リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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長くなったので、二つに分割します。
これで、次々回から五話目ネタです。
これは五話目前にやっておきたかった。


第十三話 ミスった出会いと対談

(どうしてこうなった?)

 

内心ため息を付く。

どういう状況かというと、

 

「くっ!?」

「フェイトッ! あんた、フェイトを放しな!」

 

昨日調べたマンションの一室で、フェイトと呼ばれた少女の腕を捻り上げて盾にしながら、オレンジ色の髪の女性に睨まれている。

ホント、話し合いに来たのにどうしてこうなった!?

 

 

月村家訪問からあけて翌日。

放課後になると同時に学校を飛び出し、昨夜探しておいた部屋を訪れる。

その際、郵便受けを見るが、その部屋は無人になっていた。

どうやら正規の手段でいるわけではないらしい。

 

『それで、どうするのじゃ?』

「何もいきなり戦闘にはならないだろ。友好的に正面から御免下さい、でいいんだよ」

 

カナメに答えつつ、問題の部屋へ。

インターホンを押して、しばらく待つ。

すると、

ガチャッ

 

「はい、どちら様で・・・・・・?」

「あ・・・・・・」

 

ドアを開けてきょとんとこちらを見る視線と目があった。

お互い、相手の顔をしばらく見つめ、

 

「ごめんく」

「な、なんでここに!?」

「ださい・・・・・・って、待て待て! 落ち着いてくれ!?」

 

思った以上の反応を見せるフェイトの反応にこっちもつられてパニックに陥ってしまった。

パニックはさらに加速していく。

 

「し、仕方ありません! バルディ」

「だから待てと言うに!」

 

デバイスを展開しようとしたのだろう、金色のアクセサリーを取り出す手を押さえつける。

 

「は、放して!」

「だから落ち着いてくれ!」

「フェイト!? いったい何が」

 

混沌とした状況に第三者の声が混じった。

フェイト越しに見ると、オレンジの髪をした額に宝石のある女性の姿。

さて、自分の状況を客観的に見てみよう。

・ドアの傍で言い合う二人。

・少女は必死に抵抗している。

・少女の腕をつかみながら言い寄る男。

うん、どう見ても不審者、というか変態の図です。

・・・・・・ヤバイ、肯定的な考えが浮かばねえ。

女性も呆然から疑問を経て怒りへと表情を変えていく。

 

「おい、あんた! フェイトに何を」

「うわっ!?」

 

女性の剣幕に驚いた俺はミスを起こした。

反射的にフェイトの腕を捻り上げて盾にしてしまっていた。

 

「痛っ!?」

「フェ、フェイト!? くっ、卑怯だよ、あんた!」

「あ」

 

 

といった具合に、一周回って冷静になる頃には状況は泥沼にはまっていた、というわけだ。

 

『現実逃避は終わったかの?』

「ああ。存分に、な」

 

語りかけてきたカナメに応じつつ、フェイトの腕を解放する。

 

「「え?」」

 

突然の行動に驚く二人を尻目に二人から僅かに離れる。

 

「・・・・・・どういうつもりですか?」

「どういうつもりも何も、こっちは元々話し合いに来たつもりだったんでね。そろそろ冷静になっていると思ったから解放した」

「はっ!? 話し合いだって!? なら、何であんなことをしたんだい!」

「あんなことっていうのは、フェイトの腕を捻り上げたことか?あれはフェイトがデバイスを構えようとしたから腕を押さえていたら、お前が来て慌てた結果だ。まあ、お互いにとって不幸な結果だったが」

「・・・・・・。信じられません」

「だろうな。そこは、信じてくれ、としか言えんな。デバイスの展開もしていないんだから、警戒を緩めてくれないか?」

 

睨む二人に、苦笑しながら両手を振って害意がないことを示す。

無手であることにひとまず警戒を緩めたのか、フェイトが

 

「なら、なにを話し合うつもりですか?」

 

話に乗った。

 

「とりあえず、俺が聞きたいのは、『お前達は何者か』、『この街海鳴に害を与える気はあるか』、『なぜ母親は君を使ってジュエルシードを集めるか』だ」

「「!!?」」

 

俺の質問に、ガタ、っと床をならして距離を撮る二人。

 

「何でそれを!」

 

デバイスを構えたフェイトが、顔を青くしながら突きつけた。

だが、

 

「こっちの質問に答えていないぞ、フェイト・テスタロッサ」

「なっ!?」

「こいつ、フェイトの名前をどうして!?」

「それに答えるってことはこっちの手札をあかすことになるから答えないぞ? それでどうする?」

「「・・・・・・」」

 

答えられずにいる二人に、もう一つ、こちらの手札を皿に乗せる。

 

「答えるなら、さっきの質問の答えに加えて『俺が何者か』『なぜ、ジュエルシードを集めるか』を答えよう」

「・・・・・・分かりました」

「フェイト!?」

 

悩んだようだが、フェイトは提案を飲んだ。

そのフェイトの様子に内心一息つく。

会話の主導権を維持するのに集中していて言ったことをあまり覚えていないんだが、大丈夫だろうか・・・・・・?

 

「話し合いに乗ってくれて感謝するよ。改めて自己紹介だ。俺は榊雄一」

「・・・・・・フェイト・テスタロッサ、です」

「グルルル・・・・・・」

「・・・・・・アルフ」

「うー、分かったよフェイト。アルフだ。これでいいだろ」

 

アルフというらしい女性には随分警戒されてしまったが、まあいい、頭を切り替えて。

さて、どんな裏がでてくるのか。

 

 

「ミッドチルダ?」

「はい。私たちはミッドチルダという世界から来た魔導師です」

 

魔導師って異世界から来たものだったのか、と言うことはユーノは異世界の生物なのか?

だとしたら、フェレットとは微妙に違うあの姿も納得がいく。

いや、それはともかく。

 

「世界の壁って随分薄かったんだな・・・・・・。ミッドチルダの方から見た地球ってどういう立場なんだ?」

「えっと・・・・・・第97管理外世界です」

「管理、外ね」

 

フェイトの物言いだと、管理する組織や団体の存在が見えてきた。

いずれ、そういう連中とも出くわすんだろうな。

今のうちから何か対策を立てておくべきか?

 

「思うところはあるけど、今はいいや。こっちも一つ目に答えるよ。まず、俺は魔導士じゃない。契約者だ」

「「契約者?」」

 

首を傾げる二人に、以前なのは達にしたものと同じ回答をする。

 

「けど、待ってくれないかい? この世界に魔法文化はないはずなんだけど」

 

アルフの疑問に、俺はユーノにも同じことを言われたことを思い出して苦笑しつつ応える。

 

「正しくは、これは魔法として体系付けられた技術じゃない。大抵の場合取り憑く、といった代物でな。そもそも、この世界で魔法ってのは表立って研究されるものじゃないんだ」

「どういうことですか?」

「この世界はそういった研究を弾圧していた時代があるんだ。だから、そういった研究は裏の世界でひっそり行われていたから、表向きには『技術はない』ってことにしているんだ」

「はぁ~、なるほどねぇ」

 

アルフもすっかり警戒心を解いて聞き入っているようだ。

ひとまず、説明はこんなものでいいか。

向こうの理解を待ちつつ、このあとの展開を予想・整理していく。

・・・・・・よし、今度はこっちから手札を切ろう。

 




短いですけど、分割の結果ここできるのが一番丁度良かったんです。
次回をお待ちください。
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