リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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できれば、昨夜の内に投稿したかった・・・・・・orz
では、お楽しみください。


第百十三話 苦戦と力の片鱗

「くっ!?」

 

雄一はとっさにカナメを振り上げることで闇の書の拳を受け止めたが、空中故ふんばりが利かず、僅かに吹き飛ばされた。

闇の書は、さらに追撃をかけようと踏み出すが、

 

「ユウ! 大丈夫か!?」

 

彼女めがけて、ヴィータが横合いからアイゼンを振り抜いた。

闇の書はそれをかわすと、攻撃後の隙を突くように蹴りを放った。

だが、ヴィータもかわされた勢いを殺さず、同じ軌道でもう一度アイゼンを振るう。

蹴撃とアイゼンがぶつかり、お互いを弾いた。

そこへ、

 

「アクセルシューター!!」

「フォトンランサー!!」

 

なのはとフェイトの援護が入った。

闇の書は、フォトンランサーを撃ち落とすと、アクセルシューターをかわした。

だが、

 

「っ!」

 

なのはが短く気合いを発すると、シューターの軌道が変化し闇の書へ一斉に牙を剥いた。

だが、

 

「防げ」

<Panzer Geist>

 

シューターが全弾、闇の書を直撃し、あたりに煙が広がる。

 

「やった!?」

「分からない、煙が深くて」

 

直撃になのはが喜び、フェイトも撃墜を疑わず煙に目を凝らす。

その様子に危機感を抱いて、ヴィータが咎めた。

 

「おい、油断すんな! まだ、落としたと決まったわけじゃ」

「落ちろ」

 

瞬間、煙を引き裂いて突き出された腕がフェイトに迫った。

突然のことに、フェイトは目を見開いたまま動けず、ヴィータも距離があり間に合わない。

彼女の顔を、掴もうと手が迫り、

 

「させるかぁ!!」

 

寸前、フェイトの目の前を銀閃が駆け上がった。

その正体は、雄一が振り上げたカナメだった。

雄一はかわされたと悟るや、返す刀で振り下ろし、追撃をかけ煙を切り裂いた。

だが、煙が晴れた先、闇の書は構えをとり待ち構えていた。

不味い、と考えた雄一はカナメを構え、攻撃に備える。

だが、闇の書は攻撃を撃たない。

ヴィータ達を振り返るが、彼女達も雄一達を見ていた。

彼女達も何もしておらず、チャンスなのかさえ図りかね、一同が混乱していると、

 

「・・・・・・何故、お前は敵対する? 榊雄一」

 

闇の書が問うた。

その目は雄一に真っ直ぐ向けられている。

戸惑いつつも、雄一はその問いに応える。

 

「はやてがこんなことを望むとは思えないからな。起こして問いたださなきゃならない」

「不要だ。主は安らかな夢を見ている。愛する家族と過ごすという、穏やかな夢。それを壊そうというなら容赦はしない。だが、私は主の願いを叶える道具。そして、主の願いにはお前も含まれている」

「なら」

「お前はどうだ、紅の鉄騎。主の願いを叶える守護者でありながら、抗うか?」

 

雄一の言葉を遮り、ヴィータに視線を向ける闇の書。

突然向いた矛先に戸惑いつつ、ヴィータも応じた。

 

「当然だ! お前をぶちのめして、はやてを取り戻してやる!」

 

啖呵をきり、アイゼンを突きつけるヴィータ。

二人の様子を見、沈思していた闇の書は構えていた拳に力を込めた。

 

「なら、是非もない。二人も我が内で眠れ」

「っ、アイゼン!!」

<Panzer Hinderis>

 

咄嗟にヴィータが障壁を張った。

その障壁に、闇の書が放った拳がぶつかり火花を散らす。

 

「ぐ、うぅ・・・・・・」

「そのまま押さえていろ! エルミナ!」

 

徐々に押し込まれるヴィータを援護するため、雄一はエルミナをグローブに変えると、闇の書めがけて鋼糸を放った。

闇の書は深入りせず身を翻すと、鋼糸を避けてなのはめがけて飛びかかった。

 

「レ、レイジングハート!」

<All Right! Devine Buster>

 

主の意志を汲み、砲撃を発射するレイジングハート。

だが、砲撃を最小限の動きで避けた闇の書は砲撃の反動で固まったなのはめがけて拳を撃った。

 

「っ!」

 

目の前に迫った拳に、眼を瞑るなのは。

だが、その衝撃はいつまで経っても訪れず、恐る恐る目を開けると、

 

「っ・・・・・・ぅ!」

 

拳を己の拳で迎撃した雄一が、拳を抑えて呻く姿だった。

その拳は砕けており、所々突き出した骨で破れた、皮膚から血を流している。

 

「ゆ、雄一君!? 大丈夫、痛いよね!?」

「だ、大丈夫だ・・・・・・なのはに怪我は?」

「だ、大丈夫! 雄一君が守ってくれたから!」

「ならいい・・・・・・けど、どうしたものかな」

 

闇の書は一撃が重く、反応も素早い。

対して、こちらは連携が取れておらず、このままだと各個撃破されてしまいそうだ。

何か、もう一手あればいいのだが、

 

――なら、こんなのはどうだ?――

『<それなら任せて!>』

「<<クフ・リーン>、ユーノ?>」

 

突然の念話に振り返ると、闇の書めがけて魔法を放つユーノとアルフの姿が目に入った。

ユーノのチェーンバインドが足を、アルフのライトニングバインドが、フェイトめがけて魔法を撃とうとした右腕を縛り上げる。

 

