リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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第二十四話 招待と正体

「こっちだ。かあさ・・・・・・艦長がお待ちだ」

クロノが先導して歩いていくので、なのはとともにその後ろについていく。

 

「ああ、君たちもバリアジャケットを解除するといい」

 

振り返って言うクロノの言葉をばっさり斬り捨てる。

 

「敵地で武装解除を迫るのはどうかと思うぞ。しかも自分は武装した状態で、だ。まず自分で示してから薦めるべきじゃないか?」

「くっ・・・・・・ああ、わかったよ!」

 

クロノは言葉に詰まると、杖を待機状態に戻した。

服装も、二の腕に突起のついたバリアジャケットから時空管理局の制服か青地の服装に変わった。

 

「ほら! これで文句は、ってなんだその顔は!?」

うん、クロノにそう言われても仕方ない。

思いっきり眼を見開いてたし。

「いや・・・・・・そんなあっさり解除するとは思ってなくて」

「お前が言ったことだろ! ・・・・・・ったく、ほら君達も」

「あ、うん」

 

クロノに促され、なのはがバリアジャケットを解除し、俺もカナメに解除させる。

 

「君も思ったよりあっさりと解除したな」

「それはさっきの意趣返しのつもりか、執務官?」

 

クロノの冗談に返しつつ、いくつかの確認をしていく。

周りに、すぐに魔弾に使えそうなものは無し。

現状武器になるのはカナメと仕込んであるナイフが六本。

念のために武器を確認していると、カナメが念話をよこした。

 

『<主殿、<クフ・リーン>に制約が効いているか試しておくのがよかろ?>』

「<制約? 確か、<クフ・リーン>のは足の位置の固定、だったか?>」

『<うむ。次元空間航行艦船、というたか? 私の予想が正しければ、おそらく制約が働いておるじゃろう>』

 

まさか、と思いつつ一応、足元の影にも念話で声をかける。

 

「<<クフ・リーン>? 動ける、か?>」

――・・・・・・――

 

だが、影は人間の姿のままだ。

念話への答えもない。

カナメの推測どおり、アースラの中も制約が働いているようだ。

嫌な汗が背中を伝うのを感じる。

 

「雄一君? どうしたの、怖い顔しているけど?」

「!? なのはか、いや、なんでもない」

 

なのはに呼ばれて答えるが、厄介さにまた思考が沈んでいく。

<クフ・リーン>も<ルー・グー>も使えない。

攻撃には<バーラ・ルー>もあるが、手加減は効かないし、夜には使えなくなる。

攻撃手段を一度に複数失うことになるとは・・・・・・。

 

(これは、何か対策を立てなきゃいけないな。『空白の契約書』を使った複数起動も多用していかないと)

「ふええええええええ!!??」

 

考え込んでいると、なのはの大声が思考を粉砕していった。

思考に沈んでいる間に何かが起きたようだ。

 

「~~~~っ!? なのは、大声出してどうし、た?」

 

痛む耳を押さえつつ振り向くと、眼に映ったのは目を丸くしているなのはと、

 

「なのは?」

 

俺達と同じくらいの年だろう金髪の少年がいた。

・・・・・・誰?

 

「えっと、えっとユーノ君って、そ、その、う、ウソ、ふえええ!!!」

 

うん、混乱する気持ちはよく分かるよ、なのは。

って、ユーノだと?

いやいや、そんなまさか、と否定しつつ念のため少年に素性を問う。

 

「・・・・・・どちら様でしょうか?」

「ゆ、雄一も何を言ってるのさ!? 僕だよ、ユーノだよ!」

 

あっさりと、否定が覆されました。

うん、それは分かるよ?

けど、その問題の意味を気がついてないのかこいつは。

 

「君達の間で何か見解の相違でも?」

 

クロノが聞いているけど、こっちに答える余裕はない。

ああ、あったよ、とんでもない誤解が!!

