リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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まだ第四話ネタ・・・・・・。
スラスラ進められる文才が欲しい。


第十一話 敗北と布石

「答えてもらうぞ、おまえは何者だ?」

「くっ・・・・・・」

 

腕を掴み、少女を問いつめる。

少女は逃げようとするが、影を拘束されているため動けずに、口を噤んでいる。

 

「答えない、か。(なら、背に腹は代えられないか)」

 

<クフ・リーン>から<ハヌ・マーン>に切り替える。

睨みつけている少女の目をのぞき込み、再度問う。

 

「もう一度聞くぞ。おまえは何者だ?」

「・・・・・・」

「(フェイト・テスタロッサ、ね。慌てたのかすぐに『言うものか』って思考が占めたけど)黙りか。なら質問を変えるぞ。ジュエルシードを集めてどうするつもりだ?」

「・・・・・・」

「・・・・・・これは」

 

読みとった思考に一瞬空白が生まれた。

その空白はさらに広がることになった。

ズズン!! ズズン!!

 

―――ニャオン!!―――

「にゃー!? ゆ、雄一君、逃げて!!」

「なのは? って、ええ!?」

 

捕まえていることが油断を生んだのか。

突然の騒ぎに振り返ってしまうと、走り回る猫と追いかけ回すなのはの姿。

封印が遅い、とは思ってたけど、何があった?

 

『おそらく、先ほどのこ奴の攻撃でパニックを起こしたんじゃろ。デカくなっても猫じゃから臆病じゃろうし、動きも素早かろうしな』

「ああ、なるほど・・・・・・悠長に言ってる場合か!」

 

カナメの推察に思わずツッコミを入れてしまった。

その隙を少女、フェイトは見逃さなかった。

 

「ランサー、セット!」

「なっ!?」

<Photon Rancer>

「くっ!? 間に合え!」

 

再度<クフ・リーン>でフェイトを拘束する。

このとき油断は二つ。

フェイトの動きを<クフ・リーン>で拘束しているという思いこみ。

そして、動きを止めれば魔法は使えないという思いこみ。

彼女のデバイスから魔力弾が放たれた。

撃ち出された魔力弾を前に、俺は拘束を続けるか、魔力弾を避けるか、思考で動きを止めてしまった。

バヂィッ!!

 

「ガアァアア!」

『主殿!?』

―――馬鹿野郎! 言わんこっちゃない!!―――

 

肩で弾けた魔力弾が放つ電撃に体が硬直する。

さらに追撃で放たれた魔力弾に吹き飛ばされ、フェイトの拘束が解かれた。

 

「! ふっ!」

 

体の自由を取り戻したことを悟ったフェイトはデバイスを構えると、なのはへ斬りかかった。

なのはに残る体力で必死に伝える。

 

「なのは、うしろだ!」

 

 

side第三者

 

「えっ!? くっ!?」

 

声に振り返ったなのはがレイジングハートで受け止め、鍔迫り合いになった。

 

「なんで・・・・・・なんで、こんなことをするの!」

「答えても意味は無い。■ ■ ■ ■」

「え? きゃぁ!?」

 

鎌を振り抜いてなのはを吹き飛ばしたフェイトは、

 

「バルディッシュ」

<Yes,Sir>

 

そのまま逃げる猫の足下に魔力弾を撃ち込んで動きを止める。

 

―――ニャオー!―――

「バルディッシュ、封印」

 

足下の爆風にバランスを崩した猫にフェイトがバルディッシュを向ける。

 

<Yes,Sir.Sealing>

 

放たれた魔力が一度空へ上り、一気に猫に降り注ぎ光を放った。

あとには元の大きさとなった猫と、猫から浮かび上がったジュエルシードがあった

フェイトはバルディッシュをジュエルシードに近づける。

 

<Capture

「させるかよ!」

 

取り込む瞬間、ナイフを手にした雄一が飛びかかった。

 

sideout

 

 

ジュエルシードを取り込もうとするフェイトを未だ痺れの走る体で見ながら考える。

 

(しくじった。動きが制限されていても魔法が撃てる可能性を考えるべきだった。ジュエルシードが奪われた以上、こっちの完敗。せめて、あの娘の本拠地くらいは掴みたいがどうする? 発信機のようなものでもあればよかったが、持っているわけもないし、そもそもバリアジャケットを解除しても使えるか分からん)

―――相棒、いい案がある。そのまま聞いてろ―――

 

藁にも縋る思いで、<クフ・リーン>の意見に耳を傾け、

 

「はあ!?」

 

思わず大声を上げてしまった。

 

「待て待て! 大丈夫なのか、それは!?」

―――再生するのは分かってるだろうが。いいからやれ、もう悩んでいる暇はないぞ―――

「~~~!! ああ、もう! 死んだら恨むからな! ぶっ飛ばせ、<ルー・グー>!」

 

一頻り煩悶した後、腹を括って<ルー・グー>で自らをフェイトめがけて撃ち出した。

フェイトはまさにジュエルシードを取り込もうとするところ。

 

「させるかよ!」

「っ!?」

 

力の入らぬ体で振り下ろしたナイフはフェイトが間に合わせたデバイスに止められた。

 

「ジュエルシードは頂きました。もう去らせてもらいます」

「させると思っているのか?」

「あなたにはもう捕まりません」

「だろうな。だから、こうだ!」

 

もう一本抜き放ったナイフを突き出す。

フェイトはデバイスの柄をより傾けることでもう一本を受け止め、

 

