リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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第三十九話 各々の思い

大型の傀儡兵を殲滅した余波と振動をやり過ごし、二人に声をかけた。

 

「なのは、フェイト無事か?」

「うん! 大丈夫なの!」

「こっちも! 雄一こそ大丈夫だった!?」

 

頷き、こっちに降りてくる二人。

 

「フェイトー!!」

 

降りてきたフェイトにアルフが人型になって抱きついた。

 

「アルフ・・・・・・ごめんね、心配かけて」

 

アルフの頭をフェイトは優しく撫でてやる。

二人の間に穏やかな空気が流れる。

なのはもユーノも一歩下がって二人の様子を見ているが、時間、ないんですよ?

その空気を壊すのは偲びないが・・・・・・

 

「それで、フェイト・・・・・・言いたい事は見つかったか?」

 

問うと、フェイトは表情を改めてしっかりと頷いた。

 

「うん・・・・・・私は、母さんに言いたいことがある。だから・・・・・・雄一、私を母さんのところに連れていって」

「分かった。なのは、ユーノ」

「うん、こっちは任せて!」

「駆動炉の封印は僕達で十分だよ!」

 

頼もうとしたことを先に言われたが、頼りになる返事に頷き、

 

「それじゃ、二人に任せるとして・・・・・・プレシアのところにはクロノが向かってるだろうし、ちょっと急ぐか」

「この先にエレベーターがあるからそれを使えば」

「んー・・・・・・」

 

フェイトの提案に僅かに考え込み、

 

「なあフェイト、さっきの玉座の部屋って何階下?」

「へ?えーと、6層下だけど・・・・・・」

 

唐突な質問に、一応ながら答えるフェイト。

その答えに考えがまとめて、手頃な大きさの傀儡兵のパーツを手に取った。

それに、なのはとユーノが表情を変えた。

 

「って!? 雄一、まさか!」

「あ!? だ、駄目だよ、雄一君! 庭園が壊れちゃうよ!!」

「「???」」

 

先ほどの雄一の行動を思い出したユーノとなのはが叫ぶが、事情を知らないフェイトとアルフは何を慌てているのか分からず首を傾げる。

 

「一応言っておくけど、違うから。あれは十分な距離があったからできるものだからな?」

「そ、そうなの?」

「じゃあ、何をするんだ?」

 

安心したように一息つくなのは。

その横で、それでも安心できずに眉を寄せるユーノが問いかける。

それに対して、

 

「こうする」

 

<ルー・グー>でパーツを天井から一気に床に叩きつけた。

 

「って、やっぱりやるんじゃないか!!」

 

轟音を立てて大穴を明けた床を指差して怒鳴るユーノ。

けどな。

 

「あそこまで威力は上げねえよ。というかあそこまで上げたら、あけた穴が高温化して通れなくなるし」

「そういう問題じゃないだろ!!」

「とりあえずこうやってぶち抜いていくぞ。フェイト、アルフ急ぐぞ!!」

 

聞いて! と叫ぶユーノから眼を逸らしつつ、呆然としていた二人に呼びかける。

 

「「は、はい!!」」

 

再起動したフェイト達と共に穴に飛び込んでいった。

 

 

sideプレシア

 

 

先ほどから断続的な揺れが時の庭園を揺らしている。

それが、ジュエルシードの魔力で軋んでいるからなのか、侵入者と傀儡兵の戦闘音なのかは知らないが、

 

「あともう少し・・・・・・」

 

光を強めていくジュエルシードを見つめながら、思わず呟いていた。

この魔力をもってすれば、アルハザードを見つけ出せる。

そして、アルハザードで見つけ出した秘儀でアリシアを蘇らせてみせる。

そう信じながら、ポッドのガラスを撫でる。

その一方で、フェイトをプレシア・テスタロッサから解き放つ。

それが、

 

(今の私にできる全て!)

 

その思いで軋みを上げる身体を動かし続ける。

そのとき、

ゴォンッ・・・・・・!!

 

「・・・・・・っ!?」

 

一際強い揺れが、庭園を襲った。

その揺れと時を同じくして、徐々に魔力を強めていたジュエルシードが活動を抑えた。

 

「っ!?」

『<プレシア・テスタロッサ、終わりですよ>』

 

突然入った念話の聞き覚えのある声に顔をしかめる。

 

(管理局の・・・・・・!?)

