リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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閑話 その四 雄一の異能と正体

「それで、あんたの名前がちらほら出てきていたけど、あんたも魔導師ってことでいいのよね?」

「んー、実はそこから違う。俺は魔導師じゃないんだよ」

「え?」

「デバイスこそあるけど、俺はなのは達みたいには魔法が使えないんだ」

 

苦笑しながら答える雄一に、アリサはなのは達へ顔を向けるがなのは達は苦笑して頷いた。

ギギギ、と首を雄一へ向けなおすアリサに雄一は苦笑を深くすると、床を指差した。

 

「俺の異能は、これだよ」

「「これ?」」

 

アリサ達は、雄一が指すまま床を見下ろし、

 

「なぁっ!?」

「きゃぁ!?」

 

足元に広がる蜘蛛の巣のように解れた影に飛び上がった。

いや、飛び上がろうとした。

 

「う、動けない!?」

「なんで!? どうして!?」

「これが俺の異能の一つで影を操れるんだ」

 

動けないことにパニックになる二人に雄一は説明していく。

 

「俺は、契約者っていう異能者でね。始まりは、なのはと同じくらいで四月からだな。あの頃、俺が違和感で悩み続けていたことは覚えてるか?」

 

あの時の違和感が契約によるものであること。

正体を知ったその夜に実戦を知ったこと。

騒動の中心がジュエルシードという宝石であること、なのはも魔導師であることを知り、同盟を組むにしても発言力を増すことができるようジュエルシードを集めようとしたこと。

その最中、なのはと鉢合わせてしまったこと。

 

「そういえば、あの頃なのはがあんたを避けてたわね」

「そんなことがあったんだ・・・・・・」

「あの頃の雄一君、信用できなくて」

「酷いな、オイ」

 

だが、ジュエルシードの発動とその被害を目にしてショックを受けていたなのはと和解。

協力することになったが、その矢先すずかの屋敷で発動したジュエルシードの対処の最中にフェイトが乱入してきた。

その時、フェイトの跡をつけ彼女と縁を繋いだこと。

そして、フェイトの怪我を知り、彼女達のケアをするようになったこと。

 

「何をしているのよ、あんたは!?」

「いや、あの時はあまりに見ていられなくて」

「あの時の雄一、嬉しかったけど、ちょっと怖かったんだよ。出会い頭にいきなり腕を捻り上げられて・・・・・・」

「ホントに何をしているのよ!」

「ぐあっ!?」

 

その後、両方の陣営に干渉しつつ、なのはとフェイトが戦うように調整していったこと。

なのはには歳の近い好敵手を、フェイトにはより近しい理解者を与えるのが目的だったこと。

その際、プレシアと会うことがあり、フェイトの傷の正体を知ったこと。

その時はお互いに様子見で済ませ、フェイトと共に海鳴へ戻った矢先にジュエルシードの発動に出くわしたこと。

その後管理局と関わるようになると、取り込まれないように牽制を入れて対等の条件になるように配慮したこと。

そして、なのはとフェイトの決闘と時の庭園への強襲。

そして、病に冒されていたプレシアとアリシアを救うことになったこと。

 

「<ありがとう、雄一>」

「<気にするな>」

「? どうしたのよ、あんた達?」

「「なんでもない」」

 

だが、その際に使用しようとした異能の対価で、目覚めぬ眠りに落ちたはずだったこと。

そのはずが、気がつけばはやての家でシグナム達に囲まれていたこと。

その後諸事情(・・・)あって八神家に世話になりつつ、事情の解消の方法を模索していくことになったこと。

 

「あれ? でも、はやてちゃんの家に雄一君はいなかったと思うけど?」

「それについては、後にさせて。これを言っちゃったら、絶対に冷静じゃいられないだろうし」

「うん?」

 

だが、はやての麻痺の進行を知り、シグナム達が行動を起こすことを知り、協力することにしたこと。

その際、海鳴での蒐集を禁止しており、魔法生物を中心に蒐集をしていたこと。

 

「あれ? でも、私ヴィータちゃんに襲われたよ?」

「それは、ヴィータの独断。正直、あれがなければもう暫くは隠れられた」

 

その結果、管理局と明確に敵対してしまい、その対応に苦慮したこと。

その矢先、はやての容態が悪化し、時間制限が近づいてきていることを知ったこと。

そこで、一計を案じてなのは達の協力を得ようとしたこと。

だが、一度目は失敗してしまい、二度目の侵入で解決したときには予想外のアクシデントで二日間眠り続けることになったこと。

 

「それって、結構深刻じゃないの!?」

「安心しろ。身体に深刻な影響があったわけじゃないから」

 

そして、合流した矢先に、闇の書の暴走に鉢合わせることになった。

 

 

 

