リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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予約投稿をミスって明日になるところでした。
ギリギリですが、お楽しみください。


第二十九話 加勢と共闘

空に現れた俺達を重力が捉え、自由落下を始める中、なのはに声をかける。

 

「それじゃ、やりますか」

「うん! いくよ、レイジングハート! 風は空に! 星は天に! 輝く光はこの腕に! 不屈の心はこの胸に!」

 

頷いたなのはが詠唱を始める。

 

「レイジングハート、セットアップ!!」

<Standby Ready>

 

詠唱完了と共に白いバリアジャケットがなのはを覆う。

 

「へえ? なのははああいう詠唱があるのか。カナメにはないのか?」

『別に要らんじゃろ?』

「違いない。それじゃ、俺達も。バリアジャケット、セットアップ」

『うむ。<Setup>』

 

こちらも執事服に切り替わる。

 

「レイジングハート!」

「カナメ」

<Flier Fin>

『行くがよかろ。<Flier Fin>』

 

なのはが飛行魔法を展開し、落下速度を落としつつ降りる横を、俺は逆に翼を動かすことで落下速度を速めて堕ちる。

向かう先は雷に捕らわれているアルフ。

雷めがけてカナメを振り下ろす。

 

「斬り裂け、<沙波>!」

 

<沙波>で雷を斬り払いアルフの拘束を解く。

 

「!? 雄一かい!? あんた一体何を!?」

「別におかしくないだろ。助けに来た、ってやつだよ」

「け、けどあんたは管理局についたんじゃなかったのかい!?」

 

追撃に放たれる雷を、袖から抜き放ったナイフを<ルー・グー>で打ち出した魔弾で撃ち落しながら答えると、アルフは信じられないと首を横に振った。

 

「確かに管理局に協力していたが、今回はそれ以上に優先する理由があったんだ」

「理由?」

「お前との契約だ。『フェイトを守ること』ってな」

「覚えてたのかい・・・・・・」

「当然。『契約者は契約を違えない』。ただ、」

「どうしたんだい?」

「今回はなのはの仕事か、と思ってな」

 

見上げると、なのはとフェイトが言葉を交わす姿があった。

二人の姿を見たアルフも目を細める。

彼女達から眼を離し、もう一方の袖から新たにナイフを抜き、手に構える。

 

「だから、二人の邪魔はさせない!」

 

既に雷を幾筋も切り裂いた、初弾に放ったナイフがボロボロになってきたのを見て、最大出力の<ルー・グー>を叩き込みジュエルシードの一つめがけて撃ち込む。

勢いよく竜巻に飛ぶナイフだが、風の守りを突破することはできず弾かれてしまった。

 

「駄目かい?」

「ああ、ナイフじゃ軽すぎるんだ。もっと重量があるものでないと・・・・・・」

「けど、こんな海の上でそんな物は」

「無いだろうな。だから、後は接近戦しかないよなぁ!!」

 

カナメを手に竜巻へ突っ込む。

新たな獲物として認識したか、風や雷が牙を向けてくる。

雷を払い、風を受け流していき、

 

「まず、、一本! 打ち消せ、<沙波>!」

 

竜巻の一本に向けてカナメを振り抜く。

カナメの刀身が風の守りを斬り裂いた。

切り口から風が解れていき、徐々に広がりジュエルシードが露出する。

 

「カナメ、今だ!!」

『いや、駄目じゃ!!』

 

カナメの制止に慌てて止まった目の前で再びジュエルシードが勢いを取り戻し、体が吹き飛ばされた。

 

「ちっ、駄目か・・・・・・」

 

空中で体をひね、体制を立て直す。

 

『無事か、主殿!?』

「ああ。けど、何で封印できなかったんだ?」

『ジュエルシードが集まりすぎておるんじゃ。二つや三つ程度ならまだよかったのじゃが、六つ固まっておるせいで封印する端から魔力を溜め込んで封印を解いてしまうのじゃろ』

「つまり一度に封印しないと駄目ってことか」

『うむ。しかも、封印をすぐに叩き込めるなら別じゃが、<沙波>を使っておってはそうもいかん』

「つくづく難儀な・・・・・・」

 

さらに増した状況の悪さに歯噛みしていると、

 

「チェーンバインド!」

 

背後から延びた鎖が竜巻を縛り上げた。

振り返ると、鎖の根本を必死の表情で握りしめているユーノの姿があった。

 

「ユーノ! 来たのか!」

「うん・・・・・・けど、これは・・・・・・ちょっとキツイ・・・・・・かな、うわぁ!!」

「ユーノ!!」

 

言うが早いか、途切れ途切れに答えていたユーノが風に振り回される。

 

「ええい、引き寄せろ、<ルー・グー>!」

 

引力を働かせてユーノを引き寄せようとするが、飛行魔法とはいえ空中で踏ん張りが利かないこととユーノを捕らえる風が強いことで、引き寄せることができない。

さらに悪いことに、<クフ・リーン>ほどではないが移動が制限されてしまう。

 

「くそ、じり貧じゃねえか!」

 

毒づきあたりに視線を向けると、足元にユーノの伸ばす鎖が揺れている。

 

「カナメ、飛行魔法を解いてくれ!」

『な!? 一体どういうつもり・・・・・・いや、なるほど、承知した!』

 

反論しようとしたカナメだったが意図を察し、すぐに飛行魔法を解除する。

俺の身体は再び重力に引かれる事になるが、落ちる中揺れている鎖を捉えて足をかける。

だが、これで足場を得た、と考えたが甘かった。

ユーノの揺れをダイレクトに受けることになった上動けずにいると、こちらのピンチを悟ったのか、風が勢いを増す雷が光条を増す。

 

「くぅっ!?」

「うわぁ!?」

 

雷が掠めて呻く。

 

(動くに動けねえ・・・・・・けど、ここでユーノを離すとユーノにつれて鎖が振られて、最悪ちぎれる。鎖に乗ったのはまずかったか!?)

