リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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いよいよ、あの技が登場します。
此処で一言、非殺生設定って何のためにあるんでしょう?


第三十四話 真剣勝負となのはの答え

Side第三者

 

朝の冷たい空気の中、激しい音を立てて二つの影がぶつかり合う。

 

「っ!?」

「くぅっ!? バルディッシュ!」

<Photon Rancer>

 

幾度目かの鍔迫り合いの後、距離をとったフェイトがフォトンランサーを展開する。

 

「!? レイジングハート!」

<Devine Shooter>

 

応じてなのはもディバインシューターを展開する。

 

「ファイア!」

「シュート!」

 

お互いの魔力弾が相手を撃ち落とさんと迫る。

なのはは一撃一撃を回避しフェイトに迫り、フェイトは大きく魔力弾を回避しある地点でまとめてシールドで防いだ。

その対応が明暗を分けた。

フェイトがなのはに再度デバイスを向けようとし、

 

「!?」

 

その姿を見失ったことに気がついた。

そのなのはは、再度アクセルシューターを展開しながらフェイトの死角に回り込んでいた。

 

「シュート!」

「!? バルディッシュ!」

<Scythe Form>

 

なのはが五発の誘導弾を放つと、なのはの姿に気がついたフェイトはバルディッシュを鎌に変えて迎撃に出た。

魔力刃で四発を切り捨て五発目を回避、その勢いでなのはに鎌を振りおろす。

 

<Round Shield>

 

レイジングハートが障壁を張り魔力刃を受け止める。

 

「っ!?」

 

障壁と魔力刃が激しい火花を上げて干渉しあう。

そのなか、なのはは障壁で魔力刃を受け止めながら、意識を集中する。

フェイトの背後、上空から先ほどフェイトに回避された誘導弾がなのはの操作を受けてフェイトの背後に迫る。

「っ!? んっ!」

 

背後に迫る魔力に気がついたフェイトは魔力刃を障壁に突き立てたまま、振り返りざま背後に障壁を張り、魔力弾を受け止める。

魔力弾が障壁にぶつかり弾けるのを確認してフェイトはなのはを振り返り、

 

「いない!?」

 

再びなのはを見失った。

そのなのはは、

 

<Flash Move>

「せぇえええええい!!」

 

フェイトの上空から、自身を加速させレイジングハートを振りおろす。

 

「くっ!?」

 

声に振り仰いだフェイトがバルディッシュでレイジングハートを受け止めた瞬間、爆発的な光が広がった。

一瞬フェイトを見失ったなのはに今度はフェイトが奇襲を仕掛ける。

 

<Scythe Slash>

「やぁああ!!」

「っ!?」

 

フェイトの位置を悟ったなのはは飛行魔法を細かく制御し紙一重でかわすが、魔力刃は胸元のリボンを掠める。

 

「くっ!?」

 

なのはは斬られた勢いに体勢を立て直そうとし、

 

「な!?」

 

事前に設置されていたスフィアが発動を待ちながら自分を待ち受けているのを眼にした。

 

<Fire>

 

バルディッシュが無慈悲に撃鉄を落とし、スフィアが火を噴いた。

 

「くぅ!!」

<Round Shield>

 

撃ちこまれる魔力弾をシールドで受け流す。

弾かれた魔力弾が、海に撃ちこまれ水柱を吹き上げる中、両者は再び距離を取って向かいあった。

だが、その様子は大きく変わり、なのはが油断なくフェイトにデバイスを向けるのに対して、フェイトは肩で息をしていた。

 

Sideout

 

 

その様子を地上から見ていた俺達は思った以上の戦いに思わず見入っていた。

 

「なのはが押してる!?」

「そんな!? あの娘、ずいぶん強くなってるじゃないか!?」

 

驚く二人に苦笑しながら、内心大いに同意する。

フェイトの動きは間違いなく、物心が付く頃から師事したものだったはずだ。

その動き相手に、魔法に触れて二月足らずの少女が肉薄するなんてどんな悪い冗談だろう。

 

(日頃は運動神経が切れているのに、魔法が関わった途端この成長・・・・・・出鱈目な話だな)

「あれは!?」

 

アルフの驚きの声に意識を戦闘に戻す。

そこには、

 

「アルカス・グルカス・エイギアス」

 

バルディッシュを捧げ持ち、大規模の魔法を起動しようとするフェイトの姿があった。

 

「あれは?」

「フェイトの奥の手だよ!」

「なのは!?」

 

ユーノの声になのはを振り返ると、その両手をバインドが拘束している。

 