『<次元震は私が抑えています>』

 

念話の主の言葉を私は耳を疑った。

ロストロギア九個の魔力を抑え込む。

フェイトでさえ六個押さえ込むのにあの白い魔導師と共闘してやっとだったというのに・・・・・・。

さらに悪い情報は続く。

 

『<駆動路もじき封印、貴女のもとには執務官が向かっています!忘れられし都、アルハザード。そしてそこに眠る秘術は存在するかどうかも曖昧な、ただの伝説です!>』

「<っ・・・・・・違うわ>」

 

念話に、顔色が変わるのが分かったが抑えきれず口は動き続けた。

 

「<アルハザードへの道は次元の狭間にある!時間と空間が砕かれた時、その狭間に滑落していく輝き・・・・・・道は、確かにそこにある!>」

『<・・・・・・随分と分の悪い賭けだわ>』

 

確かに。

念話に内心同意する。

これほどの魔力をもってしてアルハザードの影すら見えていない。

だが、それでも、

 

「<私は、取り戻す。私とアリシアの・・・・・・過去と未来を>」

 

そこに、フェイトを含められれば、どれほど良かったか。

気がつくのが遅くなってしまったその後悔を内心噛み殺しながら続ける。

 

「そう・・・・・・取り戻すのこんなはずじゃなかった、世界の全てを!」

 

いつの間にか念話ではなく肉声で言葉にしていた。

その言葉に答えるように、青い魔力光の砲撃が壁を貫き走った。

 

「っ!?」

 

睨んだ先、白い煙の向こうを睨む。

そこに立っていたのは、管理局の執務官。

此処まで突破するのに無茶をしたのか額から一条の血が流れている。

 

「世界はいつだって、こんなはずじゃないことばっかりだよ! ずっと昔から、いつだって誰だってそうなんだ! こんなはずじゃない現実から逃げるか、それとも立ち向かうかは、個人の自由だ! だけど、自分の勝手な悲しみに無関係な人間まで巻き込んでいい権利は何処の誰にもありはしない!!」

 

怪我を負いながらも、意思の篭った強い眼がデバイスと共に向けられる。

執務官に杖を向けようとしたそのとき、

 

ゴオンッ!!

天井が轟音を立てて砕けた。

 

「なぁっ!?」

「っアリシア!!」

 

慌てて下がる執務官を放置し、展開しようとした魔法を急ぎ障壁に切り替え、ポッドを瓦礫から護った。

障壁は問題なく起動し、瓦礫を防ぐ。

だが、

 

「・・・・・・っ」

 

障壁を張る程度の魔力でも、体が魔力の消費に悲鳴を上げた。

その苦痛を血と一緒に必死に飲み込み、何が起こったのか見上げた先。

 

「・・・・・・よし、間に合ったな!」

 

榊雄一がフェイトを連れて、穴を降りてくる姿を眼にした。

 

 

sidechange

sideフェイト

 

 

母さんとクロノの間に降り立つ。

見れば二人ともデバイスを構えているけど、既に戦闘が始まっていたんだろうか?

 

「っゲホ、ゲホ!!」

「母さん!?」

 

突然咳き込んだ母さんに慌てて駆け寄ろうとするけど、

 

「何を、しにきたの?」

 

母さんの眼に足が止まってしまった。

私を見ていない目や冷たい言葉、鞭で打たれた痛みに足が止まってしまう。

それを見てか、母さんはさらに冷たい言葉を続けていく。

 

「消えなさい。貴女にもう用はないわ」

「・・・・・・っ」

「フェイト」

 

何も感情の読み取れない目で告げられた言葉に、胸の痛みと共に動けなくなってしまった。

そんな私の背中に軽い衝撃が伝わり、僅かに体が前に出る。

 

「!? 雄一・・・・・・」

 

振り返った先、雄一が背中を押してくれたらしい。

 

「伝えたい言葉があるんだろ? だったら、ちゃんと伝えてくるといい」

「・・・・・・うん」

 

雄一に頷くと、私はもう一度母さんに向き直った。

 

 

 

sidechange

side第三者

 

 

「あなたに伝えたいことがあって来ました」

 

誰もが息を詰め、見守る中フェイトは語り始めた。

 

「私は・・・・・・私はアリシア・テスタロッサじゃありません。貴女が作ったただの人形なのかもしれません。だけど、私は・・・・・・フェイト・テスタロッサは貴女に生み出してもらって、育ててもらった貴女の娘です」

「・・・・・・フフフ、アハハハハハ!! だから、何!? 今さら貴女の事を娘と思えというの!?」

「貴女がそれを望むなら・・・・・・それを望むなら、私は世界中の誰からも、どんな出来事からも貴女を守る。私があなたの娘だからじゃない。あなたが私の母さんだから!」

 

フェイトの言葉にプレシアの笑いが凍りついた。

そのプレシアにフェイトは手を伸ばし、

 

「くだらないわ」

「・・・・・・ぇ?」

 

プレシアの言葉に手が止まった。

フェイトは、目を揺らがせながら、信じられずプレシアを見つめた。

プレシアは構わず、杖を振り上げ、

 

「<ハヌ・マーン>が命ずる、杖を捨てよ!!」

「っ!?」

 

杖を放り捨てた。

何が起こったのか分からず、一同の視線が、

 

「一応、先に断っておくぞ。本心をいつまで隠しているつもりだ、プレシア・テスタロッサ?」

 

言葉を発した、榊雄一に集まった。

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