

「本当ですか!? 姫は、御館様に褒められて嬉しく思います!」

 

 まるで花が咲くように、めづるの表情へ朱が差し笑みへと変わる。

 

「あっ、そうです! 先ほど屋敷の中を少し拝見させて頂いたのですが、立派な台所がありました。旅の間はずっと御館様に納得の出来る料理を作ることができなかったので、今日の夕食は、姫が腕によりをかけて作りたいと思います!」

 

「……貸してもらえるかどうか分からないと思うけど」

 

「良いですよ。今後は、あなた方もここで生活していただく事になるんですから」

 

 不意に聞こえた声の方へ、二人は顔を向ける。

 そこにあった人影は三つ。

 一人は左文字さよ――瑞泉と共に憑喪と戦った少女だ。

 その隣には先ほどの声の主である女性が立っていた。

 

 まず彼女を見て目を引かれたのは、その強い意志が込められた目だ。

 桔梗色の瞳はしっかりと見据えられ、瑞泉たちを射貫いている――これは何も瑞泉たちを睨み付けているというわけではなく、単純に彼女のサガなのだろう。

 それを表すように背筋は真っ直ぐに伸び、姿勢に一切の乱れはない。

 まるで鉄の芯が体の内を通っているかのよう――

 

「初めまして、で良いでしょうか。八重垣いちこと申します。三笠瑞泉さん、でしたか。聞いてた名前と違うようですが……」

 

「……名は体を表す。そういう意味では三笠瑞泉で正しい。今の名は」

 

「……大変興味深い話ですが、後回しにしましょう。そしてそちらが、一文字めづるさん、ですね」

 

「……はい、初めまして」

 

「お二人とも大変お疲れ様でした。村人をこの真金神社に護送した道中の苦労は相当なものだったでしょう。今は楽にしてください」

 

「おいおい、いちこ。こいつを放っておいて良いのか? あからさまに怪しいが」

 

 そう口にしたのは、この場にいる三人目の人物だ。

 場違いな身の丈ほどもある金槌を肩にかけた人物――いや、これは――

 

「その黄金瞳の理由を明かしてもらわにゃ、話を聞く気にはなれねぇなぁ」

 

「……俺も屋敷の中に憑喪がいるとは聞いていなかったが」

 

 じっ、と視線が交差する。

 健康的な褐色の肌に、すらりと伸びた四肢。

 それらが大きく露出する服装をしているにも関わらず彼女から色気というものを感じないのは、その振る舞いに恥じらいが一切ないからだろう。

 

 そう、一見人間にしか見えないが、刀と縁を結んだ人間特有の直感として、この者が憑喪であることを知覚できる。

 

 憑喪はすべからく討つべし――その真剣少年としての常識は瑞泉の中に染みついているが、その一方で、いちこが意味もなく憑喪を自分たちの前に連れてくるようなことはしないだろう、という考えもある。

 

 であるならば、今この場で釈明するのは自分の方か。

 表には出さず胸中で溜息を吐くと、瑞泉は口を開いた。

 

「"裏返り"から戻った後遺症だ。長く成っていたせいか、瞳の色はそのままでね。妖刀でないという証を見たいなら、刀を調べればいい。多少曇っちゃいるけど、妖刀化していないのは見れば分かるだろう」

 

「……いや、大丈夫だ。ちっと意地が悪かったな、すまねぇ。オレっちは火之迦具土(ひのかぐつち)。長いからツッチーって呼んでくれよ」

 

「いや、気にしてない。当然の反応だろうし。よろしく、ツッチー」

 

 黄金――瞳の色がそれに変わることが何を指すか、多少なりとも真剣少女の事情に詳しい者ならば瑞泉のことを警戒するのは当然だ。

 真金神社に到着するまで警戒されなかったのは、村人たちにそういった知識がなかったからだ。

 

「それにしても、本当に真剣少年が残ってるとはな。お前さんの他には?」

 

「富士特別攻撃隊の生き残りは俺だけだ」

 

「……そうか」

 

「鹿島さんたちは?」

 

「……もう、いない」

 

「……そうですか」

 

 いちこの問いに短く答えると、沈黙が場に降りる。

 それを振り払うように、瑞泉は先を続けた。

 

「俺がここへきたのは、鹿島たちの遺言に従ったからだ。これに用があるんだろう? 好きに持って行くと良い」

 

 普段使っている打刀とは別の、もう一本――刀とは違う形状の武器である剣を、瑞泉はいちこへと差し出す。

 彼女はそれを遠慮がちに受け取ると、確かに、と呟き頷いた。

 

「それで話は戻るけど、さっきの……ここで生活することになるって話は?」

 

「そうです。姫はこれから御館様と一緒に憑喪討伐の旅に出るのです」

 

 そんな約束をした覚えは一切ないのだが、瑞泉は反論せずいちこの反応を伺った。

 

「少し先走った発言であったことは認めます。ですが……ならばお二人はこれからどういった形で活動をされるつもりだったのですか? いえ、そもそも何をするつもりだったのでしょう」

 

