リリカル世界を逝く影執事   作:ラッテンフェンガー

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読者の皆様、ご愛顧いただきありがとうございます。
新章にも入りまして、一層の精進できるよう努めますので、今後とも御贔屓いただければ幸いです。
では、お楽しみください!


閑話 一時中断と今後の方針

「それじゃ、話も纏まったことだし、はやて達にはある程度こっちのことも説明しておくか」

「そっちのことって?」

「俺の異能とかについてだな。そうしないと」

 

苦笑しながら、はやての後ろを見る。

はやてが訝しんで振り返ると、こちらに警戒を向けるヴォルケンリッターの姿。

 

「あいつらが納得しないだろうし」

「・・・・・・そうやね。とりあえず、みんなも座り。立ったまんまやと辛いやろ?」

「いえ。我々はこのままで平気ですので。ご配慮、ありがとうございます」

 

シグナムが代表して答えると、こちらを射抜くような視線が再開する。

居心地の悪さを感じつつ、説明を始めようとして、

 

「ふぁ・・・・・・」

 

はやてが上げたあくびに機を外された。

見れば、はやては涙の浮いた眼をしきりに擦っている。

時計は既に日をまたぐどころか丑三つ時になろうかとしている。

はやては俺と同じくらいの歳のはずだから、この時間は小学生にはきついだろう。

 

「あ、ごめんな。話の腰を折ってしもて・・・・・・ほな、聞かせてくれへん?」

「いや。説明は明日にまわした方がよさそうだ」

 

言いながらうつらうつらと、舟を漕いでいるはやてに苦笑しながらそう提案する。

シグナムさん達には悪いがそうした方がはやてのためだろう。

実際、今の状態ではどんな話を聞いても記憶には残るまいし。

 

「シグナムさん達もそれでいいかな?」

「・・・・・・致し方あるまい。しかし、今夜の内に貴様が姿をくらませようものなら地の果てまで追いかけてでも探し出し斬り捨てる。覚えておくことだ」

 

しばらく、間があったのは念話で相談しあったからなのか。

シグナムさんも悩んだようだが、はやてを優先したらしく、俺の案を呑んだようだが、しっかりと太い釘を刺してくれた。

一応、契約を申し込んだ身だからはやてに危害を加えるはずもないんだが、それを納得させるには契約者についての説明は必須だろう。

それをせぬままに理解を求めるのはおかしな話か。

 

「はいはい」

 

とりあえず了承と捉え、完全に眠りに落ちたはやてを四人に任せて、俺ははやての部屋をあとにした。

 

 

部屋を出た俺はその脚でリビングを探す。

階段を下りた先でそれらしき部屋を見つけ外の明かりを頼りにソファーを見つけると、そこへ深く腰掛け一息ついた。

 

「ふぅ・・・・・・なんか、また厄介事に巻き込まれている気がするんだが」

『十中八九厄介事だね。それで、マスターはこれからどうするつもりなのかね?』

 

エルミナの問いにしばらく考え込む。

家に戻るのは却下。

おそらく巻き込まれるであろう問題の、台風の目は間違いなく此処だ。

だとすれば、彼女達から離れる選択肢は除外する。

なら、管理局メンバー、もっと言えばなのは達と合流するかといえばそれもない。

 

『ほう? なぜかね?』

「いくつか理由はあるけど、まず、俺が榊雄一であることをどう証明するか。何か、俺達だけが知っていることがあればよかったんだけど、リンディさん達がサーチャーを放っていたことには、なのははともかくフェイト達は気がついていただろうから、その線で疑われたとき有効な返しが今は思いつかない。次に、あの本、闇の書っていったか?あの本はおそらくロストロギアだろう。だとしたら、管理局はあれの回収に動くだろう。そのときヴォルケンリッターと出くわそうものなら、確実に戦闘になるだろう」

 

主にクロノが空気よめずに融通の利かないことを言って、相手を逆撫でして、たぶんヴィータあたりが攻撃して両者乱戦・・・・・・そんな光景が目に浮かんだ。

 

