リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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どうにも、スランプ気味です。
以前ほど筆が進まない……


第百五十話 作戦と消失

「<できる前提で進めるが、この後奴の足を止める。だから、動くんじゃないぞ>」

 

フェイトと念話をしつつ、フェイトと雷刃の襲撃者の死角へと移動する。

もちろんただ移動したのでは、勘の鋭い二人には気がつかれていただろうが、雄一は<憑黄泉>を使い、気配の他空気の移動さえも消していた。

そのため気づかれることなく、二人の上空へと上る。

 

「・・・・・・このあたり、か」

 

二人を見下ろす位置に移ると、雄一はタイミングを計る。

眼下では、丁度念話に集中していたフェイトめがけて雷刃の襲撃者が斬りかかったところだった。

 

「行くぞ。止めろ、<クフ・リーン>!」

――あいよ!――

 

ここからは見えないが、地面では<クフ・リーン>が雄一の指示に従い、雄一の影を蜘蛛の巣のように解れさせたはずだ。

既に日は落ちているため、<クフ・リーン>の制約は解かれている。

だから、足場を作る必要がなく、この攻撃は奇襲となる。

それに、太陽がなくとも影はできる。

たとえ、明かりの点いていない結界の内部でもそれは変わらない。

 

――捕まえた!――

「よしっ!」

 

<クフ・リーン>の声に快裁をあげる雄一。

これで、情報源を生かして捕らえることができたのだ。

だが、喜んでもいられない。

拘束した状態からも魔法で狙われることは、月村邸でのフェイトとの戦いで明らかになっている。

だからここからは、<クフ・リーン>の使用で<憑黄泉>が解けた雄一を雷刃の襲撃者が発見するより先に、フェイトが雷刃の襲撃者を倒せるかどうかに掛かっている。

だから、

 

「<フェイト、今だ!>」

 

背を押すようにフェイトへと合図を出した。

 

 

 

突然の事態にフェイト・雷刃の襲撃者はそれぞれ動きを止めてしまっていたが、目の前で起きている事の原因を知っているフェイトが僅かに早く我に返った。

 

(これは、たしか<クフ・リーン>だったかな? ということは雄一が上手くやったみたいだね)

 

さらに、

 

『<フェイト、今だ!>』

「ふっ!」

 

雄一の合図に、フェイトは身を低くし駆ける。

迫るフェイトに、雷刃の襲撃者は慌てて雄一の姿を展開した。

 

「こ、拘束(これ)はオリジナルの物じゃないってこと!? だったら、あいつのせいだ! あいつはどこに――――いた!」

 

動く視線を巡らせ、見上げた雷刃の襲撃者の視界に一瞬黒い物がよぎった。

それが何かを瞬時に判じた雷刃の襲撃者は、拘束されて動けないまま素早く魔法陣を展開し、

 

「電刃衝!」

 

そちらめがけて撃ち放った。

撃ち出された電刃衝はまっすぐに雄一めがけて奔る。

日中の雄一なら、拘束を優先するあまり動けなくなり、影で防ごうにも盾にできるものなく直撃していただろう。

だが、既に日は沈んでいる。

雄一は顔めがけて迫る電刃衝を一歩分横にずれることで避けた。

雄一が動いたことに、雷刃の襲撃者はすぐに身体を動かし拘束から逃げ出そうとしたが、外れない拘束に目を丸くした。

 

「な、なんで!? 影の能力は足を動かしたら解けちゃうんじゃ!?」

「はぁあああああ!!」

 

驚く雷刃の襲撃者めがけてフェイトはバルディッシュを振り下ろした。

 

「あ、あぁああああっ!?」

 

バルディッシュの刃を作る雷に打たれ、雷刃の襲撃者は叫ぶと、やがてガクリと脱力した。

沈黙した雷刃の襲撃者の姿に、フェイトはしばらく警戒を向けていたがやがて一息ついて力を抜いた。

そこへ、拘束を緩めぬまま雄一はフェイトの傍まで降りてきた。

 

「お疲れ様、フェイト」

「雄一も。けど、なんで拘束が解けなかったの? 実はバインドだったとか?」

 

フェイトは、雄一の拘束がバインドを偽装したものだったのか、と推測した。

だが、雄一は苦笑して首を横に振った。

 

「違う違う。これは歴として<クフ・リーン>を使った影だよ」

「? けど、前に雄一、『足を動かしたら解ける』って言ってなかった?」

 

