リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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閑話 弱みと第一戦解説その一

「きゃああああ!? なのはちゃん!」

「なのはっ!?」

「ああ待て待て、二人とも。大丈夫だから」

「うん。なのはは大丈夫だから」

 

はやての砲撃を背後から受け、気を失ったのか、脱力した様子で落ちるなのはの様子に、すずか・アリサは血相を変えて飛び出そうとする。

だが、気楽な様子で雄一とフェイトに押し留められた。

 

「っ、どういうことよ!」

「フェイトちゃんも!」

「おっとっと、とにかく見てれば判るから!」

 

落ちるなのはを助けにも行かずに眺める雄一に噛み付くアリサ。

だが、彼女にを両手で押し留めつつ、なのはを注視する雄一の様子に、一先ず気を落ち着かせ、雄一の根拠を見届けようと注視する。

そんなアリサの様子にすずかも冷静さを取り戻し、しかし不安な様子で同じくなのはを見上げた。

もちろん、アリサは事と次第によっては雄一の静止に構わず飛び出すつもりだった。

だが、

 

<Safety mode,Start>

 

四人が見上げる中、レイジングハートがなのはの真下に魔法を展開し、なのはの落下を減速させた。

 

「あれ、何よ?」

「安全装置。空戦魔導師が飛行中に突然意識を失ったら、そのまま墜落しちゃうだろ? それを防ぐために、ああやってデバイスの方から、魔法を展開させて魔導師を護るんだ」

「へー、そうだったのね」

 

雄一の解説に感心した様子で頷くアリサ。

しかし、その説明にすずかは違和感を覚えた。

 

「・・・・・・ねえ、雄一君。ちょっと気になったんだけど、それってインテリジェントデバイスなら、だよね? その安全装置は、ストレージデバイスとか、アームドデバイスにはあるの?」

「・・・・・・まあ、今のところ空戦魔導師のほとんどは、ミッド系だから。インテリジェントの適正はあるはずだから」

「「答えになってない!?」」

 

思わず最悪の光景を想像してしまったアリサ達が顔を青褪めさせるが、雄一はその問いに明確な答えを返せない。

 

(これについては、デバイス次第としか言えないしな・・・・・・)

 

現在、デバイスの種類はインテリジェント・ストレージ・アームド・そしてユニゾンの四種だ。

そのうち、インテリジェントは言葉通り、人格型AIを搭載することで脆弱さと引き換えに知能を行使している。

また、ユニゾンデバイスは生命体型デバイスというだけあり、生物としての機能も保持しているため、人格については言うまでもない。

一方、残る二つについては人格・非人格は明言できないのだ。

ストレージは、処理能力の早さと引き換えに応答性を犠牲にしているので、大部分は非人格型だ。

だが、一部には簡易人格を搭載しているものもあるという。

また、アームドデバイスについてもレヴァンティンやアイゼンのように(簡易かはさておき)人格を有するものもあるが、武器としての機能を追及するのならば、人格は排するだろう。

 

「まあ、レイジングハートはインテリジェントデバイスだから、心配するまでもなく安全装置がついている。だから、なのはを心配する必要は」

「え、っと・・・・・・雄一?」

 

雄一の言葉を遮り、肩を叩くフェイト。

雄一が、何事か、と振り返るとフェイトは苦笑しながら足元を指さした。

フェイトの指に従い、足元に視線を落とし、雄一は凍りついた。

 

「「あ」」

 

同じく、フェイトが言わんとするところを悟ったアリサ達は、ポカンとした後、雄一を振り返って笑みを浮かべた。

 

「ふーん♪ 雄一、あんたってば♪」

「・・・・・・何だ、何が言いたいんだアリサ」

「雄一君は、素直じゃないね♪」

「・・・・・・すずか、笑いながら言うのは勘弁してくれ」

 

ニヤニヤという笑顔を向けられながら、雄一は僅かに足を動かす。

すると、公園を覆うように細く解れながらクモの巣のように広がっていた影が雄一の足元に戻っていった。

実は、雄一は万が一のことが起きたとき、受け止められるように影を張り巡らせていたのだった。

それが、バレた羞恥からフェイト達から顔を背ける雄一。

そうしていると、気絶しているなのはと彼女に付き添うようにはやてが降りてきた。

 

「はやて! おかえり! やるじゃないの!」

「凄かったよ、はやてちゃん!」

「ありがとな、アリサちゃんにすずかちゃん! けど、雄一君はどうしたん?」

 

降りてきたはやてに、さっそく健闘を讃えるアリサ達。

はやては素直にその称賛を受けると、なのはを優しく地面に横たえると、飛行魔法を操作して車椅子に戻った。

そして、雄一の様子がおかしいことに気がつき、問うたのだが、

 

