リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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第二十二話 前座と乱入者

「あ痛たた・・・・・・思いっきり殴りやがって・・・・・・顔変わるかと思ったぞ」

「ふんっ、あんたが悪いんじゃないか!」

「////」

 

顔を撫でながら愚痴ると、犬の姿になったアルフが睨み、フェイトが顔を紅くする。

今は、治療を済ませてジュエルシードが発動した場所へ向かっているところ。

え、治療?

見えている腕や背中の一部を処置しただけだよ。

一応結界張ったとはいえ服を脱がせるわけにもいかないし・・・・・・フェイトの肌は綺麗だったけど。

 

「雄一?」

「はい、すみません、何も覚えていませんし何も考えていません、ですけど申し訳ありませんでした!!」

 

背後から吹き付けた殺気にすぐさま頭を下げる。

恐ぇよ、アルフ・・・・・・だって牙剥いてグルグル唸ってるし。

 

「!? 見えたよ、二人とも」

恥ずかしさから先行していたフェイトが一番にジュエルシードを発見して注意を促す。

 

「ちっ、後でまた話すよ、雄一!」

「結構で・・・・・・はい、分かりました」

 

反射的に断ろうとして、睨まれたから慌てて修正。

こっちに集中して意識を切り替える。

ジュエルシードが発動したのは海鳴臨海公園の中。

ユーノが張ったものだろう、結界に突っ込む。

ジュエルシードを取り込んだ樹が腕のように伸びた枝を広げて咆哮を上げているのを見て、叫ぶ。

 

「何で、何でまた被ってるんだよ!! 樹も前にあったじゃねえか!! 海辺なんだから魚で来いよ!!今すぐやり直して出てきやが」

「喧しい!!」

 

ゴッ!

 

「あがぁ!?」

 

魂の叫びはアルフの一撃で止められた。

フェイトは背後の騒動を気にかけずにフォトンランサーを撃ち込んだ。

魔力弾はまっすぐ樹に向かい、樹が張った障壁で受け止められた。

 

「へえ、生意気にもバリアまで張るのかい」

「うん。今までのよりも強いね。それに」

 

俺との騒ぎを切り上げて、真面目な声になるアルフ。

アルフに頷いたフェイトは少し視線を動かした。

フェイトの視線の先、レイジングハートを構えるなのはの姿があった。

 

「あの娘もいる」

--ウオォオオオ!!--

 

フェイトに気がつき振り返ったなのはの隙をつくように、ジュエルシードは地面を突き破って根を突きだし、鞭のように振るった。

なのはは飛行魔法を展開し鞭の起こした風で上空へ飛び上がった。

さて、此処でそれぞれの位置関係を確かめよう。

なのはは上空に、フェイト達も傍にいてジュエルシードまで障害は無し。

よし・・・・・・やるか。

 

「それじゃ、一番槍は貰うか。二人とも、俺の視界に入るなよ! 焼き尽くせ、<バーラ・ルー>!」

 

視界に二人が入らないよう注意しつつ、灰色になった視界にジュエルシードを捉える。

ジュエルシードは異変に気がついてすぐに根を盾にしてしまったから灰になった部分は少なかったが、根は大部分が灰に変わった。

さらに、フェイトはバルディッシュを腰だめに構えると、

 

「アークセイバー、いくよバルディッシュ!」

<Arc Saber>

 

バルディッシュを鋭く振るって魔力刃を放つ。

魔力刃は突き出ている生き残りの木の根を切り裂き、ジュエルシードの張った障壁にぶつかり衝撃を撒き散らす。

 

<Shooting mode>

「いくよレイジングハート、撃ち抜いて!」

 

上空のなのはが砲撃モードになったレイジングハートの矛先をジュエルシードに向けて構える。

 

「ディバイン!」

<Buster>

――オオオオオオオオ!!――

 

上空から打ち込まれた砲撃にジュエルシードは圧力で地面にめり込み、苦痛の悲鳴を上げる。

追撃とばかりにフェイトが新たな術を展開する。

複雑に手を動かして幾何学模様を描いていく。

 

「貫け轟雷」

 

地面に描かれた魔方陣ともう一つ、中空にジュエルシードを向いた魔方陣が展開する。

それをめがけてフェイトはバルディッシュを振りぬいた。

 

<Thunder Smasher>

 

振りぬかれたバルディッシュが魔方陣に接触すると、魔方陣から雷を纏った砲撃が撃ち出された。

両者から砲撃を叩きつけられたジュエルシードは必死に障壁を維持しているが、すでに障壁は大きく揺らいでいた。

 

「悪いが、お前は前座で本命はあいつ等なんだ」

 

手に鋭く尖った瓦礫を引き寄せながら、一人ごちる。

瓦礫の先端はジュエルシード、樹の中心を剥いている。

 

「だから・・・・・・テメェは舞台を降りろ!ぶち抜け、<ルー・グー>!!」

 

ドズゥ!!

