リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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遅くなりました。できれば夜の内に上げたかったんですけど。
では、久しぶりに、本編どうぞ!


第百十話 裏側の出来事と情報共有

「持つかな、あの四人」

 

病院から離れたビルの屋上。

そこから、広がるデアボリック・エミッションを眺めながら、仮面の男達は話し合っていた。

 

「さてな。あの榊雄一も未知数だが、守護者が残るのは予想外だった。これがどう転ぶかは分からない。だが、」

「暴走開始の瞬間まで持ってほしいものだな」

「ああ・・・・・・っ!?」

 

違いない、と相棒に頷こうとして、足下から自分達を照らす魔力光に気がついた。

居場所を突き止められた驚愕に戸惑っている間に、水色の魔力光が結合し、幾筋もの紐となって男達を拘束した。

 

「くっ!?」

「あぁ!!」

「・・・・・・ストラグル・バインド」

 

拘束を解こうと抵抗する男達の耳が、第三者の声を捉えた。

声の先、上空を振り仰ぐと、S2Uを構えるクロノが降りてくるところだった。

 

「相手を拘束しつつ、強化魔法も無効化する。あまり使いどころのない魔法だけど、こういうときには役に立つ」

 

二人を見据えながら、杖を掌で回転させると、クロノは石突きを地面に突き立てた。

途端、バインドに繋がる足下の魔法陣が強く輝き、二人の姿を飲み込んだ。

 

「変身魔法も強制的に解除するからね」

「「くぅっ!? うぁあああああ!!」」

 

叫びを上げる仮面の男達の姿が変わり、サイズが合わなくなった仮面が、そして、男達の一方の片腕が、ズルリと外れ転がり落ちた。

その下から現れた顔を、しかし、クロノは表情を変えずに見据えた。

 

「クロノ! このっ!」

「・・・・・・くっ。こんな魔法、教えてなかったんだがな」

 

正体を暴かれた仮面の男達は、クロノを睨みつけた。

だが、クロノはその視線を静かに受け止めると、言葉を返した。

 

「一人でも精進しろと教えたのは君達だろ・・・・・・アリア、ロッテ」

 

バインドを解こうと暴れるロッテと片袖を揺らしながら静かに見据えるアリアにクロノは表情を硬くしていた。

 

 

 

 

(・・・・・・隠れたか)

 

海鳴大学病院屋上。

デアボリック・エミッションの影響が薄れたそこで、闇の書の意志は、手応えの無さに捉えられなかったと判断を下した。

その判断は正しく、離れたビルの陰に雄一達は避難していた。

 

「・・・・・・ぅう」

「なのは、ごめん・・・・・・ありがとう、大丈夫?」

 

手を押さえて呻くなのはに、フェイトが心配しながら声をかけた。

なのはは、僅かに堅さはあるが笑顔を浮かべると、頷いた。

 

「ううん、大丈夫・・・・・・ヴィータちゃんも手伝ってくれたから」

「ウ、ウッセ・・・・・・たまたまだよ、たまたま!!」

 

なのはの感謝に、顔を赤くしながら背けるヴィータ。

闇の書の放った空間攻撃は、とっさに前に出たなのはとヴィータの張った障壁が受け止めた。

攻撃が弱まると同時に、フェイトと雄一が二人を連れてここまで離脱したのだが、こちらも僅かだがダメージを負った。

なのはは攻撃のショックで右手が痺れており、ヴィータも攻撃の余波で所々細かい傷が付いている。

 

「二人とも、助かった」

「ううん、大丈夫だってば。それより、どうするの?」

「そうだな。雄一、どうすればいいんだ?」

 

二人に礼を言う雄一だったが、二人は表情を改めると、雄一に指示を仰いだ。

雄一はフェイトにも視線を向けるが、彼女も異論はないらしい。

 

「指示を出すにも、まず情報が欲しい。何か気がついたことはあるか?」

「あの子、広域攻撃型、だね」

 

早速、フェイトが意見を出す。

その意見に三人も難しい顔を浮かべる。

 

「広域攻撃・・・・・・仮に、フェイトなら避けられるか? というか、その格好は?」

「あ!? こ、これはその・・・・・・シグナムと戦うために編み出した方法で・・・・・・」

「シグナムと戦うために?」

「うん・・・・・・クロスレンジもミドルレンジも押し負けるなら、攻撃を受けないほどの早さで動けばいい、って考えて」

「で、その格好か。とりあえず、目の遣り場に困るな」

「うぅ・・・・・・」

 