 

再び、打開策を求めてあたりに目を向ける。

すると、

 

「チェーンバインド!!」

 

新たな鎖が竜巻に絡みつきさらに風の勢いを落とす。

思わぬ増援に見上げると、魔法陣から鎖を伸ばすアルフがいた。

 

「ク・・・・・・ウアァアアアア!!」

「!? 雄一、もういい! 僕はもう大丈夫だから!」

 

鎖を引きながら咆哮を上げるアルフ。

アルフの援護で力比べには余裕ができたのか、ユーノが体勢を立て直す。

 

「分かった。後は頼むぞ!」

 

ユーノに頷き、<ルー・グー>の干渉を解いた。

干渉が解けたユーノの体は、しかし今度は揺らがず竜巻を抑えつける。

大丈夫そうなのを確認して、なのはとフェイトに念話を送る。

 

「<なのは、フェイト!>」

「<雄一君!?どうしたの!?>」

「<雄一・・・・・・何しに来たの?>」

 

なのはは驚きの顔で、フェイトはこちらの様子を窺うようにしながら、こちらを振り向いた。

 

「<二人とも、今からジュエルシードを封印する。けど、俺じゃあ無理だ。二人の力を貸して欲しい。だから今から言うとおりにして欲しいんだ>」

「<・・・・・・分かった、何をすればいいの?>」

「助かる。まずは、状況を説明するぞ。あのジュエルシードは」

 

声が聞こえる範囲に近づいて肉声に切り替え、作戦を伝える。

作戦を聞き終える頃には、

 

「分かったの! フェイトちゃん、ユーノ君とアルフさんが止めてくれている内に三人で力を合わせよう!」

目を輝かせたなのはが風を切って所定の位置へ飛んでいく。

「フェイトはどうだ?」

「私も大丈夫。雄一も頼んだよ」

 

なのはを見送り、フェイトに問うと、フェイトも力強く答えてくれる。

そのまま背を向けて飛ぼうとするフェイトに声をかける。

 

「そうだ、フェイト」

「何?」

「これが終わったらジュエルシードは全て発見されたことになる。残りはお互いの持つものだけだ」

「・・・・・・うん、そうだね」

 

フェイトの眼に鬼気が宿る。

こちらに僅かな隙を見出せば、バルディッシュをこちらに向けていそうな眼だ。

だが、

 

「だから、これが済んだらまた食事を作りに行くよ」

「へ?」

 

唐突な話題の転調についていけなかったらしいフェイトが気の抜けた声を出すのに、してやったりと笑いかける。

 

「何かリクエストがあれば言っておけ。アルフに聞いたら肉料理にしかならないし」

「・・・・・・ぷ。アルフが聞いたら怒るよ?」

 

堪え切れなかったらしい笑いをこぼすフェイトに肩をすくめてみせる。

 

「ん、もう大丈夫。それじゃ、雄一、行って来るね」

 

今度こそ飛んでいくフェイトを見送り、カナメに言う。

 

「カナメ、足場を用意してくれ」

『ふむ。策は了解した。なら<Round Shield>』

 

カナメが宙に展開した魔方陣。

丁度目の前にあるそれの正体を問う。

 

「これは?」

『障壁を利用した即席の足場じゃ。そこなら撃てるじゃろう』

 

カナメに礼を言いつつ、立ち位置を再確認する。

竜巻を、俺を頂点になのは達を底辺とした二等辺三角形で囲む形になる。

 

それを確認し、二人に念話で合図を送る。

 

「それじゃ、行くぞ!」

「<うん、せーの!>」

「<サンダー>」

「<ディバイン>」

 

フェイトの足元に巨大な魔方陣が広がり、なのははレイジングハートに多量の魔力を集める。

そして俺も、足場を確かめ声を投げる。

 

「さぁ、出番だ相棒」

 

残った四本のナイフを<ルー・グー>で打ち込む。

今度は風の守りを食い破り、ジュエルシードに突き立ったが、すぐさま風が勢いを取り戻していく。

だが、これで細工は完了。

 

「レイジ!」

「バスター!」

 

二人の砲撃が放たれる。

魔方陣から発生した雷が竜巻に襲い掛かり、守りを剥ぎ取り、同時に放たれた砲撃がジュエルシードを飲み込んだ。

刹那、

 

「駆け抜けろ、<クフ・リーン>!!」

 

反対方向から伸びた山犬の影がジュエルシードまでにある障害を粉砕しながら駆ける。

影はジュエルシードを挟み砲撃と衝突し、

カッ!!

砲撃の余剰の破壊力を飲み込んだ。

 

「・・・・・・はぁ、上手くいったか」

 

止めて息を吐きつつ見た先には、輝く六個の宝石が静かに浮かんでいるのだった。

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