「・・・・・・なんでもない。気にするな」

「それは何かあった、って言うてるようなもんやで?」

「あのね、はやて。実は」

「フェイト、言わなくていい!」

「えー!? 気になるやん!」

「フェイト、私が許すわ! だから、はやてにも教えてやりなさい!」

「アリサ! なんで、お前が許可を出す! そんなものは却下だ!」

「はやてちゃん、実はね」

「すずか、お前もか!?」

「・・・・・・んん」

 

はやてに雄一の弱みを教えようとするフェイト達とそれを阻止しようとする雄一。

その遣り取りが騒々しかったからか、気絶が浅かったのか、横たえられていたなのはが身を起こした。

それに気がついた一同は、すぐになのはの側へ駆け寄った。

 

「なのは? 大丈夫か?」

「ん・・・・・・雄一君? あれ、私は・・・・・・」

「はやての一撃を貰って、気絶してたんだよ」

 

ぼんやりとした様子で記憶を辿るなのはに、ヴィータが言った。

それでなのはも思い出したらしく、

 

「あー! うぅ・・・・・・負けちゃったー!」

「まあ、いい勝負だったと思うぜ。けど、はやてはおめでとー!」

 

再び倒れこみ悔しさから呻くなのはに、一応の称賛を投げはやてに抱きつくヴィータ。

そんなヴィータの様子に、眉間にしわを寄せ溜め息をついていたシグナムが、

 

「だが、ヴィータの言うとおりいい勝負だったぞ、タカマチ。条件が限定されていなければ、主が負けていてもおかしくなかった」

 

とヴィータの言葉を後押しした。

 

「うぅ・・・・・・でも、一体何が起きたの? いきなり後ろから攻撃されるなんて」

 

その言葉で、とりあえず落ち着きを取り戻したなのはは、先ほどの敗因を突き止めようとはやてに聞いた。

だが、はやてが説明しようとした矢先、雄一が問いを重ねた。

 

「はやて、さっき使ったあの黒いスフィア。あれは、ナイトメアって呼んでた砲撃と連動してたんじゃないか?」

「実は、って雄君が当てるんかい!? いま、私が説明するところやったよな!?」

「すまんすまん」

「誠意のない謝り方すんな! しかも、なんやその手の動きは! 私は馬か!?」

 

見せ場に割り込まれたはやてが雄一を猛然と振り返った。

それに、ドウドウと両手で示して落ち着かせようとし、却って火に油を注ぐ雄一。

しかし、なのはは二人の遣り取りに構わず、雄一の言葉を噛み砕くことに集中していた。

 

「連動? それってどういうこと、雄一君?」

「なのはちゃん!? なんで雄一君に聞くん!? 聞くなら私に」

「下から見てるとよく見えたんだが、」

「聞いて、って言うてる間に雄君が説明しとる!? さっき謝ってたんは何やってん! ここは私の見せ場やろ!」

「そこまで言うなら。はやて、説明任せた!」

「説明よろしくね! はやてちゃん!」

「二人とも敵か、敵なんか!? というか、いつの間に打ち合わせしたんや!?」

「「全部アドリブ」」

「嘘やろ!? ・・・・・・ああ、もうええわ。雄君、私疲れたから説明頼むわ」

「任せろ、って言いたいところなんだけど、俺にも判らないところがある。その説明は頼んだ」

「私の見せ場奪ってそれか・・・・・・任されたるから、早よ始めや」

 

疲れたように、額を押さえるはやて。

その反応に首を傾げつつ、雄一はなのはに向き直った。

 

「まず、なのはに聞くけどはやての攻撃に何か違和感はなかったか?」

「・・・・・・そういえば、最初に受けた砲撃とそれからの砲撃の威力が変わっていたような気がする」

 

雄一の確認に、心当たりのあったなのははすぐに応えた。

なのはの応えに、雄一は頷く。

 

「その感覚は正しい。さっき連動って言ったけど、あのスフィアからはナイトメアと同じ威力の砲撃が放たれていた」

「どういうこと?」

「つまり、あのスフィアを置いてあると、実質二本の砲撃が飛んでくるって事」

「あ!」

 

雄一の説明に、なのはは思い出す。

一撃目の後に続いた砲撃を防ぎながら、攻撃が軽いと感じたことを。

 

「そうか、あの時そう思ったのは、はやてちゃんの魔力が減ったからじゃなくて、本当に二倍の攻撃があったからだったんだ」

「そういうこと。で、俺が判らないのはここからなんだが」

 

雄一は説明を一旦区切り、はやてに目を向ける。

 

「デバイスがないはずのはやてに、なんでそんな魔法の処理能力があるんだ?」

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