リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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第十話 猫と新たな魔法少女

「何で・・・・・・何で猫なんだよ!?」

「まだ言いますか!」

 

ガバッと起きあがりつつ叫ぶ俺にユーノがツッコミを入れる。

さらに叫び返す。

 

「獣に憑くのは前に犬がいただろうが!しかも形を変えることなくただ巨大化しただけ!!何だよ、この手抜きは!!しかもよく見たら、あの猫さっきユーノを追い回してた猫じゃないか!」

―――にゃーお―――

 

叫ぶ間も、猫は地響きを立てながらこちらに目を向けることなく歩き回っている。

 

「と、とりあえず何とかしないと!」

「うん! あのままじゃすずかちゃんも困っちゃうし」

「そうだな。なのは、俺が足を止めるから、隙見て封印してくれ。<ルー・グー>」

 

返事を待たずに、猫の前に石を飛ばして足を止めさせ、影を踏みつける。

 

『あっさり済みそうじゃな』

「そのようだな。なのは、封印を」

 

してくれ、と言おうとして、ゾクリ! と寒気が背筋を駆けあがった。

寒気が駆けあがった瞬間、体がすぐに動いて一歩横にずれる。

瞬間、後ろから飛来した魔力弾が猫に撃ち込まれた。

 

―――にゃー!!―――

「この・・・・・・なんだ!?」

「ゆ、雄一君! 大丈夫!」

 

振り返ったところで、なのはが駆けてくる。

 

「わからん。警戒しといてくれ」

 

振り返った先。

そちらからさらに複数の魔力弾が飛んでくる。

 

「かき消せ、<沙波>!」

 

刀を一閃し魔力弾を打ち消す。

だが、

バヂッ!!

 

「痛ぅっ!? 何だ、今のは!?」

『これは・・・・・・電気じゃ! 迂闊に触れるな!』

「無茶を言ってくれるな! なのは、早く構えろ!」

「うん! レイジングハート、お願い!」

<Standby ready.Setup>

 

カナメの忠告に従い、直撃弾のみ切り捨てる方針に切り替えながらなのはを促すと、なのはもレイジングハートを取り出してバリアジャケットを纏う。

 

「なのは、俺はこっちで対処するから猫を頼む!」

「分かったの!」

<Flier fin>

 

飛行魔法を展開したなのはを見送って、次弾を切り捨てる。

だが、

 

『次・・・・・・いかん、範囲が広い!』

 

カナメの焦りのとおり、段幕が広がっている。

舌打ちしながら、なのはに注意を促す。

 

「なのは、すまない! そっちにいくつか行く!」

「っ!? レイジングハート!」

<Widearea Protection>

「行くぞカナメ!」

『承知した!』

 

カナメで次々に魔力弾を切り伏せていく。

討ち漏らした弾はなのはの張った障壁で阻まれ、猫には届かずにいる。

 

「これなら・・・・・・なんとかなる、か?」

『馬鹿者! 気を抜くでない!』

 

気を抜いてしまった瞬間、足下に魔力弾が撃ち込まれ炸裂した。

 

「ガァアッ!?」

―――ニャオー!?―――

「うわ、わ、わわわ!?」

 

俺は爆風に巻き込まれ、爆発に足を取られた猫が倒れ込み、背に乗っていたなのはも落ちてしまった。

 

「く、っそ・・・・・・痛ぅ!?」

 

足に力を込められず、見れば足首の辺りが青黒く変色している。

吹き飛ばされたときに、痛めたらしい。

<デル・ドーレ>が回復しているが、まだ少しかかりそうだ。

 

(だから、なのは。俺が行くまで耐えてくれ)

 

動けぬ身体をもどかしく思いつつ、戦況を眼で追い続けた。

 

 

side第三者

 

倒れた猫を庇うようになのはが降り立ち、レイジングハートを魔力弾が飛来した方向へ構える。

そのとき、なのはの前に金の髪をツインテールにし、整った顔に表情らしい表情を浮かべず、手に機械的な杖を構えた少女が現れた。

 

「同系の魔導師。ロストロギアの探索者か」

 

呟き、レイジングハートに視線を向ける少女。

 

「バルディッシュと同系の、インテリジェントデバイス。ロストロギア・・・・・・ジュエルシード、」

<Scythe Form.Setup>

「申し訳ないけど頂いていきます」

 

変形させた杖から鎌のように金色の魔力の刃を噴き出させる少女が一瞬力を込めると、なのはに飛び掛った。

 

<Evasion.Flier fin>

 

レイジングハートが咄嗟に飛行魔法を再展開し、なのはを空中へと逃がした。

少女が振った鎌はなのはの足元を空振りすることになった。

少女は空振った鎌を引き戻すと、なのはを見上げる。

なのはも油断なく少女の一挙手一投足に注目するが、

 

