リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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四話ネタです。
けど・・・・・・やっちまった感が・・・・・・。


第八話 新たな予感と訪問猫屋敷

大樹の騒動からしばらく。

なのはと見回りをした後、一人町を散策しながらジュエルシードを探していた。

 

『しかし、よいのか? 抜け駆けであろう、これは』

「そうは言っても、なのははあまり家を抜けるわけにはいかないだろ。士郎さん達が心配するだろうし」

『抜け駆けであることは否定せんのじゃな』

 

カナメにウッセ、と答えながら、あたりに意識を散らす。

最近わかったことだが、<クフ・リーン>の制約は夜になると外れるらしい。

足下では解れた糸のように、解けた影が広がっている。

この影でもあたりを知覚できるため、こういう捜し物には重宝するが、広げるとその分感覚が曖昧になるため、少し歩いては影を広げることを繰り返していく。

すると、

 

『っ。主殿、あのビルの上じゃ』

「・・・・・・何があった?」

『わからんが、何か魔力の残滓じゃな』

 

気になり、一度路地裏に身を隠すと<憑黄泉>を使った上でカナメの示したビルの屋上へ飛び上がった。

屋上は閑散としたものだった。

人影はなく、屋上には給水タンクがあるのみ。

 

「どうだ?」

『おぬしは・・・・・・少しは自分で探してみぬか。まあよいが、何者かがここにいたのは間違いなかろ。転移の痕が残っておる』

 

言われたあたりに意識を集中すると、一部雰囲気の違う場所が二カ所あった。

複数、少なくとも二人以上がやってきたようだ。

 

「これは、警戒した方がいいか?」

『しないよりはよかろ。あの娘にも警戒を促さねばならぬの。明日も会うのじゃろ?』

「ああ」

 

明日は月村家ことすずかの家に呼ばれている。

何でもお茶会を開くのだとか。

覚えている限り、すずかの家に行ったことはないので楽しみにしている。

ただ気になるのは、

 

「万一すずかの家で騒動があったら、迂闊に能力は使えないな」

 

そう、明日はアリサ達やすずかの家人の目に触れる可能性がある。

何か騒動があってもすぐには動けない可能性があるのだ。

 

「どうするかな?」

『まあ・・・・・・なるようにしかならんじゃろ』

 

返ってきたのは何とも頼りにならない言葉だった。

 

―――そういや、前に問題に挙がってた念話の干渉はどうなった?―――

 

肩を落としていると、山犬の形を取った<クフ・リーン>の声が聞こえた。

 

『うん? ああ、それならあと一歩、といったところかの。もうすぐ、干渉を弱める式ができるから、それを組み込めば完成じゃ。出来としては、一種のフィルターのようなものじゃな』

「いつくらいになりそうだ?」

『遅くても明後日には完成しよう』

 

僅かばかりながら、朗報に気が楽になる。

 

―――なら、今日はもう切り上げて帰ろうぜ―――

「そうだな」

 

上がった気分のまま、<クフ・リーン>の提案を呑んで帰路に就くことにした。

翌日の波乱を予想しないまま。

 

 

翌日。

すずかが描いた地図を片手に月村家を訪れたのだが。

 

「デカいな」

『家というか、屋敷じゃな』

――お嬢様、ってやつだったのか、あの娘?――

 

三者三様に驚きながら月村家もとい月村邸を見上げた。

しかし、いつまでもボーッとしていては始まらないし、とインターホンを押すことに。

待つことしばし。

 

「はい。ようこそいらっしゃいました、お客様。伺っております。榊雄一様でよろしいでしょうか?」

 

薄い紫の髪を肩口ほどの長さにしたメイドさんに出迎えられた。

 

「えっと・・・・・・」

「榊様?」

「え? ああ、あってます。榊雄一です。えっと」

「これは失礼いたしました。私はすずか様の姉、忍様付きのメイドをしているメイド長のノエルと申します」

「あ、どうも」

―――何、鼻の下のばしてるんだ、相棒―――

「うるさ」

「榊様?」

 

<クフ・リーン>を怒鳴ろうとして、寸前ノエルさんに気がつき思いとどまった。

何でもないです、といいながら、内心歯ぎしりをたてるほどに、足下で気づかれることなくゲラゲラ笑い転げている駄犬を蹴り飛ばしたい衝動を抑える。

 