カナメもそう言っていたはず、と以前された説明を思い出すフェイト。

 

「そうだけど、この能力は日が沈むとその制約が緩むらしくてな。足を動かしても問題なくなるし、影で捉えることができれば何でも破壊できる」

「それは、デタラメだね・・・・・・あれ? それなら雄一だけでも捕まえられたんじゃないの?」

「あー・・・・・・そうそう上手い話はないというか、なんというか。実は、あまり手加減ができなくてな。うっかり力加減を間違えたら、それこそペキッといっちまうし。それに、距離が開いたら、感覚が曖昧になるから危険性も上がるし」

「・・・・・・確かに、上手くはいかないね」

「ああ。だからこういう生け捕りには向かないんだ」

「う・・・・・・うぅ」

 

フェイトに説明していると、短い気絶から目を覚ましたようで雷刃の襲撃者が呻きながら頭を振りつつ首を起こした。

 

「気がついたか」

「く、くそぅ・・・・・・僕は、最強なのに」

「・・・・・・」

 

その自信は何処から来るのだろう、と雄一はフェイトに目配せする。

すると、フェイトも困ったように笑いつつ、雄一に視線を向けていた。

 

「・・・・・・まあいい。それより、お前達は何なのか。何が目的なのか。全て喋ってもらうぞ」

「っ、喋ると思ってるの、って、え?」

 

雄一の言葉に、顔を背けようとした雷刃の襲撃者の顔が強張った。

様子がおかしいことに気がつき、雄一達が雷刃の襲撃者の様子をさっと検めると、彼女の体が徐々に崩れつつあった。

 

「これは・・・・・・」

 

それが闇の欠片が消えるときの現象と同じものであることに気がついた雄一は先ほどのカナメ達の解析を思い出した。

構造体は、闇の欠片が集まってできた凝縮存在だ。

であれば、その構造を維持できないほどのダメージを受けてしまったら、他の欠片同様に消えてしまうのではないか?

雄一の仮定を裏付けるように雷刃の襲撃者の崩壊は進んでいく。

 

「く、まさか僕を倒すとは・・・・・・けど、油断するな。闇がある限り、僕は不滅! いずれ第二・第三の僕が・・・・・・それで、それで、えっと、えっと、あ、あーー・・・・・・!?」

「っ、間に合え!」

 

まるで台詞を途中でど忘れしたように、詰まっているうちに消滅していく雷刃の襲撃者の様子に、初動が遅れた雄一はそれでも彼女めがけて手を伸ばした。

だが、その手は一歩間に合わず、雷刃の襲撃者は姿を消してしまった。

 

「くそっ!」

 

情報源をみすみす逃したことに、雄一は苦い思いを抱きつつ顔をしかめた。

 

「雄一・・・・・・その、大丈夫?」

「あ?」

「っ!?」

「っ、ああ、大丈夫だ。それより、すまない。せっかく上手くいったのに」

 

おずおずと雄一に声をかけたフェイトに、一瞬鋭い目を向けてしまった雄一は顔を青くするフェイトの姿に頭を冷やすように頭を二三度振ると、深く呼吸して自分を落ち着けた。

やがて、落ち着いてくると雄一はフェイトに頭を下げた。

弾を下げる雄一に、フェイトは慌てて頭を上げさせた。

 

「ゆ、雄一!? そんなことしなくていいよ! 雄一にだってミスはなかったんだから!」

「ん、そうか」

「うん。それより、さっきの子を倒して、事件は終わるのかな?」

「多分、まだ終わらない」

 

フェイトの予想を、雄一ははっきりと言った。

雄一の予想では、おそらく構造体はあと三人(・・・・)残っている。

フェイトもその可能性に至ったのか、真剣な表情になった。

 

「・・・・・・やっぱり、そうなんだね。私はどうする? なのは達と合流しようか?」

「いや、フェイトはシグナム達に連絡を取って、闇の欠片を掃討してくれないか」

 

さっきの雷刃の襲撃者の言葉通りなら、闇の欠片を放っておいたら復活しかねない。

それなら、戦力を分けることになるが、構造体とぶつかるチームと闇の欠片を撃破するチームに分かれる必要があるだろう。

 

「判った。それなら、雄一は構造体と戦うチーム?」

「ああ。俺の予想が正しければ、」

 

フェイトの確認に、雄一は頷きながら不吉なものを感じた。

 

「はやてが危ない」

 

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