リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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第三十五話 横槍と明かされた真実

なのはの撃った魔王砲撃、もといスターライトブレイカーでフェイトとの戦いは決着を迎えた。

 

「(ここからは俺の仕事か)カナメ、あたりに注意しておいてくれ」

『分かっておる。あの二人は張りつめた糸が切れておるしの』

 

カナメの言うとおり、なのは達は即応できないだろう。

プレシアには次元跳躍魔法がある。

フェイトの敗北の結果に、何らかの介入をしてくるはず。

 

『!? 主殿、来よるぞ!?』

 

思ったとおりか!

 

「ああ!<エイミィさん!>」

「<オッケー!>」

 

カナメのセンサーが異常を訴えた瞬間、アースラに通信を図る。

空に、先日と同じ紫の雷が集まるのを確認し、

 

「カナメ!」

『<Flier Fin>』

 

それめがけて飛びかかる。

 

「(以前と同じ轍は踏まない!)呑み込め、<沙波>!」

 

放たれた雷をカナメで切り払う。

雷はカナメに触れた端からかき消され、フェイト達には毛ほども通さない。

だが、

 

「つっ!! ちょっと痺れたか・・・・・・」

 

以前フェイトのフォトンランサーを叩き落とした時と同じように雷の余波で麻痺した手を軽く振って解す。

そうしていると、異常を察したなのは達が飛んできた。

 

「雄一君、何があったの!?」

「ちょっと手が痺れただけだ。二人を狙った攻撃・・・・・・」

 

なのはに答えようと振り返って、無くなったものに気がつき顔をしかめる。

 

「いや、狙いはジュエルシードか」

「え? あ! 無くなってる! フェイトちゃんのジュエルシードが!」

フェイトのチップだった九個のジュエルシードが姿を消していた。

先ほどの雷は囮だったらしい。

 

「<エイミィさん、釣果は?>」

『<大成功! 逆探知に成功したよ!>』

「<お疲れ様です。それと、事此処に至ってはフェイトもアースラに連れて行きます。こちらで保護しておいたほうがいいかと思うんで>」

『<分かった。クロノ君や艦長に伝えておくね>』

「<それじゃ、ゲート開けてださい>なのは!」

 

エイミィとの念話を切って、なのはにフェイト達を連れて行くことを伝え、五人でアースラに転移した。

 

 

転移したアースラのブリッジでは慌ただしく人が動いていた。

正面のモニターには時の庭園を進む複数の魔導師の姿が映されている。

突入隊の姿だろう。

そのなか、リンディさんが戻った俺達を出迎えてくれた。

 

「お帰りなさい、みんな。それで、貴女がフェイトさんかしら?<雄一君は突入の準備をしておいて。この後、クロノと一緒に出てもらうかもしれません。なのはさんは、母親が逮捕されるシーンを見せるのはしのびないから、彼女をどこか別の部屋に>」

「<分かりました。クロノは何処に>」

「<あそこよ>」

 

リンディさんの指差した先、エイミィさんと一緒に、コンソールの一つに向かう姿を見つけそちらに歩いていく。

 

「クロノ<状況は?>」

「君か、突入の件は?<武装局員が二小隊突入している・・・・・・それよりも、以前頼まれていた件、調べておいた>」

 

念話で入った報告に眉を寄せる。

わざわざ念話を介するとはそんなにあの二人には聞かせにくいことか。

 

「ああ。さっきリンディさんから聞かされたよ<何があった?>」

「<詳しくはこれを>」

 

そう告げると、クロノはレポートを手渡した。

それをぺらぺらと捲っていき、

 

「・・・・・・な!?」

書かれていた内容に眼を疑った。

思わずクロノを見るが、彼も首を横に振った。

俺は、今までの思い違いに歯噛みした。

騒ぎはその時起こった。

 

『プレシア・テスタロッサ! 時空管理法違反および管理局艦船への攻撃容疑で貴方を逮捕します! 武装を解除してこちらへ!」

『・・・・・・』

 

玉座の間に辿りついた武装局員が、プレシアに降伏を迫っていた。

だが、プレシアは反応を見せず、玉座に座るのみ。

武装局員達はプレシアの監視に数名残し、不審な部屋がないかあたりを調べていく。

そして、玉座の後ろ、そこから延びる通路を発見したとき、プレシアの表情が変わった。

それに気がつかず武装局員は、通路の先を検めていき、

 

