リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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本日二つ目、そしていよいよGOD編です!
ィヤッホー!


第百六十七話 始まりと過去

三月末日に起きた『砕けえぬ闇』事件。

その始まりは人によって様々だったが、榊雄一にとっての始まりは一本の通信からだった。

がうれしそうにちゅういを

 

「さて・・・・・・制服よし、復学用の書類よし」

 

四月から復学することが決まっており、雄一は必要なものを改めて確かめているところだった。

この復学については、一年のほとんどを行方不明だったことが問題となったが、『イギリスの親戚に引き取られていた際に親戚も雄一も書類の事を失念していた』と言うストーリーをグレアムとともに作るとともに、学力試験で問題ない点数を取ることで納得させた。

ただ、流石に年度が残り三ヶ月で終わる時期に復学を申し出ても、時期が中途半端ということで新年度を待つこととなったのだった。

そんな中、待機状態で机に置かれていたカナメが、受信を告げたのだ。

 

『主殿、イタチから通信が来ておる』

「イタチ・・・・・・ああ、ユーノか。あいつは今日なのはと採掘に行くって言ってなかったか?」

 

三月ももう終わろうかと言うこの頃。

世間は春休みであり、なのははこの休みを利用してミッドチルダを訪れたり、スクライアの集落を訪ねたりしていた。

その流れで、なのはは『今日は発掘を体験する』と張り切っており、ユーノが嬉しそうに注意点を教えていたはず。

ちなみに、フェイトは家族でミッドチルダに出向いており、はやて達のうちシグナム達は管理局へ出向いている。

そんな時に届いたユーノからの通信に、何かあったのかと考えつつカナメに展開を指示する。

 

「カナメ、とりあえず繋いでくれ」

『あ、雄一! 朗報だよ!』

「待て待て! いきなりどうした!? 少し落ち着いて話してくれ」

『前に君に頼まれていた件、アポが取れたんだ!』

「っ、本当か!?」

 

宥めようとした雄一だったが、ユーノの言葉に身を乗り出した。

ユーノの言う『前の件』とは、模擬戦の後にユーノに頼んだことだ。

雄一が頼んだのは、両親に親交のあったスクライアを探してもらうことだった。

両親の、特に父の職業柄、その数は多くなるのではと考えたのだが、思わぬことから一人目でヒットしたのだった。

 

「いつだ!?」

『今からでもって! ミッドのクラナガンの喫茶店に来るらしいけど、雄一の都合はどうかって!』

「もちろん行かせてもらう! 伝えておいてくれ!」

『判った! お店の位置をカナメに送っておくね!』

「ああ、助かる!」

 

礼もそこそこに通信を切ると、雄一はコートを羽織るととカナメ達を手に取りポケットに納め、ミッド行きのポートを利用するためアースラに跳んでいった。

 

 

 

「・・・・・・そうですか」

 

そうこぼすと、雄一の前に座る男性は目元を擦った。

男性の名はロベルト・スクライア。

彼に、ユーノが春臣達の事を聞くと、あっさり知っていると返したらしい。

そこで、雄一のことを話すと、すぐに会おうとしたらしいが、その頃は発掘が山場を迎えており手を空けることができず、一区切りつくまで待つ必要がありこの時期になったのだった。

ユーノの父である彼は、喫茶店に息を切らせて駆けてきた雄一に、春臣の面影を見て取ったとして声を掛けてきたのだった。

挨拶もそこそこに、ロベルトは春臣達の消息を求めたので、雄一は思い出す限りの事を話した。

そして、今際の事を話すと、ロベルトは静かに瞑目し涙をこぼしたのだった。

 

「突然音沙汰が無くなったので、何かあったのではないか、と案じていたのですが、まさか亡くなったとは。雄一君。教えてくれてありがとう」

「いえ。ただ、私も教えてほしいことがあるので、そちらで答えてくれると助かります」

「教えてほしいこと、ですか」

「はい。父が亡くなる直前、何を研究していたのかを」

「・・・・・・何故そのようなことを?」

 

雄一の言葉に、ロベルトはすっと目を細めた。

 

「推測ですが、父は口封じに殺された、と私は考えています」

「っ!? どういうことですか」

 

雄一は、<アルス・マグナ>のことは伏せつつ、そこで見たことを語った。

そして、その火事の不審な点も。

 

