リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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第九十九話 出会いの経緯と対談の始まり

「「!!」」

「ペインさん! 大丈夫ですか?」

「構わへんよ。ペインさん、丈夫やから」

「それは否定しないけど、はやて? それをやらかした本人がいうのはどうなんだ?」

 

思わぬ遭遇に身を堅くするなのは達、一方すずかの心配をはやてが受け流し、はやてに眉を寄せる雄一。

五人を一歩引いてみていたアリサが首を傾げながら問うた。

 

「えっと・・・・・・貴方がペインさんですか?」

「ん? ・・・・・・ああ、初めましての子だね。そっちの『二人』も」

「っ、こ、こんにちは。高町なのはです」

「・・・・・・フェイト・テスタロッサです」

 

顔見知りであることをおくびにも出さずアリサに応じつつ、なのは達に水を向ける雄一。

初対面であるかのように振舞う彼に、なのははぎごちなくだが応じ、フェイトは言葉少なく頭を下げた。

最後にアリサが名乗った。

 

「あ、はい。アリサ・バニングズです。すずかのクラスメイトです」

「これはどうも。俺はペイン。姓はないよ。はやての後見人、ギル・グレアムの依頼で彼女の生活をサポートしている者だ」

「「え?」」

「ん?」

 

雄一の言葉に表情を変えたなのは達に、雄一は首を傾げるが、今はそれどころじゃないと流す。

 

「さて、皆。はやてのためにありがとう。はやて、俺は石田先生と話しているから、皆で話しているといい」

「ま、待ってください! お話が」

 

きびすを返そうとする雄一に、フェイトが慌てて呼び止めようとする。

だが、それより先に雄一は二人を振り返った。

 

「<すずか達がいる場所で下手なことは言えないだろ。病院を出た先の公園。そこで話そう>」

「!? <・・・・・・そうですね。分かりました。今は聞きません>」

 

念話に驚きながらも、フェイトは頷く。

その間に、部屋を出ようとする雄一だったが、今度はすずかとアリサに捕まった。

 

「ペインさんも一緒にお話しましょうよ」

「あ、すずかナイス! あたしも賛成!」

「いや、歳の近い人だけの方がよくないか?」

 

袖を引くすずか達に、見た目が二十歳程度の異性であることを理由に逃げようとする雄一だったが、

 

「大丈夫ですよ、私は気にしませんし。誰か気になる人いる?」

 

だが、アリサに回り込まれてしまった。

アリサが持ち前の行動力で、退路を断った。

 

「くっ・・・・・・。ああ、分かった分かった。だから、ちょっと待っていろ」

 

降参した雄一は、抱えていたジュースをベッドの傍のテーブルに置くと、落ちていた枕のを拾い上げて埃を払ってはやてに渡す。

そして、椅子を持ってくると、その上に腰を下ろした。

 

「それで? わざわざ呼び止めて何を聞きたいんだ?」

「あ、じゃあ私からいいですか?」

 

雄一が問うと、アリサが真っ先に手を挙げた。

 

「えっと、ペインさんはなのは達と初対面なんですよね?」

「っ、ああ、そうだけど?」

 

アリサの問いに、嫌な予感を覚える雄一。

だが、その正体が分からず、動揺を抑えすぐに応じるに留めた。

 

「けど、さっき二人に聞いたとき、二人は面識があるって言ってたんですけど、これってどういうことですか?」

 

思わず二人を振り返る雄一だったが、なのは達は顔を見合わせると申し訳なさそうな顔を向けた。

どうやら、自分が来る前にそんな会話をしていたようだ、と納得すると、雄一はどう納得させようかと考えていく。

 

「そうだったのか・・・・・・実は、自分の失敗を語るようで複雑なんだけど。なのはちゃんの時は、『俺の』知り合いが迷惑を掛けちゃってね」

「迷惑? 何かあったんですか?」

「少しね。その行き違いについての説明は今は置いておこう。そして、フェイトちゃんの場合は、暴漢に絡まれていたときに割り入ったのが最初だったんだ」

 

僅かにぼかして伝える雄一。

なのはの説明には、「俺の」と強調してシグナム達守護騎士が雄一に使えているように印象付けるのを忘れない。

フェイトの説明は・・・・・・「暴漢」が、あの仮面の男達かシグナムかで随分変わりそうだが。

暴漢、と聞き、アリサはフェイトに詰め寄った。

 

「ちょ、フェイト!? それ、本当なの!?」

「う、うん・・・・・・。アルフも傍にいなかったんだけど、その、助けてもらって」

 