「姫は御館様について行くだけです」

 

「……目的は憑喪の殲滅。そのための手段は未だ模索中だ。ただ、出鉄大社の下で刀を振るうつもりはないという一点だけは絶対に譲れない。だから、出鉄大社の管理下にあるこの真金神社に落ち着くつもりもない」

 

「……何故、出鉄大社の下で戦うつもりはないと? 今、出鉄大社は国内に存在する憑喪への対抗手段を持った勢力の中でも、最大規模の組織であることに間違いはありません。憑喪と戦うことが目的として決定しているのであれば、情報の集まる組織に属していた方が三笠さんの目的達成にも近付くことができると思いますが」

 

「一理ある。確かに出鉄大社と共同歩調を取った方が動きやすくもあるだろう」

 

 しかし、と瑞泉は結び。

 

「出鉄大社のやり口はそもそも信用できない。何が、とは云わないが……それは、八重垣さんたちも分かっているだろう?」

 

 そう云い、瑞泉は三人の表情を流し見る。

 さよはなんのことを云っているのか分からないのか、怪訝そうな表情を。

 いちこは鉄面皮のまま、そして火之迦具土は苦々しく。

 

「おめぇさんの云ってることはよーく分かってる。でもな。傘下の武装神社がどれも出鉄大社のやり口に賛同してるってわけじゃあねぇ。むしろ、胸くそ悪くなるようなやり方を毛嫌いしてる連中の方が多い。それはこの真金神社も同じだ。そうだよな? いちこ」

 

「ええ、その通りです」

 

「……もうちっと感情込めて肯定しろよ」

 

 素っ気なさすら感じるいちこの声に溜息を吐きつつ、火之迦具土はボリボリと頭を掻いた。

 

「……オレっちからすれば、お前さんが仲間になってくれた方が有り難いんだ。外の様子を見たら分かると思うが……この町はまだ開発が一切進んでねぇ」

 

「みたいだね」

 

 火之迦具土の言葉で、瑞泉は外の様子を思い出す。

 緑豊か、と云ってしまえば聞こえは良いが、それも度が過ぎてしまえば人が住むには適さない土地と同意だ。

 そしてその推察が町がないことを瑞泉は自らの目で確かめた。

 人の気配というものがまったくなく、あるのはこの真金神社のみ。

 町とはとても云えるような状態ではない。

 

「その原因はいくつかあるんだが……理由の一つである戦力不足は、お前さんたちが協力してくれれば解消できる」

 

「俺たちとはいっても……たった二人だぞ? それで変わるか?」

 

「ああ、変わる。この左文字さよの他に、ここには二人の真剣少女がいる。今は憑喪の討伐、町内の見回りにそれぞれ回すので精一杯だが……。お前さんたちが加わってくれれば、憑喪の討伐に回せる手数が一気に増える」

 

「……待て。真剣少女を自発的に増やせないってことは、つまり、この真金神社に刀匠はいないのか?」

 

「……非常に残念なことに、未だ刀匠の赴任はなされてません。その目処も立っていない状態です」

 

 ――恨むぞ鹿島。

 胸中で既にこの世を去った友人を罵倒しつつ、瑞泉は思わず天を仰いでしまった。

 

 刀匠。それは言葉の意味そのものを捉えるのであれば、刀の作成が出来る職人を指す。

 刀の作成はつまるところ、真剣少女の増員を意味するに等しい。

 

 刀を打つ――それは熟練すれば誰にでもできる技術であるはずだった。

 しかし憑喪への対抗手段である霊刀――これの作成は、通常の刀と異なり、特殊な技能を持った者でなければ不可能なのだ。

 

 そしてその特殊技能の持ち主は非常に少ない。

 素質を持った者は千人に一人存在すると云われているが、社会基盤が崩壊した今、その素質を持った者を探し出すことが非常に難しくなっている。

 

 そのため、この真金神社に刀匠が不在であることもなんら不思議ではない。

 出鉄大社も組織的に刀匠の発掘、教育を行っているのだろうが、需要に対してまったく供給が追いついていない状態なのだろう。

 

「そういう事情があるなら、分かった。それなら、刀匠がここへ配属されるまで協力させてもらう」

 

「……御館様、よろしいのですか?」

 

「ああ。それに、もともと住民と一緒に押しかけてきたのは俺たちの方だ。生活が軌道に乗るまでは真金神社に借りを返す必要があるだろう」

 

「それは……申し訳、ありません」

 

「なんでめづるが謝るんだ。助けた時から、最後まで面倒を見る覚悟はしてたさ」

 

「いいえ、ありがとうございます。姫は嬉しゅうございます」

 

 笑みを浮かべるめづるに頷くと、瑞泉は再び視線をいちこへ戻す。

 

「ただ、いくつか条件がある。俺が真金神社に所属していることは出鉄大社に知らせないで欲しい」

 

「それは勿論。というより、鹿島さんからあなたの受け入れは元々打診されていたものでした。その時にあなたがどういう人物かの説明を受けていたので、その対応は織り込み済みです」

 

「……そうだったのか」

 