「火元が複数、それも中にも外にもあって、しかも発火元になったものが特定できない。家の外の火元とされる場所からはタバコなどの火を発して燃えるものの灰などは見つからなかったそうです。状況は不審ですが、とりあえず放火ということで落ち着きました。ですが、こうして魔法というものを知った以上、もしや、と考えないわけにはいきません。そして、両親が魔法に関わっており、片方は管理局員、もう片方は考古学者。澤にそこにロストロギアという存在を絡めれば、『ロストロギアの危険性を主張する管理局によって、両親が殺された』という絵が見えてきました。だからこそ、父が直前に調べていたものを探り、関わった人を辿る中で真相も見えてくると考え、こうしてお時間をとってもらったわけです。何かご存知の事はありませんか」

 

雄一の確認にロベルトはしばし口を閉ざしていたが、やがて言葉を選ぶようにゆっくりと話した。

 

「ここで惚けたところで、グランガイツさんやゲイズさん達もある程度は知っていることですから、そちらから聞くことになる、か。それくらいなら、私から伝えた方が手間もないでしょうし・・・・・・」

「では、教えてくれると?」

 

逸りながらも確認する雄一に、ロベルトは真剣な表情で頷いた。

 

「ええ。お話しましょう。ただ、少々長くなりますから覚悟してください」

 

そう言うと、ロベルトは飲み物を手に取り少し舌を湿らした。

 

「まず、春臣が調べていたのはある存在についてでした」

「ある存在?」

「君も聞いたことがあるかもしれません。かつて実在したとされ、虚数空間に消えたとされる理想郷アルハザードの事を」

「っ、確かに聞いたことがありますね」

 

かつてプレシアが目指した世界の名が挙がり、雄一は眉を顰めた。

 

「父はアルハザードの存在を信じていた、と?」

「そうです。そして、その足掛かりとして古代ベルカに目をつけました。古代ベルカの戦争についてはご存知ですか?」

「詳しくは。ただ、最後は聖王家が勝利し統一した、ということと多くの兵器が用いられたということだけです」

 

これらは、闇の書事件の際リインフォースを助けるための情報を捜す際に知ったことだ。

雄一の回答に、ロベルトは一つ頷きを返すと再び口を開いた。

 

「そう。そして、その古代兵器がアルハザードから齎された、あるいは齎された技術で造られたものではないか、とされているのです」

「確かですか?」

「さて、ただひっそりと支持される説ではあります。何せ、伝承にある古代兵器は明らかにオーパーツと言える代物ですから。ただ、それを後のことを考えず自国以外の人を、いえ、自国以外の世界を滅ぼさんとするほど運用する時代。それが古代ベルカの戦乱でした。中には、人も物も問わず全てを腐らせる毒や死体を材料に増殖する兵器もあったとされます」

 

ロベルトが挙げた兵器の例に、雄一は肩を落とした。

 

「聞く限り、とんでもない物ばかりですね。それでは、『関係者を殺してでも存在を秘匿する必要がある』という条件で絞り込むことは諦めた方がいいかもしれません。どれも危険性が高すぎて条件に引っかかりそうです。他に何か手がかりはないでしょうか」

「あとは・・・・・・ああ、そういえば、春臣が以前言ったことがありました」

「何ですか!?」

「それを話す前に。春臣の最後の仕事というと心当たりがあります。私も参加していた、ミッドで行われた規模の大きい発掘だったのですが、その当時私は別の発掘も掛け持ちしていまして。それで、そちらで発見があったということでチームを一時抜けてそちらに専念することになったんです。そんな中、春臣から通信が入りました。なんでも、そちらでも大きな発見をしたとか。それもただの発見ではなく、ベルカの歴史を大きく揺るがすほどのものだとか」

「ベルカの歴史を揺るがす大発見、ですか」

 

随分な大風呂敷に感じるが、もしそれが真実なら?

判断がつかず雄一はロベルトを頼る。

 

「ロベルトさん、その状況を踏まえて、心当たりはありませんか?」

「正直外れてほしい予想ですが・・・・・・一つ思い当たるんです」

「そうですか・・・・・・え、思い当たるんですか!?」

 

いくらなんでも条件が曖昧すぎるだろうと、雄一は頼った身ながら答えを期待できなかったのだ。

目を丸くする雄一に、ロベルトは重くなる口を動かすためか、再度カップを傾ける。

 

「私が予想するその遺物、それはかつて聖王家が所有し、ミッドチルダへ不時着し姿を消したとされる空中機動戦艦、通称『聖王のゆりかご』です」

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