仮面の男にリンカーコアを摘出されたことを思い出したフェイトは、複雑そうにそう言う。

だが、アリサや同じく話を聞いていたはやて・すずかも胸を撫で下ろした。

 

「そういう経緯やったんか・・・・・・せやけど、なんで秘密にしてたんや?」

 

はやてが改めて問う。

それに苦笑しながら応じる雄一。

 

「内容が内容だからな。一応配慮しておこうと思ったのさ」

「あー・・・・・・それもそうやな」

「やっぱりペインさんは優しいです」

 

昨日の会話からか、そう言って微笑むすずか。

雄一は苦笑を深くすると、彼女の頭に手を伸ばした。

 

「なんだ? 昨日の続きか? けど、そうやって言えるすずかのほうがずっと優しいんだぞ?」

「ええ!? あぅ・・・・・・」

「むぅ・・・・・・」

 

雄一が頭を撫でると、すずかは顔を俯けた。

その顔は、恥ずかしげだが嬉しさを隠しきれていない。

それを見たはやては再び枕を構えると、

 

ぼすっ!

 

「だから、何で俺は枕をぶつけられてるんだ!?」

「うっさいわ!」

「えっと・・・・・・いいですか?」

 

ぎゃあぎゃあと言い合う雄一とはやてになのはが割り込んだ。

 

「え? ああ、どうぞ」

「ペインさんと、はやてちゃんやすずかちゃんはどう出会ったんですか?」

「そうだな・・・・・・はやては誕生日、六月の四日に出会ったんだが、サプライズとして乗り込もうとしたときにはやてが驚きすぎて気絶してな」

「ペインさん!? それ以上言うたらあかん!」

 

顔を紅くするはやてに、これ以上言って枕をぶつけられてはかなわない雄一はすずかに移る。

 

「すずかとは、図書館で出会ったな。はやてを迎えに行ったら、はやてと話していたから、そのときに挨拶を交わした」

「へえ? そんなことがあったんですか」

「ああ、あと昨日も世話になったな。昨日は、はやてに渡す本を選ぶのを手伝ってもらった」

 

雄一の説明に興味津々に耳を傾けていたアリサはからかうような笑みを浮かべると、すずかを肘で突いた。

一方、さらに不機嫌になったはやては雄一をジトッと睨んだ。

 

「なによ、すずか? 結構上手くやってるんじゃない?」

「そ、そんなことないよ・・・・・・」

「ペインさん、随分楽しそうやな?」

「はやてさん? 何故にいきなり不機嫌に?」

 

場が混沌とする中、雄一は件の本を取り出した。

 

「はい、これ。新しい本」

「ありがと・・・・・・けど、何やろ、この素直にお礼を言いたくない気持ちは」

 

差し出された本を複雑そうに受け取るはやて。

一方、用は済んだとばかりに立ち上がる雄一。

 

「さて、これで、俺は用も済んだし、言うことも言ったからもう帰るぞ?」

「えー? まだええやん」

「そうですよ、もっとお話しましょう」

 

はやてとすずかが再び引き止めにかかるが、あまり時間を掛けて、なのは達と、ひいては管理局と話す時間が減るのは避けたい雄一は切り札を出した。

 

「そろそろ返らないと、皆の晩御飯に間に合わないからな」

「あ・・・・・・そっか、それはしょうがないな。皆がお腹空かせたら可哀想や」

「そうですね・・・・・・分かりました」

 

事情を知る二人はあっさりと矛を納めてくれた。

事情を知らないアリサと、確証がもてないなのは達は二人が退いた事で自分達も引き下がった。

そのため、雄一は今度は悠々と病室をあとにしたのだった。

 

 

 

 

 

「・・・・・・来たか」

 

病院から最寄の公園。

そこのベンチに腰掛けていた雄一は、公園に入ってきたなのは達の姿に立ち上がった。

 

二人も雄一に気がつき、近づいていく。

その表情は強い緊張とそれ以上に強い意志が浮いていた。

 

「お待たせしました」

「気にしなくていい。それより」

「はい、お話、聞かせてもらえますね?」

 

促すなのは達に、だが雄一は首を横に振った。

 

「話すのは構わないが、ここでじゃない。そっちの懐、艦船アースラで話そうじゃないか」




雄一が去ったあとの病室。

アリサ「そういえば、あんな感じの会話、いままでにもあったような・・・・・・?」
すずか「アリサちゃんも? 実は私も何か懐かしい感じが・・・・・・」
はやて「き、気のせいやないかな!?」
四人「?」
はやて(つ、疲れるわ・・・・・・いつまで隠しとかなあかんのやろ、雄君?)
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