「バルディッシュ」

<Arc Saber>

 

少女は地面を強く踏みしめると、デバイスを大きく振った。

すると、魔力刃が放たれ、なのはへと襲い掛かった。

 

「あっ!?」

<Protection>

 

迫る魔力刃に怯むなのはに代わって、レイジングハートが張った障壁に魔力刃が衝突し、爆煙を吹き上げた。

瞬間、視界を失ったなのはに、魔力刃を放つと同時に間合いを詰めた少女が鎌を振り下ろし

 

「させるかよ!」

「っ!?」

 

怒声と共に下から飛来した岩を身を捻ってかわす少女。

見下ろした先には次弾を手に持った雄一の姿があった。

 

sideout

 

 

「させるかよ!」

「っ!?」

 

なのはに意識が向いているっていうのに、飛ばした岩を避けられた。

すぐさま、次弾を撃ち込む。

 

「ぶっ飛ばせ、<ルー・グー>!」

 

今度のは先ほどよりサイズが小さいため、さっき以上のスピードで少女に牙を向いた。

だが、

 

「バルディッシュ!」

<Photon Rancer>

 

少女は鎌を杖に戻すと、不安定な体勢で放った魔力弾でこちらの<魔弾>を撃ち落した。

 

「ちぃっ! どんどんぶっ放せ、<ルー・グー>!」

 

周囲に散っている大小さまざまな石を続けざまに少女に撃ちこむ。

だが、少女はそれら全てを迎撃して見せた。

だが、

 

「(これで、なのは達からは引き離せた)コレで仕切りなおしだ」

 

正面には敵の少女、背後にはジュエルシードと猫、そして。

 

「雄一君! 大丈夫だった!?」

 

なのはが降りてきてボロボロになった俺を心配する。

 

「問題なし。それよりなのは。あいつは俺が抑えるから、なのははジュエルシードを」

「無茶だよ! だったら二人でやれば!」

「なのは。あくまで目的はジュエルシードだ。向こうは俺達を倒す必要はないんだ。ただジュエルシードが欲しいだけ。だから、二人がかりで挑んで抜かれるわけにはいかない」

「そ、それは・・・・・・雄一君!!」

「っ!!」

 

なのはの叫びに咄嗟にカナメを振り上げる。

言い合いの隙を突こうとしたのだろう、少女が振り下ろした鎌をカナメで弾いた。

 

「早く! 抜かれたら頼むぞ!」

「わ、分かった!」

 

鎌を押さえながら、なのはに叫ぶと猫へ向かっていった。

あとは、この娘を抑えられれば・・・・・・。

 

「邪魔はさせない。バルディッシュ! ランサー、セット!」

<Photon Rancer>

 

本気なのか、さらに数・速さを増した魔力弾が放たれる。

それを、<デル・ドーレ>で強化した状態で振るったカナメで切り裂いていくが、水平だった天秤は徐々に少女に傾きつつあった。

 

(くっ・・・・・・魔力だから弾切れを待ってはいられないし。かといってこのまま受け続けると、感電しそうだし。どうするか・・・・・・)

―――相棒、そのままでいいから聞け―――

 

考えていると、<クフ・リーン>が思考に割り込んだ。

魔力弾を切り裂きながら、意識を僅かにそちらに向ける。

 

(なんだ?)

―――少しでいい。あいつに触れることができれば影に干渉して動きを止められる―――

(本当か!? 良し、その案貰いっ!)

 

意識を戻し、カナメを振るう速度を上げて、一歩一歩少女へ間合いを詰めていく。

 

「っ!? バルディッシュ!」

<Yes,Sir>

 

異変を察知した少女がさらに魔力弾を増やすなか、さらに歩を進めていく。

だがもちろん、こちらも無事ではすまない。

ジュッ!

 

「ぐっ!?」

『耐えよ、主殿! あと少しじゃ!』

 

掠める魔力弾の放った電撃が肌を焼き、身を痺れさせていくが脚は止めずに前へ出す。

やがて距離が半分に縮まったころ、

 

「バルディッシュ!」

<Scythe Form>

 

再び鎌へと姿を変えた杖でこちらへ切りかかってくる。

 

『主殿!』

「ああ! いくぞ!」

 

距離を詰める少女の鎌を柄にカナメを打ち込むことで受け止める。

鍔迫り合いになった瞬間、少女を捕らえんと手を伸ばす。

だが、少女も捕まってはまずい、と察知したのか跳び下がろうとし、

 

「これで!」

 

より早く一歩を踏み出して、少女の影を踏み、影に干渉して動きを止める。

すぐに制約が働き能力が解けるが、

 

「っ!? なっ?」

 

急制動がかかりすぐに解けた反動で少女は動きを止めてしまった。

その腕を

 

「終わりだ!」

 

掴んだ。

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