「よし!」

――あ、おい!――

 

<クフ・リーン>が策を伝えるのを聞かず、ユーノ達が作ったその隙を突こうと、雄一はカナメをナイフに持ち替えると一気に間合いを詰める。

だが、

 

「砕け」

<Break Up>

 

ちらりと拘束に目を向けた闇の書が呟くと、本が発光しバインドを砕いた。

自由になった闇の書は迫る雄一めがけて、カウンターで顎を狙い足を振り上げた。

雄一は、嫌な予感に従い足を止め背を反らせる。

顎先を掠める感触に、背筋に冷たいものを感じつつ、身体を戻した反動を乗せて、伸びきった足めがけてナイフを振るい、

 

「っ!?」

 

瞬間、雄一の視界が衝撃と共に打ち上げられ直後激痛が駆け抜けた。

闇の書が、残っていた軸足を跳ね上げ、顎にサマーソルトを決めたのだった。

視界を揺らされ、たたらを踏む雄一めがけて手を伸ばし、

 

<Schwalhe Fliegen>

<Plasma Smasher>

<Divine Buster Extension>

「ってぇー!」

「ファイア!」

「シュート!」

 

三人の砲撃が闇の書を襲った。

上からフェイトが、したからなのはが、背後からヴィータが撃った、闇の書を襲う攻撃に闇の書は、

 

「・・・・・・盾」

<Panzerschild>

 

三人の攻撃を障壁で受け止めてみせた。

さらに、

 

「刃を持て血に染めよ」

<Blutiger Dolch>

「呪文詠唱!?」

 

障壁を展開したまま、紅い短剣を複数出現させる闇の書。

危機感を覚え、雄一はフェイトに、ヴィータはなのはの傍で防御を固めた。

 

「穿て、ブラッディダガー」

 

詠唱と同時に光速で射出される魔力刃。

それめがけて、雄一は治りきっていない手を振るい、血を撒き散らした。

そのまま突き出した拳を握りこむ。

 

「圧搾しろ、<ダー・グッザ>!」

 

瞬間、黒い花が複数咲き魔力刃を吞み込んだ。

途端、魔力刃が爆発し、黒煙を噴出す。

 

「くっ、なのは、ヴィータ! 無事か!?」

「な、なんとか・・・・・・」

「ふ、二人がかりの障壁で何とかなった」

 

雄一の呼びかけに、何とか応じる二人。

それを聞くと、フェイトを振り返った。

 

「フェイト、怪我はないか?」

「うん、大丈夫。雄一が全部落としてくれたから。それより、どうするの?」

「・・・・・・問題はそれだな」

 

苦い顔で応じる雄一。

そのとき、ヴィータが念話を繋いだ。

 

「<ユウ。煙が晴れたら私が一撃叩き込む。その隙を突け>」

「<・・・・・・分かった。その作戦に乗るぞ>」

 

念話に返し、カナメを構える雄一。

煙が風に流されていき、煙にうっすらと影が見えると、ヴィータが動いた。

 

「アイゼン! カートリッジロード!」

<Explosion Raketen Form>

 

カートリッジを排莢しハンマーヘッドを変形させると、ヴィータはブースターを点火し、遠心力を乗せて影めがけて叩き込んだ。

 

「・・・・・・盾」

<Panzerschild>

 

何をしようとしていたのか、突き出していたを防御に使う闇の書。

障壁が、ピックを受け止め火花を散らす。

障壁は破れていないが、闇の書の足が止まった。

 

「とった!」

 

それを見ると、雄一は一気に間合いを詰めカナメを振り下ろした。

同時に、

 

「ぶち抜けー!!」

<Jahoul!>

 

ヴィータがアイゼンを再加速させ、障壁を破壊する。

二人の攻撃が闇の書に迫り、

 

「・・・・・・宿れ、刹那に奔る雷よ」

 

闇の書が呟いた瞬間、闇の書の姿が消えた。

 

「何!?」

「うわ!?」

 

標的を失った得物がお互いに切り結んだ。

慌てて離れると、すぐに闇の書の姿を探す二人。

幸い、多少距離を取ったところで、発見したのだが。

 

「<なあ、ユウ。今の、見えたか?>」

「<辛うじて。突然、スピードが跳ね上がって、一気に間合いを広げられた>」

「<それもあるけど、あいつの魔力光って・・・・・・>」

「<分かってる。紫、といったところか>」

 

だが、いま視線の先にいる闇の書が纏っている魔力光は違う。

 

「<少なくとも、金色じゃなかったよな?>」

「<ああ。あれに心当たりは?>」

「<分かんねえ。とにかく、様子を見て>」

 

ヴィータがそう提案しようとした瞬間、闇の書が動いた。

 

「・・・・・・咎人たちよ 滅びの光を」

 

先ほどのように、突き出された腕。

その先に、ミッド式の魔方陣が展開した。

その色は桃色。

魔方陣は、展開と共に魔力を集めだし、巨大なスフィアを形成した。

 

「・・・・・・まさか?」

 

その光景にデジャヴを感じた雄一は、彼女を振り返った。

 

「まさか!?」

「あれは!?」

 

同じく、正体に気がついたアルフとユーノが呆然とこぼしている。

 

「星よ集え 全てを撃ち抜く光となれ」

「・・・・・・スターライトブレイカー?」

 

なのはが呆然と呟くように、闇の書が撃とうとしているのは、半年前になのはが編み出した収束砲撃魔法だった。

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