 いちこの話が本当であるならば、先ほど火之迦具土が口にした、真金神社は出鉄大社のやり方を快く思っていない――というのは本当なのかもしれない。

 

「俺を匿っていたことが露呈したら、それなりの追求を受けると思うけど」

 

「あなたは三笠瑞泉さん……出鉄大社が探している人物とは違う名。であるならば、別に問題はないでしょう」

 

「まぁ、確かにそうだが」

 

 そんな屁理屈が通るのか――あるいはこの八重垣いちこにも、なんらかの思惑があるのかもしれないが。

 伸るか反るか――長期的に見た場合は不明だが、一時的であるならば大きな問題はないだろう――

 そう判断し、瑞泉は首肯した。

 

「分かった。それじゃあ、よろしく頼むよ。八重垣いちこさん」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。三笠瑞泉さん。それに、一文字めづるさん」

 

 朗らかな笑みを浮かべ、いちこは瑞泉とめづるの二人を受け入れた。

 

 

 

 

 

†††

 

 

 

 

 

「どうぞ、御館様! 召し上がって下さい!」

 

「ああ、ありがとう。美味そうだ……いただきます」

 

 食卓に並べられたのは、瑞泉の古ぼけた記憶と照らし合わせれば豪華とは言い難い献立だった。

 ただそれは充分な食糧の供給がなされている世界での話。

 大天狗の襲来以降、食事というものはどんどん貧相になっていった。

 

 なので一汁一菜、それに大盛りの白米。

 これだけでも充分なご馳走に思える。

 特に、今日の朝までは逃避行を続けていたこともあり、

 腰を据えてまともな料理を食べられるというだけで有り難い。

 

「今日の料理に使ったのは川魚ですが、山を一つ越えれば海があるそうなので、今度は魚介類をふんだんに使った料理をお作りしますね」

 

「いや、充分に美味しいよ。前の村でも料理はしてたのかい?」

 

「母の手伝いばかりだったので、自分で……というのはあまり。ただ……なんといいますか。姫鶴一文字と繋がってから、自分の知らない知識や技術が思い浮かぶようになって」

 

「それは、刀の記憶というものかな」

 

「刀の記憶、ですか?」

 

「そう。刀に宿った付喪神には、生きた年月の記憶がある。そういった中にめづるの云う知識や経験が含まれているのかもしれない」

 

 そう云いながらも、瑞泉は重要な部分を口にしない。

 姫鶴一文字――上杉謙信の愛刀として伝えられ、後に重要文化財として人々の目に触れていた刀に炊事の記憶などあるわけがない。

 その記憶は、前の持ち主の。厳密に言うならば、前の真剣少女の――

 

「ところで、めづる」

 

「はい、御館様」

 

「八重垣さんとの話を勝手に進めてしまったけど、本当にこの真金神社で真剣少女として戦う……ということに異論はないのかな?」

 

「ありません。姫の意見があるとするならば、それは御館様と一緒にいるということだけです」

 

 そう断言するめづるの表情は、至って真面目なものだった。

 嘘偽りのない言葉なのだろう。

 彼女が生真面目な性格であることは、刀と縁を結ぶ前であろうと変わらない。

 それは短いながらも接していた時間で分かっている。

 

「私は、真剣少女になれたことを嬉しく思っています。戦う力が欲しい、という想いは以前口にしたものと変わっておりません」

 

 ……その話と、俺と一緒に旅をするという話はまた違う気もするけど。

 そんな風に思いつつ、黙って料理を口に運ぶ。

 

「ずっと一緒が、願いです」

 

 あまりに露骨すぎて気付かないふりをする方が辛い、彼女の恋慕。

 これは姫鶴一文字と縁を結んだせいで生じた感情――と考えるべきなのか。

 否、その結論は少々ずるいかもしれない。

 何故彼女が姫鶴一文字と縁を結ぶに至ったのか――その条件、資格ともいうべきものがなんだったのかは、

 なんとなく察することは出来る。

 

 真剣少女になったから生まれた感情――ではなく、感情を元に真剣少女となった。

 であるならば、どんな、どれほどの感情をめづるが自分に向けているのか。

 それは瑞泉が考えて計ることが出来るようなものではないだろう。

 

「……左文字さよ、左文字こゆき、左文字みよし。この三人が今、真金神社に所属している真剣少女だ。こゆきさんには町内の警邏を。みよしさんは、八重垣さんの補佐を今までと同じように。俺、めづる、さよさんの三人で、明日から部隊を組んで憑喪の討伐をすることになる」

 

「はい」

 

「頼りにしてるよ」

 

「はい!」

 

 両手を握り大きく頷くめづるの表情は、見惚れるほどの笑顔で彩られていた。

 

 はてさて――こうなるなずじゃなかったんだが。

 二週間前。この少女と出会ってから、自分の予定は大きく狂い続けている。

 これから先、一体何が起こるのか。

 それを予想することが、瑞泉にはできなかった。

 

 




気合と熱量に関する描写はSS化するにあたっての捏造設定というか独自解釈になります。
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