「後は、なのは達と変わらない。で、ここからは合間合間に明かしてきたことに補足を入れていくぞ」

「そうね。たしかに、『なんで、プレシアさん達を救うためにあんたが眠ることになったのか』とか、『はやての家にいたのに、なんで姿を見せなかったのか』とか、聞きたいことはあるわね」

「だろうな。まず、プレシアさん達について話すか。さっきの話にもあったけどプレシアさん達は、不治の病だった。それを治すために、異能の一つを使ったんだ」

「不治の病気も治すとか・・・・・・ちなみに、それって?」

「因果・・・・・・時間に干渉するようなものだ」

「チートじゃないの」

 

呆れたように呟くアリサ。

彼女に、雄一は苦笑しながら首を横に振った。

 

「それに見合うだけのデメリットもあるんだぞ?」

「それが、さっき言ってた『覚めない眠り』のこと?」

「ああ」

 

二人に、雄一は契約と対価について説明する。

初めは、精霊という存在に目を輝かしていた二人だったが、対価の内容に顔を青褪めさせていく。

 

「ちなみに、この精霊<アルス・マグナ>の対価は『寿命以外の全て』な」

「・・・・・・洒落になってないわね」

 

苦い顔をするアリサに、違いないと頷く雄一。

そこへ、すずかが割り入った。

 

「とにかく。その精霊の力で、プレシアさん達の因果に干渉したから、二人の病気も治った、っていう事なの?」

「そういうこと。それで、次の問題。俺がなんではやての家にいたことを言わなかったか、だけど・・・・・・」

 

説明をしようとしながら、雄一の口は次第に重くなっていく。

彼の目が向くのはすずか。

突然、見つめられることになったすずかは首を傾げる。

 

「あー・・・・・・それなんだが・・・・・・すずか」

「何?」

「無理だと思うけど、言っておく。驚くなよ?」

 

歯切れ悪く言う雄一に、首を傾げるが頷くすずか。

すずかが頷くと雄一は、一度部屋を出て行った。

残された一同は雄一が何をするつもりなのか分からず雄一を待っていると、それほど経たず雄一は戻ってきた。

だが、

 

「すまない、待たせた」

「え、あれ? なんでペインさんが?」

 

部屋に現れたペインにすずかは目を丸くした。

だが、彼女の驚きはまだ終わらなかった。

 

「いいか。よく見ておけよ」

 

一声言うと、ペインの姿が変わっていき、雄一の姿になる。

 

「「え、ええ!?」」

 

眼前で起きたことに、すずかは今度こそ仰天した。

同じく話を聞いていたアリサも同様であり目を丸くしている。

以前、<フィン・ターン>の異能を聞いていたはやてと、一度見ていたなのは達は二人の様子に、無理もないと苦笑していた。

 

「ゆ、雄一君? え、でもさっきはペインさんで、え? え?」

「手短に言うと、変身の異能だ。もっとも、今は雄一の方が本体なんだけど」

 

ずり落ちそうになったズボンを押さえ素早くベルトを締めると、袖と裾を捲くって調節しつつ雄一は説明していく。

雄一の体はアースラで眠り続けていたため、雄一自身はペインの体で活動していたこと。

なのは達に伝わったとき、雄一本人であることを証明する手段を思いつくまで、接触を控えていたこと。

そのため、二人に繋がりそうな縁は基本的に絶っていたこと。

すずかに会った時も同様で、偽名を名乗ったこと。

 

「と、いうわけで決して悪意があったわけじゃなくてだな」

「・・・・・・」

 

次々と理由を挙げていくが、すずかは驚きから立ち直ったと思ったら顔を俯けてしまっていて雄一からはすずかの長い髪で表情が窺えず、紅くなった耳だけがのぞくばかりで、雄一は肩を落とした。

 

「・・・・・・気を取り直して、他に何か気になることはあるか?」

「えーと、私は今は無いわ」

「・・・・・・」

「すずかも無いってことで」

「・・・・・・そうか」

 

すずかの様子に、地味にダメージを受ける雄一は溜め息をつく。

雄一達の様子に、外野であったなのは達も手を出すわけにもいかず、場の空気が僅かに重くなっていく。

その中、その空気を破ったのは雄一だった。

 

「この際だ。ちょっとこっちも聞いておきたいことがある」

 

開き直ったのだろう、雄一は表情を引き締めると、二人を見据えた。

アリサも、顔を恐る恐る上げていたすずかも雄一の変化に戸惑いつつ、彼の言葉を待った。

なのは達も、口を閉ざし彼の言葉を待つ、緊張感の中雄一は、

 

「二人の方こそ、今回の魔法みたいな不思議に、何か心当たりはないか?」

 

二人に問うた。




文才が……欲しいです
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