「今だ! 貫け、<ルー・グー>!!」

 

俺の肩を突き破って飛び出した礫の弾丸がフェイトに襲いかかった。

 

「!?」

 

不可知の攻撃に身を堅くしたフェイトだったが、弾丸は貫通の際弾道がずれたのか、フェイトの体を掠め、皮膚に血の線を描き、吹き出た血が彼女の顔にかかっただけだった。

 

「ぐっ・・・・・・失敗、か」

「・・・・・・ごめんなさい」

 

腕一本を犠牲にした奇襲の失敗と激痛に顔をゆがめる雄一から、フェイトは距離をとると、飛び散った血を付けたまま姿を消した。

 

「・・・・・・行ったか?」

『行きおったな』

 

フェイトが姿を消してからしばらく。

うずくまっていた雄一は、ひょい、と立ち上がると、スラックスに着いていた埃を落とした。

ちらりと傷に目を向けて、すぐに後悔しながら目をそらす。

自分の体で隠した、弾丸を使った奇襲。

予定ではすんなり貫通するはずだったが、速度が足りず肉を引きちぎりながら抜ける形になってしまったため傷口はズタズタ。

見てしまったからか、ズキズキと痛み出している。

 

「それで、<クフ・リーン>。上手くいったか?」

―――ああ。しっかり付いた。ただ、転移することは予想外だったな。匂いが途切れている―――

 

だが、奇襲はブラフ。

目的は、自らの血を付けて探知目標にすること。

<デル・ドーレ>で変性した血液は、たとえステルスで隠しても<デル・ドーレ>の嗅覚で探し出せる。

そこで、フェイトに血液をつけて発信機とすることが<クフ・リーン>の提案だった。

だが、彼にも予想外だったのが転移魔法の存在だった。

「やれやれ。今回は痛み分け・・・・・・って言うには、こっちの負けが大きいか」

―――だな。ああ、まだバリアジャケットは解くなよ。借り物に血が付く―――

「ああ、そうか。カナメ、維持頼んだ」

『うむ。ところで、なのはと言うたか? あの娘が静かじゃないか?』

 

ん? とようやく思い至り、あたりを探すと、ショッキングな光景を見て目を回したなのは達と彼女の傍でのんきに顔を洗う猫の姿があった。

 

「・・・・・・これ、俺が運ぶのか?」

『そうなるじゃろうな。そこのイタチが気絶しておるからこの結界もじきに破れよう』

―――あまり、抜けているわけにもいかないだろ。まあ、役得だとでも思っておきな―――

「喧しいわ」

 

<クフ・リーン>に毒づきながら、なのはを抱き上げ、ユーノと猫を乗せて屋敷に歩き出す。

その最中、思い返すのはフェイトを拘束したときに読みとった目的。

 

「母さんのため・・・・・・それに、『ごめんなさい』か」

『気になるか?』

「・・・・・・ああ」

 

思ったより厄介な裏がありそうで、顔を僅かにしかめるのだった。

 

 

sideフェイト

 

「ただいま、アルフ」

「おかえ、ってフェイト!? どうしたんだい、そりゃ!? どっか怪我でもしたのかい!?」

 

転移で戻った私の姿を見たアルフが血相を変えて駆け寄ってくる。

鏡を見ると、べっとりと血が付いていた。

 

「大丈夫。私の血じゃないから」

「そうなのかい? はぁ、よかったよ。あたしはてっきり大怪我をしたんじゃないかと思ったよ」

「心配しないで。ジュエルシード・シリアルⅩⅣ、無事に手に入ったよ。けど、別の魔導師も動いてる」

「へんっ! そんなのあたしとフェイトの敵じゃないよ!」

「・・・・・・そうだね」

 

牙を剥いて言うアルフに苦笑する。

確かに白い子はまだまだだった。

魔力はあるけど、判断は甘い。

アーク・セイバーをプロテクションで受け止めたのは悪手だ。

判断が甘い内は問題ない。

ただ、気になるのはもう一人の方。

なぜか執事服だった彼。

もしかして、あの格好がバリアジャケットなのかな。

彼が使うのは不思議な魔法だった。

彼が触れた瞬間動けなくなった。

フォトンランサーを打消しもした。

障壁で防ぐのではなく打ち消す。

一体何をしたのか見当がつかない。

障害になるとしたら、彼の方だと思う。

 

「・・・・・・と、・・・・・・いと、フェイト!!」

「!? な、何、アルフ?」

「何じゃないよ。さっきから呼んでいるのにボーっとしちゃって。やっぱりどこか調子が悪いのかい?」

 

考え込みすぎていたのか、我に返ると、アルフが心配そうに見上げていた。

 

「心配ないよ。何処も悪くないから。それよりシャワー浴びてくるね」

 

安心させるように、アルフの頭を撫でると、嬉しそうに目を細めた。

脱衣所で服を脱ぎ、浴場に入ると、鏡に姿が映った。

見慣れた自分の顔。

その所々に赤い物が付いている。

彼が流した血。

何故、彼はそこまでするんだろう。

彼にも退けない理由があるんだろうか。

 

「・・・・・・母さん」

 

呟いて、シャワーのコックを捻る。

吹き出たシャワーで血が流れ、まるで血の涙のように筋を描いていくのを私はただ見つめていた。




もう二・三話くらいで五話ネタに移る構想です。
早く、クライマックスまで進めてしまいたい。
唸れ、俺の灰色の脳細胞!!
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