「ライトニングバインド!? まずい、フェイトは本気だ!」

「なのは、待ってて! 今サポートを」

「させねーよ」

「う、動けない!?」

「あ、あたしもかい!?」

 

飛び出そうとしたユーノとアルフの影を括って止める。

 

「ちょ、雄一何をするんだ!?」

「そうだよ! フェイトのあれはホントにまずいんだ!」

 

動きを止められて必死に訴える二人には悪いがそれを聞くわけにはいかない。

 

「これはあの二人の真剣勝負だからな。横槍を許すと遺恨になりかねないから却下」

「そんなこと言ってる場合じゃ」

「そういう間に、その暇もなくなったようだぞ」

 

え、と二人が慌てて降り仰いだ先、

詠唱をまさに終わらせんとしたフェイトの周りを多数のスフィアが漂っている。

 

「疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル。フォトンランサー・ファランクスシフト! 打ち砕け、ファイア!!」

 

詠唱の完成と同時にスフィアから一斉に砲撃が放たれた。

それも一撃では終わらない、一つのスフィアから無数の魔力弾がなのはに撃ち込まれる。

 

「なのは!?」

「フェイト!?」

 

攻撃の激しさにユーノが、主人の魔力の消耗を察してアルフが悲鳴を上げる。

 

「くっ・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」

 

消耗が激しいのだろう、息が上がる中、フェイトは魔力弾を撃ち放ったスフィアを集結させながら噴煙を油断なく睨みつける。

やがて、煙が晴れた先には、

 

「たはは・・・・・・撃ち終わるとバインドっていうのも解けちゃうんだね」

 

そこには帯電しつつも、ほとんど無傷と言っていいなのはの姿があった。

 

「今度はこっちの・・・・・・」

<Devine>

「番だよ!」

<Buster>

 

なのはの構えたレイジングハートから砲撃が撃ち出される。

 

「くっ! あああぁあああ!!」

 

フェイトは疲弊した体に鞭打ってスフィアを収束させた一撃で迎え撃つが、ディバインバスターはそれを呑み込んでフェイトに迫った。

 

「くっ!!」

 

フェイトはとっさに張った障壁で砲撃を受け止めて見せた。

砲撃と障壁がぶつかり合い閃光を散らす。

やがて、砲撃の威力が弱まり、砲撃を凌ぎ切ったフェイトは息を整えるように肩を落とした。

それが隙になった。

 

「終わったな」

 

その上空、レイジングハートを掲げて、多くの魔力を集めるなのはの姿を眼にしながら呟いた。

 

「受けてみて、ディバインバスターのバリエーション!!」

<Starlight Breaker>

 

なのはの足元、そこに大規模の魔方陣と共に巨大な魔力球が形成される。

 

「・・・・・・ん?」

 

そこに込められた魔力に思わず顔が引きつる。

 

(え? ちょっと待って? 非殺生設定ってああいうのにも有効なの?)

 

思わず前言を翻したくなりながら、様子を見守る。

フェイトも危機感を覚えたのか、迎撃しようと身体を動かそうとし、いつの間にか掛けられていたバインドに気がついた。

 

「バ、バインド!?」

「雄一君! これが私なりの答え・・・・・・これが私の全力全開!!」

 

魔力を収束させたレイジングハートを魔力球に向けるなのは。

 

「いくよ! スターライト、ブレイカー!!」

 

レイジングハートから放たれたディバインバスターが魔力球に接触し、

規模と勢いを増すという凶悪な変化を遂げた魔砲がフェイトを呑み込んだ。

魔砲はフェイトを呑み込むだけでは止まらず、海に突き刺さり爆轟を響かせた。

やがて、砲撃が収まると、気絶したフェイトが海に落ちていった。

 

「・・・・・・」

「ゆ、雄一!! 呆けてないで、早くこれを解いておくれ!! 早くしないと、フェイトが!!」

「あ? ああ! 悪い!」

 

我に帰るとすぐに足を動かして制約で拘束を解く。

拘束が解けた瞬間、アルフが一目散に海に飛び込んだ。

おそらく、溺れているであろうフェイトの救出だろうな。

 

それにしても、

 

「・・・・・・なあ、カナメ」

『・・・・・・なんじゃ?』

 

上空で、フェイトの落ちたあたりを見下ろすなのはを見ながら、カナメに尋ねる。

 

「非殺生設定って・・・・・・なんだろうな?」

『・・・・・・さあな?』

 

なんともいえない空気で、フェイトを連れて岸に上がるアルフを眺めるのだった。

 

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