「? ではすずか様の部屋へご案内を」

 

首を傾げつつ案内をしようとしたノエルさんだったが、再度響いたインターホンに足を止めて振り返った。

 

「申し訳ありません。お出迎えいたしますので少々お待ちください」

「いいですよ。構わず行ってきてください」

 

ありがとうございます、と一礼しノエルさんは扉を開いた。

入ってきたのは、

 

「あ、雄一君! もう来てたんだ!」

「・・・・・・・・・・・・」

 

なのはと、家族だろうか士郎さんによく似た大学生くらいの男性だった。

なのははこっちに気がつくと、笑顔で手を振ってくる。

ところで、そちらの方は何故鋭い目で睨んでいるのでしょうか?

 

「えっと・・・・・・なのは、こちらは?」

「私のお兄ちゃんで、高町恭也。お兄ちゃん、この子は榊雄一君。私のお友達なの」

「・・・・・・ほう、なのはのお友達か」

「うん! 何かあったら駆けつけて助けてくれる、優しい人なの!」

 

低い声で確認する恭也さんに、顔を少し赤くしながら言うなのは。

興奮しながら友人のことを家族に話す、彼女の様子に微笑ましさを感じつつ過大評価を宥めようとして、

背筋を走った、“嫌な予感”に身を翻した。

瞬間、俺が立っていた場所を唐竹割りに何かが振り抜かれた。

振り返ると、木刀を振りおろした姿の恭也さんの姿が。

というか、その木刀どこから出したんですか?

そもそも、問答無用で殺害かよ!

 

「なのはに近づく男は・・・・・・斬る!!」

「ちょ、まじ、かよ! だ、れか、なんと、か、して、くれ!」

 

次々振り抜かれる木刀を、予感に従って避けていく。

避けながら、必死に助けを求めていると、

 

「恭也、いらっしゃ・・・・・・何をしているの!?」

 

ロビーに新たな声が響いた。

声に恭也さんの動きが固まったので、距離を開けて、一応警戒しつつ振り返ると、長い紫の髪のすずかに似た女性が駆け寄ってくるところだった。

 

「君、大丈夫だった?」

「は、はい。えっと、あなたは?」

「月村忍よ。貴方が仲良くしてくれている、月村すずかの姉ね」

「あ。どうも。俺は」

「榊雄一君でしょ? すずかから聞いているわ」

「・・・・・・どんな評価か気になるところですね」

「あら? 心配しなくても否定的なことじゃないから安心して」

 

そう言ってくれる忍さんだったけど。

何でそんなに楽しそうな顔をしているんでしょう?

 

「それよりも・・・・・・恭也、何しているのよ」

「い、いや、忍、これはだな・・・・・・」

「まったく。こんなおもし、もとい楽し、もといすずかのお客に斬りかかるような事するなんて、何を考えているのかしら?」

 

忍さん、何を言おうとしたんですか。

 

「だが、こいつがなのはに手を出すようなことになったら!」

「小学生相手に何を言っているのよ・・・・・・。不埒なことを考えるなんて、どうしてくれようかしら?」

 

途端、勢い込んでいた恭也さんの顔から血の気が引いていった。

一方の忍さんは、なんだろう黒い笑みを浮かべているような?

 

「し、忍? できれば、お、お手柔らかに」

「逝きましょうか、恭也? ノエルもついてきて」

「畏まりました」

「待て、忍! 何か字がおかしかった気が」

 

バタン、と無情にも恭也さんが引きずられていった扉が閉められ、ロビーには呆然とした俺となのはが残された。

 

「・・・・・・なのは、恭也さんってシスコン?」

「・・・・・・その、ごめんなさい」

「大丈夫だ、問題ない」

「やっぱり、動揺してる?」

「・・・・・・少しな」

 

恭也さんにじゃなく、忍さんにだが。

だが、なのはは恭也さんに、だと感じたのだろう。

気まずい空気が漂う中、なのはに尋ねた。

 

「それで、なのは。すずかの部屋を知っているか?」

「え、う、うん! 知ってるよ! 私が案内するからついてきて!」

 

なのはの先導のもと、俺達はすずかの部屋にようやく行くのだった。




最初は今話でフェイト登場まで持っていく気でしたが、ついつい話を膨らませすぎました。
フェイト登場はもう少しお待ちください。
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