 

「え? でも、初めて会ったときは人間の姿だったよね!」

「違うよ! 最初っからフェレットの姿だったよ!!」

 

なのはに反論されてこっちに視線を向けるユーノに頷く。

俺達の反論にあって改めて記憶を探るユーノ。

やがて、

 

「んー? ・・・・・・あ、あああ!」

 

思い出したのか、大声を上げるユーノ。

 

「そうだ、そうだ、ご、ごめん。この姿は、見せてなかったね」

「だよね、そうだよね! ああ、びっくりした」

「びっくりしたで済ませていいのか、これ? それよりも」

「その、ちょっといいか?」

あっさりと流すなのはに呆れつつ、ユーノをしばこうとしていると、クロノが咳払いしながら割り込む。

 

「君達の事情はよく知らないが、艦長を待たせているので、できれば早めに話を聞きたいんだが」

「悪いがこっちのほうが重要な案件になった。ちょっと待ってて、ああいやむしろ意見を聞きたい!」

 

前に温泉でした祈りは無駄だったようだし。

管理局という餅屋も来たんだから丁度いいだろう。

ミッドチルダの規定について、早速クロノに聞いてみることに。

 

「なあ執務官。一つ尋ねたいんだが、管理局では魔法の悪用についてどういう措置を取っているんだ?」

「なんだ突然? 程度に応じて、といったところだ。それで、話の流れから察するに、こいつは何かしたのか?」

「小動物に化けて覗き行為」

「それは・・・・・・ちょっと許せないな」

「え!? 二人とも!」

 

二人してユーノに軽蔑の意を込めて視線を向けると小動物の直感か、こちらに焦ったように割り込もうとする。

 

「二人とも、僕は別にそういうつもりは」

「「黙れ近寄るな淫獣」」

「酷いよっ!」

「それで、どういった処置になる?」

「そうだな・・・・・・魔力封印をして本当の小動物にするか?」

「ちょ、本気!?」

「生ぬるいな。いっそ潰すか」

「何処を・・・・・・いや、やっぱり言わなくていい、分かったから!」

「そうか・・・・・・ちっ」

「え、何? なにをするつもりだったの!?」

「え? それはもちろん去せ」

「わああああ!! 分かったから、言わなくていいから!!」

「で、艦長を待たせているんだったな」

「「「このタイミングで話を戻すの(か)!?」」」

 

十分からかって満足したからいいんだよ。

ああけど、

 

「今やると、ジュエルシード集めに関わりそうだから後回しにするだけだ。あとで何かしらのペナルティは負わせるぞ」

 

宣告すると、ガタガタと震えだすユーノ。

大丈夫だって、恭也さんに知らせるだけだから。

 

『<主殿、それは十分に死刑宣告じゃと思うぞ?>』

 

大丈夫だって。

士郎さんじゃないだけ優しいと思うよ、俺は。

 

「理由はともかく、話が進むならこっちに文句はないよ。艦長室はこっちだ。ついてきてくれ」

 

再度咳払いしたクロノについて歩くことしばし。

一室の前でクロノが足を止めたので、同じく立ち止まる。

 

「艦長、来ていただきました」

クロノの言葉と共に自動で扉が開いた。

室内の光景があらわになって、

 

「「は?」」

中の光景を見た俺となのはの目が点になった。

棚には多数の盆栽が置かれて、一段高くなっている畳の上には茶器一式。

畳の傍には鹿威しまである。

わざわざ水を循環させているのか?

なんだろう、この外国人が無理やり野点のイメージで作った、間違った日本像とでもいう様な雰囲気のこの部屋は。

艦長室、だったよな目的地。

いや、畳の上にさっきモニター越しに会ったリンディさんが正座しているけど・・・・・・。

 

「お疲れ様。まあ、御三人ともどうぞどうぞ楽にして♪」

 

正座しながらにこやかに言う、リンディ女史の薦めに応じて、畳に正座する俺達。

 

「どうぞ」

「あ、どうも」

「ありがとうございます」

 

差し出された抹茶と羊羹を受け取る。

礼儀として一応口をつける。

なのはにも同じ物を出しているから薬の心配はないと思うが、念のため口をつけるだけで飲む真似だけだ。

しばし、お互いに会話の糸口を探してか、場に無言が降りる。

「それで、早速だけど貴方達が事件に関わった経緯を教えてくれるかしら?」

 

会話の口火を切ったのはリンディさんだった。

俺はユーノに視線を移す。

気がついたユーノは一度頷き口を開いた。

 

「それについては僕から。たぶん、僕が語るべきことですから」

 

 

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