『ふむ。ならばどうするのかね?』

「・・・・・・とりあえずしばらくは様子見、だな」

『なんとも、消極的だね』

「そう言うな。今はやることが山積みだ。まずはこの身体で戦うことに慣れなきゃいざって時に足手まといになるし、ヴォルケンリッターと信頼関係も結ばなきゃいけない」

『そうだね・・・・・・マスター、気がついているかな?』

「・・・・・・ああ」

 

エルミナが注意を促した先、リビングに繋がるドアの向こうに気配がある。

敵意はないようだが、こちらを窺うような感じは伝わっている。

 

『おそらくヴォルケンリッターの誰かが見張っているのだろう。逃げ出そうものなら、先ほどの宣言は冗談でなくなるだろうね』

「そうか・・・・・・<エルミナ、此処からは念話に切り替える>」

『<承知した。だが、彼女達に聞かれるとまずいのかな?>』

「<あまりよくはないな。シグナムさん達は、自分達を守護騎士っていっていた。おそらく狙われるのは、闇の書とその持ち主、今回ははやてか。それらを何から守るのか。そもそも、闇の書はどういうものなのか。・・・・・・やる事どころか、疑問まで山積みだな、これは・・・・・・>」

前途の暗さに思わず顔をしかめてため息をつく。

すると、

『<・・・・・・マスター、それはいつもの事なのではないかな?>』

「ぐはっ!?」

 

エルミナの鋭い指摘が深々と胸に突き刺さった。

確かに、ジュエルシードをただ集めるだけのはずが、フェイトの事情を探るうちにプレシアの一件間で波及したのだから、あながち間違いとはいえない。

 

「<って、プレシアで思い出した! エルミナ、クロノかリンディさんに向けてメールで伝えて欲しいことがあるんだ>」

『<マスター・・・・・・まず言わせて貰うが、私を携帯か何かと勘違いしていないかね? それなら念話でもすればいいのではないか?>』

「<そういうわけにはいかないって。さっきも言ったけど、今は俺の存在を明かさない方がいいだろうし、念話よりも、メールの方が確実だ>」

『<そういわれると、返す言葉はないね・・・・・・分かった、いくつかのポイントを経由して、アースラに届かせよう。それで、文面はどうするのかね?>』

「それは・・・・・・」

 

思い出すのは<アルス・マグナ>で見たもの。

世界の記憶を操る<アルス・マグナ>のうちにあったのだから、あれは間違いなく真実だろう。

 

「<プレシアさん・・・・・・もとい、プレシアが起こしたとされている、次元航行エネルギー駆動炉『ヒュードラ』実験暴走の真実について。当時副主任だった男が実行犯、その背後には当時中将位だったカーツという人物が絡んでいる。証拠は中央の貸金庫、番号はF-3145、暗証番号は*****に入っている書類。動機は主任の座に自分を差し置いて座っていたプレシアへの怨恨である。以上だ>」

『<記録、完了した。発信するが構わないか?>』

「<ああ、頼んだ>」

『<了承した。しばらく処理に集中するため、応答できないが承知しておいてくれ>』

 

エルミナはそのまま沈黙した。

話しかけてみるが、まったく反応しない。

おとなしく、体勢を変え、ソファーに横になった。

天井を見上げながら、体感時間でたった数時間ほどで二転三転する状況を整理していく。

 

(おそらく、闇の書はただ魔力を蒐集するだけの物じゃない。もしそうなら守護騎士なんて存在も必要ないはず・・・・・・さっきロストロギアって当たりをつけたけど、頭に「危険な」を付けた方がいいかもしれないな。それにしてもたった二ヶ月で随分と身の回りが変わったもんだ。何処まで変わっていくのやら・・・・・・そういえば、シグナムさん達のデバイス、こっちのよりもはるかに武器らしいけど何か秘密があるんだろうか?)

 

途中意識が脱線しながらも、考えるのは闇の書関係のこと。

しかし、手持ちの情報程度では考察も広がらず早々に諦める。

 

(やっぱり情報が足りない・・・・・・せめて、明日もう少し詳しく説明があればいいんだけど・・・・・・)

 

考えているうちに重くなる瞼に抗わず、そのまま意識を落としていった。

 

 

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