雄一の指摘に顔を紅くしながら体を縮めるフェイト。

だが、雄一は表情を改めると、もう一度問うた。

 

「それで、スピード重視のフェイトなら、あれは避けれるか?」

「・・・・・・ちょっと厳しいかな」

「なら、いつものバリアジャケットに戻しておいた方がいいだろう。少しでも、防御を上げた方がいい」

「うん。バルディッシュ」

<Yes,Sir.Balier Jacket,Rightning Form>

 

フェイトの指示に、バルディッシュはすぐに応じてマント姿のバリアジャケットを展開した。

その間に、なのは達を振り返る。

 

「二人からは何かある?」

「それなら、私から!」

 

促すと、なのはが勢いよく手を挙げた。

 

「はい、なのは君」

「えっと、雄一君はこの状況でどうにかするために管理局と同盟を結ぼうとしたんだよね。それは今でも何とかなるの?」

「正直・・・・・・ちょっと厳しいな」

 

え? と雄一を振り返るなのは。

その雄一は苦虫を噛み潰したように、髪の毛を掻き毟った。

 

「元々、あの意見はヴォルケンリッターもなのは達も、両方の陣営の総力を集めるのが目的だったんだ。それこそ、クロノ達だけじゃなく、アルフやユーノにも協力を仰ぐつもりだった。だが、蓋を開けてみれば、なのは達との同盟は結べたけど、シグナム・シャマル・ザフィーラは蒐集されてしまった。状況はあまり好転したとはいえない」

「そんな・・・・・・」

「むしろ、ヴィータに俺も聞きたいことがある」

「ん、何だ?」

 

肩を落とすなのはに代わって、雄一はヴィータに問うた。

 

「あれは、何だ? どうやら、管制人格の姿をとっているようだけど?」

「? 何言っているんだ? ユウは、あれがあいつじゃないって言うのか?」

 

首を傾げるヴィータに、雄一は首を横に振った。

 

「確かに似てるけど、俺が会った管制人格はあんなにやばい気配はしていなかったはずなんだけどな」

 

今も、反射的に危険から遠ざかろうとする身体を抑えている。

涙を流している点は、管制人格も同様だったのだが。

 

「けどよ」

 

ヴィータが煮えきらぬ雄一に食って掛かった。

アイゼンの先を雄一に向けながら言った。

 

「ここで諦めててもはやてが救えるわけじゃねえだろ!」

「そうだろうな。だからやることは変わらない」

「え?」

 

突然意見を変えた雄一を怪訝な顔で振り返るヴィータ。

なのは達も同様だ。

渦中の雄一はその表情に首を傾げた。

 

「なんだよ? やらない、とは言っていないぞ? ただ、条件が厳しくなったってだけ」

「え? いや、だって、え?」

「はぁ・・・・・・いいか?」

 

混乱した様子のヴィータに、雄一はため息をつくと説明する。

 

「そもそも、ああして闇の書が完成してしまったら、あとは魔力が尽きるまで暴走することは前情報で分かっていた事だ。だったら、ここで諦めたら、もう先はなくはやては死ぬだろうし、海鳴も無事じゃ済まないだろう」

「「「・・・・・・」」」

「だったら、もう後は止めるために動くしかないだろ。もう砂時計の砂は落ち始めているんだ。だからヴィータ」

「お、おう」

「作戦は変わらない。はやてが管理者権限を使って抑えるまでに、俺達が外からあいつの力を消耗させる」

「! ああ、分かった!」

「なのは、フェイト」

 

意気込むヴィータから、二人に視線を移す雄一。

 

「二人にも、手を貸してもらいたい。いいか?」

「当然だよ!」

「私も」

 

雄一の確認にあっさり頷く二人。

 

「あのとき雄一君に支えてもらって、凄く嬉しかったの! だから、決めていたんだ。雄一君が困っていたら、今度は私が支えようって!」

「私は、ジュエルシード事件のときに雄一には凄くお世話になったんだから。だから、今度は私が雄一を助ける番だよ」

「・・・・・・助かるよ。それじゃ、作戦がある」

 

雄一は、二人に礼を言うと、すぐに作戦の説明に入った。

 

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