--オオオォオオォオオオッ!!--

 

撃ち出された瓦礫が樹の幹を鈍い音と共に貫通し、障壁を広げる間もなく貫かれたジュエルシードが苦悶の叫びをあげる。

瞬間、ダメージで障壁が薄れ、二人の砲撃が樹を撃ち抜いた。

撃ち抜かれた樹からジュエルシードが剥離し浮かび上がる。

 

<Sealing mode,Setup>

「ジュエルシード、シリアルⅦ!」

<Sealing Form,Setup>

「封印!」

 

二人が封印処置をジュエルシードに施す。

途端、膨大な光がジュエルシードから広がった。

 

「くっ!?」

 

反射的に眼を閉じてしまったミスに、内心舌を打ちつつ光が治まると同時にデバイスをジュエルシードに向ける。

だが、ジュエルシードにはそれ以上の動きはなく、俺は胸を撫で下ろした。

みれば、なのは達もデバイスを構えジュエルシードを警戒していた。

 

(よかった。また昨日のような暴走が起きたのかと思った・・・・・・)

 

一人警戒を解いて、デバイスを構えあう二人の元へ歩いていく。

 

「ふう、終わったか。なのは、そっちは大丈夫か?」

「ふえ? 雄一君? なんでここに? 今日お休みだって、あれ? それより何でフェイトちゃんといるの?」

 

なのはの様子を見ようとしたら、こっちに気がついたなのはは目を丸くしていた。

フェイト達と俺を交互に見て目を白黒させている。

 

「ああ、今日はフェイトの家に行くことになっていたんだ。母親に報告に行くとかで」

「え、えええええええ!!!?」

 

途端、なのはが頓狂な声を上げた。

 

「~~~~~~っ!! み、耳痛ぇ!? なのは、いきなり何を!?」

「だ、だってだってだって!? 雄一君が、フェイトちゃんのお母さんにご挨拶なんて!?」

「・・・・・・はぁ?」

 

なのはは何に驚いてるの?

家族に挨拶することの何が問題なんだろう?

 

「(雇われた人間として)挨拶するのは当然だろ?」

「(恋人として)挨拶なんてまだ早いと思うの!」

「挨拶に早いも遅いとない思うんだが?」

「そんなことないの! 私達まだ小学生なんだよ!? そういうことはもっと大人になってからじゃないと!?」

「???」

 

なんだろう。

何かなのはと俺で認識にとても、とても大きな違いが有るような・・・・・・。

 

「なぁ、フェイト。なのはが一体何を言っているのか」

「あぅぅ・・・・・・////」

「分かる、か・・・・・・ってお前もか」

 

フェイトに意見を聞こうと振り返ると、フェイトも何があったのか顔を紅くしている。

もしかして、さっきの治療のことを思い出して・・・・・・意識したらこっちの顔も赤くなってきたようだ。

 

「にゃああああ!! 何、二人してその反応!? 一体何があったの!?」

「な、なんでもない! あれはあくまで医療行為であって」

「そ、そうだよ! ちょっと肌に雄一が触れて、あぅ」

「待ったフェイト!その発言はなんかやばい気がする!」

「は、肌に触った!?ど、どういうことなの、雄一君!?教えてくれないと・・・・・・レイジングハート!!」

「お、落ち着けぇ!!」

 

どんどん収拾がつかなくなっていった。

その中、まだ僅かに残っていた冷静な思考が何か忘れていると訴えていた。

 

「なのは!早くジュエルシードを!」

 

突然の声に見下ろすと、今まで何処にいたのかユーノの姿があった。

正直助かった。

ユーノのおかげで、矛先はジュエルシードに向いたようだ。

胸を撫で下ろしていると、

 

「っ!」

 

フェイトが先に動いた。

慌ててなのはも追う。

 

「フェイトちゃん!! ジュエルシードも雄一君も・・・・・・渡さない!!」

「母さんのために・・・・・・絶対に手に入れる!」

 

フェイトがジュエルシードめがけてバルディッシュを突き出す。

一歩遅れて、なのはがレイジングハートを突き出した。

その光景に俺は顔から血の気が引いた。

 

「(やばい・・・・・・二人とも、冷静さを失ってやがる!)あ、アホかぁああああ!! お前達はまたジュエルシードを暴走させる気か!!」

 

だが叫び虚しく、杖がジュエルシードめがけて放たれ、

 

「ストップだ! 此処での戦闘は危険すぎる!」

 

間に現れた少年によって受け止められた。

 

 

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