『これは!?』

「・・・・・・ぇ?」

 

生体ポッドだろう、液体で満たされた装置に浮かぶ、フェイトの一つか二つ下だろうフェイトによく似た少女を発見した。

モニター越しにそれを見たフェイトが息を呑む。

そのとき、

 

『私のアリシアに近寄らないで!!』

『『がぁああ!!』

 

いつの間に現れたのか、プレシアがポッドと局員の間に現れ、局員をなぎ払った。

後詰に控えていた局員がデバイスの穂先をプレシアに向ける。

だが、プレシアはその動きを意にも介さず佇み、局員が先に限界を迎えた。

 

『う、撃てぇ!!』

 

号令の下、複数の閃光がプレシアに奔るが、プレシアが張った障壁によって届かない。

 

『煩いわ・・・・・・』

「!? 危ない! 防いで!!」

 

プレシアが集めた魔力に、リンディさんがすぐに指示を飛ばすが、一歩早く放たれた雷が時の庭園内を捜索していた武装局員を貫いた。

 

「いけない! 局員達の回収急いで!!」

「りょ、了解です!」

 

リンディさんの指示にエイミィさんがすぐに送還を行い局員達をアースラに収容した。

その間に、プレシアはポッドに歩み寄り、そのガラスに両手で触れ慈しむように撫でた。

 

『もう・・・・・・駄目ね。時間がないわ。たった九個のジュエルシードで起こす次元震程度ではアルハザードに辿りつけるとは思えないけど』

「<アルハザード?>」

『<次元世界の狭間に存在し、今は失われた秘術の眠る地の事じゃ。おそらく、その技術を使ってあの娘を蘇生させる、それが目的じゃろう>』

 

カナメの説明でパズルが嵌っていくのが分かる。

その間も続く語りに耳を傾ける。

 

『でも、もういいわ。終わりにする。この娘を亡くしてからの暗鬱な時間も。この娘の代わりの人形を娘扱いするのも』

 

プレシアがモニターを振り返る。

その眼は、眼を見開きモニターを見つめるフェイトを捉えていた。

 

『貴女のことよ、フェイト。せっかくアリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは見た目だけ。役立たずでちっとも使えない、私のお人形』

 

プレシアの語りに、手の中のレポートに眼を落とす。

始まりは彼女の研究中に起きた事故。

その際、一人娘であったアリシア・テスタロッサが事故に巻き込まれて亡くなった。

その後、プレシアは新たな研究に手をつけた。

それが、

 

(使い魔を越える人造生命の開発。そして、死者蘇生の技術、か。開発コード・・・・・・)

 

手の中で、レポートがぐしゃりと潰れる。

 

「『フェイト』って名前は当時彼女の研究に付けられた開発コード、プロジェクトF.A.T.Eからなの」

『よく調べたわね。そうよ、その通り。だけど駄目ね、ちっとも上手くいかなかった。作り物の命は所詮作り物。失ったものの代わりにはならないわ』

 

プレシアは、アリシアとフェイトの違いを列挙していく。

その一つ一つがフェイトに、プレシアが如何にフェイトを通してアリシアを見ていたか、そしてフェイトを見ていなかったのかをまざまざと突きつけていった。

 

『フェイト・・・・・・貴方はやっぱりアリシアの偽者よ。せっかくあげたアリシアの記憶も貴女じゃ駄目だった。貴女はアリシアを甦らせる間、私の慰みだけに使うお人形。だから、貴女はもう要らないわ・・・・・・何処へなりと、消えなさい!!』

「お願い!! もうやめて!!」

 

なのはが叫ぶがプレシアは止まらなかった。

 

『フフフ・・・・・・いいことを教えてあげるわ。フェイト、貴女を作り出してからずっとね・・・・・・私は貴女が、大嫌いだったのよ!!』

「・・・・・・っ」

 

その決定的な一言が、フェイトの心をうち砕いた。

フェイトの眼から光が消えて膝から崩れ落ちる。

 

「フェイトちゃん!」

「フェイト・・・・・・」

 

なのはとユーノがフェイトに駆け寄るのを横目に、俺はプレシアを睨む。

(プレシア・テスタロッサ。お前は俺の領域を犯した。お前を信じ続けたフェイトの心を踏みにじった。

だから今度は・・・・・・俺がお前を否定してやるよ)

 

 

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